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第1章 呪われた村
5 呪われた村2
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かつて──神と邪神との間で長い戦いがあったという。
その戦いの末に、邪神は地の底に封印された。
だけど、封印は完全なものじゃなかった。
神はその補強のために、封印をもう一つ重ねることにした。
その封印こそが──、
「ジュデッカ村なんです」
と、ノエル。
「封印は『この村に一定以上の人間が生活していること』を条件に発動するそうです。ただここの地下深くには邪神がいるので、頻繁にモンスターが湧いてくるんです」
ノエルの表情は暗い。
「封印を発動するために、あたしたちはこの村から出られません。モンスターはしばらくすれば地下に引き上げていくので、それまで逃げるしかないんです」
それじゃ生け贄みたいじゃないか。
「軍に守ってもらうことはできないのか? あるいは冒険者に依頼するとか」
「国はこの村を見捨てています。邪神の手下に貴重な兵をぶつけて損耗したくないのでしょう。人員が減れば、また新たな者をこの村に送りこんできます……」
ノエルの表情がさらに暗くなった。
「冒険者を雇うだけのお金もありません」
「村の人口はどれくらいだ?」
「……500人ほどです」
つまり、それが国から見捨てられ、犠牲を強いられている人数か。
「今までに村の人たちが何人も犠牲になりました。あたしはもうそんなのは見たくなくて──剣の修業をして、みんなを守ろうって」
ノエルが凛々しい表情に戻り、告げた。
「戦えそうな人はあまりいませんし、あたしが少しでも力になれるなら──」
強い娘だ、と思う。
きっと、もともとは戦いと無縁の暮らしをしていたんだろうに。
「あ、ここが村長の家です」
前方に、周囲より一回り大きな屋敷が見えた。
「ノエル!」
と、一人の女性が飛び出してきた。
年齢は俺より一つ二つ年上くらいだろうか。
金色の髪を腰の辺りまで伸ばした、キリッとした感じの美人だ。
「村長、モンスターは倒されました。もう大丈夫です」
「お前が一人で倒したのか? 強くなったな……」
「あ、いえ、倒したのは、こちらの勇者様です」
俺を紹介するノエル。
「勇者様じゃないぞ」
「ほぼほぼ勇者様のカイル様です」
「ほぼほぼ勇者でもないんだが」
「じゃあ、ほぼほぼほぼほぼ勇者様くらい?」
「まず『勇者様』というワードを取り外そう」
「むむむ」
ノエルが悩むような表情を浮かべる。
「ともかく、あなたがモンスターを倒してくれた、ということか?」
女性が割って入った。
話を進めてくれて、助かる。
「私はジュデッカ村の村長代理を務めるクラウディア。モンスターを倒してくれたこと、村を代表して礼を言う。ありがとう」
深々と頭を下げる彼女──クラウディア。
「見たところ、冒険者のようだが?」
「……まあ、な」
「では相場に応じた報酬を払わせてもらいたい。ただ……その、貧しい村なのですぐに全額というのは難しい」
クラウディアがふたたび深々と頭を下げた。
「非常に申し訳ないが……今しばらく時間をいただければ、ありがたい」
「あたしも。できることがあれば、なんでもします、ほぼほぼほぼほぼ勇者様」
「勇者様ネタはそこまで引っ張らなくてもいいだろ」
ノエルにツッコむ俺。
それからクラウディアに向き直り、
「大層な報酬は別にいらない。俺はなりゆきで助けただけだし、冒険者としての仕事のつもりもなかったし」
「だが、村を救ってくれたあなたに、なんのお礼もないというのは」
「ええと、じゃあどこか泊まる場所を貸してくれ。実は行く当てもなくて」
「そんな程度でいいのか? いや、邪神の手下といえば、最低でもAランクモンスターだぞ。相場通りなら金貨数百枚以上の──」
確かに大金は魅力だけど、ノエルから村の事情を聞いちゃったしなぁ。
「あれだけの力がありながら、なんて奥ゆかしい要求」
ノエルが目を輝かせた。
「やはり、あなたは勇者様です」
「違うってのに」
「いえ、あたしはカイル様こそ勇者の称号にふさわしいと思います」
大げさだな、と思いつつ、悪い気分じゃなかった。
こんなふうに純粋に感謝されるのは、いつ以来だろう……。
その戦いの末に、邪神は地の底に封印された。
だけど、封印は完全なものじゃなかった。
神はその補強のために、封印をもう一つ重ねることにした。
その封印こそが──、
「ジュデッカ村なんです」
と、ノエル。
「封印は『この村に一定以上の人間が生活していること』を条件に発動するそうです。ただここの地下深くには邪神がいるので、頻繁にモンスターが湧いてくるんです」
ノエルの表情は暗い。
「封印を発動するために、あたしたちはこの村から出られません。モンスターはしばらくすれば地下に引き上げていくので、それまで逃げるしかないんです」
それじゃ生け贄みたいじゃないか。
「軍に守ってもらうことはできないのか? あるいは冒険者に依頼するとか」
「国はこの村を見捨てています。邪神の手下に貴重な兵をぶつけて損耗したくないのでしょう。人員が減れば、また新たな者をこの村に送りこんできます……」
ノエルの表情がさらに暗くなった。
「冒険者を雇うだけのお金もありません」
「村の人口はどれくらいだ?」
「……500人ほどです」
つまり、それが国から見捨てられ、犠牲を強いられている人数か。
「今までに村の人たちが何人も犠牲になりました。あたしはもうそんなのは見たくなくて──剣の修業をして、みんなを守ろうって」
ノエルが凛々しい表情に戻り、告げた。
「戦えそうな人はあまりいませんし、あたしが少しでも力になれるなら──」
強い娘だ、と思う。
きっと、もともとは戦いと無縁の暮らしをしていたんだろうに。
「あ、ここが村長の家です」
前方に、周囲より一回り大きな屋敷が見えた。
「ノエル!」
と、一人の女性が飛び出してきた。
年齢は俺より一つ二つ年上くらいだろうか。
金色の髪を腰の辺りまで伸ばした、キリッとした感じの美人だ。
「村長、モンスターは倒されました。もう大丈夫です」
「お前が一人で倒したのか? 強くなったな……」
「あ、いえ、倒したのは、こちらの勇者様です」
俺を紹介するノエル。
「勇者様じゃないぞ」
「ほぼほぼ勇者様のカイル様です」
「ほぼほぼ勇者でもないんだが」
「じゃあ、ほぼほぼほぼほぼ勇者様くらい?」
「まず『勇者様』というワードを取り外そう」
「むむむ」
ノエルが悩むような表情を浮かべる。
「ともかく、あなたがモンスターを倒してくれた、ということか?」
女性が割って入った。
話を進めてくれて、助かる。
「私はジュデッカ村の村長代理を務めるクラウディア。モンスターを倒してくれたこと、村を代表して礼を言う。ありがとう」
深々と頭を下げる彼女──クラウディア。
「見たところ、冒険者のようだが?」
「……まあ、な」
「では相場に応じた報酬を払わせてもらいたい。ただ……その、貧しい村なのですぐに全額というのは難しい」
クラウディアがふたたび深々と頭を下げた。
「非常に申し訳ないが……今しばらく時間をいただければ、ありがたい」
「あたしも。できることがあれば、なんでもします、ほぼほぼほぼほぼ勇者様」
「勇者様ネタはそこまで引っ張らなくてもいいだろ」
ノエルにツッコむ俺。
それからクラウディアに向き直り、
「大層な報酬は別にいらない。俺はなりゆきで助けただけだし、冒険者としての仕事のつもりもなかったし」
「だが、村を救ってくれたあなたに、なんのお礼もないというのは」
「ええと、じゃあどこか泊まる場所を貸してくれ。実は行く当てもなくて」
「そんな程度でいいのか? いや、邪神の手下といえば、最低でもAランクモンスターだぞ。相場通りなら金貨数百枚以上の──」
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「やはり、あなたは勇者様です」
「違うってのに」
「いえ、あたしはカイル様こそ勇者の称号にふさわしいと思います」
大げさだな、と思いつつ、悪い気分じゃなかった。
こんなふうに純粋に感謝されるのは、いつ以来だろう……。
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