リンの異世界満喫ライフ

水月

文字の大きさ
119 / 219

119:お引っ越し?・3

しおりを挟む
それから数日後、ギルドマスターとマリッサさんから呼び出され商業ギルドに向かう事になった。
私の希望に合うような物件がいくつかあるので良ければ見に行きませんか?と連絡が入ったようだった。

実際に目で見られるのは有難い。やっぱり家を買うって一生の事だし、黎明レイメイも一緒に住むんだから彼(?)の意見もちゃんと聞きたいしね。買ってからやっぱり止めれば良かったと思っても困るしね!うん。

商業ギルドに到着し、ギルドマスターが受付の職員さんに何やら話をしたら2階にある応接室に案内された。何だかビップ扱いみたいだねぇ~。

「ようこそいらっしゃいました。私は商業ギルドの副ギルド長をしてますギルバートと申します」
「あ、はい。リンと言います....宜しくお願いします」

見た目完全に子供な.....いや実際に子供なんだけど....私に向かって丁寧に挨拶をしてくれる副ギルド長のギルバートさん。うん、良い人そう。

「実はシリウスから話を聞かされて希望に沿った物件を探してみたんだが数はそんなになくてね...今は家族で住んだりとか広めの物件が多くて....それだと十代の少女が1人で住むには金銭的にも安全面でも難しいだろう?だからそれらの物件を除外するとこの3件になったんだ」

ギルバートさんはそう言って物件情報が記載された資料を見せてくれた。


1軒目は大通りに面した建物で2階建ての庭なし
2軒目は冒険者ギルドに近い平屋の庭なし
3軒目は街の入口に近い2階建ての庭付き

金額的にはやはり大通りに面している物件が1番高く、街の入口にある物件が1番安かった。

「.....予算的には3軒とも大丈夫そうなんですけど.....実物を見せて貰う事は出来ますか?」

流石に物件を見もせずに高額な買い物は出来ないししたくない。

「勿論ですよ。では今からご案内しますね」

そう言ってギルバートさんと私達は商業ギルドを後にして物件を見に行くことになった。


最初に来たのは1軒目の物件。商業ギルドから近い順に案内するとの事で、紹介された順番に見ていく事に。

で、1軒目の物件だが私的にはひと目見て、ないな、と思った。まず古い、汚い、狭いの三拍子。

「.....一人暮らしならこのぐらいの広さで良いのではないかと。後はやはり築年数がかなり古い分価格が安くなってますので....」

フォローになってないギルバートさんの言葉に私だけでなくギルドマスターとマリッサさんも苦笑していた。


2軒目の物件は、本当に冒険者ギルドに近い平屋の家だったが、ここはマリッサさんからダメ出しが入った。

「....この家は駄目ね。両隣が酒場でしょ?お酒に酔った冒険者が何をするかわからないわ」
「え~……そんな事あるんですか??」
「なくはないな」

え~……ギルドマスターまで言うって事は事実なのか....。平屋だけど窓が大きいから採光も良く、雰囲気は悪くない物件だったんだけど。


そして最後の3軒目は、大通りからも冒険者ギルドからもそれなりに離れているが門に近いので警備兵が一日中常駐しているから、安全面では完璧。そして近隣の建物自体がそれぞれ余裕を持って建てられている為に庭もあり、採光も良好。何より家の中も不思議な造りをしていた。

1階部分は少し改装すれば店舗としても利用出来るような造りになっており、作り棚にキッチンとカウンターがある。奥の階段を上がれば2階部分は部屋が2部屋あった。

庭には前に住んでいた人がやっていたのか、草はボウボウに生えているが家庭菜園の後があるから土を整えてやればすぐ利用出来るようになるだろう。

「これで1番値段が易いって嘘でしょ?」
「いえ、嘘ではないですね。ここは街の端っこになりますから、利便性で言えば余り立地的に良くないのですよ。だから必然的に価格も安くなるんですよ」

マジか!?いや、こんな理想的な物件ないよ!

『ね、黎明レイメイ、この物件で良いかな?』

他の人には聞こえないように、こそっと黎明に確認してみる。私が気に入ったからと言って黎明も気に入るとは思わないからだ。

『.....うむ。この家は空気も澄んでいるし森にも近いから良いのではないか?』
『本当!?』
『ああ。お前が気に入ったんなら良いと思う』

黎明レイメイのお墨付きを貰った私はギルバートさんを振り返る。

「私、ここ買います!」

この世界に来て1番高い買い物をした瞬間だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...