【完全版製作記念連載再開】金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師

文字の大きさ
66 / 70
ハーレム編

62話  7人の彼女

しおりを挟む
「この度は…………大変申し訳ございませんでした」
「謝罪会見の間の使い方やめろ」

 一同の前で深々と頭を下げるユーリに、ズビシッ、と、マホはチョップを食らわせた。

 マホがユーリの殺害予告をしたのち、ユーリは瀕死の皆を治癒魔法で回復し、ベトベトになった身体をお風呂できれいに洗い、同じく掃除したベッドの上に寝かせ、体力が回復するのを待ってから、ユーリは誠心誠意の謝罪をしている最中だった。

 先ほどまでとは立場が逆転してしまったが、それも仕方がない。
 なにせユーリは、七名もの美女を殺すところだったのだ。
 殺害方法は『セックス』。
 推定死因は『はしゃぎ過ぎ』だ。
 立派な殺人未遂だった。
 ともあれ、

「いや、別に、そもそも謝ることじゃないんだけどさ……」

 ファイフがほっぺたを掻きながらそう言うと、他の一同も微苦笑をしながら、あるいは頬を赤らめながら頷いて見せた。
 はしゃぎ過ぎたのは、彼女らも同様なのだ。ユーリひとりに責任を押し付けることなど、できるわけがなかった。
 その思いを代弁するように、エンリエッタがやや焦ったように言う。

「そ、そうですよ! 勇者様は悪くありません! その……これが原因で、こういうのが今回限り……みたいになるのもヤですから、あんまり気にしないでください!」
「エリちゃん……」

 顔を上げるユーリに、カリナも冗談じみた口調で言葉を重ねた。

「そうそう。今回は幸い、死人も出なかったわけだしさ、幸先のいいスタートってことで♪」
「それほんとにいい意味で言ってる? え、交通事故ってこと? 僕たちがしてたのって、エッチじゃなくて交通事故だったの?」
「交通事故みたいなエッチだねえ」
「どんなエッチ!? ってか、ごめん! ほんっとごめん! 今日は解禁日だったから! 解禁日だからハメ外しちゃったけど、次からはもうちょっとセーブできると思うからさ!
「ボジョレーヌでやらかした大学生みたいになってますよ、坊ちゃん」

 ブレイダがやんわりとツッコミを入れたところで、セイラはコホンとひとつ咳ばらいをしてから、

「しかし、勇者様が仰ることが全てかと。私たちも勝手がわからなかった部分もありますし、次回はこんなことにはなりませんよ」

 その言葉に、ファイフとハンナもうんうんと頷きながら口々に言う。

「そーそー。あたしもテクいことされると弱いんだけど、次はガンガン攻めてやるからさ、覚悟しときなよ、勇者!」
「今回は一方的でしたからね。次回は私たちも勇者様を捌かせて頂きますわ」
「みんな……」

彼女らの温かな心遣いに、ユーリは思わず一同を見回した。
以前のユーリだったら、ここでも『でも、だって』を発動させていたに違いない。
しかし今のユーリは違う。
彼女らの思いを、覚悟を、拳や剣を、そして身体を受け止めたユーリに、

「……うん。ありがとう。そうさせて貰うね」

 ──もう、迷いはなかった。
 これが賢者タイムの力なのだ。

「っしゃい! じゃあもう、今日はパーっとやろうぜ。パーッとさ! 退職金代わりに、レストランからいっぱい高級食材貰って来たから、可愛い元殺し屋が大盤振る舞いしてやんよ~!」

 和やかな雰囲気が戻ったところで、カリナが腕をぶん回しながらそう言って、一同もワッと沸く。そんな中、ユーリは苦笑しながらブンブン回る腕を止め、

「いやいや、まだそんな稼働しなくていいよ。カリちゃむたちだって疲れてるでしょ? 適当になんかウーバーしようよ」
「新しいキッチンの調整も兼ねてですので、気にしないでくださいまし」

 ハンナが上品なお辞儀をしながらそう言うと、カリナもユーリの肩を叩きながら頷く。

「そうそう。にひひぃ。ご主人様はそこでふんぞり返ってればいいんだよ」
「あはは……いよいよハーレムっぽくなってくるね、その呼び方だと」
「そういえば私たち、どういう肩書きになるんですか? さすがにハーレム要員はヤですよ?」

 ピョコンと手を上げたエンリエッタに、ファイフは小首を傾げながら、

「普通にパーティメンバーじゃダメなの?」
「そうですけど、特別な関係だって事が分かる呼び方にしたいんですー!」

 確かに……と頷くファイフの横で、セイラが冷静な意見を刺し添えた。

「業務内容……というか、していることの内容的には、愛人という言葉が近しいかと」
「それもなんかヤです!」
「パパ活女子とかじゃねーの?」
「もっとヤですよ! マホちゃんだけ『いただき貧乳女子』って名乗ってください!」
「お前の乳と命をいただいてやろうか」
「私、坊ちゃんよりも七個も年上なんだけど……」

 と、マホとブレイダも参戦して場が荒れ始めたところで、ユーリはポツリと、

「彼女……とかってどうかな? ちょっと図々しい?」

 その意見に、エンリエッタは目をシパシパさせてから、やがて嬉しそうに飛び跳ねながら言った。

「……いや、いいですよ、いい! 一番健全だし、めっちゃキュンです!」
「悪い気しないねえ……うん、悪い気しない! それでいこうよ!」
「いや、彼女七人いる、って、相当イカれた状況だと思うけどな」

 ファイフも目をキラキラさせながら手を上げ、マホは悪態をつきつつもまんざらでもない様子だ。そんな中、ブレイダは手を頬に当てながら苦笑し、

「まあ。私、おばさんなのにいいのかしら。ママ活に間違われちゃいそう」
「ブレイダさん自分のことおばさんって言うの禁止。ブレイダさんの年って全然おばさんじゃないし、そもそも若くて綺麗なんだから」
「うふふ。優しくて厳しい彼氏ができて嬉しいなぁ~」

 と、イチャイチャするユーリとブレイダを横目に、セイラはひとつ咳ばらいをすると、

「ではその呼称を採用する方向で。私は勇者様の第一秘書改め第一彼女となりますので、皆様、改めてよろしくお願い致します」
「なんのマウントか知らねえけど、お前絶対それ外でいうなよ。ボクたちまで頭おかしいと思われっから」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜

幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。 魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。 そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。 「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」 唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。 「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」 シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。 これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...