34 / 46
第3章 俺たちの楽園
2 ジュデッカランド
しおりを挟む
「すっかり見違えたな」
俺はジュデッカ村の守りの要ともいえる各種防衛兵器を見つめていた。
ランク5の竜雷鳳牙砲塔とオリハルコンゴーレム警護兵。
ランク4の監視型千魔眼に幻影照射鏡。
ランク3の魔刃トラップ、特大落とし穴、迷彩鉄球。
──などなど。
村を守る兵器群は量も種類も、かなり増えていた。
もはや要塞だ。
今挙げた兵器は、いずれも以前の創生物リストにはなかったもの。
リストの内容は、どうやら随時変わっていくらしい。
今までの傾向からすると、同じ種類の創生物をいくつか作ると、リストに新たな創生物が追加されるようだ。
だいたいは、たとえば防衛兵器なら防衛兵器、武器なら武器、便利道具なら便利道具──と同系統だが、別系統のものが突然追加されることもあり、その法則はまだ不明だった。
どっちにせよ、村の防衛システムで敵を撃退するたびに貯まるポイントや、地道な善行で増えていくポイントを使い、それを村に還元。
その行為が善行としてポイントに加算され、ポイントがポイントを呼ぶ状態だ。
さらに、ときどきボーナスポイントというのが振りこまれる。
強い敵を倒したり、大勢の人に喜びを与えたりしたときに、これが入るらしいが、こっちも仕組みが不明な部分はある。
「もう難攻不落ですね」
「いや、煉獄騎士やアグエルみたいな最上位配下が攻めてきたら、盤石とはいえない。奴らの中には、アグエル以上もいるらしいし」
隣で微笑むノエルに、俺は首を振った。
「とはいえ、かなり安全度は上がっただろうな」
「ええ」
「だから、そろそろ防衛以外のことにも──もっとポイントを割り振ろうと思う」
「防衛以外のこと?」
「食糧事情も改善したし、次は娯楽かなぁ。生活必需品もそうだけど、やっぱり日常で楽しいって思えることは、生活の張りにつながる」
たずねるノエルに応える俺。
「三カ月くらい前に、いつかここが観光名所になったら……なんて話をノエルやクラウディアとしただろ? それでちょっと思いついたんだ」
この三カ月で貯めた善行点は100万を超えている。
それらを贅沢に使用し、大勢の人たちが楽しめる遊具を作り出した。
その一例を挙げると、
ジュデッカスカイツリー:ランク4。高さ数百メートルという巨大な塔。頂上までは魔導制の昇降機で楽に行き来でき、そこからの絶景を楽しめる。
ジェットコースター:ランク4。高低差のあるコースを高速で駆け抜ける魔導筐体。そのスリルとスピード感は一度味わうと病みつき。
観覧車:ランク3。車輪のような回転式の枠に取り付けられたゴンドラに乗り、ゆっくりと景色を楽しむことができる。最高点は二十メートルほど。
お化け屋敷:ランク3。巨大な屋敷内に配置された、数々のモンスターやトラップ。君はゴールまでたどり着くことができるか? 運がよければレアモンスターにも会えるぞ!
とりあえず、こんな感じで作ろうと思っている。
村から一キロほど離れたところに空いている土地があったから、そこを使うことにした。
村の中に作ると、万が一邪神の手下やモンスターが襲撃してきたら大変だからな。
いちおう野良モンスターに備えて、各種の防衛兵器も一緒に並べておくことにする。
荒れた地面は、サーシャに竜を呼んでもらい、ドラゴンブレスで吹っ飛ばした。
そのあとはマキナが魔法でおおざっぱに整地し、仕上げは俺たち全員で地面をならす。
それから配置していった。
「名づけてジュデッカランドだ!」
十二の遊具が並ぶ南部エリアを見て、俺は満足に浸った。
「そのまんま過ぎない? ひねりが皆無だよ」
サーシャから即座に駄目だしされた。
その隣でノエルが、
「あたしはいいと思います。素敵なネーミングです」
「ですよね、ノエル様! 私もすごくいいと思っていました!」
こいつ、ノエルが言うとコロッと態度を変えるな。
──で、さっそく村の人たちに楽しんでもらった。
「スカイツリーから見る景色はいいのう。王都までバッチリ見えるわい」
「ジェットコースターってのか? あれ、すげーな!」
「観覧車で旦那と一緒にゆっくり過ごしたけど、久々に恋人時代を思い出したよ、ふふ」
「お化け屋敷なんて、こ、怖くねーし……うう」
おおむね好評みたいだ。
最近では評判を聞いた近隣の都市、さらにもっと遠方から訪れる人もちらほらと現れ始めている。
村には、今までよりも活気が満ちてきた感じだ。
俺はジュデッカ村の守りの要ともいえる各種防衛兵器を見つめていた。
ランク5の竜雷鳳牙砲塔とオリハルコンゴーレム警護兵。
ランク4の監視型千魔眼に幻影照射鏡。
ランク3の魔刃トラップ、特大落とし穴、迷彩鉄球。
──などなど。
村を守る兵器群は量も種類も、かなり増えていた。
もはや要塞だ。
今挙げた兵器は、いずれも以前の創生物リストにはなかったもの。
リストの内容は、どうやら随時変わっていくらしい。
今までの傾向からすると、同じ種類の創生物をいくつか作ると、リストに新たな創生物が追加されるようだ。
だいたいは、たとえば防衛兵器なら防衛兵器、武器なら武器、便利道具なら便利道具──と同系統だが、別系統のものが突然追加されることもあり、その法則はまだ不明だった。
どっちにせよ、村の防衛システムで敵を撃退するたびに貯まるポイントや、地道な善行で増えていくポイントを使い、それを村に還元。
その行為が善行としてポイントに加算され、ポイントがポイントを呼ぶ状態だ。
さらに、ときどきボーナスポイントというのが振りこまれる。
強い敵を倒したり、大勢の人に喜びを与えたりしたときに、これが入るらしいが、こっちも仕組みが不明な部分はある。
「もう難攻不落ですね」
「いや、煉獄騎士やアグエルみたいな最上位配下が攻めてきたら、盤石とはいえない。奴らの中には、アグエル以上もいるらしいし」
隣で微笑むノエルに、俺は首を振った。
「とはいえ、かなり安全度は上がっただろうな」
「ええ」
「だから、そろそろ防衛以外のことにも──もっとポイントを割り振ろうと思う」
「防衛以外のこと?」
「食糧事情も改善したし、次は娯楽かなぁ。生活必需品もそうだけど、やっぱり日常で楽しいって思えることは、生活の張りにつながる」
たずねるノエルに応える俺。
「三カ月くらい前に、いつかここが観光名所になったら……なんて話をノエルやクラウディアとしただろ? それでちょっと思いついたんだ」
この三カ月で貯めた善行点は100万を超えている。
それらを贅沢に使用し、大勢の人たちが楽しめる遊具を作り出した。
その一例を挙げると、
ジュデッカスカイツリー:ランク4。高さ数百メートルという巨大な塔。頂上までは魔導制の昇降機で楽に行き来でき、そこからの絶景を楽しめる。
ジェットコースター:ランク4。高低差のあるコースを高速で駆け抜ける魔導筐体。そのスリルとスピード感は一度味わうと病みつき。
観覧車:ランク3。車輪のような回転式の枠に取り付けられたゴンドラに乗り、ゆっくりと景色を楽しむことができる。最高点は二十メートルほど。
お化け屋敷:ランク3。巨大な屋敷内に配置された、数々のモンスターやトラップ。君はゴールまでたどり着くことができるか? 運がよければレアモンスターにも会えるぞ!
とりあえず、こんな感じで作ろうと思っている。
村から一キロほど離れたところに空いている土地があったから、そこを使うことにした。
村の中に作ると、万が一邪神の手下やモンスターが襲撃してきたら大変だからな。
いちおう野良モンスターに備えて、各種の防衛兵器も一緒に並べておくことにする。
荒れた地面は、サーシャに竜を呼んでもらい、ドラゴンブレスで吹っ飛ばした。
そのあとはマキナが魔法でおおざっぱに整地し、仕上げは俺たち全員で地面をならす。
それから配置していった。
「名づけてジュデッカランドだ!」
十二の遊具が並ぶ南部エリアを見て、俺は満足に浸った。
「そのまんま過ぎない? ひねりが皆無だよ」
サーシャから即座に駄目だしされた。
その隣でノエルが、
「あたしはいいと思います。素敵なネーミングです」
「ですよね、ノエル様! 私もすごくいいと思っていました!」
こいつ、ノエルが言うとコロッと態度を変えるな。
──で、さっそく村の人たちに楽しんでもらった。
「スカイツリーから見る景色はいいのう。王都までバッチリ見えるわい」
「ジェットコースターってのか? あれ、すげーな!」
「観覧車で旦那と一緒にゆっくり過ごしたけど、久々に恋人時代を思い出したよ、ふふ」
「お化け屋敷なんて、こ、怖くねーし……うう」
おおむね好評みたいだ。
最近では評判を聞いた近隣の都市、さらにもっと遠方から訪れる人もちらほらと現れ始めている。
村には、今までよりも活気が満ちてきた感じだ。
13
あなたにおすすめの小説
最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな
・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー!
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】
付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。
だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。
なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!
《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。
そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!
ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!
一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!
彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。
アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。
アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。
カクヨムにも掲載
なろう
日間2位
月間6位
なろうブクマ6500
カクヨム3000
★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる