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薔薇ノ国編
9.薔薇ノ洗礼
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「桜姫様のお部屋は、今日からこちらになります」
マーニャに案内された部屋に入ると、またも私は驚かされた。
室内は白と桃色の家具で統一されており、寝床には薄い透かし模様の布の天蓋が垂れ下がっていた。
壁には高価そうな生地の窓掛けに、迫力のある上飾りが付いている。
円卓の布掛けの上には、部屋に合わせた桃色の薔薇の花が飾ってあった。
「まるで絵本の世界に迷い込んだみたいね」
(何だか落ち着かないわ…)
「桜姫様、こちらにどうぞ」
私がそわそわしているとマーニャに促されて、これまた高価そうな腰掛けに座る。
「今、お茶の用意をするので少々お待ちください」
「ぜひお願いするわ。良かったらマーニャも一緒にどうかしら?」
「いえ…私はその…業務がありますので……」
「別に今日くらいはいいじゃない。私、マーニャのことをもっと知りたいわ
「で、ですが…」
「ね、いいでしょう?そうだわ!お茶会にしましょう」
「……分かりました。では、今日だけ……」
「ええ!早速お茶にしましょう!」
私はマーニャを半ば強引に、お茶に付き合わせることに成功した。
マーニャが淹れてくれた茶は、澄んだ紅葉色をしていた。
紅茶という飲み物で、薔薇ノ国では、子供から大人まで広く親しまれているらしい。
桜ノ国でいう緑茶みたいなものだろうか?
口の広い持ち手のついた華やかな装飾が施されている不思議な容器を、そっと取り上げる。
(うーん。いい香り…)
優雅な香りが鼻を掠める。
一口飲んでみると、ほんのりとした甘みが口いっぱいに広がった。
「桜姫様、紅茶のお味はいかがでしょうか?」
「すっきりとした味わいで、とても飲みやすいわ」
「お口にあったようで安心しました。薔薇の花弁を紅茶に混ぜてるので、香りも楽しめるようになっております。ローズエキスがたっぷりと練り込まれたケーキもありますので、どうぞお召し上がりください」
ケーキというその菓子は、薔薇の形を象った可愛らしい見た目をしている。
食べるのがもったいないと思いつつ口に含むと、ふんわりとした食感で、あっという間に口の中でとろけた。
(世の中には、こんな美味な食べ物があるのね)
私は、薔薇づくしを堪能した。
「そういえばマーニャは何歳なの?」
ずっと気になってことを向かい側に座り、紅茶を啜ってるマーニャ尋ねる。
見た感じ私と対して変わらないけれど。
「十八でございます。桜姫様はおいくつなのでしょうか?」
つかさずマーニャが聞いてくる。
「私は、十六歳よ」
「まぁ、それでは桜姫様は、オルフェイオ様より三つ下なのでございますね。ちょうどいい年齢差ですわ」
(三つ下?という事は、アシュラム様は十九歳なのね)
それから私とマーニャは様々な話に花を咲かせた。
マーニャは五人兄弟の長女で、家計を支えるために、幼い頃から宮廷に仕えてるという。
「分からないことがありましたら、なんなりとお申し付けくださいね」
と、マーニャは柔らかい微笑みを浮かべる。
誰も知らない異国で不安だったけれど、マーニャのお陰で少し不安が和らいだ気がした。
ーーその時だった。
突然バンッと勢いよく扉が開かれて、見知らぬ女性が現れた。
歳は二十四、五歳くらいだろうか?
金色の長い髪を縦に巻いており、赤い薔薇の髪飾りを付けている。
真っ赤なドレスに赤い口紅がよく似合っていて、とても艶やかだ。
女性はカッカッカッと音を立てながら私の前にくるなり、第一声にこう放った。
「ふーん。あなたが小国から嫁いできたという田舎者の姫ね。お母様の言ってた通り可笑しな身なりをしているわ。今は殆どの国がドレスを着てるというのに、やぁね、桜ノ国ってなんて未開な場所なのかしら。まぁオルフェオ風情にはお似合いよ」
(いったい何なのよ……)
いきなりやってきて、なんて失礼な人なのだろうか。
私が呆気にとられているとマーニャが、
「メリナ様…!ノックもせず勝手に入られては困ります……!」
(メリナ…ということは、この人がオルフェオ様の姉?)
確かによく見たら、ベスビアス王妃と同じ翡翠色の瞳をしている。
メリナ様の良い草からしてオルフェオ様とは不仲なのだろうか?
