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7-偽りの聖女
72.少女、乱入する。
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《ようこそ、聖なる救世の巫女ニチカ様のおわす街ブロニィへ》
薄灰色の曇り空の下、村の入り口にデカデカと掲げられた横断幕がはためいている。それをあ然と見上げていた当の本人は声も出なかった。隣に立つ師匠が呆れて忠告する。
「とりあえず口を閉じろ、アホ面に磨きがかかってるぞ」
「私、今来たよね? 初めて来たよね?」
首を傾げながら垂れ幕をくぐり村に入る。すぐ目に入ってきたのは段々畑のように傾斜のついた赤っぽい茂みが広がる光景だった。その葉をぷちっと一枚とったオズワルドは、葉柄をつまんで回しながら解説してくれる。
「これはクレナの葉だな。煮出すと赤い色素が出るから染料に使ったりするんだ」
「へぇ、飲んだら美味しいのかな?」
ニチカが思ったままを口にすると、可哀想な物をみる目つきをされてしまった。
「紅さしにも使ったりするんだが、お前に色気のある発言を求めるのが間違ってたか……」
「うっ、違うの、私のいた所では紅茶染めっていう手法があって、そこから連想しただけで、その」
もにょもにょと言い訳をしながら下っていくと、丘のふもとに大きな屋敷が建っているのが見えた。どうやらその辺りから人のざわめき声が聞こえてくるようだ。オズワルドが怪訝な顔で口を開く。
「騒がしいな」
「ほんと、コンサートでもやってるのかな?」
冗談を言いながら建物をぐるっと回りこんだ少女はギョッとした。村中の人が集まっているのではと思うような大人数が、屋敷前に作られたステージに詰めかけていたのだ。ステージの上には派手な赤い髪をツインテールにした女の子が居て、輝くような笑顔で両手を上げた。
「みなさまーご機嫌ようー! 今日も、ウルトラハイパーかわいいわたくしの為に集まって下さり感謝いたしますわー!!!」
観衆からウォォォと歓声が起こり、空気がビリビリと震える。アイドルのような衣装を身にまとった赤髪の少女はパチっとウィンクをしてポーズを決めて見せた。
「それじゃあ早速一曲目! 『精霊探しもラクじゃないっ☆』参りますわ!!」
まさかとは思うが本当にコンサートだった。楽団のアップテンポの曲に合わせ、美少女がクルクル踊って歌っている。その度に観客から「巫女様ー!」だの「ニチカたん可愛いよ!!」など聞こえてきて、本物のニチカは思わず横の男を叩いた。
「どういうこと? これ本当にどういうこと!?」
「……」
理解不能。師匠の顔色を読み取った少女は、彼の袖を引っ張って正面に回ってみる。あたりまえだが女の子に見覚えはない。曲の間奏に入った彼女はセリフを差し込んだ。
「ニチカは精霊の巫女ですの。みなさま応援よろしくおねがいしますわっ」
そのまま『さめざめ』と泣き出すと芝居がかったわざとらしい口調で語り出した。
「今までいろんな試練を乗り越えて参りました。つらく哀しい別れもあった……でもわたくし負けません! 世界を救うその日までぇー!!」
もはや限界だった。恥ずかしさの極致に立たされたニチカは頭を掻きむしり叫ぶ。
「っああああ~~~!!! ムリ! もうムリ!」
「おい馬鹿っ、やめろ」
師匠の制止を振り切り、柵を乗り越えステージに飛び出す。突然の乱入者に気づいた偽者はギョッとしたように一歩身を引いた。
「なっ、なんですの? いくらわたくしのファンでもステージに上がるのはダメダメですわよ!」
「ちっっっがうわぁぁ!!!」
楽団が演奏を止め、観客も何だ何だと注目する。ダンッと力強く踏み込んだニチカはビシッと言ってやった。
「いい加減にしてっ、誰の許可とって人の名前を騙ってるのよ!! しかもそんな恥ずかしい口上なんか述べてくれちゃって……これから先どういう顔して名乗ったらいいわけ!?」
「訳がわかりませんわ、一体全体あなたはどこのどなたですの?」
成りすまし少女はとぼけた顔をする。完全に頭に血がのぼったニチカは感情のままに叫んだ。叫んでしまった。
「だからっ、私が本当の精霊の巫女で、ニチカなの!!」
一瞬シン……と静まり返った会場は、一拍おいて爆発するような笑いに包まれる。自分が笑われているのだと分かった瞬間、ニチカの顔はカァァーっと赤く染まっていった。
「な、なっ……」
「冗談はおよしなさいな。わたくしが正真正銘、精霊の巫女ニチカですわ。ねぇ、そうでしょう? みなさん」
笑いすぎて涙まで滲ませる偽物は、自信たっぷりに自分の胸に手をあてた。ここまで来たらもう引けない、ニチカは拳を握りしめ反論した。
「違うっ、私がニチカ!」
「貴女のどこが!?」
観衆の声援を受け、手を振っていた偽物は勝ち誇ったように言った。
「そのまるっちくてパッとしない顔!」
グサッ
「地味な髪色にちんちくりんな背格好!!」
グサグサグサッ
「おまけにカリスマ性ゼロ!!」
「ぐ、ぐぅぅ……!」
確かにこの偽物は美人で華があり、プロポーションは出るとこ出て引っ込むとこは引っ込んでいる。背もすらりとしてモデルのようだ。絶対に隣に並べられたくない人物である。赤髪の美少女は腰に手をあて口元に甲を添える、いわゆるお嬢様笑いをした。
「おーっほっほ、どこぞの村娘ですの? ダサッ、ダサッ、超ぉ超ぉちょおおおダサですわ!」
その隣に進んで飛び出してしまったニチカは膝から崩れ落ちた。どこをとっても勝てるところがない……世の中は不公平である。ここでニヤリと笑った偽物はまたもわざとらしい演技を始めた。
「それでヒロインを騙ろうなどと笑わせますわ、ハッ、まさか混乱に乗じてこのわたくしを、精霊の巫女の暗殺を企てていたのでは? キャー怖い!! 助けて!」
「えっ、ちょっと!?」
偽物の悲鳴に、屈強な村の男たちがステージ脇から上がってくる。逃げる間もなくニチカは捕らえられてしまった。
「巫女さまを狙うなんて太ぇ野郎だ」
「違うの私はっ……」
必死に弁解しようとするが、その前に偽巫女が叫んだ。
「杖を持ってるところを見ると魔導師ですのね? それも取り上げて!!」
「あっ!」
腰に付けていた魔導球を取り上げられて青ざめる。一瞬暴れて抜け出すことも考えたがケガをさせてしまっては取り返しのつかないことになる。頭を振ったニチカは助けを求めて声を張り上げた。
「オズワルド、助けて!」
弟子の救助要請に群衆の中こっそり逃げようとしていた黒い背中がビクリと止まる。一瞬だけこちらを見た師匠は動きを止め――そして脱兎のごとく駆けだした。
「この薄情ものーっ!!」
「あの男も仲間ですわっ、捕まえて!!」
そして二人はあっけなく牢屋に投獄されたのである。
薄灰色の曇り空の下、村の入り口にデカデカと掲げられた横断幕がはためいている。それをあ然と見上げていた当の本人は声も出なかった。隣に立つ師匠が呆れて忠告する。
「とりあえず口を閉じろ、アホ面に磨きがかかってるぞ」
「私、今来たよね? 初めて来たよね?」
首を傾げながら垂れ幕をくぐり村に入る。すぐ目に入ってきたのは段々畑のように傾斜のついた赤っぽい茂みが広がる光景だった。その葉をぷちっと一枚とったオズワルドは、葉柄をつまんで回しながら解説してくれる。
「これはクレナの葉だな。煮出すと赤い色素が出るから染料に使ったりするんだ」
「へぇ、飲んだら美味しいのかな?」
ニチカが思ったままを口にすると、可哀想な物をみる目つきをされてしまった。
「紅さしにも使ったりするんだが、お前に色気のある発言を求めるのが間違ってたか……」
「うっ、違うの、私のいた所では紅茶染めっていう手法があって、そこから連想しただけで、その」
もにょもにょと言い訳をしながら下っていくと、丘のふもとに大きな屋敷が建っているのが見えた。どうやらその辺りから人のざわめき声が聞こえてくるようだ。オズワルドが怪訝な顔で口を開く。
「騒がしいな」
「ほんと、コンサートでもやってるのかな?」
冗談を言いながら建物をぐるっと回りこんだ少女はギョッとした。村中の人が集まっているのではと思うような大人数が、屋敷前に作られたステージに詰めかけていたのだ。ステージの上には派手な赤い髪をツインテールにした女の子が居て、輝くような笑顔で両手を上げた。
「みなさまーご機嫌ようー! 今日も、ウルトラハイパーかわいいわたくしの為に集まって下さり感謝いたしますわー!!!」
観衆からウォォォと歓声が起こり、空気がビリビリと震える。アイドルのような衣装を身にまとった赤髪の少女はパチっとウィンクをしてポーズを決めて見せた。
「それじゃあ早速一曲目! 『精霊探しもラクじゃないっ☆』参りますわ!!」
まさかとは思うが本当にコンサートだった。楽団のアップテンポの曲に合わせ、美少女がクルクル踊って歌っている。その度に観客から「巫女様ー!」だの「ニチカたん可愛いよ!!」など聞こえてきて、本物のニチカは思わず横の男を叩いた。
「どういうこと? これ本当にどういうこと!?」
「……」
理解不能。師匠の顔色を読み取った少女は、彼の袖を引っ張って正面に回ってみる。あたりまえだが女の子に見覚えはない。曲の間奏に入った彼女はセリフを差し込んだ。
「ニチカは精霊の巫女ですの。みなさま応援よろしくおねがいしますわっ」
そのまま『さめざめ』と泣き出すと芝居がかったわざとらしい口調で語り出した。
「今までいろんな試練を乗り越えて参りました。つらく哀しい別れもあった……でもわたくし負けません! 世界を救うその日までぇー!!」
もはや限界だった。恥ずかしさの極致に立たされたニチカは頭を掻きむしり叫ぶ。
「っああああ~~~!!! ムリ! もうムリ!」
「おい馬鹿っ、やめろ」
師匠の制止を振り切り、柵を乗り越えステージに飛び出す。突然の乱入者に気づいた偽者はギョッとしたように一歩身を引いた。
「なっ、なんですの? いくらわたくしのファンでもステージに上がるのはダメダメですわよ!」
「ちっっっがうわぁぁ!!!」
楽団が演奏を止め、観客も何だ何だと注目する。ダンッと力強く踏み込んだニチカはビシッと言ってやった。
「いい加減にしてっ、誰の許可とって人の名前を騙ってるのよ!! しかもそんな恥ずかしい口上なんか述べてくれちゃって……これから先どういう顔して名乗ったらいいわけ!?」
「訳がわかりませんわ、一体全体あなたはどこのどなたですの?」
成りすまし少女はとぼけた顔をする。完全に頭に血がのぼったニチカは感情のままに叫んだ。叫んでしまった。
「だからっ、私が本当の精霊の巫女で、ニチカなの!!」
一瞬シン……と静まり返った会場は、一拍おいて爆発するような笑いに包まれる。自分が笑われているのだと分かった瞬間、ニチカの顔はカァァーっと赤く染まっていった。
「な、なっ……」
「冗談はおよしなさいな。わたくしが正真正銘、精霊の巫女ニチカですわ。ねぇ、そうでしょう? みなさん」
笑いすぎて涙まで滲ませる偽物は、自信たっぷりに自分の胸に手をあてた。ここまで来たらもう引けない、ニチカは拳を握りしめ反論した。
「違うっ、私がニチカ!」
「貴女のどこが!?」
観衆の声援を受け、手を振っていた偽物は勝ち誇ったように言った。
「そのまるっちくてパッとしない顔!」
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グサグサグサッ
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確かにこの偽物は美人で華があり、プロポーションは出るとこ出て引っ込むとこは引っ込んでいる。背もすらりとしてモデルのようだ。絶対に隣に並べられたくない人物である。赤髪の美少女は腰に手をあて口元に甲を添える、いわゆるお嬢様笑いをした。
「おーっほっほ、どこぞの村娘ですの? ダサッ、ダサッ、超ぉ超ぉちょおおおダサですわ!」
その隣に進んで飛び出してしまったニチカは膝から崩れ落ちた。どこをとっても勝てるところがない……世の中は不公平である。ここでニヤリと笑った偽物はまたもわざとらしい演技を始めた。
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「えっ、ちょっと!?」
偽物の悲鳴に、屈強な村の男たちがステージ脇から上がってくる。逃げる間もなくニチカは捕らえられてしまった。
「巫女さまを狙うなんて太ぇ野郎だ」
「違うの私はっ……」
必死に弁解しようとするが、その前に偽巫女が叫んだ。
「杖を持ってるところを見ると魔導師ですのね? それも取り上げて!!」
「あっ!」
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