不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ

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第4章 勇者の日常

14 VS中位魔族2

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「ぐっ、がっ、あああっ……」

 連撃の後、ギシュリは弱々しい声とともに動かなくなった。
 まさに、先手必勝だ。

「まだ、だあぁっ……!」

 突然、ギシュリの全身から緑色の魔力光があふれた。

「くっ……」

 俺は慌てて跳び下がり、その衝撃を殺す。

「はあ、はあ、はあ……」

 ギシュリが弱々しく立ち上がった。

「調子に乗るんじゃねーぞ、人間が……」

 怒りの声を上げる魔族。

「まだ戦う気か? お前じゃ、俺には勝てない」
「ああ、確かにてめーのほうが強い」

 ギシュリが笑った。
 まるで勝ち誇るように。

 こいつ……!?

「【捧げる魂】【捧げる血肉】【召喚儀式】!」

 ギシュリは両手を高々と掲げた。

 これは──スキルの複合発動!?

 るおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!

 扉の向こうから、咆哮が響いた。
 同時に、まばゆい閃光があふれる。

「てめーはすでに勇者の力に目覚めてるらしいな。それは誤算だった──だが、こいつにはかなわねぇ!」

 笑いながらギシュリの体が黒い塵と化した。

 自らの血肉と魂を捧げ、強大な魔獣を召喚する──スキル複合発動によって。

 そして、四足獣のシルエットが出現する。
 扉の向こうからあふれた光が、実体化したのだ。

 全身が黒い鱗に覆われ、狼に似た顔を持つ獣。

 全長は二メートルほど。
 魔獣としては、かなり小さい部類だ。

 だけど、その全身から放つプレッシャーは、先日のレッサーデーモンやギシュリの比じゃない。

「こいつ……は……っ!」

 俺は、ぎりっ、と奥歯を噛みしめた。

 魔王軍との戦いで、散々苦しめられた相手だった。

 その戦闘力は、高位魔族にすら匹敵する──。

 災禍さいか級魔獣。
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