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12 腕の中
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ニャリスの行方が解らず、報告を待つだけでは、いてもたってもいられず、我慢の限界がきて、ラクロアが執務室から出て街を探そうとした時、一報が入った。
「ユリス様とおぼしき少年が保護されたそうです、ただ保護した騎士の宿舎の椅子にしがみついて離れず連れてくるのが困難とのこと」
なんという甘えん坊なんだと言わんばかりの騎士の報告に、一瞬殺意を覚え、いやいや、だめだと、首をふり、冷静に心を整えラクロアは自分の胸を叩いた。
「俺がいく、案内しろ」
「ラクロア様がっ!?下級騎士の宿舎ですよ」
「何処だろうとかまわん、ユリスはおそらく俺がいかない限りてこでも動かない……抱っこで迎えにいかないと」
抱っこで迎えなどと、普段のラクロアから一生涯出てこなさそうな言葉に、そば仕えの騎士は我が耳を疑った。抱っこで迎え……甘えん坊過ぎやしないか。
報告に来た騎士は内心動揺するも、ラクロアが背中を手のひらでグイグイせっつきはやく案内しろ、と怒気を孕んだ血走った目をして怒鳴るので、頷きながら歩き出した。
「こ、こちらです」
騎士がラクロアを、下級騎士の宿舎へと案内すると、宿舎の中はてんやわんと大騒ぎになった。何故なら、ラクロアのような高貴な身分の者が足を踏み入れる所ではないからだ。全ての下級騎士達は、殺されないように狭い通路の壁に張り付かんばかりに道を開けて、低姿勢を貫いた。
顔を上げるな、誰かがそう言ったのを波紋が広がるような速さで実行していく。
廊下の真ん中を走り出さんばかりの早足で、ラクロアはニャリスのいる部屋に向かった。
ざわざわと人集りが出来ている部屋に到着すると、皆がラクロアを見て、ズザザザッと部屋から離れていく。
扉を開けると、椅子にしがみついて、動きたくないと、イヤイヤをしているニャリスと目があった。
「ニャリスっ!!」
「ラクロアさまぁ、あーん、怖かったよぅ」
椅子から離れて、ラクロアの腕の中に飛び込んだニャリスは、スリスリスリスリとラクロアの胸に頬擦りをした。ラクロアは飛び込んできたニャリスをヒシッと抱き締めて、やっとようやく胸を撫で下ろした。
「何で居なくなったりしたんだ、心配するだろう」
「だってぇ、ラクロア様のお仕事見たかったんだもん、僕、ラクロアさまのお役にたちたかったんだもん、そしたらもっと好きになってもらえると思ったから、、でも、怖かったよぅ、逢いたかったラクロアさまぁ、迎えにきてくれてありがとう」
「ングッ……かわい……ハッ」
自分の役にたちたかったと泣きべそをかいてるニャリスの顔の何と可愛いことか。抱き締めながら、顎でニャリスの黒髪をグリグリしていたら、皆の視線にハッと気づいた。
ラクロアは、すっんと、顔を引き締め、そばでこれまでの一部始終を運悪く見てしまった騎士をじろりと睨んだ。
「おい、近衛騎士全てに通常業務に戻るよう伝えよ、流通を戻して良い関所も開けよ」
「は、はい、直ちに」
騎士は泡をふきそうな勢いで答えると部屋から出ていった。ようやく、二人っきりになって、ラクロアはニャリスの頬をなでた。
「ニャリス、お外は危ない、俺がお前を失えないって知ってるだろ?頼むからもう勝手にお外へ出たらだめだ」
「はぁい、ごめんなさい」
「もしもどうしても外にでたいとには一個中隊くらいに守らせないとだめだ、だから、俺にちゃんと言うんだぞ」
「はぁい、でもね、僕、もともと野良猫だったから、、平気だと思ったの、僕ね、弱くないんだよ?ラクロア様は知らないかもだけど」
「知ってるさ、お前が勇気の有る猫だって、知ってる、だが、それとこれとは別だ……俺が、悲しくなるからやめて欲しい」
