君が僕を見えなくても〜盲目の少女との恋〜

松井 諒

文字の大きさ
2 / 5

第二話

しおりを挟む
「よーし、席についてー」
 小太りの少し背の低い、優しそうな男性の先生が入ってきた。僕はずっと座って本を読んでいたので、動く必要はない。
「今日から君たち2年2組の担任になります。若林です。詳しい自己紹介は始業式の時にします。よろしくお願いします」
 あー、見たことのない顔だと思ったら、やっぱり転勤してきた先生か。面倒くさいこととか言わない人だったら楽だな。
「今日は始業式、大掃除、ホームルームです。ホームルームの時に委員長を決めるので、したい人は考えておいてください。では廊下に並んで体育館にいきましょう」
 
 始業式、大掃除が終わり、ホームルームに入った。
「じゃあ朝言った通り、委員長を決めます。やりたい人は手をあげてください」
「はい!」
 紗希が大きな声を出し手をあげた。
「えーっと、君は…」 
 先生は黒板に貼ってある座席表を見て名前を確認した。
「中川さんか、他にやりたい人はいないか?…よし、では委員長は中川さんにお願いします」
 先生が手を叩き出すと、みんなもそれに合わせて拍手をしだした。でも、委員長が紗希でよかった。リーダーシップもあるし、真面目で頼りになる。委員長にはもってこいの性格だ。何より僕が楽になる。クラスの集まりとか、本当は行きたくないが断ることができず去年はしぶしぶ行っていたが、今年は紗希に頼めばなんとかしてくれそうだ。

 放課後、教室から出ようとしたところを紗希に呼び止められた。
「今日なんか用事ある?」
「とくにないけど…」
「じゃあさ、これ佳奈の家に届けにいってくれない?」
 紗希はホームルームの時に配られたプリントを見せてきた。
「え?どういうこと?」
 僕は紗希の言っていることがよくわからず聞き返した。
『さっきさ、若林先生にこれ渡してきて欲しいって言われたんだけど、今日部活で夜まで学校にいなきゃいけないから俊にお願いしたいんだけど」
「そんなの別に僕じゃなくても、女子とかに頼めばいっしょ」
「そうだけど…と、とにかく今回だけだから!」
「まぁ、わかったよ」
 いつも世話になっている紗希の頼みだ。それに今回だけという言葉で、そんな大変ではないのではという考えに変わった。
「ありがとう!佳奈の家はここから歩いて10分くらいだから!地図はラインにもう送ってあるよ!」
 日頃から通知はオフにしてあるスマホを見ると確かに地図が送ってあった。それも10分前に。
「断っても無理やり行かせる気だったしょ」
「うん!断られたらジュースで釣るつもりだった!」
「じゃあ断ればよかった~」
「へへっ、残念でした~」
 紗希から3枚のプリントを受け取り、バックから取り出したクリアファイルの中に入れた。
「ありがとう!じゃあね!」
「うん、部活頑張って~」 
 僕は学校をあとにして、山崎佳奈の家に向かった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た

しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。 学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。 彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。 そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...