引きこもりのチート魔術師

アマトリ

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異世界で人生コンティニュー!?

俺の家が魔改造を受けたようです

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引きこもってから約一ヶ月が経った。あれからこの世界について色々わかったことがある。
まずこの世界は俺の知っている「THE ラグナロク」の世界と都市の配置やダンジョンがほぼ同じだということ。
しかし一つ違うのは技術だ。ゲームのなかではまだ街灯はランプだったし電気なんてものはなかったはずだ。
だが街灯は電気が点り、家々のなかにも電気を使うところがある。恐らくだが
この世界はゲームの世界の少し未来の姿なのではないかと思っている。
そして、俺は過去の文献を読み漁り、異世界から人が迷い混んだ例がないかと探したが結局見つけることは出来なかった。
帰る手段がわからない以上はこの世界で生きていくしかない。しかし俺は過去最高のピンチを迎えていた。



「今月学校に行かなければこの家から出ていってもらいます。」
とメイドのマリアさんが意を決した表情で言った。
「いやー冗談はよしてくださいよ。HaHaHa……マジですか?」
それもそうだろう学校に迎えることで力の使い方を学び、国に貢献できる人材を育てるために俺を受けいれてくれていたのに、食っては好きなことをして寝るような生活を繰り返しているのでは、追い出されても文句の言いようがない。
むしろよく一ヶ月も養ってくれたものだなとひっそり感謝する。しかしそれとこれとは別だ。
ここを追い出されてしまってはいく宛がないのもまた事実ここは何とかしてこの危機を回避せねば!

「いやはや悪いとは思ってるんだよ?うん。
でもねまだ心の整理が出来てないというか
まだ魔法ワカンナ…くはないけど取り敢えずまだ準備が出来てないんだよ。」
汚い言い訳であるのは自分でも分かっているのだがここは引き下がるわけにはいかない!
どんな反応が来るのかと待っていると
マリアさんは大きなため息をついて、
「では戸々での生活費をご自分で払っていただけるのであれば私もすぐに追い出すのはおやめしましょう。」
と妥協案を出してくれた。なんだかんだ言って
隼に甘いのだ。
「なら稼いでやりますよ!」
そう言い切った俺を呆れた目で見ながらマリアさんは帰っていった。

しかし
どうしようにもお金の稼ぎかたなんて分かるわけがない。どうしようかと悩んでいると
コンコン
と玄関をノックする音が聞こえた。
マリアさんが帰ってきたのかと思いドアを開けると、そこには銀髪の美少女がいた。
「久しぶり隼。校長先生に聞いたらあなたがここに籠ってるって聞いたから。」
と彼女が来た理由を説明してくれた。
「久しぶり。あのときはお礼も言えてなかったな。改めてありがとう。」
と俺は素直に感謝の気持ちを伝えた。
彼女は
ううん。全然いいよ。と笑顔で受け取ってくれた。彼女とたわいない世間話をしていると
彼女が気になる話をした。
「ねぇ隼?あなた魔道具ってしってる?最近クラスの子が魔道具を作って販売しておこづかいを稼いでるらしいんだけど魔道具って作るの難しいのかなぁ…って隼?どうしたの?そんなこれだ!みたいな顔をして。」
おれはそれを聞いた瞬間これだ!と思ったのだがどうやら顔に出ていたらしい。
魔道具ついては本で見たことがある。プロの魔術師は基本、自分の得意な攻撃魔法などを自分の杖などに2、3個付与するのが一般的だ。魔力が低くい人でも使えるものもあるので、一般の多くの人々が使っている。
俺は最近魔法の開発にいき詰まっていたので
何か新しいことをしたかったのだが 
ちょうどいいので魔道具を作ってここの生活費の足しにしようと考えた。
その後ハクアが帰ってから俺は魔道具の作り方について調べた。
魔道具は魔物の素材や宝石に文字を使って効果を付与することでその文字に沿った力を発揮するというものだ。
上質な素材や宝石などは書き込める文字数が多く、
より多くの効果を付与することができるというわけだ。
おれは早速どの魔物の素材を使うか決めた。
名前はグリフォンで危険度はA
この世界の魔物には危険度が設定されていて
S軍隊クラス
A大隊クラス
B小隊クラス
C分隊クラス
Dパーティークラス
E個人討伐可能
というふうに分かれている。
今回の素材であるグリフォンは空の覇者と呼ばれており、空中生物で言えばほぼ最強の部類の魔物らしい。
俺は地図でそのグリフォンのでるダンジョン
「スカイジャングル」
というAランクダンジョンに行くことにした。
「スカイジャングル」はその名前のとおり
雲の上に浮かぶジャングルでBやAの魔物が多く生息している。俺は最近開発した
マップテレポート
という魔術を使って行くことにした。
マップテレポートは地図といきたい場所の写真があれば、そこにテレポートできるという
この世の常識を覆す魔術だ。従来であれば一度行ったところにしか行けないのがセオリーなのだかこれは行ったことがなくても行くことができるのだ。しかし引きこもりはそう易々と外には出ない。
テレポートを開始するとそこにあった家は跡形もなく消失した。




そう家ごとテレポートでダンジョンに来たのだ。
家には安眠結界が張ってあるので魔物の攻撃では傷一つ付くことはない。(多分
急に現れた家に警戒心剥き出しのグリフォンたちが数匹で家を囲んでいた。
その体躯は家より大きく本来であれば数匹など絶望しかないのだが、俺は残念ながらチートの権化だ。
「迎撃魔術起動。術式は包囲殲滅型。」
俺がそう唱えると家の壁から魔方陣が浮き出て魔力が収束していく。異変に気づいたグリフォンたちが一斉に家に飛び掛かるが
遅い
カッと光ったかと思うと大爆発を起こし、辺り一帯を焼け野原にした。もちろん家は全くの無傷である。
この家には俺が施した術式により、俺の魔力を使って砲撃や爆発 さらには召喚まで出来るようにした。本当は変形とかさせたかったのだが
さすがに自重した。
俺は収納用の魔道具である
「ブラックボックス」
のなかにグリフォンの羽やくちばしを切り取って積めていく。もちろん家からはでずに、
家の備え付けられたブラックボックスに同じく備え付けられた風の切断魔法を使ってグリフォンの部位を回収している。
イメージしていれば勝手にやってくれるので
おれは特になにもしない。
回収が終わるとおれは来たときとは違い
普通にテレポートを使ってもとの場所に帰ってきた。マップテレポートでもよかったのだが
一々地図を広げるのはめんどくさいのだ。
そんなこんなで回収した素材を使い、
ブレスレットを作ることにした。
おれは何を付与しようかと思い
付与しようと思ったのだがこの世界の言葉では、なかなかに文字数が多くて入りきらなかったので一か八か漢字を使ってみると効果が発動したのだ。そこでおれはこのブレスレットに次の効果を付与した。

「念話」
「魔力保存」
「自動修復」
「照明」
「視力強化」

なぜこのチョイスなのかは普段使うことが多い魔術を上から順に入れていった結果だ。
これはためしに作ったものなので5つほど作って、校長 ハクア マリアさん 自分 保存用
で分けた。
俺は久しぶりの外出(家からは出ていないので外出というのだろうか) 
のせいで、疲れが貯まっていたのだろうか
校長とマリアさんに渡すやつに手紙を添えるといつの間にか眠りに落ちていた。







はぁ
と隣でため息をつく赤髪のメイドと
そのご主人と思われる金髪の青年が
この世に現れた理不尽のもとに向かっていた。
「今日こそは出てくれますかね?」
「どうかな?今日は僕もいくけどあれは僕の手に負えるような人物じゃないと思うんだけどね。」
憂鬱な顔で会話する二人は
メイドのマリアと校長のバロンだ。
二人は最強の引きこもりを更正させるべく彼の家(校長のものなのだが魔改造されていて手が出せない。)に向かっていた合鍵を使って、家にはいると、彼はまだ寝ていた。
「全く!今日もたたき起こします!」
と、彼のベッドに向かっていくがふとテーブルの上に手紙とブレスレット2つおいてあった。
その手紙には
「普段お世話になっているので感謝の気持ちです。初めてなんで上手くできたかは分かりませんが良ければもらってください。   隼」 
とあった。
マリアと校長は彼の根の部分は優しいんだなと思い少しばかり感動を覚えたが、そのブレスレットを見てその感動は吹き飛んだ。
なぜならそのブレスレットには5つもの効果が
付与されており、さらには「念話」や「魔力保管」等という規格外の効果まで付与されているからだ。この世界には遠距離の通話等存在せず、せいぜい少し離れている距離で声を拡声させる程度のものしかない。
しかし隼は魔力を電波に見立ててイメージして文字を書き込むことによってこれを実現させていた。
校長は漢字が読めたわけではないが、鑑定のスキルでどのような効果が付与されているかは判別することができる。明らかにこの国の言葉ではオーバーする文字数を枠内に納めているこの文字には見覚えがなく、完全にオーパーツとなった。
隼が作ったこのブレスレットはもはや国宝級のものでそれをこんな軽々しく配ってしまうとはと思うと、校長は頭痛を覚えるのであった。
この事は隼に口止めして、魔道具の開発は校長の管理下で行われるようになった。しかしもらったものは捨てるわけにもいかないので
校長とマリアは嬉しそうに自分の手首にはめて今日も一日が始まるのであった。



著者より
ここまで読んでくださったかたありがとうございます。
今回で前のアカウントで書いていた部分までいきました。意外と早かったてすね。


さて今回は主人公はベッドの上から一歩も動かずに敵を殲滅するという外道的行為を行いましたがどうでしょうか?引きこもりで尚且つ圧倒的強さをみせるにはどうしたらいいか考えたあげく家を魔改造するという邪道に走りました。
結構文字数多くて読むのダルかったかもしれませんがそれでも読んでくださるかたがいるので頑張って書くことができました!
次の話の構想もある程度決まっているのですが、諸事情により更新は明後日になると思います。ではこれを読んで次が気になった人は次の話で会いましょう。それでは
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