4 / 20
4 錬金術で城を作ったけれど――
しおりを挟む
俺がイメージした通りの、天を突くような尖塔を持つ西洋風の豪奢な城だ。
白く輝く壁に、青い屋根。
まさに理想の城だった。
「この城が、これからの俺のマイホームだ……やったぞ!」
前世の俺が見たら、腰を抜かすに違いない。
こんな家に住むことなんて、絶対にあり得なかったからだ。
俺はこみ上げてくる感動に、しばらく打ち震えていた。
「内装とか、家具とか、まだまだ考えなきゃいけないことはたくさんあるけど――とりあえず中に入るか……ん?」
その時だった。
完成したばかりの城が、ぐらりと不自然に揺れた。
いや、振動している。
グラグラと小刻みに揺れ、壁にピシリと亀裂が入るのが見えた。
まずい。
と思った瞬間、城の中心にあった一番太い柱が、メキメキと嫌な音を立てて折れた。
それによって、城は一気にバランスを失う。
「あーっ!」
俺の悲鳴もむなしく、城はまるで砂の城のように、ガラガラと大きな音を立てて崩れ落ちていった。
あっという間の出来事だった。
後には、大量の瓦礫の山が残されただけだ。
「うーん……素人知識でガワだけ作ってもダメか」
どうやら、建築というものを甘く見ていたらしい。
頑丈そうに見えても、構造計算とか、そういう専門的な知識がなければ、ただのハリボテにしかならないということか。
俺は瓦礫の山を前にして、ガックリと肩を落とした。
といっても、俺に建築の知識なんてあるわけがないし……。
これからどうしようかと、途方に暮れていると。
「えっ、何このお城……!?」
不意に、澄んだ声が聞こえた。
驚いたような、それでいて少し楽しそうな響きだった。
俺ははっとして振り返る。
そこには、一人の少女が立っていた。
長く透き通るような銀色の髪に、緑色の瞳。
そして、特徴的な長く尖った耳。
その姿から、彼女がエルフだということがすぐに分かった。
何より、息をのむほどに整った顔立ちをした、絶世の美少女だった――。
「私はサーラ。種族はエルフ」
少女が名乗った。
感情の起伏が読みにくい淡々とした口調だ。
「俺はナッシュだ。よろしく」
名乗り返す俺。
「すごい音がしたから来た」
サーラの視線は、俺の背後にある瓦礫の山に向けられていた。
さっき城が崩れ落ちた轟音を聞きつけてやって来たらしい。
「城、作りたかったの?」
「ああ。自分だけの家が欲しくてな。だけど、見ての通りさ」
俺は苦笑交じりに説明した。
「俺には建築の知識が全然なくて、大失敗してしまったんだ」
サーラは瓦礫の山をじっと見つめ、それから俺に視線を戻した。
「不思議な魔法。物質の要素を組み替えて別の物質を生み出した……?」
「ん? これは錬金術だ」
説明する俺。
「錬金……術?」
サーラは不思議そうに首をかしげた。
「知らないのか」
意外だった。
エルフといえば、人間よりもずっと魔法に習熟し、魔力量も人間をはるかにしのぐ種族だ。
そのエルフ族が錬金術を知らない、というのは意外だった。。
「ん。エルフ族の魔法体系には錬金術というのはない」
と、サーラ。
「君の魔法は面白い」
サーラは俺の錬金術に興味を惹かれたようだった。
緑色の瞳が好奇心で輝いている。
「建築のことなら、一族の中に詳しい人がいる」
「本当か!」
思わず、大きな声が出た。
専門家の知識を借りられるなら、今度こそ頑丈な城が作れるかもしれない。
「あ、でも……協力してもらったり、教えを乞うのは無理だよな」
エルフは人間を嫌い、自分たちの森に閉じこもって暮らす孤高の種族だと聞く。
サーラが俺に話しかけてくれたのは、あくまでも気まぐれや好奇心の類だろう。
「エルフはあまり人間と関わらないんだろう?」
「会いたいなら、森まで連れていく」
俺の予想に反して、サーラはそう提案してくれた。
「えっ、いいのか? エルフの森に、俺が入っても」
「他のエルフたちも、みんな興味津々」
サーラが説明する。
「君が来れば、みんな歓迎」
「歓迎か……」
なら、行ってみようかな。
勝手の分からないエルフの森に行くのは、多少の不安感がある。
けれど、建築の知識はぜひとも手に入れたい。
それにサーラも、別に人間を嫌ったり、敵対的な態度は取っていない。
「じゃあ、せっかくだから、案内してもらおうかな」
「ん」
俺が答えると、サーラは小さくうなずいた。
俺はサーラに案内されて森の中に戻った。
しばらく進むと、木々の間に奇妙な空間の歪みを見つける。
「ここが――」
「そう。エルフの森の入り口。結界が張られた場所」
サーラが説明する。
「今から結界を解除する」
白く輝く壁に、青い屋根。
まさに理想の城だった。
「この城が、これからの俺のマイホームだ……やったぞ!」
前世の俺が見たら、腰を抜かすに違いない。
こんな家に住むことなんて、絶対にあり得なかったからだ。
俺はこみ上げてくる感動に、しばらく打ち震えていた。
「内装とか、家具とか、まだまだ考えなきゃいけないことはたくさんあるけど――とりあえず中に入るか……ん?」
その時だった。
完成したばかりの城が、ぐらりと不自然に揺れた。
いや、振動している。
グラグラと小刻みに揺れ、壁にピシリと亀裂が入るのが見えた。
まずい。
と思った瞬間、城の中心にあった一番太い柱が、メキメキと嫌な音を立てて折れた。
それによって、城は一気にバランスを失う。
「あーっ!」
俺の悲鳴もむなしく、城はまるで砂の城のように、ガラガラと大きな音を立てて崩れ落ちていった。
あっという間の出来事だった。
後には、大量の瓦礫の山が残されただけだ。
「うーん……素人知識でガワだけ作ってもダメか」
どうやら、建築というものを甘く見ていたらしい。
頑丈そうに見えても、構造計算とか、そういう専門的な知識がなければ、ただのハリボテにしかならないということか。
俺は瓦礫の山を前にして、ガックリと肩を落とした。
といっても、俺に建築の知識なんてあるわけがないし……。
これからどうしようかと、途方に暮れていると。
「えっ、何このお城……!?」
不意に、澄んだ声が聞こえた。
