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どうして……いるのかな(汗)?
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ジュエル・サイラス子爵令息は、並外れた美貌の持ち主だ。
大した事ない仕草でも彼がやると美しく、見る人の心を惹きつける。
あまり他人に興味がなさそうで、誰が相手でも必要以上の話をしたことがない。表情もあまり変わらない。
……が、何故か俺は初対面から、あからさまに嫌われていた。
覚えている限り、初対面からずっとだ。俺と話している時だけ、すこぶる不機嫌な顔になる。
2人になった時は、よく言われていたっけ。
『貴方は王宮にも公爵家にも相応しくない』
あの頃は俺なりに公爵令息やろう、って思っていたから結構グサッと来ていたっけ。
まぁ言われた事は結果としては当たっていた。だって俺、半分平民だからな。
そして……婚約破棄された今の方が、ずっと充実しているから、彼の言った事は当たっていたと思う。
しかしまさか、こんなところで再会しようとは。
今の俺はレオンではなく、レオの変装をして舞台に立っている。それに遠くからだから彼に見破られることはないだろう。
意外だな、久しぶりに見ても綺麗だ。けど、どこかくたびれて見えるのは気のせいだろうか?
卒業してからはどうするんだ? と訊いた俺に彼は、いつものように視線を外すと、
“貴方には関係のないことでしょう? で、でも……そうですね……父には領地の運営をしろ、と言われていますが、僕としてはもう少しだけ、王都(ここ)にいてたいです。……気になる事もありますので”
とか、言っていたっけ。と、そこまで考えて、彼の疲弊した理由に思い当たる。
きっとその“気になる事”が、彼を疲れさせているんだ。
そりゃそうだろう。宮仕えだけじゃない、どんな仕事にも苦労はつきものだ。学園から離れた慣れない環境に、身も心もすり減らしているに違いない。
それで一時逃げ込みたいと思った場所がここだった。……まぁ、そんな感じ、だろう。
だが、こうやって振り返れば、学園(あそこ)での生活も、多少の実りはあった。他国から留学生として来た第7王子とか、伯爵家の三男とか。気の合う仲間も出来た。ち……公爵には、“もっと将来有益な者と付き合え”って言われてたけど、俺が見た感じでは彼らはすごい才能を持っていた。それは横紙破りな発想だったり、先を見据える能力だったり、不屈な精神だったり色々だ。それらに刮目させられたことは数知れない。
だから国が良くなって欲しくって俺は――。
「……っつ」
……止めよう。
考えても仕方が無い。もうあそこは俺の居場所ではないのだ。
と、そう思っていたのに――。
舞台はとっくに終わり。
伴奏のみなさんと今日の反省と感想を言い合い、次の週はどうするか? なんて打ち合わせも終わり“また次も頑張りましょうね”と、やりきった充実感をお互いに感じながらお別れした、深夜だがまだ“今日”と言えるこの時間。
後片付けと見回りを終えてから、さて後は風呂に行ってから寝るだけだ。ってな感じで、劇場の裏口を出た。因みにレオの変装は解いていない。前に一座の代打で歌っていた時、この姿でいたら声をかけてくれる人がいたからだ。さすがに風呂に行く前には、外す気でいるけれど。
と、風呂に行こうとする俺の前に。
「――レオさん?」
なんで君が、まだいるのかな……?
深夜ではあるが、この当たりはいわゆる歓楽街だ。つまりタチの悪い輩が横行する危険もある。とてもお貴族の坊ちゃんがいて良い筈は無い。それ位のことが分からない彼ではないだろうに。そんな思いからつい、彼に声をかけてしまう。
「どこのどなたかは存じませんが、こんな夜更けにこんな場所にいらしてはいけません。見れば貴族のご子息の様子。これから連絡して、警備兵に来てもらいましょう。……ですが、どうしてこんな時間に?」
そうだ、解決するべきなのはそこだ。
ジュエルがこんな時間にいた理由。そこを明らかにしないと彼は、また同じことしそうだし。
と思っていた俺に、予想外のことを言ってきた。
「貴方に、逢いたかったんだ」
大した事ない仕草でも彼がやると美しく、見る人の心を惹きつける。
あまり他人に興味がなさそうで、誰が相手でも必要以上の話をしたことがない。表情もあまり変わらない。
……が、何故か俺は初対面から、あからさまに嫌われていた。
覚えている限り、初対面からずっとだ。俺と話している時だけ、すこぶる不機嫌な顔になる。
2人になった時は、よく言われていたっけ。
『貴方は王宮にも公爵家にも相応しくない』
あの頃は俺なりに公爵令息やろう、って思っていたから結構グサッと来ていたっけ。
まぁ言われた事は結果としては当たっていた。だって俺、半分平民だからな。
そして……婚約破棄された今の方が、ずっと充実しているから、彼の言った事は当たっていたと思う。
しかしまさか、こんなところで再会しようとは。
今の俺はレオンではなく、レオの変装をして舞台に立っている。それに遠くからだから彼に見破られることはないだろう。
意外だな、久しぶりに見ても綺麗だ。けど、どこかくたびれて見えるのは気のせいだろうか?
卒業してからはどうするんだ? と訊いた俺に彼は、いつものように視線を外すと、
“貴方には関係のないことでしょう? で、でも……そうですね……父には領地の運営をしろ、と言われていますが、僕としてはもう少しだけ、王都(ここ)にいてたいです。……気になる事もありますので”
とか、言っていたっけ。と、そこまで考えて、彼の疲弊した理由に思い当たる。
きっとその“気になる事”が、彼を疲れさせているんだ。
そりゃそうだろう。宮仕えだけじゃない、どんな仕事にも苦労はつきものだ。学園から離れた慣れない環境に、身も心もすり減らしているに違いない。
それで一時逃げ込みたいと思った場所がここだった。……まぁ、そんな感じ、だろう。
だが、こうやって振り返れば、学園(あそこ)での生活も、多少の実りはあった。他国から留学生として来た第7王子とか、伯爵家の三男とか。気の合う仲間も出来た。ち……公爵には、“もっと将来有益な者と付き合え”って言われてたけど、俺が見た感じでは彼らはすごい才能を持っていた。それは横紙破りな発想だったり、先を見据える能力だったり、不屈な精神だったり色々だ。それらに刮目させられたことは数知れない。
だから国が良くなって欲しくって俺は――。
「……っつ」
……止めよう。
考えても仕方が無い。もうあそこは俺の居場所ではないのだ。
と、そう思っていたのに――。
舞台はとっくに終わり。
伴奏のみなさんと今日の反省と感想を言い合い、次の週はどうするか? なんて打ち合わせも終わり“また次も頑張りましょうね”と、やりきった充実感をお互いに感じながらお別れした、深夜だがまだ“今日”と言えるこの時間。
後片付けと見回りを終えてから、さて後は風呂に行ってから寝るだけだ。ってな感じで、劇場の裏口を出た。因みにレオの変装は解いていない。前に一座の代打で歌っていた時、この姿でいたら声をかけてくれる人がいたからだ。さすがに風呂に行く前には、外す気でいるけれど。
と、風呂に行こうとする俺の前に。
「――レオさん?」
なんで君が、まだいるのかな……?
深夜ではあるが、この当たりはいわゆる歓楽街だ。つまりタチの悪い輩が横行する危険もある。とてもお貴族の坊ちゃんがいて良い筈は無い。それ位のことが分からない彼ではないだろうに。そんな思いからつい、彼に声をかけてしまう。
「どこのどなたかは存じませんが、こんな夜更けにこんな場所にいらしてはいけません。見れば貴族のご子息の様子。これから連絡して、警備兵に来てもらいましょう。……ですが、どうしてこんな時間に?」
そうだ、解決するべきなのはそこだ。
ジュエルがこんな時間にいた理由。そこを明らかにしないと彼は、また同じことしそうだし。
と思っていた俺に、予想外のことを言ってきた。
「貴方に、逢いたかったんだ」
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