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第5話
弟子と師匠1
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夕方、日がだいぶ傾いた頃になって、ジジイがやってきた。やってきた相手が、弟でも母でも母の夫でも弟の求婚者でもなかったのに、心底安堵した。
護衛たちには、彼ら四人は入れるなと命じてある。俺は弁解しようのないことをしている。撤回するつもりもない。話をしても、いたずらに感情をこじらせるだけだろう。けれど、彼らを拒絶するのは、辛くて怖かった。だから、そうならなかったことに、ほっとしたのだ。
部屋に入ってきたジジイは、くたびれた顔をしていた。日が翳(かげ)ってきた中では色彩よりも陰影が増すせいだろう、その顔に刻まれた皺が思っていたよりも多く深く見え、この人もまた歳をとったのだと気が付いた。
「ブラッド様。王のご命令により、御身は我が預かりとなります」
「それはどういう理由でだ?」
「いまだかつて、学院の出でない者が守護魔法使いになったことはありません。ですから、我が弟子として体裁を整えてもらいます」
「ふうん」
まったくもって、屁理屈だ。だからこれは、体のいい隔離だと、俺は判断した。
研究室にでも籠もれば、ほとんど人と会わないですむ。それだけの設備も整えられている。王もまた、俺が弟たちと会わない方がよいと考えたのだろう。
俺はありがたく拝命することにした。
「わかった。それで、俺はこれからおまえをどう呼べばいい?」
「そうですね。学院では先生、塔では名前、それ以外では閣下と呼ばれていますが、……弟子ならば師匠でもよいでしょう」
思いついたように、最後に懐かしい呼び名が付け加えられた。かつては毎日のように、そう呼んでいた。十六歳の時から十年以上、この人が王都での親代わりだったのだ。
俺はベッドを降りて、リュスノーと向き合った。右手を胸に当て、腰を折り、頭を下げる。
「これから世話になる。よろしく頼む、師匠」
弟子として当然の態度をとった俺に、ジジイはニヤリと笑った。
「いい心掛けです、王子。それでは、私も心おきなく、弟子として扱うといたしましょう。さっそくですが、荷物をまとめてください。真理の塔に移ります」
こうして俺は、久しぶりに古巣へ戻ることになったのだった。
護衛たちには、彼ら四人は入れるなと命じてある。俺は弁解しようのないことをしている。撤回するつもりもない。話をしても、いたずらに感情をこじらせるだけだろう。けれど、彼らを拒絶するのは、辛くて怖かった。だから、そうならなかったことに、ほっとしたのだ。
部屋に入ってきたジジイは、くたびれた顔をしていた。日が翳(かげ)ってきた中では色彩よりも陰影が増すせいだろう、その顔に刻まれた皺が思っていたよりも多く深く見え、この人もまた歳をとったのだと気が付いた。
「ブラッド様。王のご命令により、御身は我が預かりとなります」
「それはどういう理由でだ?」
「いまだかつて、学院の出でない者が守護魔法使いになったことはありません。ですから、我が弟子として体裁を整えてもらいます」
「ふうん」
まったくもって、屁理屈だ。だからこれは、体のいい隔離だと、俺は判断した。
研究室にでも籠もれば、ほとんど人と会わないですむ。それだけの設備も整えられている。王もまた、俺が弟たちと会わない方がよいと考えたのだろう。
俺はありがたく拝命することにした。
「わかった。それで、俺はこれからおまえをどう呼べばいい?」
「そうですね。学院では先生、塔では名前、それ以外では閣下と呼ばれていますが、……弟子ならば師匠でもよいでしょう」
思いついたように、最後に懐かしい呼び名が付け加えられた。かつては毎日のように、そう呼んでいた。十六歳の時から十年以上、この人が王都での親代わりだったのだ。
俺はベッドを降りて、リュスノーと向き合った。右手を胸に当て、腰を折り、頭を下げる。
「これから世話になる。よろしく頼む、師匠」
弟子として当然の態度をとった俺に、ジジイはニヤリと笑った。
「いい心掛けです、王子。それでは、私も心おきなく、弟子として扱うといたしましょう。さっそくですが、荷物をまとめてください。真理の塔に移ります」
こうして俺は、久しぶりに古巣へ戻ることになったのだった。
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