驚いたような、それでいて少し楽しそうな響きだった。
俺ははっとして振り返る。
そこには、一人の少女が立っていた。
長く透き通るような銀色の髪に、緑色の瞳。
そして、特徴的な長く尖った耳。
その姿から、彼女がエルフだということがすぐに分かった。
何より、息をのむほどに整った顔立ちをした、絶世の美少女だった――。
「私はサーラ。種族はエルフ」
少女が名乗った。
感情の起伏が読みにくい淡々とした口調だ。
「俺はナッシュだ。よろしく」
名乗り返す俺。
「すごい音がしたから来た」
サーラの視線は、俺の背後にある瓦礫の山に向けられていた。
さっき城が崩れ落ちた轟音を聞きつけてやって来たらしい。
「城、作りたかったの?」
「ああ。自分だけの家が欲しくてな。だけど、見ての通りさ」
俺は苦笑交じりに説明した。
「俺には建築の知識が全然なくて、大失敗してしまったんだ」
サーラは瓦礫の山をじっと見つめ、それから俺に視線を戻した。
「不思議な魔法。物質の要素を組み替えて別の物質を生み出した……?」
「ん? これは錬金術だ」
説明する俺。
「錬金……術?」
サーラは不思議そうに首をかしげた。
「知らないのか」
意外だった。
エルフといえば、人間よりもずっと魔法に習熟し、魔力量も人間をはるかにしのぐ種族だ。
そのエルフ族が錬金術を知らない、というのは意外だった。。
「ん。エルフ族の魔法体系には錬金術というのはない」
と、サーラ。
「君の魔法は面白い」
サーラは俺の錬金術に興味を惹かれたようだった。
緑色の瞳が好奇心で輝いている。
「建築のことなら、一族の中に詳しい人がいる」
「本当か!」
思わず、大きな声が出た。
専門家の知識を借りられるなら、今度こそ頑丈な城が作れるかもしれない。
「あ、でも……協力してもらったり、教えを乞うのは無理だよな」
エルフは人間を嫌い、自分たちの森に閉じこもって暮らす孤高の種族だと聞く。
サーラが俺に話しかけてくれたのは、あくまでも気まぐれや好奇心の類だろう。
「エルフはあまり人間と関わらないんだろう?」
「会いたいなら、森まで連れていく」
俺の予想に反して、サーラはそう提案してくれた。
「えっ、いいのか? エルフの森に、俺が入っても」
「他のエルフたちも、みんな興味津々」
サーラが説明する。
「君が来れば、みんな歓迎」
「歓迎か……」
なら、行ってみようかな。
勝手の分からないエルフの森に行くのは、多少の不安感がある。
けれど、建築の知識はぜひとも手に入れたい。
それにサーラも、別に人間を嫌ったり、敵対的な態度は取っていない。
「じゃあ、せっかくだから、案内してもらおうかな」
「ん」
俺が答えると、サーラは小さくうなずいた。
俺はサーラに案内されて森の中に戻った。
しばらく進むと、木々の間に奇妙な空間の歪みを見つける。
「ここが――」
「そう。エルフの森の入り口。結界が張られた場所」
サーラが説明する。
「今から結界を解除する」
8
あなたにおすすめの小説
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める
月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」
あらすじ
ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。
目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。
「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」
渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。
ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!?
「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」
ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す!
……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!?
元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える!
異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~
eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」
王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。
彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。
失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。
しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。
「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」
ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。
その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。
一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。
「ノエル! 戻ってきてくれ!」
「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」
これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる