君が僕を見えなくても〜盲目の少女との恋〜

松井 諒

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第一話

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 今日から高校2年生。体感で3日くらいしかなかった春休みが終わり、また早起きしなければいけない生活が始まった。スマホを適当にいじりながらバス停でバスを待っていると、後ろから大きな声が聞こえた。
「おはよう智也!」
「おはよう」
「どうした?朝なのに元気がないよ?」
「朝だからないんだよ」
 幼なじみの中川紗希。小学生の時から仲良くしている。近所に住んでいるので、僕と同じバス停から高校に通っている。
「問題!今日は何の日でしょうか」
「あ、誕生日おめでとう」
「ありがと~」
 紗希は手を差し出して僕の顔を見てニヤニヤした。
「学校前のコンビニで買ってあげる」
「500円以上ね」
「はいはい」

 バスで30分、そこから徒歩で5分ほどで学校に着く。
 合計486円のスナック菓子を持っている紗希が、玄関にできた人だかりに向かって走った。僕は小走りで彼女の後を追いかける。そこにはクラス発表の紙が張り出してあった。
「ともや!クラス同じだよ!2組だよ!」 
 紗希は紙を写真に撮りながら僕に言った。
 
 少し緊張しながら2年2組の教室に入り、黒板に貼ってある座席表を見て席に座った。紗希は荷物を置いてすぐに僕のほうに来て、先程撮った写真を見せながら僕に言った。
「ねぇ、俊とクラスいっしょだった!」
 僕の一年生の時のクラスメイトである岡田俊は、紗希と去年の秋から付き合っている。野球部で休みが少なく、定休日の毎週水曜日に紗希と遊んでいる。
「よかったじゃん。僕もよかったよ。仲良い男子が1人でもいてくれて」
 僕はそう言いながら、2組の人の名前を確認してると、最後の1人に気になる名前があった。
「山崎佳奈ってさ、あの人だよね?」
「うん、そうだよ」
 山崎佳奈という名前は紗希からよく聞いていた。紗希と同じソフトテニス部で、よく2人で遊びに出かけることも多かったそうだ。元々話はそこそこ聞いていたが、特にその話題が多くなったのが去年の冬だ。
 彼女は目の病気にかかって、失明してしまった。
 その時期の一年生の話題はほとんどそれ。なんてったって同級生が突然発病し、一ヶ月足らずで目が見えなくなってしまったのだから。心配する声と、もしかしたら自分の身にもという声がよく聞こえた。
 それ以来学校にはきていないらしいが、詳しくは知らない。あとで紗希に聞いてみようか。     
「おはよう智也、またいっしょだね」
 振り向くと、そこには坊主頭のイケメンが笑っていた。
「おはよう俊、今日もイケメンだね」
「だろ?よく言われる」
「自分で言うなよ」
 何度もやりとりしたフレーズを交わして、俊は紗希の方へ行った。仲良く話している。楽しそうだ。2人が付き合い始めた頃は紗希のわがままに俊が耐えられないと思っていたが、思っていたよりうまくいっている。俊が寛容なのか、紗希のわがままがまだ隠されているのか、どっかはわからない。
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