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第一章
6:商業ギルド
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イプシロンの街の商業ギルドは何と言うか所謂お役所と言う感じの内装だった。華美さもなく、けれども人を不快感にするような事もなく、至ってシンプルに利用しやすい様に設計され造られた建造物と言えば良いのか。
入り口を入って正面に案内受付があり、左側に買取り専門受付、右側に相談窓口、入り口横の壁には求人票専用ボードがあり、所狭しと貼り出されている。
僕は迷わず案内受付に向かうと用件を伝え、会議室へと案内された。因みに商業ギルドの会議室は複数あり、お得意先の商人や貴族達の個人的な依頼を受ける際に個別に話をする為に利用される部屋になっている。勿論、情報を漏洩を危惧して防音対策はかなりしっかりとされている。わざと漏洩させようとしない限りは漏れる心配はない。何故ならそれが商業ギルドの信用問題にも繋がるからだ。
....まぁけど、念には念を入れさせて貰うけど。
ギルド長が入室し、ソファへと座ったのと同時に盗聴防止の魔法を部屋全体に掛ける。勿論、それらしい魔道具があってもこの僕の掛けた魔法の効果が続く限りは録音も出来なくなっている。僕が前世で創ったオリジナルの魔法だ。勿論、僕以外の人間にはわからないようになっている。現に目の前のギルド長も何の反応も見せない。
「イプシロンの街の商業ギルドのギルド長を勤めておりますピーコックと申します」
「初めまして、ピーコック殿。僕はアルファルド・アントニアリッジと言いまして一応この国の第三王子です」
僕は敢えて名前を告げ、ニッコリと笑みを浮かべた。社交界では僕が他の王族達から嫌われていると知れ渡っているからギルド長をしている彼ならばその事も知ってるだろうと考えたらからだ。まぁ隠しても仕方がないとも言うけど。案の定、僕の名前を聞いて彼は少しだけ動揺したようだが流石にギルド長だけあってこのタイミングであからさまに表情に出すことはしなかった。
「それで本日はどのようなご用件でしょうか?」
「はい。実は翠の離宮への日用品や食材を定期的に運んでくれる商人の紹介と、使用人の紹介をお願いしたいのです」
見た感じギルド長は思ったよりも若く40歳前後ぐらいかな?その年齢でギルド長に抜擢されると言う事は余程仕事が出来るか、前公爵に信頼されているのだろう。
「商人と使用人の紹介ですか?」
「はい」
「.....失礼ながら翠の離宮にと言う事は王族である殿下がお住まいなのですよね?でしたら王都の商人の方が既に王城から手配をされているのでは?」
.....まぁ普通はそう思うよねぇ....
そう。それが普通の感覚だ。寧ろ、王族が住んでいるにも関わらず王妃の言いなりになって放置する王城と他の王族の対応がおかしいのだ。
「....まぁ、ギルド長も既に知っているかもしれないけれど、住み始めたのが王妃を筆頭に他の王族連中に嫌われている第三王子の僕なものでね。いつ王城からの供給がストップしても可笑しくないんです。だから大丈夫なように保険として準備をしておきたいんですよ」
「.....それは.....」
ギルド長は僕の言葉にぎょっとした表情を見せたが直ぐに取り繕ったかのようにその表情を納めた。流石に僕自身からそんな言葉が出るとは思っても見なかったのかもしれない。
「因みに王都の商業ギルドに話を持ち込まなかったのは王都の商業ギルドが王城と繋がっていると想像してです。逐一翠の離宮の内情を王城に話されては此方も困りますからね.....ふふふ」
どんどんとギルド長の顔色が悪くなっている気がするけど、別にこのギルドを脅してる訳じゃないんだけどなぁ。
「.....その点、この街のギルドは前公爵閣下の元正常に機能している商業ギルドだと思っているので此方にお願いしようかと今日は訪ねたんですよ」
「そ、う....でしたか。そう思って頂ければ私共も嬉しい限りです」
....頭の良さそうなギルド長だ。この時点で【僕】が噂にあるような【不出来な第三王子】でない事は瞬時に理解しただろう。ならば後は交渉するだけ。
「僕が望むのは余計な詮索をしない、口の固い商人のみ。使用人に関してもそう。此方が希望する使用人は料理人が1人と庭師が1人だけ....取り敢えず今は」
翠の離宮はそこまで大きな屋敷じゃないし、僕とマリーしか居ない上に客も来ないから料理人は1人で十分だし、庭もそこまで拘る必要もない。最低限整えられれば問題ない。
「.....わかりました。商人の方は殿下にご紹介して問題のない人物が1人おります。料理人と庭師の方は少しお時間を頂ければ、と」
「うん。出来れば料理人は早目に決まると有りがたいけど」
「わかりました、お任せ下さい。では使用人募集の詳細を.....」
その後ギルド長とある程度の使用人への待遇を取り決め、書類を纏め上げた処で僕は今日商業ギルドへ来た本当の目的を告げる。
「....ギルド長、実は商人と使用人を希望したいのも本当なんだけどね、実は一番大事な用件があるんだ」
「大事な....用件ですか?それは....」
この話し合いの間に多少僕への警戒を解いたのかギルド長は不思議そうな表示を見せる。
「うん、僕は王族にまだ名を連ねてはいるけど現状では離宮に見捨てられた王子だ。それなりに僕の資産はあるけど有限で無限ではない。なら、僕は資産を増やさなければいけないよね?」
そうでなければ使用人を雇う事も出来なくなるし、商人に離宮へと荷を届けて貰う事も出来なくなる。
「....そうですね。殿下の資産がどれ程の物かは私にはわかりませんが、お金は使えばいずれ無くなる物です」
「そうなんだよね。だから僕は【これ】を商業ギルドに登録しようと思うんだよね」
コトリ、と僕はテーブルの上にそれを置いた。
「そ、それは!?」
そう。僕が創った新しい魔道具。
僕の今日の本来の目的は魔道具をギルドに登録する事。これからの資金調達の為に。
入り口を入って正面に案内受付があり、左側に買取り専門受付、右側に相談窓口、入り口横の壁には求人票専用ボードがあり、所狭しと貼り出されている。
僕は迷わず案内受付に向かうと用件を伝え、会議室へと案内された。因みに商業ギルドの会議室は複数あり、お得意先の商人や貴族達の個人的な依頼を受ける際に個別に話をする為に利用される部屋になっている。勿論、情報を漏洩を危惧して防音対策はかなりしっかりとされている。わざと漏洩させようとしない限りは漏れる心配はない。何故ならそれが商業ギルドの信用問題にも繋がるからだ。
....まぁけど、念には念を入れさせて貰うけど。
ギルド長が入室し、ソファへと座ったのと同時に盗聴防止の魔法を部屋全体に掛ける。勿論、それらしい魔道具があってもこの僕の掛けた魔法の効果が続く限りは録音も出来なくなっている。僕が前世で創ったオリジナルの魔法だ。勿論、僕以外の人間にはわからないようになっている。現に目の前のギルド長も何の反応も見せない。
「イプシロンの街の商業ギルドのギルド長を勤めておりますピーコックと申します」
「初めまして、ピーコック殿。僕はアルファルド・アントニアリッジと言いまして一応この国の第三王子です」
僕は敢えて名前を告げ、ニッコリと笑みを浮かべた。社交界では僕が他の王族達から嫌われていると知れ渡っているからギルド長をしている彼ならばその事も知ってるだろうと考えたらからだ。まぁ隠しても仕方がないとも言うけど。案の定、僕の名前を聞いて彼は少しだけ動揺したようだが流石にギルド長だけあってこのタイミングであからさまに表情に出すことはしなかった。
「それで本日はどのようなご用件でしょうか?」
「はい。実は翠の離宮への日用品や食材を定期的に運んでくれる商人の紹介と、使用人の紹介をお願いしたいのです」
見た感じギルド長は思ったよりも若く40歳前後ぐらいかな?その年齢でギルド長に抜擢されると言う事は余程仕事が出来るか、前公爵に信頼されているのだろう。
「商人と使用人の紹介ですか?」
「はい」
「.....失礼ながら翠の離宮にと言う事は王族である殿下がお住まいなのですよね?でしたら王都の商人の方が既に王城から手配をされているのでは?」
.....まぁ普通はそう思うよねぇ....
