16 / 20
第二章
16: 王宮からの招待状
しおりを挟む
その日、王宮から突然届いた招待状。
差出人は" 王妃 "
「夜会ねぇ......」
今まで散々僕が行事に参加することを拒んでいた王妃が何故僕が離宮に移った途端、夜会への招待状を送ってきたのか?
「何か理由があるんでしょうか?」
マリーが不思議そうに僕が手にしている招待状に視線を向けている。
「理由.....理由ねぇ。きっと離宮へと追い出された僕を皆で笑い者にする為に態々呼びつけようとしているんじゃないかな?あいつらならやりそうだな」
そんな事をして何が楽しいのかいつも不思議でならない。仮にも一国の王妃や王太子、王子に王女にも関わらず。まぁ、王妃以外はどちらかと言えば無関心と言った方が正しいか。けれど王妃に対して苦言を呈さないのなら同罪だろう。上に立つ人間がする行動ではない。
「.....有りえそうで何か納得します」
「だろう?所詮、王妃達はその程度の器しかないんだよ.....まぁ、国王がアレだから仕方無いんだろうけどね」
思わず苦笑を浮かべてしまう。本当にこの国の王族はダメダメ過ぎて、血が繋がっている事が嫌になる事がある。まぁもう身内だとは一切思っていないんだけど、血の繋がりは事実としてあるから仕方無いんだけど。
「それでアルファルド様はどうなさるんです?参加されるんですか?それはそれで何だか王妃陛下の命令に従うようで何だか腹が立ちますけど」
「はははっ、マリーは正直だな」
あからさまな王妃に対する嫌悪感を見せるマリーに思わず笑ってしまう。
「それが取り柄ですから」
「そうだね、マリーは素直だから。でも僕以外の前では言わない方が良いと思うよ?誰が聞いているかわからないからね」
「勿論です。流石に私もそこまで命知らずではありませんから」
でもいつか目の前で言いたいです、とハッキリ言うマリーに僕は笑いが止まらない。本当にこう言う所がマリーの長所でもあり、短所でもあるんだろうな。
「それで、本当にどうされるんですか?」
「勿論参加するよ。ただ僕が見世物になるって言うよりは敵情視察的な意味合いが僕からしたら大きいけどね」
王族が主催とする夜会ならばこの国の貴族の殆どが参加をしているだろう。普段夜会に参加していないような貴族家でさえも。ある程度王妃と懇意にしている貴族家の名は押さえてあるが、中には僕が調べきれていない家もあるかもしれない。
王族主催となっているが殆どが王妃が夜会を取りまとめているから、実質は王妃主催の夜会だ。となれば必ず懇意にしている貴族達は参加して挨拶に向かうだろう。いちから調べる手間が省けるのは此方としても随分と助かる。
「その過程で多少僕が見世物にされても問題ないかな。情報料だと思えば良い」
「.....またそんな.....きっと夜会ではだれよりも輝く筈のアルファルド様なのに残念過ぎますよ!」
「元々容姿で注目を浴びるのは苦手だから僕的には何ら問題ないよ」
まぁ、この容姿だから侮って貰えてある意味助かってるんだけどね。
「.....いつか絶対にアルファルド様を完璧に着飾らせて下さいね!約束ですよ!!」
「そうだね、いつかね」
そこまでして僕を着飾らせたいマリーの気持ちは僕には理解できないが、それぐらいでマリーの気が済むのなら安いものだと思う。
ただ。
いつか僕が着飾って夜会に参加する機会があるかどうかがわからないけれど。
差出人は" 王妃 "
「夜会ねぇ......」
今まで散々僕が行事に参加することを拒んでいた王妃が何故僕が離宮に移った途端、夜会への招待状を送ってきたのか?
「何か理由があるんでしょうか?」
マリーが不思議そうに僕が手にしている招待状に視線を向けている。
「理由.....理由ねぇ。きっと離宮へと追い出された僕を皆で笑い者にする為に態々呼びつけようとしているんじゃないかな?あいつらならやりそうだな」
そんな事をして何が楽しいのかいつも不思議でならない。仮にも一国の王妃や王太子、王子に王女にも関わらず。まぁ、王妃以外はどちらかと言えば無関心と言った方が正しいか。けれど王妃に対して苦言を呈さないのなら同罪だろう。上に立つ人間がする行動ではない。
「.....有りえそうで何か納得します」
「だろう?所詮、王妃達はその程度の器しかないんだよ.....まぁ、国王がアレだから仕方無いんだろうけどね」
思わず苦笑を浮かべてしまう。本当にこの国の王族はダメダメ過ぎて、血が繋がっている事が嫌になる事がある。まぁもう身内だとは一切思っていないんだけど、血の繋がりは事実としてあるから仕方無いんだけど。
「それでアルファルド様はどうなさるんです?参加されるんですか?それはそれで何だか王妃陛下の命令に従うようで何だか腹が立ちますけど」
「はははっ、マリーは正直だな」
あからさまな王妃に対する嫌悪感を見せるマリーに思わず笑ってしまう。
「それが取り柄ですから」
「そうだね、マリーは素直だから。でも僕以外の前では言わない方が良いと思うよ?誰が聞いているかわからないからね」
「勿論です。流石に私もそこまで命知らずではありませんから」
でもいつか目の前で言いたいです、とハッキリ言うマリーに僕は笑いが止まらない。本当にこう言う所がマリーの長所でもあり、短所でもあるんだろうな。
「それで、本当にどうされるんですか?」
「勿論参加するよ。ただ僕が見世物になるって言うよりは敵情視察的な意味合いが僕からしたら大きいけどね」
王族が主催とする夜会ならばこの国の貴族の殆どが参加をしているだろう。普段夜会に参加していないような貴族家でさえも。ある程度王妃と懇意にしている貴族家の名は押さえてあるが、中には僕が調べきれていない家もあるかもしれない。
王族主催となっているが殆どが王妃が夜会を取りまとめているから、実質は王妃主催の夜会だ。となれば必ず懇意にしている貴族達は参加して挨拶に向かうだろう。いちから調べる手間が省けるのは此方としても随分と助かる。
「その過程で多少僕が見世物にされても問題ないかな。情報料だと思えば良い」
「.....またそんな.....きっと夜会ではだれよりも輝く筈のアルファルド様なのに残念過ぎますよ!」
「元々容姿で注目を浴びるのは苦手だから僕的には何ら問題ないよ」
まぁ、この容姿だから侮って貰えてある意味助かってるんだけどね。
「.....いつか絶対にアルファルド様を完璧に着飾らせて下さいね!約束ですよ!!」
「そうだね、いつかね」
そこまでして僕を着飾らせたいマリーの気持ちは僕には理解できないが、それぐらいでマリーの気が済むのなら安いものだと思う。
ただ。
いつか僕が着飾って夜会に参加する機会があるかどうかがわからないけれど。
12
あなたにおすすめの小説
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる