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3-炎の精霊
24.少女、号泣する。
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耳を疑い視線を上げると、ずいっと目の前に差し出されたのは血の滴る手の甲だった。
「他の男の喰い残しなど御免だ、今のお前にくれてやるのはこのぐらいだ」
「だからってこんな!」
「要らないのか?」
そう言って彼は少し引き自分の手を舐める。その様があまりにも蠱惑的で目がそらせなくなる。
背に腹は代えられない。しばらく無言でいたニチカは震えながらその手をとった。散々ためらった後そっと舌を這わせるとすぐに血の薫りが口いっぱいにひろがる。
「ん、っふ、……」
不慣れな様子で懸命に舐め取るその姿に男の背筋にぞくりと何かが走った。小さな口から伸ばされた舌がうねり自分の血と少女の唾液が混ざり合う。ツゥと糸を引き落ちた雫が膝立ちになっている少女の腿に落ち月明りを反射する。恐ろしく淫靡な光景だった。
一方、ニチカは鉄臭さに辟易していた。もう充分だろうと舌を離そうとした時、いきなり頭の後ろに手を回され目を見開く。
「えっ!?」
グイと引き寄せられ、抵抗する間もなく口付けをされる。すぐに舌が入ってきてくぐもった悲鳴をあげた。
「ちょっ、やっ、オズワ……」
そのまま壁に押し付けられそうになり、力いっぱい押しのける。
「っ、いやだってば!」
シン……と、静寂が二人の間に下りる。拒否された男の冷たい眼差しに凍えそうになるが、ここは譲れなかった。
「血で充分ならキスは要らないでしょ! こっちこそ由良姫の後はゴメンなんだからっ」
「は?」
なぜここに由良姫の名前が出てくるのか。オズワルドのそんな疑問に答えもせず立ち上がったニチカはまくし立てた。言葉と共にせり上がってきた熱い塊が喉につかえる。
「ど、どーせっ、ふたりでえっちなことしてたんでしょ! 私の事なんか、すっかり忘れて、」
しゃくり上げる少女は否定する暇(いとま)さえ与えてくれない。男はただポカンとその様子を見ているだけだった。
「すっごいバカなことしたって、わかってる、でも不安で、怖くて仕方がなかったの……っ! 死にたくなかったんだもん!!」
もはや今感じてるこの感情が何なのかすら分からなかった。嫉妬や恐怖やらがぐちゃぐちゃにかき混ぜられキャパオーバーだ。あふれた感情が目から零れ落ちる。
「契約し、した、んだからっ、ちゃんと守ってよばかぁー!」
不安を全て吐き出してしまえば、後に残るのはどうしようもない恥ずかしさだけだった。子供のように大声で泣き続ける少女の頭を、師匠は呆れたようにばふっと抱え込む。
「子供かお前はっ」
「ひっぐ、うぇぇ」
「まったく……」
胸の中で震える頭にため息をついて手をそっと置く。そうだ、ガキだった。甘っちょろい世界からやってきた無防備で能天気な子供だ。それを念頭に置き、できるだけ穏やかな口調で問いかける。
「ニチカ、俺がいったん交わした約束を破るように見えるか?」
「……見える」
「おい、そこは否定しろ」
ここまで信用されてなかったかと天を仰ぐ。冴えざえと輝く青い月を見上げながら、どう言えば上手く伝わるだろうかと途方に暮れた。あぁ、本当にめんどくさい拾い物をしてしまった。それでも捨て置けないのは――
「魔女は一度した約束は死んでも守る。約束は契約であり、まじないでもあるからだ」
あくどいだの詐欺師だの散々な言われようのオズワルドだったが、意外にも一度口にした事は絶対に曲げないという信念は持っていた。それは彼なりのルールでもあった。
低く穏やかな声にニチカの嗚咽は少しずつ収まっていく。それでも彼女は黒いコートから顔が上げる事ができなかった。
「契約だからな。お前は俺が守る。分かったら二度とこんな真似をするな、いいな?」
配慮に欠ける彼にしては上出来な言葉だった。微かに頷いた少女に安堵のため息をつく。ついでに誤解も解いてしまおう。
「それとな、何を勘違いしてるのかは知らんが別に由良姫とはそういう関係ではない」
「そう、なの?」
おずおずと顔を上げた少女は目元が赤くなっていた。泣き濡れた瞳が黒曜石のように煌めいている。
「単なる商売相手だ。それにあの手の女は一度寝たらどんな言いがかりを――」
「良かった」
ふわっと、花が咲くように少女は微笑んだ。なぜか言いかけた言葉が詰まる。
「オズワルド?」
本当に妙な女だと思う。くるくると表情を変え、少し優しい言葉をかけてやればこの通りだ。人を疑うことから始まるこの世界でこの開けっぴろげな感情はいつか身を滅ぼすだろう。だが
「ふん、単細胞め」
「ぷっ」
その顔面をぐわしっと掴んで押し剥がす。ニチカは顔を真っ赤にして両手を振り回した。
「ちょっと何すんのよっ」
「やめとけやめとけ、由良姫に嫉妬するだけ無駄だ。姫とお前じゃ月とスッポン――いや、それではスッポンに失礼か」
「なによーっ!!」
オズワルドは笑っていた。それはいつもの皮肉げな笑みではなく少年のような笑顔だった。初めて見る表情にニチカの鼓動が高鳴る。
(あ、普通に笑えるんだ)
少しだけ距離が縮まったような気がしたのに、すぐに男はいつもの意地悪な笑みを浮かべる。先ほどまで少女が顔を付けていた胸元をつまみ上げると見せつけるようにパタパタと動かした。
「鼻水つけやがって、落ちなかったらどうしてくれる」
「鼻水なんか出してないってば」
「どうだか」
「……」
そのやり取りを上から見つめる影があった。屋根の上に佇むその人物は、白いローブを頭から被っているせいで男か女か……もっといえば人かどうかもわからない。
「信じない、絶対に認めるものか!」
彼(もしくは彼女)は、ギリッと歯を噛み締めるとサッと手を振りぬいた。途端に空気が渦巻き風が巻き起こる――
***
一方、宿屋で一人目が覚めたウルフィは真っ暗な部屋の中で目を瞬いた。オズワルドどころか、先ほどまで欄干にもたれ掛かっていたはずのニチカまで居ない。
「ニチカ? ご主人? あれぇ、どこ行っちゃったの?」
タッと欄干を飛び越え、路地に降り立った彼はその自慢の鼻で追跡を始めた。すぐに覚えのある匂いを捉え足取り軽くそちらへと向かう。
「クンクン、なぁんだ結構近いぞ。おーい」
通りを一本挟んだ路地裏に飛び込んだ彼は、大好きな二人の後ろ姿を見つけて飛び跳ねた。無邪気に声を掛ければ彼らは揃ってこちらに向き直る。
「良かった! こんなとこに居たんだねっ」
「ウルフィ?」
その時、オオカミは空から飛来する何かを見た。それは少女の頭めがけてまっすぐに飛んで来ている。だが当の本人はまるで気づかずこちらに笑いかけていた。
「えっ……」
「ごめんね心配かけ――」
「危ないっ!!」
考えるより先に体が動いていた。少女を引き倒し位置を入れ替わる。何かを引き裂くような音が聞こえ、自分の腹から見たこともないような量の血が吹き出した。
「うる、ふぃ」
目を見開いた少女の顔に、自分の血が降りかかる。地面にドサリと叩きつけられ、そのまま奈落の底に放り出されるように意識が急速に落ちて行く。
ニチカの悲鳴が遠くなっていくのを最後にウルフィの視界は暗転した。
「他の男の喰い残しなど御免だ、今のお前にくれてやるのはこのぐらいだ」
「だからってこんな!」
「要らないのか?」
そう言って彼は少し引き自分の手を舐める。その様があまりにも蠱惑的で目がそらせなくなる。
背に腹は代えられない。しばらく無言でいたニチカは震えながらその手をとった。散々ためらった後そっと舌を這わせるとすぐに血の薫りが口いっぱいにひろがる。
「ん、っふ、……」
不慣れな様子で懸命に舐め取るその姿に男の背筋にぞくりと何かが走った。小さな口から伸ばされた舌がうねり自分の血と少女の唾液が混ざり合う。ツゥと糸を引き落ちた雫が膝立ちになっている少女の腿に落ち月明りを反射する。恐ろしく淫靡な光景だった。
一方、ニチカは鉄臭さに辟易していた。もう充分だろうと舌を離そうとした時、いきなり頭の後ろに手を回され目を見開く。
「えっ!?」
グイと引き寄せられ、抵抗する間もなく口付けをされる。すぐに舌が入ってきてくぐもった悲鳴をあげた。
「ちょっ、やっ、オズワ……」
そのまま壁に押し付けられそうになり、力いっぱい押しのける。
「っ、いやだってば!」
シン……と、静寂が二人の間に下りる。拒否された男の冷たい眼差しに凍えそうになるが、ここは譲れなかった。
「血で充分ならキスは要らないでしょ! こっちこそ由良姫の後はゴメンなんだからっ」
「は?」
なぜここに由良姫の名前が出てくるのか。オズワルドのそんな疑問に答えもせず立ち上がったニチカはまくし立てた。言葉と共にせり上がってきた熱い塊が喉につかえる。
「ど、どーせっ、ふたりでえっちなことしてたんでしょ! 私の事なんか、すっかり忘れて、」
しゃくり上げる少女は否定する暇(いとま)さえ与えてくれない。男はただポカンとその様子を見ているだけだった。
「すっごいバカなことしたって、わかってる、でも不安で、怖くて仕方がなかったの……っ! 死にたくなかったんだもん!!」
もはや今感じてるこの感情が何なのかすら分からなかった。嫉妬や恐怖やらがぐちゃぐちゃにかき混ぜられキャパオーバーだ。あふれた感情が目から零れ落ちる。
「契約し、した、んだからっ、ちゃんと守ってよばかぁー!」
不安を全て吐き出してしまえば、後に残るのはどうしようもない恥ずかしさだけだった。子供のように大声で泣き続ける少女の頭を、師匠は呆れたようにばふっと抱え込む。
「子供かお前はっ」
「ひっぐ、うぇぇ」
「まったく……」
胸の中で震える頭にため息をついて手をそっと置く。そうだ、ガキだった。甘っちょろい世界からやってきた無防備で能天気な子供だ。それを念頭に置き、できるだけ穏やかな口調で問いかける。
「ニチカ、俺がいったん交わした約束を破るように見えるか?」
「……見える」
「おい、そこは否定しろ」
ここまで信用されてなかったかと天を仰ぐ。冴えざえと輝く青い月を見上げながら、どう言えば上手く伝わるだろうかと途方に暮れた。あぁ、本当にめんどくさい拾い物をしてしまった。それでも捨て置けないのは――
「魔女は一度した約束は死んでも守る。約束は契約であり、まじないでもあるからだ」
あくどいだの詐欺師だの散々な言われようのオズワルドだったが、意外にも一度口にした事は絶対に曲げないという信念は持っていた。それは彼なりのルールでもあった。
低く穏やかな声にニチカの嗚咽は少しずつ収まっていく。それでも彼女は黒いコートから顔が上げる事ができなかった。
「契約だからな。お前は俺が守る。分かったら二度とこんな真似をするな、いいな?」
配慮に欠ける彼にしては上出来な言葉だった。微かに頷いた少女に安堵のため息をつく。ついでに誤解も解いてしまおう。
「それとな、何を勘違いしてるのかは知らんが別に由良姫とはそういう関係ではない」
「そう、なの?」
おずおずと顔を上げた少女は目元が赤くなっていた。泣き濡れた瞳が黒曜石のように煌めいている。
「単なる商売相手だ。それにあの手の女は一度寝たらどんな言いがかりを――」
「良かった」
ふわっと、花が咲くように少女は微笑んだ。なぜか言いかけた言葉が詰まる。
「オズワルド?」
本当に妙な女だと思う。くるくると表情を変え、少し優しい言葉をかけてやればこの通りだ。人を疑うことから始まるこの世界でこの開けっぴろげな感情はいつか身を滅ぼすだろう。だが
「ふん、単細胞め」
「ぷっ」
その顔面をぐわしっと掴んで押し剥がす。ニチカは顔を真っ赤にして両手を振り回した。
「ちょっと何すんのよっ」
「やめとけやめとけ、由良姫に嫉妬するだけ無駄だ。姫とお前じゃ月とスッポン――いや、それではスッポンに失礼か」
「なによーっ!!」
オズワルドは笑っていた。それはいつもの皮肉げな笑みではなく少年のような笑顔だった。初めて見る表情にニチカの鼓動が高鳴る。
(あ、普通に笑えるんだ)
少しだけ距離が縮まったような気がしたのに、すぐに男はいつもの意地悪な笑みを浮かべる。先ほどまで少女が顔を付けていた胸元をつまみ上げると見せつけるようにパタパタと動かした。
「鼻水つけやがって、落ちなかったらどうしてくれる」
「鼻水なんか出してないってば」
「どうだか」
「……」
そのやり取りを上から見つめる影があった。屋根の上に佇むその人物は、白いローブを頭から被っているせいで男か女か……もっといえば人かどうかもわからない。
「信じない、絶対に認めるものか!」
彼(もしくは彼女)は、ギリッと歯を噛み締めるとサッと手を振りぬいた。途端に空気が渦巻き風が巻き起こる――
***
一方、宿屋で一人目が覚めたウルフィは真っ暗な部屋の中で目を瞬いた。オズワルドどころか、先ほどまで欄干にもたれ掛かっていたはずのニチカまで居ない。
「ニチカ? ご主人? あれぇ、どこ行っちゃったの?」
タッと欄干を飛び越え、路地に降り立った彼はその自慢の鼻で追跡を始めた。すぐに覚えのある匂いを捉え足取り軽くそちらへと向かう。
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通りを一本挟んだ路地裏に飛び込んだ彼は、大好きな二人の後ろ姿を見つけて飛び跳ねた。無邪気に声を掛ければ彼らは揃ってこちらに向き直る。
「良かった! こんなとこに居たんだねっ」
「ウルフィ?」
その時、オオカミは空から飛来する何かを見た。それは少女の頭めがけてまっすぐに飛んで来ている。だが当の本人はまるで気づかずこちらに笑いかけていた。
「えっ……」
「ごめんね心配かけ――」
「危ないっ!!」
考えるより先に体が動いていた。少女を引き倒し位置を入れ替わる。何かを引き裂くような音が聞こえ、自分の腹から見たこともないような量の血が吹き出した。
「うる、ふぃ」
目を見開いた少女の顔に、自分の血が降りかかる。地面にドサリと叩きつけられ、そのまま奈落の底に放り出されるように意識が急速に落ちて行く。
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