リンの異世界満喫ライフ

水月

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193:閑話 カノープス・メトリア・3

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「カノープス殿、国王陛下がお呼びです」



態々御丁寧に近衛騎士団団長にお使いを頼む辺りが厭らしいと言うか、俺の性格を把握しているようで腹が立つ。


「.....今忙しいと言っても無駄なんだろう?」
「.....申し訳なく....」


嫌味を存分に含めた問い掛けにも律儀に返事を返す近衛騎士団団長に溜め息をひとつ付いて作業していた手を止めてドアへと近づくと、あからさまにホッとした表情を見せる。

「近衛騎士団団長様も大変だな」

それには苦笑を返してくるだけに言葉にする事はなく、黙々と職務に忠実であろうとする彼に仕方がないと思いつつ呼び出した張本人である国王陛下の元へと向かう。


どうせ用件はわかっている。

リンの事だ。

普段は王都や各都市で魔獣対策を行っている騎士団を投入してまでリンの行方を捜索しているが半年経った今でも足取りが掴めない事に対して日に日に国王陛下は苛立ちを隠さない。どうにかして俺と同等の力を持つリンを我が国の手中におさめたいが為の捜索なんだろうが、リンが国王陛下の言う事を聞く必要もなく追い掛けられれば逃げたくなるのが人間の性ではないだろうか。

.....正直俺もそろそろ宮廷魔導師長なんて辞めたいぐらいなんだが.....

流石に今の現状で賢者である自分を手放す事など許可が降りないだろうから仕方がないと思いながら続けているが、後任が見つかれば即座に宮廷魔導師長など辞めるつもりでいる。

まぁ、今現在宮廷魔導師長で良かった事は王宮でのリンの捜索状況が俺の元に確実に来るから、その点は良かったと言わざるを得ない。


俺とシリウスの連携でリンは無事にエルフの国へと逃げる事が出来た。彼処の国はどこの国にも属さない完全中立国家だから、もしこの国の王公貴族がリンの行方を掴んだとしても手を出すことは絶対に出来ないからリンにとっては今のところ一番安全な場所になる。


勿論、俺はリンの素性に関しても一切知らないふりをしているので王公貴族達はリンの名前さえ知らず、あくまでも" 冒険者の少女 " としか解っていない上で捜索をさせている。まぁ普通に考えたらそんな幅の広すぎる捜索の仕方で見つかると思う方がどうかしてるんだが。


そして今回はどんな無理難題を言われるのかと思いながら国王陛下の元へと行けば.....予想外の事を言われ流石に俺も驚きを隠せなかった。


「......捜索を打ち切り?」
「そうだ。流石にこれ以上魔獣討伐を主とする騎士団員を冒険者の捜索に回すのは適切ではないと宰相にも言われてな」
「.....はぁ.....」


どう言った心境の変化なのか。まさか捜索を打ちきる話を国王陛下から言われるとは思っても見なかった。

.....もしかして、何かあったのか?

「それにな、実はもう冒険者の少女を探す必要が無くなったのだ」
「.....それは何故かとお聞きしても?」

探す必要が無くなった。

国王陛下の微妙な言い回しご気になる。


「うむ。実はな、聖女が見つかったのだ」

......は?聖女だと?

「聖女の居る国は聖女の聖なる力で魔獣の脅威に怯える事も無くなると言い伝えもある。どこに居るかわからない冒険者を探す必要は無くなったのだ。これで我が国はもう魔獣に怯える必要は無くなったも同然だな!」
「......それは大変喜ばしい事ですね国王陛下。では宮廷魔導師団で捜索に関わっていた者達にも引き上げるよう連絡をして参りますゆえ、失礼致します」
「うむ。早急に引き上げるよう頼んだぞ」
「はい」


謁見の間から早々に引き上げた俺はシリウスにこっそりと通信の魔法で連絡を入れた。


これでリンが現状この国の王族連中に追われる心配は無くなったが.....それにしても。


聖女だと?


新たなる火種に俺は深く溜め息をついたのだった。







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