悪役令息な俺でもいいんですか?~歌声で人々を癒やします。でも元婚約者(第3王女)はお断りです~

みけの

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閑話~カルティ王国王城にて・2~

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ヤマトノ国の大聖女ライラ・カワカミ
異世界から勇者たちと共に召喚された彼女は、帝国を狙う魔族と戦うべく幾多の試練・苦難を乗越え、数多のものを癒やし続けた。
 その力はやがて、至上最高の大聖女と歴史に残ることになる。
そんな彼女が、力を発動する時行ったのが……。


 「歌を歌うことだったそうです」
何故か魔法の呪文よりもそちらの方が発動が早く、効果も高かったらしい。
「彼女は帝国から脱走後、共に逃げた帝国の騎士と結婚したそうです。そして時は流れ、ヤマトノ国からこの国の平民に嫁いで来たのが、マクガイヤ公爵家で侍女だった娘」
「……ま、まさかその侍女が大聖女の子孫なのか?」
「で、では……レオン殿がその、大聖女の血を引いていると?」
 この世界には魔法があり、人は多かれ少なかれ魔力を持っている。確かレオンは風属性の魔力持ちだった。
2種類以上の属性を持つ者も存在するが、世界的にごく稀少だ。カルティ王国でも2人しかいない。
「いえ。血を継いでいるからといって能力までそのまま引き継いでいる訳ではないでしょう。力は経験で増えていくものですから。それに……今は憶測の域を出ていません。でも私自身はほとんどそう、確信しています。
何よりもあの子が歌った後に起こる現象がその証拠です」
 女王が身を持って体験している事ばかりではない。それ以外でも、

 聴いた後、元気になった気がする
悩んでいた事が、解決出来た
長年苦しめられてきた持病が、聴いているうちにどんどん回復してきている

  等々、聴いた者達が証言しているのだ。効果はランダムなようだが、全てプラスの状態になるのは確かだ。
 「……ですが2人だからこそ話したのです。この事はここだけにして下さい」
「こんな荒唐無稽はこと言っても、信用されませんよ。……ってかルナの奴、とんでもない大物を逃がしてくれたよなぁ。そんなにあのチンピラ令息が良いのかね?」
「同感だわ。……それとも私達が知らないだけで、実は案外出来る者なのかしら? ……どんなに聴いても良い噂はないようなのに」
 どこぞの貴族の婚約者が堕とされたとか、どこかの修道女と宿に入るのを見たとか。
 ソレイユが首をひねっている隣で、ステラがにやりと笑う。
「いっそ今度呼び出してみようぜ。そいつがレオン殿よりどこが勝っているのか、あたしが直々に確認してやるよ」
しかしその言葉に、女王は首を振る。
「……いいえ、貴女達はその者に会ってはなりません」
「何故ですか?」
 女王は1人の母親の顔になり、厳しい表情で娘達に言う。
「貴女達が美しく個性的だから……では、理由にはなりませんね。でも……私の想像通りならば、その男に出会った途端、貴女達は彼に恋するでしょう」
「はぁぁぁ? 私にはシン様がいるんですよ?」
「私にも好みがありますわ」
口々に抗議の声をあげる娘達に、しかし女王は頑なに、
「……とにかく、ルナが近くにいたとしても、なるべく直接の接触は避けなさい」
 真剣な顔で命じる母親の意図を、王女2人は最後まで分からなかった。
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