そう。それが普通の感覚だ。寧ろ、王族が住んでいるにも関わらず王妃の言いなりになって放置する王城と他の王族の対応がおかしいのだ。
「....まぁ、ギルド長も既に知っているかもしれないけれど、住み始めたのが王妃を筆頭に他の王族連中に嫌われている第三王子の僕なものでね。いつ王城からの供給がストップしても可笑しくないんです。だから大丈夫なように保険として準備をしておきたいんですよ」
「.....それは.....」
ギルド長は僕の言葉にぎょっとした表情を見せたが直ぐに取り繕ったかのようにその表情を納めた。流石に僕自身からそんな言葉が出るとは思っても見なかったのかもしれない。
「因みに王都の商業ギルドに話を持ち込まなかったのは王都の商業ギルドが王城と繋がっていると想像してです。逐一翠の離宮の内情を王城に話されては此方も困りますからね.....ふふふ」
どんどんとギルド長の顔色が悪くなっている気がするけど、別にこのギルドを脅してる訳じゃないんだけどなぁ。
「.....その点、この街のギルドは前公爵閣下の元正常に機能している商業ギルドだと思っているので此方にお願いしようかと今日は訪ねたんですよ」
「そ、う....でしたか。そう思って頂ければ私共も嬉しい限りです」
....頭の良さそうなギルド長だ。この時点で【僕】が噂にあるような【不出来な第三王子】でない事は瞬時に理解しただろう。ならば後は交渉するだけ。
「僕が望むのは余計な詮索をしない、口の固い商人のみ。使用人に関してもそう。此方が希望する使用人は料理人が1人と庭師が1人だけ....取り敢えず今は」
翠の離宮はそこまで大きな屋敷じゃないし、僕とマリーしか居ない上に客も来ないから料理人は1人で十分だし、庭もそこまで拘る必要もない。最低限整えられれば問題ない。
「.....わかりました。商人の方は殿下にご紹介して問題のない人物が1人おります。料理人と庭師の方は少しお時間を頂ければ、と」
「うん。出来れば料理人は早目に決まると有りがたいけど」
「わかりました、お任せ下さい。では使用人募集の詳細を.....」
その後ギルド長とある程度の使用人への待遇を取り決め、書類を纏め上げた処で僕は今日商業ギルドへ来た本当の目的を告げる。
「....ギルド長、実は商人と使用人を希望したいのも本当なんだけどね、実は一番大事な用件があるんだ」
「大事な....用件ですか?それは....」
この話し合いの間に多少僕への警戒を解いたのかギルド長は不思議そうな表示を見せる。
「うん、僕は王族にまだ名を連ねてはいるけど現状では離宮に見捨てられた王子だ。それなりに僕の資産はあるけど有限で無限ではない。なら、僕は資産を増やさなければいけないよね?」
そうでなければ使用人を雇う事も出来なくなるし、商人に離宮へと荷を届けて貰う事も出来なくなる。
「....そうですね。殿下の資産がどれ程の物かは私にはわかりませんが、お金は使えばいずれ無くなる物です」
「そうなんだよね。だから僕は【これ】を商業ギルドに登録しようと思うんだよね」
コトリ、と僕はテーブルの上にそれを置いた。
「そ、それは!?」
そう。僕が創った新しい魔道具。
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