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第6話
叩きのめす2
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しばらく動けそうにない奴らを料理する前に、俺は、やっと姿を現した魔法使いの一団に視線を定めた。ざっと数えて十人いる。
今の攻撃も魔法で凌いだのだろう。未だたいした怪我もしていないようだ。
直径一メートルほどの一つの魔法陣を皆で掲げ、懲りずに俺に向けていた。魔力を注ぎ、攻撃準備をしているところだ。
のんびり発動を待つまでもない。俺はひとまず拳の炎を消してひとっ飛びし、その魔法陣を蹴り倒した。魔法使いたちが、わっと倒れ、助けてくれと叫びながら、這って逃げ出す。
それを後ろから捕まえては殴って蹴って昏倒させるのは簡単だった。そもそも戦う気力もなければ、体力もなかったらしい。
意識のない魔法使いたちに、こっそり植物を呼んで詠唱できないように猿轡をかまし、腕と足を縛め、次いで、衣装を焼き払って真っ裸にしてやった。魔法陣でも隠し持っていられると面倒だからだ。
鍛えた様子もないもやしのような裸体の男たちが、ごろごろと転がった。しかも煤まみれ。
自分でやっておきながら、思ってもみないほど、とんでもなくみっともない光景に、愉悦がわく。
ああ、そうだ。兵士たちも同じ目にあわせてやろう。真っ裸で王都まで帰って笑いものになればいいのだ。
それを見て、武王がどんな顔をすることか。
俺は楽しみになって、くつくつと笑った。笑いが止まらないまま振り返る。
兵士たちがよろよろと立ち上がり、中には剣を抜いている者もいた。その数、三十は下らないだろう。殺気を放って、ジリ、ジリ、と包囲を狭めてくる。
多勢に無勢。武器持ちと空手。兵士と魔法使い。上等じゃないか。
さあて。この鬱憤は、拳で払わせてもらおうか。
俺は再び拳に炎をまとわせて、ざくざくと無造作に兵士の群れに踏み込んだ。
剣は溶かして落とし、鎧は蒸発させるふりで塵に還した。その上で殴り倒し、最後にぺリウィンクルの紋の入った軍服を焼き払う。
丸腰の兵士ってのは、よっぽど熟練した者か天性の才能でもない限り、案外弱い。いつも武器を使った間合いに慣れているから、なくなったとたん攻めあぐねるのだ。
そうして要領の悪くなった奴を吹っ飛ばすのは簡単だ。造作もない。
俺は、殴って殴って殴って殴り飛ばした。もちろん足も使った。
さんざん暴れて気が付けば、眼前に立っている者はおらず、全員が地に倒れ伏していた。
あ、と我に返る。いけね。聞きたいことがあったんだった。
額に垂れた汗を拭き、まわりを見回した。どうせなら、ペラペラ喋ってくれる奴の方がいい。
俺は迷わず魔法使いたちのところへ行った。非力な奴らを脅すのが一番効率的だろう。
適当に端にいた奴を選び、強めに頬を叩いて起こす。やがて目を開けて、恐怖に引き攣った顔で俺を見たところで、猿轡をはずしてやった。
「正直に話せば、命までは取らない。嘘だとわかったら、必ずおまえを見つけ出して、王都ごと焼き尽くしてやる。わかったか?」
目を見開いて真っ青な顔で、がくがくと頷くのを確認して、質問に入った。
「商隊はどうなった」
「に、逃げた。あ、あの護衛たちが逃がしたっ。そう聞いたっ」
そうか。ジスカールたちは、ちゃんと己の役目を果たしたのか。
たった四人で、この人数をくい止めたのだ。
「馬鹿野郎どもが」
胸が熱くなって、無意識に悪態を吐いた。
それができたなら、自分たちだけ逃げることだってできただろうに。
俺の剣呑な低い呟きに、男はひっと声を上げて、ぶるぶると震えだした。別に、こいつに言ったわけじゃないのに、怯えすぎだ。
まったく。戦いに来てんだから、もうちょっと気概を持ったらどうなんだ。襲われた俺が悪いことしてるみたいじゃないか。
鬱陶しさに、正気を保つよう促すために手荒く首を揺すり上げて、不機嫌に次の質問をする。
「で、目的は? 俺の殺害か?」
「ち、ち、違う! 違う! 信じてくれ! 俺たちは、あんたを、いや、貴方を、拉致、いえ、おいでいただこうと」
「それにしては、荒っぽいな?」
なにしろ拉致だからな? 本音が先に出てたぞ。何が、おいでいただくなんだか。
馬鹿馬鹿しくなって、鼻で笑った。
「俺を王都で公開処刑でもして、民衆の目を不満からそらさせるつもりだったか」
荒れた土地がもたらす、負の連鎖から。
「そうではない! ネニャフルにお願いしたき議があると仰せで」
「筋が通らねえな」
俺は男を突き飛ばした。
「頼みごとがあるなら、それなりの方法ってもんがあるだろう。そういうのは脅迫って言うんだ。ふざけんな、ってど阿呆に伝えておけ」
俺は立ち上がって踵を返した。数歩ルシアンの方へ歩き出して、思い出して振り返る。
男は、びくっと震えて、体を強張らせた。
「ああ、それから、文句があるなら、正式に果たし状でも送りつけろって、言っておけ。俺は逃げも隠れもしねえ。いくらでも相手してやる。今度黙って人のものに手ぇ出しやがったら、容赦しねーからな。全員吊るし上げて、その粗末なもん切り取って犬に食わせてやるぞ」
股間に視線をくれてやったら、男は必死に身をよじってうつ伏せになった。
だから、敵に背中を見せてどうすんだっての。
