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第一章
5:イプシロンの街
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翌日僕達は馬車で王都の隣街イプシロンへと朝から向かった。御者は居ないのでマリーが手綱を持つと言う事なのでこじんまりとした小さめの馬車だ。間違っても王族が乗っているとは思わないだろう。
食料品は一応王宮から週に1度支給される事にはなっているが、それもどこまで本気かわからない。その為に食料品を手に入れるルートを独自で作っておくに越したことはないだろう。料理人達を探す次いでに商人と契約出来れば良いんだけど。
イプシロンの街は公爵家であるイプシロン家の領地にある街で現在は先代の公爵が領地経営をしている。当代の公爵は王都の屋敷に住み、王宮で宰相を担っていると聞く。
....まぁ、あの王の宰相をするぐらいだから能力は微妙な気もするけど....
その点、先代の公爵は優秀な人で現在のイプシロンの街が王都並みに潤っているのも前公爵の手腕なのだとか。僕は直接会った事はなかったけれど、母上の話で何度か聞いた事があるから母上とは知り合いだったのかも知れない。
....そう言えば前公爵が宰相の職と公爵位を現公爵である息子に譲ったのは母上が亡くなってからだった気がする....もしかしたら公爵なりに母上の死に何か思うところがあったのかもしれないな....
イプシロンの街に着いた僕達は馬車を預けて街の中を散策する。マリーが食材を見たいとの事だったので商業ギルドに行く前に市場へと向かった。まだ午前中だと言う事もあり、どこなお店も台の上には沢山の食材が積まれていてマリーは目をキラキラと輝かせて見つめている。そんなマリーに思わず苦笑がこぼれた。
「マリー、欲しい食材や必要な物があれば我慢せずに買うと良い。どうせ王都からは期待出来ないからね」
「え....良いんですか!?」
「勿論。それぐらいは僕にでも賄う余裕は十分にあるから大丈夫だよ。それにどうせ後でギルドで定期的に離宮に食材を含む日用品を卸してくれる業者も斡旋して貰わなきゃいけないしね....ああ、そうだ。なら僕がギルドに行ってる間にマリーは食材の調達を頼むよ。分担した方が時間も有効活用出来るしね」
よくよく考えたらその方が早いだろう。僕が袋にいれたお金をマリーに渡せば慌てて僕に走り寄ってくる。
「そんな!殿下を1人になんて出来ません!!」
「大丈夫だよ。イプシロンの街は治安が良いのが売りだし、マリーは知らなかったかな?僕、意外と強いんだよ」
そう。実は学園では一切実力を出さずに落ちこぼれを演じてきた僕。
「.....いえ....知っています」
その事を知っているのは僕自身以外ではマリーとアリーだけ。変に実力を出しちゃって兄達より優秀な成績を叩き出してしまえば目立って王妃達に更に目の敵にされるのは目に見えていたから。
「なら大丈夫でしょ?」
「.....はぁ.....わかりました。ですが十分に注意はして下さいね殿下!」
「わかってるよ」
仕方なく納得したマリーと待ち合わせの場所と時間を決め、僕は1人で商業ギルドへと向かった。
商業ギルドは商人が多く登録をしているが、冒険者以外の仕事の斡旋や逆に仕事の募集、魔道具の開発登録にレシピ等の登録も行っている為、自身が商人で無くても誰でも登録をする事が出来るようになっている。個人的に人を雇う際も仲介としてギルドに間に入って貰えば何か問題が起きてもギルドに保障して貰う事が出来るのだ。
「....ここがイプシロンの街の商業ギルドか」
緑色の外見の大きな建物に白枠の窓。見た感じは凄く清潔そうだが、中がどうかは利用してみないとわからない。因みに王都の商業ギルド内は外見は清潔そうに見えるが中身は真っ黒なのでそもそも利用する気は一切なかった。
「前公爵の手が入ってるから真っ白だと信じたいが.....こればかりはな」
僕はそう思い、ひとつ息をついてからギルドの扉を開けた。
食料品は一応王宮から週に1度支給される事にはなっているが、それもどこまで本気かわからない。その為に食料品を手に入れるルートを独自で作っておくに越したことはないだろう。料理人達を探す次いでに商人と契約出来れば良いんだけど。
イプシロンの街は公爵家であるイプシロン家の領地にある街で現在は先代の公爵が領地経営をしている。当代の公爵は王都の屋敷に住み、王宮で宰相を担っていると聞く。
....まぁ、あの王の宰相をするぐらいだから能力は微妙な気もするけど....
その点、先代の公爵は優秀な人で現在のイプシロンの街が王都並みに潤っているのも前公爵の手腕なのだとか。僕は直接会った事はなかったけれど、母上の話で何度か聞いた事があるから母上とは知り合いだったのかも知れない。
....そう言えば前公爵が宰相の職と公爵位を現公爵である息子に譲ったのは母上が亡くなってからだった気がする....もしかしたら公爵なりに母上の死に何か思うところがあったのかもしれないな....
イプシロンの街に着いた僕達は馬車を預けて街の中を散策する。マリーが食材を見たいとの事だったので商業ギルドに行く前に市場へと向かった。まだ午前中だと言う事もあり、どこなお店も台の上には沢山の食材が積まれていてマリーは目をキラキラと輝かせて見つめている。そんなマリーに思わず苦笑がこぼれた。
「マリー、欲しい食材や必要な物があれば我慢せずに買うと良い。どうせ王都からは期待出来ないからね」
「え....良いんですか!?」
「勿論。それぐらいは僕にでも賄う余裕は十分にあるから大丈夫だよ。それにどうせ後でギルドで定期的に離宮に食材を含む日用品を卸してくれる業者も斡旋して貰わなきゃいけないしね....ああ、そうだ。なら僕がギルドに行ってる間にマリーは食材の調達を頼むよ。分担した方が時間も有効活用出来るしね」
よくよく考えたらその方が早いだろう。僕が袋にいれたお金をマリーに渡せば慌てて僕に走り寄ってくる。
「そんな!殿下を1人になんて出来ません!!」
「大丈夫だよ。イプシロンの街は治安が良いのが売りだし、マリーは知らなかったかな?僕、意外と強いんだよ」
そう。実は学園では一切実力を出さずに落ちこぼれを演じてきた僕。
「.....いえ....知っています」
その事を知っているのは僕自身以外ではマリーとアリーだけ。変に実力を出しちゃって兄達より優秀な成績を叩き出してしまえば目立って王妃達に更に目の敵にされるのは目に見えていたから。
「なら大丈夫でしょ?」
「.....はぁ.....わかりました。ですが十分に注意はして下さいね殿下!」
「わかってるよ」
仕方なく納得したマリーと待ち合わせの場所と時間を決め、僕は1人で商業ギルドへと向かった。
商業ギルドは商人が多く登録をしているが、冒険者以外の仕事の斡旋や逆に仕事の募集、魔道具の開発登録にレシピ等の登録も行っている為、自身が商人で無くても誰でも登録をする事が出来るようになっている。個人的に人を雇う際も仲介としてギルドに間に入って貰えば何か問題が起きてもギルドに保障して貰う事が出来るのだ。
「....ここがイプシロンの街の商業ギルドか」
緑色の外見の大きな建物に白枠の窓。見た感じは凄く清潔そうだが、中がどうかは利用してみないとわからない。因みに王都の商業ギルド内は外見は清潔そうに見えるが中身は真っ黒なのでそもそも利用する気は一切なかった。
「前公爵の手が入ってるから真っ白だと信じたいが.....こればかりはな」
僕はそう思い、ひとつ息をついてからギルドの扉を開けた。
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