悪役令息な俺でもいいんですか?~歌声で人々を癒やします。でも元婚約者(第3王女)はお断りです~

みけの

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推しのために~転生者エリー~

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 ステラ第2王女は前世での私の“推し”。
キリッとした軍服姿、サド気質を思わせる三白眼に整った顔立ち。コスプレイヤーなら真っ先に飛びつくだろう。 否、飛びつくしかない。グッズが販売されたら即買い、人気投票もステラに入れていた。
 朝目が覚めたらスー様のポスターにおはよう、寝る前にはお休みなどもはや当たり前。
 スー様がいるから頑張れる、スー様を拝めるから今日も幸せ。
そんなだからシン王子のお声かけに乗ったのも、ひょっとしたら生スー様が見れるかも……、って下心があった。だって私は平民。簡単にご尊顔を拝める立場じゃない。
それだけがもー、悔しくって悔しくって!
 で……念願のスー様に出会えたのだけど……。
そのお顔が…………なぜ、あんな事に。

 呆然としている私に、説明してくれたのはレオン様だった。
「ステラ殿下は、愛する人以外に触れられるのを拒んだんだ……。もしかしたら君の方が詳しいかも知れないが……良ければ、教えてくれないか?」
 私の方が、ってところで私は、主人公とスー様のイベントを思い出す。

それは女王様の誕生祭。
パーティ会場から離れたスー様は、1人廊下で佇んでいた。
スー様は自分に課せられた王女としての義務に、内心不満を持っていた。意に沿わない婚約、叶えられない夢……。
偶然出会った主人公が、そんな彼女に声をかける。婚約者と違いたくましさ溢れる主人公に密かに惹かれ、2人は一時だけのセ……と、とにかくな、仲良く過ごす。……で、良いよね言い方? 今の私は子供なんだから……!
ワンナイトラブ、って言えばカッコいいけどよーするに行きず……げふんげふん! じ、自主規制よ私!!!

 あー子供って、やりづらい……!

 私の説明が終わった後。皆さんの反応はバラバラだった。まずはシン殿下。
「ス……すーちゃんが僕との婚約に不満を……?」
「殿下、落ち着いて。全ては別世界の架空の物語です」
「そうだぞシン様、私が信じられないか?」
スー様の口調は強く少し荒い。
 でもその尊顔に浮かぶのは怒りじゃない。信じている人の心を気遣う動きだ。そのくらいは分かる。……私の前世でのスー様推し甘く見るな。
「いや……信じていないよ? でも異世界じゃ僕は、スーちゃんに釣り合わない存在として設定されてるんだなーって……」
 それってつまり、僕が邪魔モノって事でしょ?

 私の前で、少し沈んだ面持ちのシン殿下。
「おまけにそんな傷までついちゃうし……」
「……傷? ああ……」
肩の髪を後ろに払い、しょげるシン殿下にふっ、と小さく笑う。
「構わない、あんな屑に乗られる位なら些末なことだ」

ズキューン!!

 そのお言葉、そしてその微笑は心臓を貫く程の破壊力……!
揺るがない気高さ。……さすがスー様。
「尊死……!」
「え!?」
「エリー嬢?」
 祈りながら後ろに倒れていく私。

――スー様……生きてて下さってありがとう……。

 そして私は誓う。……推しのためなら頑張れる!
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