イミテーションアース~神々の試験場~

赤崎巧一

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24.第二次大戦 中期2

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 欧州戦線はソ連の逆侵攻と共にドイツは一気に窮地に陥った。それまで各戦線ではほぼ一進一退に近い状況であったが少しずつ押されているだけに過ぎなかった、さらにアフリカ戦線は東西からの攻撃によりドイツ軍は挟撃され、後の世では英雄とまで呼ばれるドイツ軍将校の奮闘さえ飲み込み戦死してしまうほどに激しいものであった。
 ミグラント国として欧州での確認が一旦片付き、次は終結が近い欧州北部へと送られ収容所や戦線での犯罪行為の取り締まりを行っていた。

「補給部隊の到着だぞ! どんどん物資をもってけ!」

 護衛され到着した補給部隊のトラックからは物資が次々と下ろされていく。どこも補給は潤沢とはいえず、食料や弾薬に衣料品などは歓迎であった。その上ミグラント国は正規の補給部隊ではなく、特警の任務に付随しミグラント国の慈悲で行われる臨時特別補給である。

「食料用大型缶はそのまま使うなよ! 調理部隊にもってけ!」
「紅茶の茶葉缶もある。 一分隊単位の配分だから間違えるな」
「水の補給車はこちらだ。 調理部隊はどこだ?」
「銃器と弾薬の補給もある。 傷病人は最後尾の治療車に回れ」

 集まる兵士達とはことなり、レヴィア伯 中佐として前線司令部や野戦司令部の監査に入っていた。もちろん何かしらの情報と共に念押しとして軍規を守るように訪れている。
 命令系統は欧州総司令部隷下であり補給や戦時条約順守確認の特警隊に近いがため、かなり冷遇に近い対応であったが命令書及び中佐という立場は確実なものだ。

「国際戦争法は順守をするように。 二名は後方に送ります」

 聞き取り及び裏取から二名の小隊長が軍規及び条約違反によって逮捕・捕縛され後方へと移送される。それ以外については未確認であり怪しい情報はない。

「伯、これが本当に正義と解放の戦いなのでしょうか」

 常に付き従うアンバーは疑問を述べ、後送される幹部達を見ている。連合軍とて所詮は人間の集団、犯罪など当然のように犯してしまう。

「戦争に正義も解放も正気もありません。 我々も敵国民から見れば絶対悪、しかし我々から見れば彼らは絶対悪、そしてどちらも戦わなくては生き残れず主義を通せない。 ドイツ兵にも親兄弟に愛する存在がいる、それを我々は殺して先に進む、それだけのことです。 善悪は後世の人達が決める事、我々は人の道を外れぬよう規律と法によって生きるのです。 人の道を失ったとき、人ではなくなるでしょうね」

 戦争の勝敗にも国家の立ち位置に善悪はなく、成人も少年も老人も男も女も敵兵であれば、撃ち殺さなければならない。そんなことに正義などあるはずもない、あってはならないこと。

「アンバー、あなたが見て感じたことが戦争の姿です。 私や誰かの言葉ではなく、その眼、その耳、その肌、あなたの存在全てで感じた事を決して忘れてはいけませんよ」

 さほど遠くない場所から砲撃音と銃声が鳴り響いてくる、野戦司令部である以上榴弾砲もしくは特攻紛いの突撃の被害を受ける事さえある地域、それでもなお前線地域こそ問題が発生する地域でもあることから特警隊として回っている。
 しかしそれでも連合に所属する軍隊であることに違いはない。非常時であれば各地区の司令部から命令が出されそれに従わなくてならない。



 北部戦線
 レヴィア伯として北部戦線野戦司令部に到着し、物資補給をしている最中に呼び出されていた。

「戦線突破及び前線司令部への攻撃を命ずる。 これは連合総司令部による正式な命令となる」

 北部司令部からの嫌がらせ、それは取り締まってきたレヴィア伯に対する感情的な事からきており、戦力が少ない地域とはいえ突破し敵野戦前線司令部へ攻撃せよと無理難題の命令を下した。
 本来の命令は北部司令部戦力を持って前線司令部への攻撃命令であり、ミグラント国だけというわけではない。一部を伏せて伝えミスをさせた上に独断専行として罪に問いさらに弱みを握るつもりであった。


 ちょうど良い機会でもあった。北部にある小規模捕虜収容施設は敵前線司令部から10数キロ離れている、それは一旦そこに集められ一定数に達すれば後方の各収容所に送られるだけの場所であるため、そのまま奪還までしてしまえるだろう。
 表向きは命令の拡大解釈。戦線を突破し敵前線司令部まで一気に打通、同時進行で収容所から人員を奪還し部隊と共に転回し後方を塞ごうとする敵部隊を粉砕しながら撤退、そして追撃してくる機甲部隊を待ち構えた駆逐戦車部隊と砲兵隊で迎え撃つ。
 法としても非人道的行為を受けている軍人及び非戦闘員の救助を目的とし、事実として偵察機によって収容所では戦争法に反した捕虜への暴力や食料提供の拒否などを確認している。

 2週間をかけミグラント国の戦力を正式に集めた1機甲師団、大よそ1万人の陸軍である。北部地方戦線とはいえ連合軍 数万の戦力でも突破できずにいた中、たった1機甲師団に嘲りの言葉が聞こえてくるのは司令部周りだけであり、兵クラスになると特に気にせず中にはフランクに話しかける者は多くいる。それはミグラント国が提供している糧食についてだったり、チョコレートを融通してもらえないかなどであった。
 しかし無表情で一言も応えず作業を続けるミグラント国の兵士に不気味さを感じ、それ以降は何も話さず遠巻きに見るだけで関わろうとはしなかった。異常性を感じるほどであるが、それでも声を上げないのはこの戦線の兵士にも似たように、無表情で精神が壊れかけながらの者が居るからに他ならない。
 戦場は各地で人の心を壊していく、それでも金の為 家族の為 国の為 仲間の為、戦場で完全に壊れるか戦死するまで居続ける、だからこそ誰も声を掛けないのだから。
 侵攻するミグラント国の人間に擬態したロボット群に恐怖はない。問題は爆弾類によって体がばらけた事で人ではないと気付かれる事、それを避けるために過度の投入や危険すぎる行為は単独部隊としてのみだ。


 北部前線 作戦開始
 月も出ておらず時折雷鳴とどろく降雨の真夜中に攻勢を開始、ハンドライトも何も持たず車両のライトもつけず光源の無い侵攻、さらに数か所に設置されているサーチライト類は狙撃兵によって破壊し攻勢があっても正確な場所を特定できない状況に持ち込んでいる。徹底して入念に準備を整えた上で、人ではないからこそできる攻勢。
 独逸からは光のない中を突進してくる狂人の群れに見えたのかもしれない、それでも暗闇であることから銃の発砲炎と独逸兵の小さなライト以外は雷鳴の一瞬以外視認する方法がないが、それ故にミグラント国の擬態兵だからこそ圧倒的な強みである。独逸側が気付いたのは手すきの塹壕に入り込まれ、銃撃戦が始まってからであった。
 身をかがめると同時に後方の擬態兵が銃撃しドイツ兵が頭部を撃ち抜かれ倒れる。前に居た兵士が撃ち抜かれ倒れていく中、走り続けドイツ兵達に切り込み剣を突き立てる。同時多発的にひたすらに前進攻撃し、全ての兵士が個ではなく巨大な一つの動性物体として動くミグラント国の兵士、一体でも敵を確認すれば全てが位置や行動を把握し攻勢に判断する。

