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苦悩する修道女と、謎の言葉・2
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そのシスターはテレジアというらしい。
小さい教会に所属していて、奉仕活動の一環として孤児院に勉強を教えにくるそうだ。字の読み書きが出来るだけでも職に就く時に有利になるからと。
彼女はその優しさと教育熱心な事で、子供達にも慕われていた。
そんな彼女が変わったのは、ある男に出会ってからだった。
「ある男、か……」
ビート君の言葉に俺は、さてどうしたものか、と考える。
貞淑な女性が悪い男に引っかかって道を踏み外す。よくある話と言ってしまえばそれまでだが、修道女となると話は別だ。彼女らは神に仕えている身故に、男性との恋や結婚は禁止されている。
もし、そんな事実が発覚したら、理由を問わず修道院を出なくてはいけなくなるのだ。身寄りや相手が引き取ってくれる場合は良いが、いない場合はそのまま、身ひとつで世間に放り出されてしまう。
修道女にとっては修道院だけが安全な場所だ。そこから大人の女性が世間に放り出されたらどうなるか……。
「でもビート、相手のヒトもシスターが好きなら大丈夫なんじゃない?」
どうやら俺とは違い純粋なミヤちゃんの中では、純愛ストーリーが出来ているらしい。修道女の初めての恋、確かに物語に出て来そうだ。が、ビート君の顔は冴えない。小さくボソッと
「好きだったらな」
と呟いた。
「そいつが良い人なら、オレだってそう思えたよ。……でもアイツ、何か変なんだ」
「…………変?」
聞き返した俺に、ビート君はこくり、と頷いた。
「顔は良いと思う。背がデカくてスタイル良いし、ちょい悪って感じのとこも、野生的って感じで」
その特徴に俺は、アーリア・コーニーを連想してしまった。……最近はそういうタイプが受けるのか?
「最初はシスターも迷惑がってたんだけど、何度も逢って話している間にドンドン変わっていったんだ。シスターも、アイツをほっぺ赤くしてジーって見つめたりしてさ。
……俺だって最初は良かった、って思ってたぜ。だって修道院でケッコンも出来ず一生を終えるとか、どう考えても幸せじゃないだろ? そりゃあ……ちょっと面白くないけど、シスターが幸せなら仕方ないな……って、思ってたんだ。
……でもあいつ、シスターといる時はすっごく良い奴だなーって思うんだけど、オレや他のみんなしかいなくなったら、ガラって態度が変わる。近寄ろうとしただけでゴミ見るみたいな目、してくるし、遊んでいる途中でボールぶつけた時は、謝っているのにそのボール、わざとみたいに踏んづけて壊されたこともある」
「……ヘンだね、それ」
そこでミヤちゃんの顔も強ばってきた。
が、ビート君の話はでもそこで終わらなかった。
「それで……この間から、シスターが教会の裏で、禊ぎをするようになった。多分アイツを好きになるのがいけない事だと思って、苦しんでいるんだ。
この前も、アイツ、見てたんだ! シスターが辛そうに震えながら水被ってるの! だから俺、アイツに止めてもらおうと思って“アンタのせいで苦しんでるんだぞ! 止めろよ!!”って言ったんだ。……なのにアイツ、オレの顔見てチッ、て舌打ちしてから……蹴とばしやがった」
「ええっ!?」
ミヤちゃんが悲痛な顔で口元を押さえる。
そして俺も、その男は最低と位置づける。子供を蹴るなんてろくな奴じゃ無い。
……しかし……そのシスターも、どうしてそんな男を好きになったんだろう? 子供が好きな筈なのに。惚れたというだけで、そこまで許せるものなのか?
疑問に思うことが多すぎる――と、思ってたら、
「そんで、変な事言ったんだ。……たし、か……」
と、そこでビート君は、何とか思い出そうと頭を捻って……こう言った。
“お邪魔キャラがむきになりやがって”
「「お邪魔キャラ?」」
何だ? その意味分からん言葉は。当惑してしまったが、それで終わりじゃ無かった。
「それだけじゃない、禊ぎをしているシスター見た時も、ニヤニヤ笑いながら言ったんだ。“よしよし……こーかんどだい2だんかいイベント、クリアーだな”とか。で、“次は3日後だ。今日中に後2人と逢っとかないと”とか言いながら行っちまった」
こーかんど? だい2だんかい? イベント?
小さい教会に所属していて、奉仕活動の一環として孤児院に勉強を教えにくるそうだ。字の読み書きが出来るだけでも職に就く時に有利になるからと。
彼女はその優しさと教育熱心な事で、子供達にも慕われていた。
そんな彼女が変わったのは、ある男に出会ってからだった。
「ある男、か……」
ビート君の言葉に俺は、さてどうしたものか、と考える。
貞淑な女性が悪い男に引っかかって道を踏み外す。よくある話と言ってしまえばそれまでだが、修道女となると話は別だ。彼女らは神に仕えている身故に、男性との恋や結婚は禁止されている。
もし、そんな事実が発覚したら、理由を問わず修道院を出なくてはいけなくなるのだ。身寄りや相手が引き取ってくれる場合は良いが、いない場合はそのまま、身ひとつで世間に放り出されてしまう。
修道女にとっては修道院だけが安全な場所だ。そこから大人の女性が世間に放り出されたらどうなるか……。
「でもビート、相手のヒトもシスターが好きなら大丈夫なんじゃない?」
どうやら俺とは違い純粋なミヤちゃんの中では、純愛ストーリーが出来ているらしい。修道女の初めての恋、確かに物語に出て来そうだ。が、ビート君の顔は冴えない。小さくボソッと
「好きだったらな」
と呟いた。
「そいつが良い人なら、オレだってそう思えたよ。……でもアイツ、何か変なんだ」
「…………変?」
聞き返した俺に、ビート君はこくり、と頷いた。
「顔は良いと思う。背がデカくてスタイル良いし、ちょい悪って感じのとこも、野生的って感じで」
その特徴に俺は、アーリア・コーニーを連想してしまった。……最近はそういうタイプが受けるのか?
「最初はシスターも迷惑がってたんだけど、何度も逢って話している間にドンドン変わっていったんだ。シスターも、アイツをほっぺ赤くしてジーって見つめたりしてさ。
……俺だって最初は良かった、って思ってたぜ。だって修道院でケッコンも出来ず一生を終えるとか、どう考えても幸せじゃないだろ? そりゃあ……ちょっと面白くないけど、シスターが幸せなら仕方ないな……って、思ってたんだ。
……でもあいつ、シスターといる時はすっごく良い奴だなーって思うんだけど、オレや他のみんなしかいなくなったら、ガラって態度が変わる。近寄ろうとしただけでゴミ見るみたいな目、してくるし、遊んでいる途中でボールぶつけた時は、謝っているのにそのボール、わざとみたいに踏んづけて壊されたこともある」
「……ヘンだね、それ」
そこでミヤちゃんの顔も強ばってきた。
が、ビート君の話はでもそこで終わらなかった。
「それで……この間から、シスターが教会の裏で、禊ぎをするようになった。多分アイツを好きになるのがいけない事だと思って、苦しんでいるんだ。
この前も、アイツ、見てたんだ! シスターが辛そうに震えながら水被ってるの! だから俺、アイツに止めてもらおうと思って“アンタのせいで苦しんでるんだぞ! 止めろよ!!”って言ったんだ。……なのにアイツ、オレの顔見てチッ、て舌打ちしてから……蹴とばしやがった」
「ええっ!?」
ミヤちゃんが悲痛な顔で口元を押さえる。
そして俺も、その男は最低と位置づける。子供を蹴るなんてろくな奴じゃ無い。
……しかし……そのシスターも、どうしてそんな男を好きになったんだろう? 子供が好きな筈なのに。惚れたというだけで、そこまで許せるものなのか?
疑問に思うことが多すぎる――と、思ってたら、
「そんで、変な事言ったんだ。……たし、か……」
と、そこでビート君は、何とか思い出そうと頭を捻って……こう言った。
“お邪魔キャラがむきになりやがって”
「「お邪魔キャラ?」」
何だ? その意味分からん言葉は。当惑してしまったが、それで終わりじゃ無かった。
「それだけじゃない、禊ぎをしているシスター見た時も、ニヤニヤ笑いながら言ったんだ。“よしよし……こーかんどだい2だんかいイベント、クリアーだな”とか。で、“次は3日後だ。今日中に後2人と逢っとかないと”とか言いながら行っちまった」
こーかんど? だい2だんかい? イベント?
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