錬金チート開拓記 ~国に捨てられた俺、前世の知識と万能の錬金術で自由気ままな辺境暮らしを楽しむ~

六志麻あさ

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4 錬金術で城を作ったけれど――

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 俺がイメージした通りの、天を突くような尖塔を持つ西洋風の豪奢な城だ。

 白く輝く壁に、青い屋根。

 まさに理想の城だった。

「この城が、これからの俺のマイホームだ……やったぞ!」

 前世の俺が見たら、腰を抜かすに違いない。

 こんな家に住むことなんて、絶対にあり得なかったからだ。

 俺はこみ上げてくる感動に、しばらく打ち震えていた。

「内装とか、家具とか、まだまだ考えなきゃいけないことはたくさんあるけど――とりあえず中に入るか……ん?」

 その時だった。

 完成したばかりの城が、ぐらりと不自然に揺れた。

 いや、振動している。

 グラグラと小刻みに揺れ、壁にピシリと亀裂が入るのが見えた。

 まずい。

 と思った瞬間、城の中心にあった一番太い柱が、メキメキと嫌な音を立てて折れた。

 それによって、城は一気にバランスを失う。

「あーっ!」

 俺の悲鳴もむなしく、城はまるで砂の城のように、ガラガラと大きな音を立てて崩れ落ちていった。

 あっという間の出来事だった。

 後には、大量の瓦礫の山が残されただけだ。

「うーん……素人知識でガワだけ作ってもダメか」

 どうやら、建築というものを甘く見ていたらしい。

 頑丈そうに見えても、構造計算とか、そういう専門的な知識がなければ、ただのハリボテにしかならないということか。

 俺は瓦礫の山を前にして、ガックリと肩を落とした。

 といっても、俺に建築の知識なんてあるわけがないし……。

 これからどうしようかと、途方に暮れていると。

「えっ、何このお城……!?」

 不意に、澄んだ声が聞こえた。

 驚いたような、それでいて少し楽しそうな響きだった。

 俺ははっとして振り返る。

 そこには、一人の少女が立っていた。

 長く透き通るような銀色の髪に、緑色の瞳。

 そして、特徴的な長く尖った耳。

 その姿から、彼女がエルフだということがすぐに分かった。

 何より、息をのむほどに整った顔立ちをした、絶世の美少女だった――。

「私はサーラ。種族はエルフ」

 少女が名乗った。

 感情の起伏が読みにくい淡々とした口調だ。

「俺はナッシュだ。よろしく」

 名乗り返す俺。

「すごい音がしたから来た」

 サーラの視線は、俺の背後にある瓦礫の山に向けられていた。

 さっき城が崩れ落ちた轟音を聞きつけてやって来たらしい。

「城、作りたかったの?」
「ああ。自分だけの家が欲しくてな。だけど、見ての通りさ」

 俺は苦笑交じりに説明した。

「俺には建築の知識が全然なくて、大失敗してしまったんだ」

 サーラは瓦礫の山をじっと見つめ、それから俺に視線を戻した。

「不思議な魔法。物質の要素を組み替えて別の物質を生み出した……?」
「ん? これは錬金術だ」

 説明する俺。

「錬金……術?」

 サーラは不思議そうに首をかしげた。

「知らないのか」

 意外だった。

 エルフといえば、人間よりもずっと魔法に習熟し、魔力量も人間をはるかにしのぐ種族だ。

 そのエルフ族が錬金術を知らない、というのは意外だった。。

「ん。エルフ族の魔法体系には錬金術というのはない」

 と、サーラ。

「君の魔法は面白い」

 サーラは俺の錬金術に興味を惹かれたようだった。

 緑色の瞳が好奇心で輝いている。

「建築のことなら、一族の中に詳しい人がいる」
「本当か!」

 思わず、大きな声が出た。

 専門家の知識を借りられるなら、今度こそ頑丈な城が作れるかもしれない。

「あ、でも……協力してもらったり、教えを乞うのは無理だよな」

 エルフは人間を嫌い、自分たちの森に閉じこもって暮らす孤高の種族だと聞く。

 サーラが俺に話しかけてくれたのは、あくまでも気まぐれや好奇心の類だろう。

「エルフはあまり人間と関わらないんだろう?」
「会いたいなら、森まで連れていく」

 俺の予想に反して、サーラはそう提案してくれた。

「えっ、いいのか? エルフの森に、俺が入っても」
「他のエルフたちも、みんな興味津々」

 サーラが説明する。

「君が来れば、みんな歓迎」
「歓迎か……」

 なら、行ってみようかな。

 勝手の分からないエルフの森に行くのは、多少の不安感がある。

 けれど、建築の知識はぜひとも手に入れたい。

 それにサーラも、別に人間を嫌ったり、敵対的な態度は取っていない。

「じゃあ、せっかくだから、案内してもらおうかな」
「ん」

 俺が答えると、サーラは小さくうなずいた。



 俺はサーラに案内されて森の中に戻った。

 しばらく進むと、木々の間に奇妙な空間の歪みを見つける。

「ここが――」
「そう。エルフの森の入り口。結界が張られた場所」

 サーラが説明する。

「今から結界を解除する」
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