「このっ、これでももってけ!」

 ドイツ兵によって投擲された手りゅう弾を3体が確認、取っ手部分を銃弾で撃ち弾き塹壕外へと落下させ構わず前進を続ける。人外とも言える行為も射殺する敵兵だけならば見られても問題はない。
 他の戦域の上空では苛酷な航空戦は継続していたが、重要な戦域でないために連合・ドイツ共に航空支援はない。あくまで北部にある重要でもない戦域、もちろん連合の航空機が出てくれば迎撃の為に独逸側も出てくるだろうが、現在はそれも難しい状況にある。重要でもない戦線に連合軍も航空機を多数回すより、重要な戦線に送られることが優先される。
 塹壕の物資集積地に火が放たれ、通信兵を数名殺害と共に通信機を強奪、戦車の突破と共に丸太や廃材で橋が作られ車両が塹壕ラインを突破していく。
 通信兵を優先的に排除し奪った事で、ドイツ語でかく乱を開始した。

「敵部隊は追い返した。 明朝に物資の補給を望む」
「敵は第一防衛ラインを突破している! イギリス人の虚偽に騙されるな! すぐに支援を」
「そいつはクソブリテン野郎だ! 戦力を移動させ隙をつくる策に乗るな!」
「その通信こそイギリス人だろう! 至急支援を求む!」
「敵の策に乗るな! 既定に従い確認作業を行え!」

 はっきり言って現場レベルではとても混乱をする嫌がらせのような応酬、平常時ならともかく夜間の雷鳴轟く降雨の中、視認しにくくさらに急ぎ兵を走らせ確認するのも難しい。それも独逸語に卓越し地方訛りまで加えられては野戦司令部の通信兵は混乱し、情報を上げるも夜間であるため全員が揃っているわけでもなく、状況の真偽と整合性を確認するための通信でさらに混乱を招いていた。



 北部地域収容所周辺
 影響範囲内に存在する独逸レーダー設備は合計3基、夜間にネズミを一時的に制御し配線のコードをかみちぎらせ、数時間レーダーがロストしたタイミングで輸送飛行機で突入、パラシュート降下と共に現在収容所周辺に20人が展開している。
 輸送機はジャイロを使った簡易的な安定装置で無人のまま飛行させ意図してドイツ空軍に撃墜させ怪しまれぬように片付けてしまう。
 戦線の突破だけでは収容所の捕虜は後方に送られるか、最悪奪還されないよう処分されてしまう。極めて迅速に奪還まで行う以外確保するのは難しいのだ。
 元より一時的な収容所、設備などまともなはずもなく粗末なテントや小屋に押し込まれ、そこを複数の櫓に重機関銃を備えたドイツ兵が監視、脱走を図ったものは即座に射殺という代物であった。
 前線での攻勢開始から遅れて一時間ちょうどの瞬間収容所を襲撃し迅速に排除、正確には櫓に手りゅう弾を投げ込むことで吹き飛ばし、警邏中の兵士は僅かなランプと手持ちライトで探そうとしたことから、人外の速さで雷雨が鳴り響く暗闇を駆け首を切り裂きライトを破壊する。下手に銃声が響いた事で恐慌状態になり、銃を乱射されてしまう方が厄介だからだ。
 夜間に護送してくることはないしここから護送する事もない。襲撃するなら夜間は必須であり、雷雨轟く豪雨の深夜で有り前線野戦司令部が混乱している今がもっとも最適なタイミング。そこにレヴィア伯とアンバーは居た。

「急げ! 運転できるものは独逸製だろうと自動車やトラックを使え! 味方の一時的な攻勢地点まで一気に抜けるぞ!」

 解放された囚人の数は50人近くいたが怪我の無いものはおらず、施設からたった20名の護衛で逃げるのは不可能に近い。残されている独逸製の自動車やトラックに便乗させ、比較的軽症な者には銃器を持たせる。
 離れているトラックへと近づいた時、荷台に隠れていた独逸兵が飛び出すとMP40サブマシンガンを構え、一方的に多数を殺傷するべくトリガーを引こうとした。

