冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る

六志麻あさ

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第3章 俺たちの楽園

14(最終話) いつか、楽園に

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 俺はその日、ノエルを誘ってみた。

「お食事、ですか?」

 ……念のために言うが、別に下心があるわけじゃない。
 純粋な感謝からだ。

 確かにノエルは美少女なんだけど、俺にとっては一番身近な仲間っていうか、相棒みたいな感覚が強い。
 この村で最初に出会って、村の誰よりも一緒に過ごしている。

 あらたまって礼を言うのは照れくさいので、食事という形にしてみたのだ。

「ノエルには普段から何かと世話になってるからな」

 いや、これはこれでけっこう照れるな。
 とはいえ、やはり感謝の気持ちは伝えておきたい。
 と──、

「そ、そそそそそれは、もしや世間一般でいうところの『でえと』というものではっ?」

 いきなりノエルの顔が真っ赤になった。

「ん? そうなるのか?」

 まあ、男女でどこかに遊びに行ったり、一緒に過ごしたり──デートといえば、デートか。

「でえと……カイル様と、でえと……!」

 なぜかノエルの目がキラキラし始める。
 ぷしゅーっと息を吐き出した。

 おい、どうしたノエル?
 様子が変だぞ……?

「いや、まあ、一緒に飯食うだけだし、あまり大げさに考えなくても──」
「行きますっ。もちろんっ。喜んでっ!」

 めちゃくちゃ乗り気だった。

「お、おう……じゃあ、いつがいい?」



「んまーい!」

 俺は村で一番高い食堂(といっても、食堂自体が数件しかないのだが)にノエルを連れてきた。
 当然、俺の全額オゴリだ。

 ノエルも最初は遠慮したのだが、俺が再三言って、ようやくオゴリを承諾してくれた。

 で、最初の台詞である。

 ノエルはすっかりご満悦の様子だった。
 テーブルに並ぶ新鮮な肉を、野菜を、スープを、次々と平らげていく。

 育ちざかりなんだなぁ、という食べっぷりと、それでいて気品を失わないテーブルマナー。

 そういえば、ノエルって王女様だもんな。
 どことなく食べ方に品がある。

「いつもありがとうな。お前に色々と助言をもらったり、善行を積むときもしょっちゅう付き合ってもらったり……感謝している」

 俺は緊張気味に、一気に言い切った。
 やっとあらたまって感謝の気持ちを伝えられた。

「いえ、そんなっ」

 ノエルはたちまち顔を赤くした。

「あたしこそ感謝しています。カイル様は何度も村を救ってくださいましたし」
「村の一員なんだから、当たり前だろ」
「この村は、あたしにとって大切な場所です。そこを守ってくださったカイル様には、いくらお礼を言っても足りません。あたしは……」

 ふいに、ノエルがうつむいた。

「……ノエル?」

 普段の明るい表情にわずかな陰が差す。

「あたしの故国──ディフレイム王国は宮廷内の争いが激しく、大臣たちや、ときには王族が謀殺されることも珍しくありませんでした。母も……そうやって犠牲になった一人です」

 淡々と語り出すノエル。
 こんな表情の彼女は、初めて見た。

「母の一派が、あたしにまで累が及ぶことを恐れ、ジュデッカ村に送ったのです。ここまでは王国も追ってこない、と」

 ノエルが言って、小さく笑った。
 初めて目にする、彼女の自嘲的な笑み。

「母に恩義を感じていた者たちが、あたしを助けようとしてくれた──そう思っていました。でも違いました。彼らは、そして父はあたしを捨て駒として利用しただけでした。ディフレイムの王女は世界のため、自ら志願して『呪われた村』に出向いた、と」
「それって──」
「我が身の危険を顧みず、人知れず封印の地に住まう──あたしの行為は、一般には知らされなかったのですが、近隣の王族にだけはそう伝えられました。彼らは『ディフレイム王女の気高い行為』に感銘したようです。父も、あたしをここに送った者たちも、最初からそれが狙いで……」

 ノエルの体が震えていた。
 悲しさなのか、悔しさなのか。
 あるいは、もっと複雑な感情なのか。

「ノエル、もういい」

 俺は静かに告げて、彼女の肩に手を置いた。

「……ごめんなさい。せっかくのお食事なのに、こんな話をしてしまって」

 顔を上げたノエルは──少しだけ切ない表情を浮かべつつも、いつものように笑っていた。
 どこか痛々しい笑顔だったけれど。

「別に悲嘆に暮れているわけじゃないですからね。あたし、この村に来てよかったと思っています。みんなと出会えて、本当によかったです」

 ノエルは笑顔で俺を見つめる。

「ううん、カイル様だけじゃない。みんなと一緒に楽しく過ごして──あたしは本当に幸せです。毎日が、幸せです」

 そんな幸せが、もっといろんな人に広まっていけばいいな。
 俺は心からそう思う。

 俺が神様ミルからもらったスキルは、きっとそのためのものなんだろう。
 万物創生のスキルは、たくさんの人たちに喜びを作り出す力だと──。

 そう、思う。



 そして、今日も──。
 俺はジュデッカ村での生活スローライフを続けていく。

 一人、また一人とにぎやかな村人が増えていく中で。
 ここが昨日より今日、今日よりも明日──楽しい場所になっていけばいいな、と願いながら。

 いつか、この村が楽園と呼ばれることを願いながら。


                       【完】
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みんなの感想(18件)

龍牙王
2018.10.25 龍牙王

マキナ、ゲームにハマったか!W

2018.10.25 六志麻あさ

エルフ少女はゲーマーになったのだ……!w

解除
キリン
2018.08.03 キリン

昔見たヒーロー系のアニメがごった煮状態で面白かったです!  特に最後等辺なんてダイの大冒険を彷彿とさせる話でしたし、他にも堕天使覚醒シーン等はドラゴンボールの怒りによってパワーアップするシーンを思いだし燃えました。


ただ村の中だけで完結してたり、駆け足連載に成ってる為にフラグ未回収が多くて不完全燃焼的な造りと、幾つか問題点が残ったままなのが残念でした。
村の中だけでって点は村中心だから仕方がないにしても、フラグの方はどうにかして欲しかったです。

恋愛フラグは勿論ですが、創造の神と接触しておいてあれだけとか、せめて恋愛と邪神関連の結果をもう少しだけでも残してから終わってくれたらと、勝手ながら読んでて思いました。


今後の執筆予定は未定との事ですが、次回執筆の際には其処の辺りを気にかけてくれると有り難いです(;^_^A



では長々と失礼しましたm(_ _)m

2018.08.03 六志麻あさ

ありがとうございます(*´∀`*)
最後らへんは駆け足気味に終わったため、フラグ関係は確かに投げっぱなしエンド感はありますね……長めに連載しているお話については、その辺はクリアするよう心掛けているつもりなのですが……引き続きがんばります~!

解除
たみよし
2018.07.21 たみよし

おもしろかったです!
この先の続編などを出す気はありますか?

2018.07.21 六志麻あさ

ありがとうございます(*´∀`*)
現状では続編の予定は未定ですが、続けようと思えばいくらでも続けられる作りにはなっているので、気が向いたら続きを書くかもしれません……!

解除

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