偽の婚約者を頼んだらいつの間にか結婚していました

みぃ

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おかしい。絶対におかしい。なぜ私は白いドレスを着て教会にいるのだろうか。




イライジャの家の使用人が迎えに来た。
涙ぐんで見送る父と母を不思議に思いながらイライジャに呼ばれることはいつものことだったから馬車に乗り込んだ。
連日イライジャにさせられていた作業のせいで疲れ切っていた私は馬車の中で居眠りをしてしまい、気付いた時には教会に着いていた。

「あの…何故ここに?」
「イライジャ様からの命令です」

何かの間違いではないか?と思いながらも案内されるまま中に入って身支度をされる。 
パタパタと忙しなく駆け回っている使用人達に声をかけることも出来ずにただされるがままになる。

「エレノア!ついにこんな日が来るなんてっ!」

先程送り出してくれたはずの父親が大きな扉の前で泣き崩れていた。
いつもよりピシリと決めている服装を見て今日は何かあるのか…?と首を傾げる。
手を取られて隣に並んで歩き出す。ゆっくりと扉が開いて、キラキラした光が溢れた。
祭壇の前にはイライジャが立っている。


…は?


状況を確認しよう。ウェディングドレスを着ている。ここは教会だ。今、私は父にエスコートされている。祭壇にはイライジャ。

…え?

結婚式?


エスコートする手は父からイライジャに変わって、訳のわからないまま手を引かれて抱きしめられる。
きゃあ!と悲鳴のようなものが聞こえた気がした。

「新郎イライジャ、あなたはエレノアを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
「新婦エレノア、あなたはイライジャを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

神父からの誓いの言葉に躊躇することなく応えるイライジャ。混乱するエレノアの頭の中は真っ白で何がどうなっているのか、どうしたらいいのか分からずにぱくぱくと口を開閉する。

「ほら、エレノア」

小声でイライジャに窘められて、蚊の鳴くような小さな声で「はい」とだけ返事をした。
それでも神父には十分に聞こえていたようで、儀式は誓いのキスへと移る。
ふに、と柔らかいものがエレノアの唇を掠め、キスをされたと自覚をしないまま誓いのキスは終わる。
促されるままに指輪の交換をして一通りの儀式を終えた。

あれ?どういうこと?
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