「うん、ラクロア様、悲しくさせてごめんね」
きゅるっとした瞳で見上げられると、お説教はこれ以上出来なかった。
無事に保護できて本当に良かったと、ラクロアは心のそこから神に感謝したくなった。
「ユリス様とおぼしき少年が保護されたそうです、ただ保護した騎士の宿舎の椅子にしがみついて離れず連れてくるのが困難とのこと」
なんという甘えん坊なんだと言わんばかりの騎士の報告に、一瞬殺意を覚え、いやいや、だめだと、首をふり、冷静に心を整えラクロアは自分の胸を叩いた。
「俺がいく、案内しろ」
「ラクロア様がっ!?下級騎士の宿舎ですよ」
「何処だろうとかまわん、ユリスはおそらく俺がいかない限りてこでも動かない……抱っこで迎えにいかないと」
抱っこで迎えなどと、普段のラクロアから一生涯出てこなさそうな言葉に、そば仕えの騎士は我が耳を疑った。抱っこで迎え……甘えん坊過ぎやしないか。
報告に来た騎士は内心動揺するも、ラクロアが背中を手のひらでグイグイせっつきはやく案内しろ、と怒気を孕んだ血走った目をして怒鳴るので、頷きながら歩き出した。
「こ、こちらです」
騎士がラクロアを、下級騎士の宿舎へと案内すると、宿舎の中はてんやわんと大騒ぎになった。何故なら、ラクロアのような高貴な身分の者が足を踏み入れる所ではないからだ。全ての下級騎士達は、殺されないように狭い通路の壁に張り付かんばかりに道を開けて、低姿勢を貫いた。
顔を上げるな、誰かがそう言ったのを波紋が広がるような速さで実行していく。
廊下の真ん中を走り出さんばかりの早足で、ラクロアはニャリスのいる部屋に向かった。
ざわざわと人集りが出来ている部屋に到着すると、皆がラクロアを見て、ズザザザッと部屋から離れていく。
扉を開けると、椅子にしがみついて、動きたくないと、イヤイヤをしているニャリスと目があった。
「ニャリスっ!!」
「ラクロアさまぁ、あーん、怖かったよぅ」
椅子から離れて、ラクロアの腕の中に飛び込んだニャリスは、スリスリスリスリとラクロアの胸に頬擦りをした。ラクロアは飛び込んできたニャリスをヒシッと抱き締めて、やっとようやく胸を撫で下ろした。
「何で居なくなったりしたんだ、心配するだろう」
「だってぇ、ラクロア様のお仕事見たかったんだもん、僕、ラクロアさまのお役にたちたかったんだもん、そしたらもっと好きになってもらえると思ったから、、でも、怖かったよぅ、逢いたかったラクロアさまぁ、迎えにきてくれてありがとう」
「ングッ……かわい……ハッ」
自分の役にたちたかったと泣きべそをかいてるニャリスの顔の何と可愛いことか。抱き締めながら、顎でニャリスの黒髪をグリグリしていたら、皆の視線にハッと気づいた。
ラクロアは、すっんと、顔を引き締め、そばでこれまでの一部始終を運悪く見てしまった騎士をじろりと睨んだ。
「おい、近衛騎士全てに通常業務に戻るよう伝えよ、流通を戻して良い関所も開けよ」
「は、はい、直ちに」
騎士は泡をふきそうな勢いで答えると部屋から出ていった。ようやく、二人っきりになって、ラクロアはニャリスの頬をなでた。
「ニャリス、お外は危ない、俺がお前を失えないって知ってるだろ?頼むからもう勝手にお外へ出たらだめだ」
「はぁい、ごめんなさい」
「もしもどうしても外にでたいとには一個中隊くらいに守らせないとだめだ、だから、俺にちゃんと言うんだぞ」
「はぁい、でもね、僕、もともと野良猫だったから、、平気だと思ったの、僕ね、弱くないんだよ?ラクロア様は知らないかもだけど」
「知ってるさ、お前が勇気の有る猫だって、知ってる、だが、それとこれとは別だ……俺が、悲しくなるからやめて欲しい」
「うん、ラクロア様、悲しくさせてごめんね」
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