偽の婚約者を頼んだらいつの間にか結婚していました

みぃ

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「いつから付き合ってたの?」
「…内緒です。エレノアが恥ずかしがるので」

いつまで続くのだろうこの茶番は。
まあ!と喜ぶ母親に本当に申し訳なく思う。

「ですが、俺は小さい頃からエレノアを好きでした」
「エレノアったら愛されてるのね!!!」

もしやこれはどっきり?私をターゲットにしてイライジャとお母さんがどっきりを仕掛けているの?そう思うほど羞恥に晒される。

「ずっと愛していましたしこれからもずっと愛します」

俯いていた私の手を取ってちゅっと口付ける。ねぇ!演技にしてはあまりにも入りすぎじゃない!?

「俺の元に来てくれてありがとうエレノア」

にっこり笑うイライジャにぞくりと寒気が走った。演技…なんだよね?

なぜか結婚挨拶のようになってしまった母親への紹介。お義父さんもいれば良かったのに…なんて言うイライジャの思考回路が分からない。お父さんまでこの場にいたら逃げ場なんて本当に…

「エレノアが婚約者を連れてきたというのは本当か!」

勢いよく扉が開かれてびくんと肩がはねる。

「どこのどいつだ!」

先程まで来ないで欲しいと切に願っていた父親が仁王立ちしている。
こんな状況でもイライジャは笑顔を崩さない。

「なんだ。イライジャくんか」
「はい。俺が婚約者です」
「…なに!?」

イライジャを見てほっとした様子だったが一拍遅れて驚きの声を上げた。

「イライジャくんが!うちの子を!??…うーんでもイライジャくんなら心配はないか?でもなぁ」

嘘の婚約であるから本当はそんな心配は一切無用なのに頭を抱えて唸り声をあげる。

「大切にします」

イライジャも乗っかってしまう。彼に婚約者役を頼んだのは間違えだったかもしれない。



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