175 / 219
175:提案
しおりを挟む
「でもどちらにしても羨ましい能力だよ。どんな本だって翻訳し放題じゃないか」
ウェズンさんが羨ましそうに私を見た。
「翻訳、ですか?」
「ウェズンは王家直属の文官でね、城で主に書籍の翻訳を担当しているんだよ。古代エルフ語で書かれた蔵書から人の国に伝わる古書なんかのね」
アダラさんがそう少しだけ自慢気に息子の仕事を説明する。うんうん、エリートな息子は誰彼構わず自慢したくなるよね!
そんなアダラさんとウェズンさんを内心ではニヤニヤしながら交互に眺めてると、流石にその私の視線の意味に気がついたのがウェズンさんが恥ずかしそうに補足してきた。
別に恥ずかしがらなくても良いのに~。
「古代エルフ語が読めるとは言っても現存している本の最古は数千年前に及ぶ物もあるから、かなり独特な言い回しの物もあって難しいんだよ。間違った解釈で翻訳する訳にもいかないからなかなか進まないんだ」
「.....確かに.....」
現代の常識で間違って翻訳しちゃったら、今後その間違った知識の方が後世に残ってしまう。だからこそ慎重に慎重を重ねて翻訳していかなければならない。
うん、大変な仕事だよね。
「あら、ならリンに翻訳を手伝って貰えば良いんじゃない?」
「は?」
アルドラさんが唐突に突拍子も無い事を言い出したから吃驚する。慌ててアルドラさんの方を見れば本人は素晴らしい提案をしたかのように自信満々な笑みを浮かべている。
え?何その表情。
「アルドラ?」
アルドラさん以外の3人も何を急に言い出したんだ?とばかりにアルドラさんを見ているが本人は慣れているのか当然とばかりにその視線を受け止めていた。
「あらだってお兄様を含め城の文官達は翻訳が進まなくて困っているのでしょう?そこに完璧に翻訳の出来るリンが居る。リンは将来の為にもお金を貯めておいた方が良いだろうから、城の臨時文官として雇いお給金もきちんと払う。ほら、誰も損をするどころかお互いに良いことずくめでしょう?」
た、確かに言われてみればそうかも?何時までも師匠の実家にご厄介になるのも心苦しいし、どちらにせよ修行が終わった後で独り立ちする時には先立つものはあればある程良いことには変わらない。臨時とは言えお城で文官として雇って貰えればお給料もそれなりに貰える筈だから下手な場所でバイトするよりマシだよね?
現実的に考え出したらアルドラさんの提案が一番良いように感じてきた。上手いなぁ、アルドラさん。
ただ私の一存で決めて良い問題ではないだろう。一応師匠であるシリウスさんが居るのだから。
その事にウェズンさんもアダラさんも最初から気がついて居たんだろう。アルドラさんを嗜める。
「アルドラの言い分は理解するし、良い提案だと僕も思うがリンはシリウス兄さんの弟子だ。まずは師匠であるシリウス兄さんに話を通してからするべき事だよアルドラ」
「そうだね。師匠であるシリウスを無視して私達で勝手に決めて良い話ではないよ」
「そうよ~アルドラちゃん。師弟の関係はエルフの中では家族よりも重いものよ?弟子の全ての責任を取るのは師弟なのですから」
「そ、そうだけど.....」
流石に3人から立て続けに言われてはアルドラさんもそれ以上は黙り込む。
うん、提案その物は私本人も凄く良いとは思うんだよね。
「だがその提案は凄く私も良いとは思うから、シリウスには私から話をしてみよう。リンはどうだね?文官として城へ勤める気はあるかな?」
アダラさんにそう聞かれて頷く。
「そうですね。私はまだエルフの国を良く知らないのでお城で働かせて貰えるなら逆にありがたいです。アルドラさんの言う通り、将来的な意味でお金はいくら貯めてても困る事はないですから」
私がそう告げると、最初に提案したアルドラさんが一番驚いた表情をしていた。
後で理由を聞くと余りにも子供らしくない言動に年齢を誤魔化してるんじゃないかと思ったのだとか。
.....まぁある意味間違ってはないかな?
ウェズンさんが羨ましそうに私を見た。
「翻訳、ですか?」
「ウェズンは王家直属の文官でね、城で主に書籍の翻訳を担当しているんだよ。古代エルフ語で書かれた蔵書から人の国に伝わる古書なんかのね」
アダラさんがそう少しだけ自慢気に息子の仕事を説明する。うんうん、エリートな息子は誰彼構わず自慢したくなるよね!
そんなアダラさんとウェズンさんを内心ではニヤニヤしながら交互に眺めてると、流石にその私の視線の意味に気がついたのがウェズンさんが恥ずかしそうに補足してきた。
別に恥ずかしがらなくても良いのに~。
「古代エルフ語が読めるとは言っても現存している本の最古は数千年前に及ぶ物もあるから、かなり独特な言い回しの物もあって難しいんだよ。間違った解釈で翻訳する訳にもいかないからなかなか進まないんだ」
「.....確かに.....」
現代の常識で間違って翻訳しちゃったら、今後その間違った知識の方が後世に残ってしまう。だからこそ慎重に慎重を重ねて翻訳していかなければならない。
うん、大変な仕事だよね。
「あら、ならリンに翻訳を手伝って貰えば良いんじゃない?」
「は?」
アルドラさんが唐突に突拍子も無い事を言い出したから吃驚する。慌ててアルドラさんの方を見れば本人は素晴らしい提案をしたかのように自信満々な笑みを浮かべている。
え?何その表情。
「アルドラ?」
アルドラさん以外の3人も何を急に言い出したんだ?とばかりにアルドラさんを見ているが本人は慣れているのか当然とばかりにその視線を受け止めていた。
「あらだってお兄様を含め城の文官達は翻訳が進まなくて困っているのでしょう?そこに完璧に翻訳の出来るリンが居る。リンは将来の為にもお金を貯めておいた方が良いだろうから、城の臨時文官として雇いお給金もきちんと払う。ほら、誰も損をするどころかお互いに良いことずくめでしょう?」
た、確かに言われてみればそうかも?何時までも師匠の実家にご厄介になるのも心苦しいし、どちらにせよ修行が終わった後で独り立ちする時には先立つものはあればある程良いことには変わらない。臨時とは言えお城で文官として雇って貰えればお給料もそれなりに貰える筈だから下手な場所でバイトするよりマシだよね?
現実的に考え出したらアルドラさんの提案が一番良いように感じてきた。上手いなぁ、アルドラさん。
ただ私の一存で決めて良い問題ではないだろう。一応師匠であるシリウスさんが居るのだから。
その事にウェズンさんもアダラさんも最初から気がついて居たんだろう。アルドラさんを嗜める。
「アルドラの言い分は理解するし、良い提案だと僕も思うがリンはシリウス兄さんの弟子だ。まずは師匠であるシリウス兄さんに話を通してからするべき事だよアルドラ」
「そうだね。師匠であるシリウスを無視して私達で勝手に決めて良い話ではないよ」
「そうよ~アルドラちゃん。師弟の関係はエルフの中では家族よりも重いものよ?弟子の全ての責任を取るのは師弟なのですから」
「そ、そうだけど.....」
流石に3人から立て続けに言われてはアルドラさんもそれ以上は黙り込む。
うん、提案その物は私本人も凄く良いとは思うんだよね。
「だがその提案は凄く私も良いとは思うから、シリウスには私から話をしてみよう。リンはどうだね?文官として城へ勤める気はあるかな?」
アダラさんにそう聞かれて頷く。
「そうですね。私はまだエルフの国を良く知らないのでお城で働かせて貰えるなら逆にありがたいです。アルドラさんの言う通り、将来的な意味でお金はいくら貯めてても困る事はないですから」
私がそう告げると、最初に提案したアルドラさんが一番驚いた表情をしていた。
後で理由を聞くと余りにも子供らしくない言動に年齢を誤魔化してるんじゃないかと思ったのだとか。
.....まぁある意味間違ってはないかな?
97
あなたにおすすめの小説
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる