鷹谷くんの恋人

村上 はるまき

文字の大きさ
2 / 2

第2話 鷹谷君の視線

しおりを挟む
ふと、鷹谷君と目が合ってしまった。

どうやら私が心ここにあらずな状態で鷹谷君を見ていたらしく、当然ながら鷹谷君が気づいてしまったようだ。

どうしよう…

目があったからには話しかけなければという使命感に駆られるが、いざ話しかけようとすると言葉が詰まる。

さっきまで、鷹谷君のこと考えてました~
なんて言ったら誤解を招く。

そうこう考えていたら、鷹谷君がこっちに歩み寄ってきた。

「村上さん。おはよう。どうかした?」

あ…鷹谷君。
そうだよ。どうかしたんだよ。
さっきまで勝手に鷹谷と気まずい説を脳内で解いていたんだよ。
こうなったら、いよいよ誕生日の話題に触れるしかないと思った。

「あ、鷹谷君、おはよう。
今鷹谷君が、誕生日が8月17日だって言ってたのを聞いて驚いたんだよ。
私と誕生日一緒だったから…」

「え、そうだったの?知らなかったよ。」

「私も知らなかったよ。せっかく同じ誕生日だからプレゼント交換とかしたいよね。…なんて。」

「………。」

あ、私ってばなんて余計な一言を口走ってしまったんだ。
プレゼント交換なんて仲が良い人同士でやるものではないか。

なんだこいつ。あんまり絡みないくせに、プレゼント要求してきたぞ。
って鷹谷君、絶対思ってるよ。

あー、絶対変な人って思われた…
普通、やらないよね。

「…いいね、プレゼント交換。せっかく同じ誕生日なんだから、やろうか。」

ほらね、やっぱりやるって言ったよ。
え?今やるって言った?

え。
えー?!
やるって言ったよー!!

「え。本気で言ってるの?」

「あ、冗談だったらごめん、本気で受け止めてしまったよ。なんかごめんね?」

「あ、いや!冗談じゃないよ!楽しみにしてるね!」

「うん。といっても今は5月上旬だから、大分先だけどね。」

「そうだね。でも楽しみにしてる。忘れないように気をつけるね。」

「うん、俺も。じゃあまたね。」

鷹谷君はそう言うと、その後何か言いたそうな表情を見せたが、そのまま背を向けて自分の担当課へ帰ってしまった。

なんだったんだろう。
何か言いたそうだったな…

それより、ひょんなことから誕生日にプレゼント交換をすることになってしまった。

こっちに就職してからというもの、誕生日は1人で寂しく晩酌をしていた私にも、25歳の誕生日にやっとシングルバースデーの卒業だ。

「なんか、ちょっと楽しみだな…」

このときの、私は浮かれていた。
そう、このとき私は重大なことを忘れていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

2回目の逃亡

158
恋愛
エラは王子の婚約者になりたくなくて1度目の人生で思い切りよく逃亡し、その後幸福な生活を送った。だが目覚めるとまた同じ人生が始まっていて・・・

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください

ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。 やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが…… クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。 さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。 どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。 婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。 その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。 しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。 「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

処理中です...