悪役令息な俺でもいいんですか?~歌声で人々を癒やします。でも元婚約者(第3王女)はお断りです~

みけの

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“推し”にされる俺達

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「「「「…………は???」」」」
 俺が、“推し”?
えーっと、“推し”って言うのはつまり……。
「異世界の人間が、二次元もしくは三次元の対象物に付ける尊称、でしたっけ」
 そう、“推し”ってのは好きとかすごく好き、ファンですとかと違う、こっちの世界での神様とかその使いみたいなののごとく崇める存在の事だそうだ。
使い方の例をあげると、
『はー……私の“推し”が今日も尊い……』
『“推し”がいるから何とか頑張れる!』
とかのように、生きているだけで崇められ、力を与えるものらしい。
 その“推し”が……俺?


 「悪役令息な俺でも、いいんですか?」
そう、アーリア曰く俺は悪役なのだ。普通は引かれるのでは?
 ……いや、そう言えば、最近読んだロマンス小説でも、そんなパターンがあった気がする。ヒーローが好きな筈なのに、非道な手段を持って自分を手に入れようとする彼のライバルに対しても心が揺れるヒロインの話が。
ああ、なるほど。
 ……つまり悪役でも“推し”になって良いのか。

 
 と、まあそれなりに腹を括った俺に反して。
いまだパニック状態から離脱出来ないのがライド、ルノー、シオンの3人だ。
「待って下さい! そ、それレオンだけじゃダメなんですか!?」
「俺ら、レオンみたく見た目良くないし」
「この貧乏劇場だから何とかなってるんですよ!」
顔色を青から白にして口々に不安を訴える3人に、ステラ王女が不敵な笑みで応える。
「大丈夫だ、準備は整えてある」
 パチン、と指を鳴らした。と先程の侍女さん達が静かに近付いてくる。優雅な動きの中に、何故か闘志を感じた。瞳の奥にメラメラと燃える炎を見てしまう程だ。
 そう言えば王宮に、王族専門のエステ部門があるが……まさか彼女達が?
「彼らを女性が好みそうな外見に、磨いて磨きまくってくれ」
王女の言葉に彼女らは、ニッコリと力強く微笑みを帰す。
「お任せください! レオン様は当然ですが、他の皆様も素材は十分ですもの。外見だけじゃなく、言葉使いや立ち居振る舞いも、女性を虜にする“推し”とやらにして見せますわー!!!」
おーっ! と鬨の声を上げる侍女さん達。


「え、え???」
「ふふふ……レオン様、皆様、お覚悟を…………」
何とも怪しい表情でジリジリと俺達に接近する侍女軍団。――うん、これ、確実に逃げられない流れだな。
 女性上位の王宮に、出入りしていた時の経験がそう訴える。この時点で降伏を覚悟した俺だったが、仲間3人は無理なようだ。
「「「レレ、レオン――! 俺達、どうなるんだー?」」」
 涙目ですがられるが、この流れでどうか出来るわけも無い。俺はふるふる、と頭を横に振り、3人に静かに告げたのだった。


「…………諦めよう」
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