「死ね! ブリテンどもが!」

 隠れていた独逸兵に気付いていなかったわけではない。完全に隠れているのを何もせず発見してしまうのは余りにも不自然、そしてその不自然性を捕虜だった人間に見られるわけにもいかない。
 それでもなお余裕を持って対応するように離れた場所では擬態兵士が銃の狙いを定めていたのだが、アンバーが素早くドイツ兵に組み付きながら銃を持つ腕と首を掴み、足を蹴り上げ大きく投げ飛ばし地面に叩きつけながら銃を奪い取ると即座に首の骨を踏み砕いた。
 このような動きは夢で見せていない、それはアンバー自体がもつ生命体としての判断と動き、紛れもなくそれは人の持つ可能性であった。

「アンバー、おかげで助かった」
「伯、どうかご自愛ください。 そもそもこのような前線に出る事が間違いなのですから」

 アンバーはあくまで護衛として無理やりついてきた、それは職務に忠実であり自らの役目として認識しているために。

「全員持てる武器は何でも使え! 合流地点まで止まらずに行くぞ!」

 アンバーは声を上げ、捕虜だった者達に武器を拾わせ全員が車両で収容所を離れる。攻勢突破地点かつ合流予定地点まで11km、独逸製の機関銃や手りゅう弾などで武装したとはいえ真っ当に戦うのは難しい。


 北部野戦司令部 独逸側
 前線前線司令部ともなれば強固で決して中隊規模でどうにかできるはずもないが、それが真っ当な方法であればである。
 曲射できる数両の砲撃の着弾とほぼ同時、諜報機によってすでに仕掛け隠してあった導火線に着火、数か所の小規模な武器保管庫及びガソリン等重要保管庫へ火の回りが早く爆発へと繋がる。連続した爆発に状況は大いに乱れ、前線司令部に隣接する小さな食糧庫に火が回ると野戦司令部からも退避が始まり、命令が一時的に滞り収容所が襲撃された情報が届くことはなかった。
 野戦司令部の参謀などが念のため防備を固めている中、手薄となった箇所でレヴィア伯と共にある収容所開放部隊と合流し連合軍のトラックを乗り換え、甚大な被害と共にドイツ陸軍が混乱している隙に転回し突破してきたルートを逆走、破壊した塹壕ラインを日が昇り始めた時刻には突破し引き込むための場所へと誘導していく。前進中に後方では戦車壕を掘り擬態の倒木やネットなど車体を隠し、榴弾砲部隊も控えていた。
 追撃してきたドイツ陸軍もある程度罠の予測はしていても、だからといっても追撃を辞めるわけには行かない。

「標的確認。 攻撃開始」

 チャーチルガンキャリアMKⅡのQF 4インチ砲の直撃を受け4号戦車や5号戦車パンターは爆発。ただし応射をされては手におえない為、即座に標的を搾らず後方から榴弾砲が撃ち続けられ弾着と共に歩兵と車両群が吹き飛び始めた。その間にも一台の戦車に対し2台のガンキャリアMKⅡの砲撃が集中し確実に仕留める。丈夫な4号5号戦車だが、旧式で降ろされたとはいえ元4インチもの艦載対空砲の直撃、何かしらの不具合や操縦者に害をもたらし直撃箇所によっては装甲を撃ち砕いた。
 ただし艦載砲という巨大な物を搭載した反面、固定戦闘室は大きく1mもの弾・弾薬の装填には時間がかかる。さらに軽量化の為装甲など拳銃弾を防げる程度で雨や砲撃の衝撃を受けない為だけの代物で、発砲の反動で車体は激しく揺れ軋ませる。
 それ故に完全な奇襲、それでも明け方となり砲火と共に場所が判明すると応射の為に独逸戦車の砲塔が旋回し始める。反撃を受ければもろい火力重視の駆逐戦車、それでも十全に待ち構え数を持って撃ち続けるのならば一時的に優位に立てる。榴弾砲部隊にいる擬態兵が延々と撃ち続ける中、追撃は困難だと理解し独逸陸軍が撤退を開始した。もとより戦線は再構築され無理な追撃をかけ続ける理由を逸していたことが理由のひとつであるが。

 実行された作戦、ミグラント国の軍はほぼ損害はなく、人的(擬態)の怪我人も出す事はなかった。一機甲部隊の壊滅、一前線の崩壊、一つの野戦司令部の大損害、事情が分からず北部連合軍前線司令官は頭を抱えていた。
 なんども作戦を立てては失敗を繰り返していたはずが、一個機甲中隊によって前線を突破し敵前線司令部に損害を与え、捕虜収容所を襲撃し奪還まで果たした。私情から難題を押し付けたが任務を成功されてしまい随分と青ざめているものの、奪還された捕虜は後方に移され治療を受け総司令部は戦果を認めている。
 自らの指揮・作戦能力を疑われることになってしまい、新しく参謀の就任が決まっており事によっては入れ替えとなる流れとなっていた。ただしこれは一部地域とはいえ司令官の左遷という形で抑えているが、名目は命令無視・命令詐称・物資横領などの情報をミグラント国から総司令部に送っており、今回任務を受領し遂行したのもちょっとした時間稼ぎと最後の物資横領の確固たる証拠を得る為でしかなかった。とはいえミグラント国を無理やり動かした手前、一時的に謝辞と共に本来の特警隊任務以外については命令を出さないよう指示が総司令部から各戦域へと送られることになる。



1943年末
 対独逸戦において英国からミグラント国に戦車や戦闘機などの製造依頼が入っており、最新のスピットファイアの製造の許可と委託を出していた。米国からのレンドリース量を少しでも減らす為の策であり、戦時限定ながら全体の無償ライセンスまで出すほど期待もされていた。
 1942年型のスピットファイアでは最新のフォッケウルフ相手に性能は劣っており、43年型は性能はほぼ同等として各戦線に送り出されていた。多くが撃墜される中でなんであれ戦闘機を求める英国にとって、ミグラント国が製造した部品の互換性がないスピットファイアだろうと、使えるものなら性能の概要を調べ部隊を編成し戦線へと送りこんでいた。
 しかし、ミグラント国の改良型は数が少ない上に既存のスピットファイアと多面的に構造や形状が異なり、部品の共用が出来ないなど問題は多くあった。翼の形状そのものは楕円翼ではあるが、全体的に見れば形状が異なり飛行特性まで大きく異なる。
 慣れてしまうと他の型式では飛行の癖が違い過ぎて扱いずらいことがすぐにわかり、一部隊だけに配備され欧州戦域の重要司令部への攻撃を防ぐために配備されている。その部隊が迎撃戦を終え、スピットファイア隊が滑走路へと降り立つ中で最後尾の一機は複数被弾しふらつきながらの着陸であった。停止すると整備兵と衛生兵が駆け寄よる。

「大丈夫か!」

「あぁ、大丈夫。 機体もなんとか耐えてくれている」

 駆け寄ってくる整備士にパイロットはコックピットの風洞を開き無事だと手を軽く振り無事だと返す。

「そうか。 別方面の迎撃に当たった隊は全滅してしまった。 貴官が無事で何よりだ」

 Mk8までのスピットファイアではフォッケウルフに対抗するのは難しい。大きな損害を被る事を覚悟のうえで迎撃部隊を送り込み、損害を負いながら部隊を追い払う事を繰り返していた。先ほどの任務で別部隊はフォッケウルフ隊を追い払うのに未帰還機14という壊滅的損害を被っていた。

「こいつがもっとあればな」

 パイロットはコックピットから翼を伝い地面に降りると銃撃を受けた機体に触れる。
 装甲材質の違いと計算され優先順位に従い配置された防弾性の高さ、高い出力を誇るエンジンによる飛行速度と上昇能力。それはフォッケウルフ相手にも優位であり、重要な箇所での極地制空機として集中運用を行うことで数が少ない事を補って戦果を挙げていた。

「次期に生産されるだろうよ。 こいつもあくまで先行で回されているだけだからな」

 現場としては理解している上に、詳細な整備マニュアルがあるとはほぼ専用部品であるため整備の手間もかなり掛かり数があっても困るのだが、製造工場では最新型のMk9型が作られている。現場の人間としては先行量産型程度にミグラント国製のスピットファイアを認識していた。
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