4 / 50
4 メイドのメル
しおりを挟む
今日はラクロア様がお仕事で留守にしているので、中庭のベンチでごろんと寝転んで日向ぼっこをしています。ぽかぽか日があたって温かいけど、風が冷たいから、指先がかじかんでピリピリしてきた、やはり人間は外で寝るのは駄目みたい。そろそろお部屋に戻ろうかなと思っていたら、一人のメイドさんが話しかけてきました。
「あの、ユリス様」
「………あ、僕か、はぃ」
「ユリス様は、ラクロア様の恋人なんですか?」
「僕はラクロア様の猫です」
「猫?ネコ……アッ!ネコってそういう!?あ、わたし、そこまで聞こうと思ってなくて、ただ、そうなら、あの色々ご用意とかした方が良いって皆が言うから代表して聞きにきたんですけど、えっと、あの、ダイレクトに言っちゃいますけど、お尻とか大丈夫ですか?」
「お尻?大丈夫です」
「な、なら良かったです、男同士だと、大変と聞きますので」
「何が大変なんですか?」
「いや、あの、受け入れる方が負担が大きいですから、そういう時はほぐすためのお薬を使ったり……これからは、ちゃんとベット横にご用意しておきますね」
「はぁ、でも僕はお薬あんまり好きじゃないです」
「駄目ですよ、大事にしないと、こういうのは、お互いに思い遣りが大切ですから」
「はぁ、そうですか」
なんのことか解らないけど、人間はよくこういうぼかした言い方をする。僕は猫だからはっきり言ってくれないと困るけど、前世が猫だったことは隠していなさいとラクロア様が言ってたし……あ、さっき猫っていっちゃった。
「あの、僕が猫って内緒にしてくださいね」
「内緒にですか!?なかなかに難しいともうしますか、もうばればれと申しますか、逆にラクロア様がネコだったらそれはそれで問題と申しますか、でも確かにこんなお話をペラペラするようなことはいたしませんので、ご安心してくださいね」
「うん」
優しいメイドさんで良かった。昔からここに勤めるメイドさんは、概ね僕が自由にしてても、見て見ぬふりをしてくれる優しい人が多い。変にかまったり、追いかけられたり、捕まえられたりしないから、ラクロア様のお屋敷はとっても住み心地がよかったの。
そういえば、あの悪いメイドはどうなったんだろ?ちゃんと捕まったかなぁ。僕のこと蹴ったしさ、良くないよね、弱いもの虐めはさ。それに、ラクロア様のこと殺そうとするなんて、本当に許せない、もう居ないよね?ちゃんと叱られたよね?
「あのさ、聞いても良い?」
「何ですか?」
「んっと、僕が今13だから、13年前で良いのかなぁ、あの、13年くらい前に、ここに悪いメイドさんが居たの知らない?」
「13年前ですか?すみません、わたし、まだ3年間しかここで勤めてなくて、あ、でもメイド長のナスリさんなら御存じですよ、だってもう60年くらいここで働いてらっしゃるみたいだし」
「ナスリ、あぁ、まだ生きてるんだね」
「エッ!!そんな、ユリス様、さすがにそれは失礼ですよ、確かに……年齢は、おばぁさんの領域ですが、あの人、人の3倍くらい働く凄い人ですし」
「あ、悪い意味で言ったんじゃないよ、僕たちあんまり長生きできないから、まだ生きてて凄いなと思って」
「ユリス様……もしや、短命のご家庭で?お体が弱いですもんね、だから、ラクロア様があんなに心配してるんですね、ぐすん、ユリス様可哀想です」
涙ぐんだメイドさんは、ぱしっと僕の手を掴んだ。僕は一瞬、あ、触らないでと思ったけど、猫の時より嫌悪感みたいなのは薄くて、耐えられた。
「ユリス様、私、メルって言います、どうかこれからは私に何でもおっしゃって下さいね、苦しいとか、つらいとかあったら直ぐにお医者様呼びますからね」
「お医者様あんまり好きじゃないの」
「でも、元気でいないとラクロア様が悲しみますよ」
「そうね、それはだめだね」
「そうですよ、ユリス様が元気にしてれば、ラクロア様も安心してお仕事できます。知ってますか?いま、3時間毎にユリス様の様子をラクロア様に報告してるんですよ」
「そうなんですか?知らなかった、僕、寝てるだけなのに報告する必要あるんですか」
「有るんです、愛した方が負けというか、常に知っていたいと言うか、ラクロア様はああ見えて一途な方だったみたいです、ずっとお仕事ばかりしてるから、ご結婚とか伴侶をもつとかそんなの興味が無いのだと皆が諦めてましたが、33を過ぎて遂にこんな可愛らしい方を連れてくるなんて、私達皆が喜んでるんですよ」
メイドさん達が喜んでるなら、良かった。僕は前世でもラクロア様に拾われたけど、今世もラクロア様が拾ってくれたし、このままずっとおそばに居られれば幸せなの。でも、僕を死に追いやったメイドがもう居ないのかだけは確かめなきゃね、後でメイド長のナスリさんに会ってこなきゃ。またラクロア様に何かあったら大変だもの。今回は僕は人間だから、ちゃんと飲んじゃ駄目って言えるし。言葉が話せるって便利ね。
「あの、ユリス様」
「………あ、僕か、はぃ」
「ユリス様は、ラクロア様の恋人なんですか?」
「僕はラクロア様の猫です」
「猫?ネコ……アッ!ネコってそういう!?あ、わたし、そこまで聞こうと思ってなくて、ただ、そうなら、あの色々ご用意とかした方が良いって皆が言うから代表して聞きにきたんですけど、えっと、あの、ダイレクトに言っちゃいますけど、お尻とか大丈夫ですか?」
「お尻?大丈夫です」
