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第二章
15: 青薔薇の幻影
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「なぁ聞いたか?この間はトーブ伯爵家が被害にあって、今度はセーブ侯爵家が狙われたらしい」
「ああ。あそこは確か親類関係だっただろう?ニ家に関わる何かしらの問題でもあったんじゃないのか?あそこは悪どい商会を運営してたからな」
「まぁ怖いですわ~」
「本当に!継ぎはどの屋敷が狙われるのかしら」
ここ最近になって社交界が騒がしくなって来ている。その原因は勿論わかっている。
青薔薇の幻影
評判の良くない貴族家に入り込み金品を盗み出し貧しい民に分け与える義賊が出現した事。
盗んだ先に必ず置いてあるカードに印された薔薇とその姿を目にした者は口々に青い髪だったとかいや、漆黒の髪だとか、白いローブだったとか、瞳は青や濃紺だったとか、美しい精霊だったとか?証言がはっきりしない事と、青色に関係した証言が多い事からも密やかに青薔薇の幻影と呼ばれている。
「ま、僕の事なんだけど.....まさかそんなネーミングで呼ばれる事になるとは思ってなかったよ」
何だかどこの中二病だよ、って言いたくなるようなネーミングだよね。
「ですがアルファルド様にぴったりなお名前ですわ」
マリーは何故か嬉しそうだし。
「.....そうかな?美化した名前で呼ばれても結局はやってる事には変わらないんだから無意味じゃないか?」
まぁでも良い意味で騒ぎになってくれるのは有難いかな。本来の目的を隠す良い目眩ましになってくれているから。
「確かにそうですが.....ですが貧しい平民に分け与えて居るのですから私腹を肥やそうとする貴族家よりはマシだと私は思います」
「.....その考え方は一歩間違えたら国のシステムが崩壊するからあまり良くはないよ、マリー」
「勿論わかってます。が、実践しているアルファルド様が言っても説得力はありませんわよ?それに私はアルファルド様の護衛兼侍女兼、側近ですから」
「.....ふふふ。ひとつ役職が増えてるよ」
本当にマリーには生活でも精神面でも支えられている事をいつも実感する。
青薔薇の幻影としての行動は僕の復讐の為の序章に過ぎない。僕が狙うのは王妃の手足となって影で動いている貴族家だ。まずは彼らの手足を動かなくして王妃が自由に動かせる資金を凍結させる事。王妃はこの王国の貴族家の彼方此方にその手を伸ばしている。資金源を完全に断つのは厳しいかもしれないが、自分達の資金が少なくなれば王妃へと献上出来る資金にも陰りが見えてくるだろう。
「....誰だって自分達の生活が一番可愛いだろうからな」
余裕がなくなれば他者に援助など出来ようもない。
「.....イメージカラーを青色にしたのには何か理由があるんですか?アルファルド様」
「ん?いや、特にはないよ。ただ元々の自分のカラーを完全に消さないとすぐに足がつくと困るし、カードの紋章を薔薇にすると決めた時に頭に浮かんだのが青なんだよ。ほら、青薔薇って少し神秘的だろ?」
「確かにアルファルド様にはピッタリですわ!ホワイトブロンドのアルファルド様も神秘的ですが、青を纏ったアルファルド様も凄くお美しくて!」
「.....そ、そうかな?.....一応褒め言葉として受け取っておくよ」
マリーのテンションの高さに若干引きながらも僕は次のターゲットを吟味する。目の前には王都の地図がある。
「次はどちらのお屋敷に?」
「うん.....暫くは様子見かな。トーブ伯爵家とセーブ侯爵家を続けてターゲットにしたから社交界が少し騒がしくなったから警戒されてるだろうし....まだ僕が狙う貴族家の共通点を探られるのも困るしね」
「ああ....だから表だって評判の良くないニ家にしたんですね」
「そう。あの二つの家は貴族界でも評判が悪いからね.....それにそう頻繁に狙われた屋敷の周囲を僕や君が歩いていたら不審に思う奴らも出るかもしれないからね」
僕がターゲットに決めた屋敷に向かい撤収する際には転移魔法を利用している。転移魔法を使える者は多くなく、また利用する際には利用する本人が一度でもその場に行った事がなくてはならないと言う制限がある。だから僕はターゲットに決めた屋敷の周辺を事前に偵察を兼ねて視に行く事にしている。勿論変装をして。青薔薇の幻影が神出鬼没だと言われるのもそれが所以だ。転移魔法で消えられたら跡を追えないのも当然だろう。
「まぁ今更別に急ぐ必要もないから、失敗しないように慎重にするだけだよ」
ここまで我慢していたのだから時間を掛けることぐらい今更だろう。それよりも時間が掛かっても確実に相手を追い込んで行くことこそが重要なのだから。
「ああ。あそこは確か親類関係だっただろう?ニ家に関わる何かしらの問題でもあったんじゃないのか?あそこは悪どい商会を運営してたからな」
「まぁ怖いですわ~」
「本当に!継ぎはどの屋敷が狙われるのかしら」
ここ最近になって社交界が騒がしくなって来ている。その原因は勿論わかっている。
青薔薇の幻影
評判の良くない貴族家に入り込み金品を盗み出し貧しい民に分け与える義賊が出現した事。
盗んだ先に必ず置いてあるカードに印された薔薇とその姿を目にした者は口々に青い髪だったとかいや、漆黒の髪だとか、白いローブだったとか、瞳は青や濃紺だったとか、美しい精霊だったとか?証言がはっきりしない事と、青色に関係した証言が多い事からも密やかに青薔薇の幻影と呼ばれている。
「ま、僕の事なんだけど.....まさかそんなネーミングで呼ばれる事になるとは思ってなかったよ」
何だかどこの中二病だよ、って言いたくなるようなネーミングだよね。
「ですがアルファルド様にぴったりなお名前ですわ」
マリーは何故か嬉しそうだし。
「.....そうかな?美化した名前で呼ばれても結局はやってる事には変わらないんだから無意味じゃないか?」
まぁでも良い意味で騒ぎになってくれるのは有難いかな。本来の目的を隠す良い目眩ましになってくれているから。
「確かにそうですが.....ですが貧しい平民に分け与えて居るのですから私腹を肥やそうとする貴族家よりはマシだと私は思います」
「.....その考え方は一歩間違えたら国のシステムが崩壊するからあまり良くはないよ、マリー」
「勿論わかってます。が、実践しているアルファルド様が言っても説得力はありませんわよ?それに私はアルファルド様の護衛兼侍女兼、側近ですから」
「.....ふふふ。ひとつ役職が増えてるよ」
本当にマリーには生活でも精神面でも支えられている事をいつも実感する。
青薔薇の幻影としての行動は僕の復讐の為の序章に過ぎない。僕が狙うのは王妃の手足となって影で動いている貴族家だ。まずは彼らの手足を動かなくして王妃が自由に動かせる資金を凍結させる事。王妃はこの王国の貴族家の彼方此方にその手を伸ばしている。資金源を完全に断つのは厳しいかもしれないが、自分達の資金が少なくなれば王妃へと献上出来る資金にも陰りが見えてくるだろう。
「....誰だって自分達の生活が一番可愛いだろうからな」
余裕がなくなれば他者に援助など出来ようもない。
「.....イメージカラーを青色にしたのには何か理由があるんですか?アルファルド様」
「ん?いや、特にはないよ。ただ元々の自分のカラーを完全に消さないとすぐに足がつくと困るし、カードの紋章を薔薇にすると決めた時に頭に浮かんだのが青なんだよ。ほら、青薔薇って少し神秘的だろ?」
「確かにアルファルド様にはピッタリですわ!ホワイトブロンドのアルファルド様も神秘的ですが、青を纏ったアルファルド様も凄くお美しくて!」
「.....そ、そうかな?.....一応褒め言葉として受け取っておくよ」
マリーのテンションの高さに若干引きながらも僕は次のターゲットを吟味する。目の前には王都の地図がある。
「次はどちらのお屋敷に?」
「うん.....暫くは様子見かな。トーブ伯爵家とセーブ侯爵家を続けてターゲットにしたから社交界が少し騒がしくなったから警戒されてるだろうし....まだ僕が狙う貴族家の共通点を探られるのも困るしね」
「ああ....だから表だって評判の良くないニ家にしたんですね」
「そう。あの二つの家は貴族界でも評判が悪いからね.....それにそう頻繁に狙われた屋敷の周囲を僕や君が歩いていたら不審に思う奴らも出るかもしれないからね」
僕がターゲットに決めた屋敷に向かい撤収する際には転移魔法を利用している。転移魔法を使える者は多くなく、また利用する際には利用する本人が一度でもその場に行った事がなくてはならないと言う制限がある。だから僕はターゲットに決めた屋敷の周辺を事前に偵察を兼ねて視に行く事にしている。勿論変装をして。青薔薇の幻影が神出鬼没だと言われるのもそれが所以だ。転移魔法で消えられたら跡を追えないのも当然だろう。
「まぁ今更別に急ぐ必要もないから、失敗しないように慎重にするだけだよ」
ここまで我慢していたのだから時間を掛けることぐらい今更だろう。それよりも時間が掛かっても確実に相手を追い込んで行くことこそが重要なのだから。
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