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「俺……何か、不安になってきた」
どうやらエリー嬢の前世の“推し”が、ステラ王女殿下だったらしい。あの後意識が戻ったエリー嬢から直接聞いたことだ。
目覚めた彼女に、『お見苦しいところを』と平謝りされてしまった。俺達は“気にしなくて良い”と懸命にフォローしていた。でも俺達の表情が硬かったのには少し気付いていたようだ。
改めて自分達の使命の大変さを思い知ったから。
俺達が攻略対象達の“推し”になるという事は、これほどに攻略対象達の心に刺さらないといけない……と言うことだと。
――まぁ、どうにかなるだろう。
その翌日、エリー嬢に劇場まで来て貰い、改めて“ギャルゲー”の説明をしてもらう事になった。お店の手伝いもあるのに申し訳ないと思っていたら、
「一応倍の給金だすって条件で、劇場で臨時のバイトをしてもらっている事になっているから大丈夫」
とシン殿下。やはり抜かりがない。
ちょこんと椅子に腰掛けたエリー(貴族ではないので嬢付けはいりません、と言われた)は、落ち着きなくソワソワしていたので『今日はステラ王女殿下はいないよ』と言うとホッとしたようなガッカリしたような顔になった。
「こほん! では私が覚えている限りで、ゲームの説明をさせて頂きます。
まず“異世界ラブラブ大作戦!”に、人外の攻略対象はいません。王族では第3王女殿下と、隠しで第2王女殿下です」
まず恐れていた神様だの魔族だのはいないようだ。そこに取りあえずホッとする。
「エンディングはキャラの個別でのハッピーエンドに、隠しキャラも含めた全員を落とすハーレム・エンド。第2王女殿下以外のキャラを落としたら、第2王女攻略ルートが開きます」
「一度のゲームで、全員と関係を結ぶ? そのような事が可能なのか」
「いいえ。慣れたら一回のプレイで出来るようになりますが、何回かプレイしてその都度落としていくだけでも出来ます。データーとして残れば良いので」
「でぇたぁ?」
「え、えっと……記録を残す為の道具です。こっちの道具で言えば……“魔日記(マジカルメモ)”が近いです」
魔日記は小さい手帳型の魔道具だ。手の平を乗せるだけでその日に起きた出来事をその場面こみで記録し、再生することが出来る。
「………………へぇ」
攻略、という言葉が気に触ったのか、シン殿下のコメカミがピクリと動く。
「まぁまぁ殿下、落ち着いて……。ほらこれ、ステラ王女殿下が6歳の時の写し絵ですよ」
と、ポケットから出した絵を見せると。……げ。今度は俺に矛先が向いている。
「…………なんで君がそんなモノ、持ってるのさ…………?」
「侍女の方にもらったんですよ。“シン殿下のご機嫌を治すにはこれです!”って断言つきで」
ステラ殿下が侍女の水魔法にはしゃいでいる絵は効果てきめんだった。途端にニコニコになったシン殿下に、少しうらやましそうなエリー。
その後もエリーの説明は続いた。
しかし……異世界の未知な文化から生まれたものは奥が深い。特にゲームに使うスキップ機能やらタップやドラッグと呼ばれる、こちらでの詠唱魔法のようなものは、魔力を使わずとも出来るのは驚きだ。
……ん? しかし……ならばこの世界でもその“ギャルゲー”とやらを作れそうではないか?
今度、シン殿下達にご提案してみようか。
その頃、王宮では……。
「ねえねえ、アーリア! 今度お忍びに付き合ってくれない?」
「良いぜ。どこだ?」
「侍女達が噂をしていたの! このバレンシア劇場、ってところに、すごい歌い手がいるんですって!」
(バレンシア劇場? なんか最近、訊いたな……どこでだったっけ?)
「訊いてる? アーリア」
「訊いてる。……じゃあ今度の休みにでも、行こうか」
どうやらエリー嬢の前世の“推し”が、ステラ王女殿下だったらしい。あの後意識が戻ったエリー嬢から直接聞いたことだ。
目覚めた彼女に、『お見苦しいところを』と平謝りされてしまった。俺達は“気にしなくて良い”と懸命にフォローしていた。でも俺達の表情が硬かったのには少し気付いていたようだ。
改めて自分達の使命の大変さを思い知ったから。
俺達が攻略対象達の“推し”になるという事は、これほどに攻略対象達の心に刺さらないといけない……と言うことだと。
――まぁ、どうにかなるだろう。
その翌日、エリー嬢に劇場まで来て貰い、改めて“ギャルゲー”の説明をしてもらう事になった。お店の手伝いもあるのに申し訳ないと思っていたら、
「一応倍の給金だすって条件で、劇場で臨時のバイトをしてもらっている事になっているから大丈夫」
とシン殿下。やはり抜かりがない。
ちょこんと椅子に腰掛けたエリー(貴族ではないので嬢付けはいりません、と言われた)は、落ち着きなくソワソワしていたので『今日はステラ王女殿下はいないよ』と言うとホッとしたようなガッカリしたような顔になった。
「こほん! では私が覚えている限りで、ゲームの説明をさせて頂きます。
まず“異世界ラブラブ大作戦!”に、人外の攻略対象はいません。王族では第3王女殿下と、隠しで第2王女殿下です」
まず恐れていた神様だの魔族だのはいないようだ。そこに取りあえずホッとする。
「エンディングはキャラの個別でのハッピーエンドに、隠しキャラも含めた全員を落とすハーレム・エンド。第2王女殿下以外のキャラを落としたら、第2王女攻略ルートが開きます」
「一度のゲームで、全員と関係を結ぶ? そのような事が可能なのか」
「いいえ。慣れたら一回のプレイで出来るようになりますが、何回かプレイしてその都度落としていくだけでも出来ます。データーとして残れば良いので」
「でぇたぁ?」
「え、えっと……記録を残す為の道具です。こっちの道具で言えば……“魔日記(マジカルメモ)”が近いです」
魔日記は小さい手帳型の魔道具だ。手の平を乗せるだけでその日に起きた出来事をその場面こみで記録し、再生することが出来る。
「………………へぇ」
攻略、という言葉が気に触ったのか、シン殿下のコメカミがピクリと動く。
「まぁまぁ殿下、落ち着いて……。ほらこれ、ステラ王女殿下が6歳の時の写し絵ですよ」
と、ポケットから出した絵を見せると。……げ。今度は俺に矛先が向いている。
「…………なんで君がそんなモノ、持ってるのさ…………?」
「侍女の方にもらったんですよ。“シン殿下のご機嫌を治すにはこれです!”って断言つきで」
ステラ殿下が侍女の水魔法にはしゃいでいる絵は効果てきめんだった。途端にニコニコになったシン殿下に、少しうらやましそうなエリー。
その後もエリーの説明は続いた。
しかし……異世界の未知な文化から生まれたものは奥が深い。特にゲームに使うスキップ機能やらタップやドラッグと呼ばれる、こちらでの詠唱魔法のようなものは、魔力を使わずとも出来るのは驚きだ。
……ん? しかし……ならばこの世界でもその“ギャルゲー”とやらを作れそうではないか?
今度、シン殿下達にご提案してみようか。
その頃、王宮では……。
「ねえねえ、アーリア! 今度お忍びに付き合ってくれない?」
「良いぜ。どこだ?」
「侍女達が噂をしていたの! このバレンシア劇場、ってところに、すごい歌い手がいるんですって!」
(バレンシア劇場? なんか最近、訊いたな……どこでだったっけ?)
「訊いてる? アーリア」
「訊いてる。……じゃあ今度の休みにでも、行こうか」
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はじめまして。
楽しく拝読させていただきました。
レオン君の活躍を期待しております。
勘違い自己中の主人公(笑)のアーリアはきっと「俺様、王になる!」とか思っているでしょうから、
『未来の王配である俺が・・・』と思っていてもOKなのではないでしょうか。
それとちょっと気になったので、ご報告をば。
題名・内容ともにレオンの元婚約者は「第3王女」のようですが、
あらすじには「第1王女」と明記されていました。
どっちー?って読み始めた私がいるので、あえての罠ならば成功かもしれません。
はじめまして。
この度はご感想をいただき、誠にありがとうございます😀
……誤字のご報告ありがとうございます。訂正させて頂きました。あえての罠、ですか。いや~そこまで練れたらすごかったんですけど(^^ゞ
なるほど、アーリアならそんなザ・勘違いもしていそうですね。主人公になれた、ってだけで舞い上がっているタダのチンピラですから。
レオンはこれからどうなるのか? そしてアーリアにどんなざまぁをするのか?
またお気が向いた時、お読み頂けたら幸いです。