俺は呆れて、もう何を言う気も起きず、背を向けた。腰抜けに付き合っている暇はない。
俺は今度こそルシアンの許へと、急ぎ足で向かったのだった。
今の攻撃も魔法で凌いだのだろう。未だたいした怪我もしていないようだ。
直径一メートルほどの一つの魔法陣を皆で掲げ、懲りずに俺に向けていた。魔力を注ぎ、攻撃準備をしているところだ。
のんびり発動を待つまでもない。俺はひとまず拳の炎を消してひとっ飛びし、その魔法陣を蹴り倒した。魔法使いたちが、わっと倒れ、助けてくれと叫びながら、這って逃げ出す。
それを後ろから捕まえては殴って蹴って昏倒させるのは簡単だった。そもそも戦う気力もなければ、体力もなかったらしい。
意識のない魔法使いたちに、こっそり植物を呼んで詠唱できないように猿轡をかまし、腕と足を縛め、次いで、衣装を焼き払って真っ裸にしてやった。魔法陣でも隠し持っていられると面倒だからだ。
鍛えた様子もないもやしのような裸体の男たちが、ごろごろと転がった。しかも煤まみれ。
自分でやっておきながら、思ってもみないほど、とんでもなくみっともない光景に、愉悦がわく。
ああ、そうだ。兵士たちも同じ目にあわせてやろう。真っ裸で王都まで帰って笑いものになればいいのだ。
それを見て、武王がどんな顔をすることか。
俺は楽しみになって、くつくつと笑った。笑いが止まらないまま振り返る。
兵士たちがよろよろと立ち上がり、中には剣を抜いている者もいた。その数、三十は下らないだろう。殺気を放って、ジリ、ジリ、と包囲を狭めてくる。
多勢に無勢。武器持ちと空手。兵士と魔法使い。上等じゃないか。
さあて。この鬱憤は、拳で払わせてもらおうか。
俺は再び拳に炎をまとわせて、ざくざくと無造作に兵士の群れに踏み込んだ。
剣は溶かして落とし、鎧は蒸発させるふりで塵に還した。その上で殴り倒し、最後にぺリウィンクルの紋の入った軍服を焼き払う。
丸腰の兵士ってのは、よっぽど熟練した者か天性の才能でもない限り、案外弱い。いつも武器を使った間合いに慣れているから、なくなったとたん攻めあぐねるのだ。
そうして要領の悪くなった奴を吹っ飛ばすのは簡単だ。造作もない。
俺は、殴って殴って殴って殴り飛ばした。もちろん足も使った。
さんざん暴れて気が付けば、眼前に立っている者はおらず、全員が地に倒れ伏していた。
あ、と我に返る。いけね。聞きたいことがあったんだった。
額に垂れた汗を拭き、まわりを見回した。どうせなら、ペラペラ喋ってくれる奴の方がいい。
俺は迷わず魔法使いたちのところへ行った。非力な奴らを脅すのが一番効率的だろう。
適当に端にいた奴を選び、強めに頬を叩いて起こす。やがて目を開けて、恐怖に引き攣った顔で俺を見たところで、猿轡をはずしてやった。
「正直に話せば、命までは取らない。嘘だとわかったら、必ずおまえを見つけ出して、王都ごと焼き尽くしてやる。わかったか?」
目を見開いて真っ青な顔で、がくがくと頷くのを確認して、質問に入った。
「商隊はどうなった」
「に、逃げた。あ、あの護衛たちが逃がしたっ。そう聞いたっ」
そうか。ジスカールたちは、ちゃんと己の役目を果たしたのか。
たった四人で、この人数をくい止めたのだ。
「馬鹿野郎どもが」
胸が熱くなって、無意識に悪態を吐いた。
それができたなら、自分たちだけ逃げることだってできただろうに。
俺の剣呑な低い呟きに、男はひっと声を上げて、ぶるぶると震えだした。別に、こいつに言ったわけじゃないのに、怯えすぎだ。
まったく。戦いに来てんだから、もうちょっと気概を持ったらどうなんだ。襲われた俺が悪いことしてるみたいじゃないか。
鬱陶しさに、正気を保つよう促すために手荒く首を揺すり上げて、不機嫌に次の質問をする。
「で、目的は? 俺の殺害か?」
「ち、ち、違う! 違う! 信じてくれ! 俺たちは、あんたを、いや、貴方を、拉致、いえ、おいでいただこうと」
「それにしては、荒っぽいな?」
なにしろ拉致だからな? 本音が先に出てたぞ。何が、おいでいただくなんだか。
馬鹿馬鹿しくなって、鼻で笑った。
「俺を王都で公開処刑でもして、民衆の目を不満からそらさせるつもりだったか」
荒れた土地がもたらす、負の連鎖から。
「そうではない! ネニャフルにお願いしたき議があると仰せで」
「筋が通らねえな」
俺は男を突き飛ばした。
「頼みごとがあるなら、それなりの方法ってもんがあるだろう。そういうのは脅迫って言うんだ。ふざけんな、ってど阿呆に伝えておけ」
俺は立ち上がって踵を返した。数歩ルシアンの方へ歩き出して、思い出して振り返る。
男は、びくっと震えて、体を強張らせた。
「ああ、それから、文句があるなら、正式に果たし状でも送りつけろって、言っておけ。俺は逃げも隠れもしねえ。いくらでも相手してやる。今度黙って人のものに手ぇ出しやがったら、容赦しねーからな。全員吊るし上げて、その粗末なもん切り取って犬に食わせてやるぞ」
股間に視線をくれてやったら、男は必死に身をよじってうつ伏せになった。
だから、敵に背中を見せてどうすんだっての。
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俺は今度こそルシアンの許へと、急ぎ足で向かったのだった。
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