仮面少女LIZU

月影 光(つきかげひかる)

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第7話:風の階と祈りの城

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「……ここが、“風の階”か」

リズが足を踏み入れると、静寂が全身に絡みついた。
天を突くほど高い塔。その内部には、浮遊する階段と、風を読むための古代魔法陣が刻まれている。

「よく来たな、リズ=アルマリア」

声がした。振り返ると、深紅のローブをまとった青年が立っていた。
目元を覆う仮面——まるで、自分と同じ“仮面の民”かのような気配。だが、どこか違う。

「あなたは?」

「王の右腕、魔導監“セリク”。お前を試しに来た」

「……試す?」

彼は指を鳴らす。すると空間が軋み、四方から風の刃が現れた。

「この国は、今――静かに戦の火種を孕んでいる。
王は“異邦の力”を欲しているが、同時に恐れてもいる。
お前が本当に使える者か、それとも災いか――それを見極めるのが、私の役目だ」

リズは視線を逸らさず、静かに頷いた。

「なら、見て。私は、逃げない」

彼女の足元で、魔方陣が光を帯びる。

「……《風裂の紋》、展開」

風が逆巻く。セリクの表情がわずかに変わった。

「なるほど。王に見初められただけはある」

攻防が数合交わされたあと、彼は手を止めた。

「十分だ。魔導の才は本物……だが、それ以上に」

「?」

「“抗う意志”を持っている。それが、王の琴線に触れたのだろう」

やがて風が収まると、塔の奥の扉が音もなく開いた。
そこには、玉座とは異なる静けさの中、銀髪の男が立っていた。
彼こそが、七大国のひとつ“クリスタル王国”を治める王——ルディアス四世。

「お前がリズか。ようこそ、我が祈りの城へ」

その声は、優しくも、底知れない深淵を孕んでいた。

「この国にとって、お前は光か、闇か。……それを決めるのは、お前自身だ」

リズは無言で頭を下げる。だが、胸の奥では確信していた。

──ここで、私は試される。
ただの漂流者ではなく、“鍵”として。

風が再び吹き抜け、祈りの城の塔の鐘が鳴る。

続く静寂の中、ひとつの影が屋上に現れた。
その者は、黒猫の仮面をかぶり、リズを見下ろしていた。

▶次回
第8話「王の間と仮面の影」
──リズに告げられる“魔導士としての使命”。
だが同時に、王城に潜む仮面の影が、彼女に忍び寄る。
誰が味方で、誰が敵なのか。王国に蠢く陰謀の気配が、風を裂いて近づいていた。
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