まぁ何はともあれ、私がメリナ様に快く思わられていないのは確かだった。
そしてベスビアス王妃にも--
「ちょっと貴方!下婢の分際でこのわたくしに指図するつもり?なんて無礼な犬なのかしら。そもそもまず雑用係が、なに呑気にお茶なんか飲んで寛いでるのよ!これは歴とした業務放棄だわ。クビよクビ!」
メリナ様は甲高い声で喚き散らす。
仮にも一国の王女が、一体どこからそんな汚い言葉を覚えたのだろうかと、私は不思議に思った。
「も、申し訳ございません…どうかお許しください…」
マーニャは謝罪をして、許しを乞う。
メリナ様の剣幕に押されて放心状態だった私は、ハッとして我に返った。
「メ…メリナ様…!マーニャを無理やりお茶に誘ったのは私の方です。マーニャは何も悪くありませんわ。罰するならどうか私を……」
「うるさい!貴方は黙ってなさい!」
だが私の反論は虚しく、ピシャリと一括された。
重苦しい空気が流れる。
「私にはまだ幼い弟と妹がおります。今、クビになったら困ります」
マーニャは声を震わせ、茶色の瞳に涙を浮かべながらメリナ様に訴えかける。
メリナ様は一瞬だけ考え込むと、ニヤリと笑ってこう言い放った。
「そうね、だったら土下座をして許しを請いなさい。そしたら許してあげてもよくってよ」
「お待ちください…流石にそれは…」
いくなんでもやりすぎだと思った。
(マーニャは悪くないのに、こんなの理不尽すぎるわ。悪いのは私なのに……)
「あら、出来ないというの?ならクビになるまでのことよ」
「そんな……」
するとマーニャは--
「わかりました」と呟くと、膝をつき頭を下げた。
「マッ…マーニャ!!?」
「メリナ様、どうか…どうか…罪深い私をお許しくださいませ……」
涙を流しながら土下座をするマーニャ。
私は衝撃のあまり言葉を失う。
「仕方がないわね。躾のなってない馬鹿な犬は嫌いだけど、忠実な犬は好きだから許してあげるわ。心の広いわたくしに感謝なさい!アハハハハ」
メリナ様は満足気に笑うと最後に、
「それからアナタ!ここに嫁いできたのなら、自分の方からわたくしに挨拶にくるのが礼儀ってものよ!覚えておきなさい!」
と捨て台詞を残して、嵐のように去っていった。
私はすぐにマーニャに駆け寄る。
「マーニャ!大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
「ごめんなさい、私がお茶に誘ったばかりに…」
「いいえ。メリナ様の意見はごもっともです。これは使用人という立場を忘れて、桜姫様の優しさに甘えて業務を怠った私の責任です。ですから桜姫様はお気になさらないでください」
マーニャは涙を拭うと、気丈に笑ってみせる。
「マーニャ…」
私は、怒りで震えた。
己の立場を利用して、下の者を奴隷のように扱うメリナ様が許せなかった。
(王族がそんなに偉いというの?だとしたら私は同じ姫としてメリナ様を軽蔑するわ…!)
だけど一番許せなかったのは、泣いてるマーニャを助けることが出来ず、己の軽率な行動のせいで、マーニャをこんな目に遭わせてしまった自分に腹が立った。
マーニャに案内された部屋に入ると、またも私は驚かされた。
室内は白と桃色の家具で統一されており、寝床には薄い透かし模様の布の天蓋が垂れ下がっていた。
壁には高価そうな生地の窓掛けに、迫力のある上飾りが付いている。
円卓の布掛けの上には、部屋に合わせた桃色の薔薇の花が飾ってあった。
「まるで絵本の世界に迷い込んだみたいね」
(何だか落ち着かないわ…)
「桜姫様、こちらにどうぞ」
私がそわそわしているとマーニャに促されて、これまた高価そうな腰掛けに座る。
「今、お茶の用意をするので少々お待ちください」
「ぜひお願いするわ。良かったらマーニャも一緒にどうかしら?」
「いえ…私はその…業務がありますので……」
「別に今日くらいはいいじゃない。私、マーニャのことをもっと知りたいわ
「で、ですが…」
「ね、いいでしょう?そうだわ!お茶会にしましょう」
「……分かりました。では、今日だけ……」
「ええ!早速お茶にしましょう!」
私はマーニャを半ば強引に、お茶に付き合わせることに成功した。
マーニャが淹れてくれた茶は、澄んだ紅葉色をしていた。
紅茶という飲み物で、薔薇ノ国では、子供から大人まで広く親しまれているらしい。
桜ノ国でいう緑茶みたいなものだろうか?
口の広い持ち手のついた華やかな装飾が施されている不思議な容器を、そっと取り上げる。
(うーん。いい香り…)
優雅な香りが鼻を掠める。
一口飲んでみると、ほんのりとした甘みが口いっぱいに広がった。
「桜姫様、紅茶のお味はいかがでしょうか?」
「すっきりとした味わいで、とても飲みやすいわ」
「お口にあったようで安心しました。薔薇の花弁を紅茶に混ぜてるので、香りも楽しめるようになっております。ローズエキスがたっぷりと練り込まれたケーキもありますので、どうぞお召し上がりください」
ケーキというその菓子は、薔薇の形を象った可愛らしい見た目をしている。
食べるのがもったいないと思いつつ口に含むと、ふんわりとした食感で、あっという間に口の中でとろけた。
(世の中には、こんな美味な食べ物があるのね)
私は、薔薇づくしを堪能した。
「そういえばマーニャは何歳なの?」
ずっと気になってことを向かい側に座り、紅茶を啜ってるマーニャ尋ねる。
見た感じ私と対して変わらないけれど。
「十八でございます。桜姫様はおいくつなのでしょうか?」
つかさずマーニャが聞いてくる。
「私は、十六歳よ」
「まぁ、それでは桜姫様は、オルフェイオ様より三つ下なのでございますね。ちょうどいい年齢差ですわ」
(三つ下?という事は、アシュラム様は十九歳なのね)
それから私とマーニャは様々な話に花を咲かせた。
マーニャは五人兄弟の長女で、家計を支えるために、幼い頃から宮廷に仕えてるという。
「分からないことがありましたら、なんなりとお申し付けくださいね」
と、マーニャは柔らかい微笑みを浮かべる。
誰も知らない異国で不安だったけれど、マーニャのお陰で少し不安が和らいだ気がした。
ーーその時だった。
突然バンッと勢いよく扉が開かれて、見知らぬ女性が現れた。
歳は二十四、五歳くらいだろうか?
金色の長い髪を縦に巻いており、赤い薔薇の髪飾りを付けている。
真っ赤なドレスに赤い口紅がよく似合っていて、とても艶やかだ。
女性はカッカッカッと音を立てながら私の前にくるなり、第一声にこう放った。
「ふーん。あなたが小国から嫁いできたという田舎者の姫ね。お母様の言ってた通り可笑しな身なりをしているわ。今は殆どの国がドレスを着てるというのに、やぁね、桜ノ国ってなんて未開な場所なのかしら。まぁオルフェオ風情にはお似合いよ」
(いったい何なのよ……)
いきなりやってきて、なんて失礼な人なのだろうか。
私が呆気にとられているとマーニャが、
「メリナ様…!ノックもせず勝手に入られては困ります……!」
(メリナ…ということは、この人がオルフェオ様の姉?)
確かによく見たら、ベスビアス王妃と同じ翡翠色の瞳をしている。
メリナ様の良い草からしてオルフェオ様とは不仲なのだろうか?
まぁ何はともあれ、私がメリナ様に快く思わられていないのは確かだった。
そしてベスビアス王妃にも--
「ちょっと貴方!下婢の分際でこのわたくしに指図するつもり?なんて無礼な犬なのかしら。そもそもまず雑用係が、なに呑気にお茶なんか飲んで寛いでるのよ!これは歴とした業務放棄だわ。クビよクビ!」
メリナ様は甲高い声で喚き散らす。
仮にも一国の王女が、一体どこからそんな汚い言葉を覚えたのだろうかと、私は不思議に思った。
「も、申し訳ございません…どうかお許しください…」
マーニャは謝罪をして、許しを乞う。
メリナ様の剣幕に押されて放心状態だった私は、ハッとして我に返った。
「メ…メリナ様…!マーニャを無理やりお茶に誘ったのは私の方です。マーニャは何も悪くありませんわ。罰するならどうか私を……」
「うるさい!貴方は黙ってなさい!」
だが私の反論は虚しく、ピシャリと一括された。
重苦しい空気が流れる。
「私にはまだ幼い弟と妹がおります。今、クビになったら困ります」
マーニャは声を震わせ、茶色の瞳に涙を浮かべながらメリナ様に訴えかける。
メリナ様は一瞬だけ考え込むと、ニヤリと笑ってこう言い放った。
「そうね、だったら土下座をして許しを請いなさい。そしたら許してあげてもよくってよ」
「お待ちください…流石にそれは…」
いくなんでもやりすぎだと思った。
(マーニャは悪くないのに、こんなの理不尽すぎるわ。悪いのは私なのに……)
「あら、出来ないというの?ならクビになるまでのことよ」
「そんな……」
するとマーニャは--
「わかりました」と呟くと、膝をつき頭を下げた。
「マッ…マーニャ!!?」
「メリナ様、どうか…どうか…罪深い私をお許しくださいませ……」
涙を流しながら土下座をするマーニャ。
私は衝撃のあまり言葉を失う。
「仕方がないわね。躾のなってない馬鹿な犬は嫌いだけど、忠実な犬は好きだから許してあげるわ。心の広いわたくしに感謝なさい!アハハハハ」
メリナ様は満足気に笑うと最後に、
「それからアナタ!ここに嫁いできたのなら、自分の方からわたくしに挨拶にくるのが礼儀ってものよ!覚えておきなさい!」
と捨て台詞を残して、嵐のように去っていった。
私はすぐにマーニャに駆け寄る。
「マーニャ!大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
「ごめんなさい、私がお茶に誘ったばかりに…」
「いいえ。メリナ様の意見はごもっともです。これは使用人という立場を忘れて、桜姫様の優しさに甘えて業務を怠った私の責任です。ですから桜姫様はお気になさらないでください」
マーニャは涙を拭うと、気丈に笑ってみせる。
「マーニャ…」
私は、怒りで震えた。
己の立場を利用して、下の者を奴隷のように扱うメリナ様が許せなかった。
(王族がそんなに偉いというの?だとしたら私は同じ姫としてメリナ様を軽蔑するわ…!)
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