「な、なら良かったです、男同士だと、大変と聞きますので」
「何が大変なんですか?」
「いや、あの、受け入れる方が負担が大きいですから、そういう時はほぐすためのお薬を使ったり……これからは、ちゃんとベット横にご用意しておきますね」
「はぁ、でも僕はお薬あんまり好きじゃないです」
「駄目ですよ、大事にしないと、こういうのは、お互いに思い遣りが大切ですから」
「はぁ、そうですか」
なんのことか解らないけど、人間はよくこういうぼかした言い方をする。僕は猫だからはっきり言ってくれないと困るけど、前世が猫だったことは隠していなさいとラクロア様が言ってたし……あ、さっき猫っていっちゃった。
「あの、僕が猫って内緒にしてくださいね」
「内緒にですか!?なかなかに難しいともうしますか、もうばればれと申しますか、逆にラクロア様がネコだったらそれはそれで問題と申しますか、でも確かにこんなお話をペラペラするようなことはいたしませんので、ご安心してくださいね」
「うん」
優しいメイドさんで良かった。昔からここに勤めるメイドさんは、概ね僕が自由にしてても、見て見ぬふりをしてくれる優しい人が多い。変にかまったり、追いかけられたり、捕まえられたりしないから、ラクロア様のお屋敷はとっても住み心地がよかったの。
そういえば、あの悪いメイドはどうなったんだろ?ちゃんと捕まったかなぁ。僕のこと蹴ったしさ、良くないよね、弱いもの虐めはさ。それに、ラクロア様のこと殺そうとするなんて、本当に許せない、もう居ないよね?ちゃんと叱られたよね?
「あのさ、聞いても良い?」
「何ですか?」
「んっと、僕が今13だから、13年前で良いのかなぁ、あの、13年くらい前に、ここに悪いメイドさんが居たの知らない?」
「13年前ですか?すみません、わたし、まだ3年間しかここで勤めてなくて、あ、でもメイド長のナスリさんなら御存じですよ、だってもう60年くらいここで働いてらっしゃるみたいだし」
「ナスリ、あぁ、まだ生きてるんだね」
「エッ!!そんな、ユリス様、さすがにそれは失礼ですよ、確かに……年齢は、おばぁさんの領域ですが、あの人、人の3倍くらい働く凄い人ですし」
「あ、悪い意味で言ったんじゃないよ、僕たちあんまり長生きできないから、まだ生きてて凄いなと思って」
「ユリス様……もしや、短命のご家庭で?お体が弱いですもんね、だから、ラクロア様があんなに心配してるんですね、ぐすん、ユリス様可哀想です」
涙ぐんだメイドさんは、ぱしっと僕の手を掴んだ。僕は一瞬、あ、触らないでと思ったけど、猫の時より嫌悪感みたいなのは薄くて、耐えられた。
「ユリス様、私、メルって言います、どうかこれからは私に何でもおっしゃって下さいね、苦しいとか、つらいとかあったら直ぐにお医者様呼びますからね」
「お医者様あんまり好きじゃないの」
「でも、元気でいないとラクロア様が悲しみますよ」
「そうね、それはだめだね」
「そうですよ、ユリス様が元気にしてれば、ラクロア様も安心してお仕事できます。知ってますか?いま、3時間毎にユリス様の様子をラクロア様に報告してるんですよ」
「そうなんですか?知らなかった、僕、寝てるだけなのに報告する必要あるんですか」
「有るんです、愛した方が負けというか、常に知っていたいと言うか、ラクロア様はああ見えて一途な方だったみたいです、ずっとお仕事ばかりしてるから、ご結婚とか伴侶をもつとかそんなの興味が無いのだと皆が諦めてましたが、33を過ぎて遂にこんな可愛らしい方を連れてくるなんて、私達皆が喜んでるんですよ」
メイドさん達が喜んでるなら、良かった。僕は前世でもラクロア様に拾われたけど、今世もラクロア様が拾ってくれたし、このままずっとおそばに居られれば幸せなの。でも、僕を死に追いやったメイドがもう居ないのかだけは確かめなきゃね、後でメイド長のナスリさんに会ってこなきゃ。またラクロア様に何かあったら大変だもの。今回は僕は人間だから、ちゃんと飲んじゃ駄目って言えるし。言葉が話せるって便利ね。
1,103
あなたにおすすめの小説
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー
エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。
生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。
それでも唯々諾々と家のために従った。
そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。
父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。
ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。
僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。
不定期更新です。
以前少し投稿したものを設定変更しました。
ジャンルを恋愛からBLに変更しました。
また後で変更とかあるかも。
完結しました。
狂わせたのは君なのに
一寸光陰
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる