51 / 234
社交シーズン春①
伯爵 帰る
しおりを挟む
ようやく王都での社交を終えて、オールポート領へ帰る日がきた。
ま、まあ、社交つっても夜会で何人かおっさんと挨拶したあと、手紙を出したぐらいだけどさ。
兄上であるハーディング侯爵とは、夜会のあとも領地経営のアドバイスや共同事業、人材補充についてこまめに文のやりとりを交わしている。
いや、兄ちゃんさ……セシル君大好きなのはわかったから、毎日手紙を送ってくんなよ。
その、些か重い愛情の賜物で、ホテルの従業員以外にも人材をわんさかと紹介してくれた。その者たちは直接オールポート領へ行っているから、俺とは現地で会うことになるだろう。
ちょっとハーディング領の領民がこちらに流れてくるのもどうかなぁ? と危惧していたが、ほとんどが「オールポート領はヤバい」と住んでいた地を離れていった元領民なので、Uターン組と言っていいだろう。
おかげで、役所の慢性人手不足のブラック臭プンプンの状態も緩和できそうでクラークも喜ぶな。ただ、俺がそっちに帰ったら西側領地のテコ入れが本格的に始まるから、あいつは休めないかも。……ま、しょうがないか!
クレモナ商店街にもカフェ店とパン屋が開店できる。店をトビーたちの希望通りに改装している間は、トビーたちの認知度を高めるために広場に屋台を出してもらう。
そこで人気のメニューを店で提供すればいいし。お客の意識調査もできて一石二鳥だぜ。
改装するのはオールポート領の大工に頼む。もちろん、西側領地に造る予定の工場と職員の寮と託児所と高齢者用の住居もだ。
領内を潤すために、領内で経済を回さないとね。
あ……そうそう、税金の問題もあったな。兄上からの助言を活かしてクラークたちと話し合い、早急に決めなければ。
フンフンッとこれからの計画を考えて興奮している俺に、対面に座っているベンジャミンは冷めた目を向ける。
「なんだよ?」
「いいえ。これまで停滞していた……いいえ没落一歩手前だったオールポート領も、活気づくなと思いまして」
ベンジャミンは冷めた目を俺に向けたまま、俺がポロポロと口から零すアイデアを商業ギルドの申請書に書き込んでいく。
悪かったよ。書類仕事を全部丸投げして。
「忙しくなると思うけど、協力してくれよ。シャーロットちゃんの後継者教育や淑女教育もあるし……」
淑女教育については兄上が家庭教師を手配してくれた。正確には兄上の伴侶である誰かさんがだ。
どうも、家族に結婚を反対されたのを、唯一人俺だけが賛成して父上たちを説得したらしい。
そのため、兄上の奥さんも俺には好意的。今度、オールポート領を訪れるときは奥さんも子どもも連れて来るって約束してくれた。
子ども……俺の甥っ子トレヴァー・ハーディング君、御年10歳。
うわああああっ、楽しみだなぁ。シャーロットちゃんにとっても従弟だし、仲良くなれればいいな。
「ハーディング侯爵のパートナー様は社交界で有名でございます。有名なデザイナーで、デザインしたドレスは王家の方々も御愛用だとか」
「マジか? 王家御用達じゃん」
兄上の奥さんすっげえな! でも、なんで結婚反対されたんだろう?
毒親の母親ならまだしも、父上も反対してたっつーし?
「それは、ハーディング侯爵様にお聞きください」
ベンジャミンはコホンとわざとらしく咳払いすると、手元の書類へ集中するフリをする。
なんだよーっ、ケチんぼ。俺、記憶喪失設定なんだぞ? 実家のことなんてこれっぽっちも知らないつーの。
俺は頬を少し膨らまし、馬車の窓から代わり映えのしない草原の風景を眺めることにした。
王都からほど近いオールポート領。
俺の巨体に怯える馬も頑張って馬車を牽き、帰ってきました我が屋敷!
屋敷の前には、ディーンが単騎で先触れ行ってくれたからか、使用人たちが並んで出迎えてくれる。
ライラとマリーの姿があり、ジャコモもコック帽を片手に立っていた。
少し離れたところに庭師の爺ちゃんの家族。爺ちゃんには王都土産とは別に花の種やら苗やらを買ってきたからシャーロットちゃんと庭造りを頑張ってほしい。
ピシッと緊張した面持ちで立っているのはノーマンだ。
ベンジャミンもディーンも不在の中、不安なこともあっただろうが、よく留守を守ってくれた。ちゃんと褒めてあげないとな。ベンジャミンは決して褒めないだろうし。
そして、胸の前で両手を祈るように握っているシャーロットちゃん。
少しは体力がついたかな? ちゃんとお肉を食べて運動しているかな? 随分と表情が柔らかくなってお肌もツヤツヤになったと思うけど。
……俺、白豚がいなくて淋しいって思ってくれたかな?
俺のこと家族だって思う日はあったかな?
ほんの少し離れていただけなのに、俺の中には不安な気持ちがあるみたいだ。
自分の「気」は見えないけど、きっと例のグレー色の水玉模様が俺の「気」に混じっているはず。
ガタンと大きく揺れて馬車が止まる。先に下りたベンジャミンが手を差し出す。
その手をしっかりと握って、ゆっくりと馬車を下りると、使用人たちは一斉に頭を下げた。
「「「お帰りなさいませ、セシル様」」」
うわーっ、なんか、グッとくる。俺……ちょっとは認めてもらえたかな?
白豚が情けなくも厚い脂肪が乗った瞼の裏で目を熱くし口元をブルブルと震わせていると、シャーロットちゃんが一歩前に出てくる。
「お帰りなさいませ、お父様」
いい子ーっ! 本当にこの子はいい子だよーっ! ずっと放っておいた白豚パパなのに、そのまま王都に行って帰ってくんなクソジジイって言われても仕方ないのに。
ハニカミながらの「お帰りなさい」って、全世界の父親が切望するシチュエーション!
感動で胸がいっぱいになるよおぉぉぉぉぉっっっっっ!
「た、ただいま。シャーロットちゃん。みんな」
俺の後ろに控えて立つベンジャミンもディーンも。イヤイヤながらも世話をしてくれたメイも。本当にありがとう!
ジーンと感動している俺に、さらに嬉しい言葉が。
「お父様……少しお痩せになられましたか? 顔のラインがはっきりしてきました」
「そおおおおおぉぉぉぉぉぉ? 本当に? いやったあぁぁぁぁぁぁぁい!」
ひゃっほう! と喜んで終わればよかったのに……。
「えー、そうですか? 毎日見ているとわからないですけどね? シャーロット様の目の錯覚では?」
ディーン、お前……しばらく禁酒でもしてろっ!
☆☆☆☆☆
エール、いいね!、お気に入り登録、本当にありがとうございます!
お気に入りが300を越えました! びっくりです。
更新頑張りますので、引き続きお楽しみください。
ま、まあ、社交つっても夜会で何人かおっさんと挨拶したあと、手紙を出したぐらいだけどさ。
兄上であるハーディング侯爵とは、夜会のあとも領地経営のアドバイスや共同事業、人材補充についてこまめに文のやりとりを交わしている。
いや、兄ちゃんさ……セシル君大好きなのはわかったから、毎日手紙を送ってくんなよ。
その、些か重い愛情の賜物で、ホテルの従業員以外にも人材をわんさかと紹介してくれた。その者たちは直接オールポート領へ行っているから、俺とは現地で会うことになるだろう。
ちょっとハーディング領の領民がこちらに流れてくるのもどうかなぁ? と危惧していたが、ほとんどが「オールポート領はヤバい」と住んでいた地を離れていった元領民なので、Uターン組と言っていいだろう。
おかげで、役所の慢性人手不足のブラック臭プンプンの状態も緩和できそうでクラークも喜ぶな。ただ、俺がそっちに帰ったら西側領地のテコ入れが本格的に始まるから、あいつは休めないかも。……ま、しょうがないか!
クレモナ商店街にもカフェ店とパン屋が開店できる。店をトビーたちの希望通りに改装している間は、トビーたちの認知度を高めるために広場に屋台を出してもらう。
そこで人気のメニューを店で提供すればいいし。お客の意識調査もできて一石二鳥だぜ。
改装するのはオールポート領の大工に頼む。もちろん、西側領地に造る予定の工場と職員の寮と託児所と高齢者用の住居もだ。
領内を潤すために、領内で経済を回さないとね。
あ……そうそう、税金の問題もあったな。兄上からの助言を活かしてクラークたちと話し合い、早急に決めなければ。
フンフンッとこれからの計画を考えて興奮している俺に、対面に座っているベンジャミンは冷めた目を向ける。
「なんだよ?」
「いいえ。これまで停滞していた……いいえ没落一歩手前だったオールポート領も、活気づくなと思いまして」
ベンジャミンは冷めた目を俺に向けたまま、俺がポロポロと口から零すアイデアを商業ギルドの申請書に書き込んでいく。
悪かったよ。書類仕事を全部丸投げして。
「忙しくなると思うけど、協力してくれよ。シャーロットちゃんの後継者教育や淑女教育もあるし……」
淑女教育については兄上が家庭教師を手配してくれた。正確には兄上の伴侶である誰かさんがだ。
どうも、家族に結婚を反対されたのを、唯一人俺だけが賛成して父上たちを説得したらしい。
そのため、兄上の奥さんも俺には好意的。今度、オールポート領を訪れるときは奥さんも子どもも連れて来るって約束してくれた。
子ども……俺の甥っ子トレヴァー・ハーディング君、御年10歳。
うわああああっ、楽しみだなぁ。シャーロットちゃんにとっても従弟だし、仲良くなれればいいな。
「ハーディング侯爵のパートナー様は社交界で有名でございます。有名なデザイナーで、デザインしたドレスは王家の方々も御愛用だとか」
「マジか? 王家御用達じゃん」
兄上の奥さんすっげえな! でも、なんで結婚反対されたんだろう?
毒親の母親ならまだしも、父上も反対してたっつーし?
「それは、ハーディング侯爵様にお聞きください」
ベンジャミンはコホンとわざとらしく咳払いすると、手元の書類へ集中するフリをする。
なんだよーっ、ケチんぼ。俺、記憶喪失設定なんだぞ? 実家のことなんてこれっぽっちも知らないつーの。
俺は頬を少し膨らまし、馬車の窓から代わり映えのしない草原の風景を眺めることにした。
王都からほど近いオールポート領。
俺の巨体に怯える馬も頑張って馬車を牽き、帰ってきました我が屋敷!
屋敷の前には、ディーンが単騎で先触れ行ってくれたからか、使用人たちが並んで出迎えてくれる。
ライラとマリーの姿があり、ジャコモもコック帽を片手に立っていた。
少し離れたところに庭師の爺ちゃんの家族。爺ちゃんには王都土産とは別に花の種やら苗やらを買ってきたからシャーロットちゃんと庭造りを頑張ってほしい。
ピシッと緊張した面持ちで立っているのはノーマンだ。
ベンジャミンもディーンも不在の中、不安なこともあっただろうが、よく留守を守ってくれた。ちゃんと褒めてあげないとな。ベンジャミンは決して褒めないだろうし。
そして、胸の前で両手を祈るように握っているシャーロットちゃん。
少しは体力がついたかな? ちゃんとお肉を食べて運動しているかな? 随分と表情が柔らかくなってお肌もツヤツヤになったと思うけど。
……俺、白豚がいなくて淋しいって思ってくれたかな?
俺のこと家族だって思う日はあったかな?
ほんの少し離れていただけなのに、俺の中には不安な気持ちがあるみたいだ。
自分の「気」は見えないけど、きっと例のグレー色の水玉模様が俺の「気」に混じっているはず。
ガタンと大きく揺れて馬車が止まる。先に下りたベンジャミンが手を差し出す。
その手をしっかりと握って、ゆっくりと馬車を下りると、使用人たちは一斉に頭を下げた。
「「「お帰りなさいませ、セシル様」」」
うわーっ、なんか、グッとくる。俺……ちょっとは認めてもらえたかな?
白豚が情けなくも厚い脂肪が乗った瞼の裏で目を熱くし口元をブルブルと震わせていると、シャーロットちゃんが一歩前に出てくる。
「お帰りなさいませ、お父様」
いい子ーっ! 本当にこの子はいい子だよーっ! ずっと放っておいた白豚パパなのに、そのまま王都に行って帰ってくんなクソジジイって言われても仕方ないのに。
ハニカミながらの「お帰りなさい」って、全世界の父親が切望するシチュエーション!
感動で胸がいっぱいになるよおぉぉぉぉぉっっっっっ!
「た、ただいま。シャーロットちゃん。みんな」
俺の後ろに控えて立つベンジャミンもディーンも。イヤイヤながらも世話をしてくれたメイも。本当にありがとう!
ジーンと感動している俺に、さらに嬉しい言葉が。
「お父様……少しお痩せになられましたか? 顔のラインがはっきりしてきました」
「そおおおおおぉぉぉぉぉぉ? 本当に? いやったあぁぁぁぁぁぁぁい!」
ひゃっほう! と喜んで終わればよかったのに……。
「えー、そうですか? 毎日見ているとわからないですけどね? シャーロット様の目の錯覚では?」
ディーン、お前……しばらく禁酒でもしてろっ!
☆☆☆☆☆
エール、いいね!、お気に入り登録、本当にありがとうございます!
お気に入りが300を越えました! びっくりです。
更新頑張りますので、引き続きお楽しみください。
902
あなたにおすすめの小説
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる