アンリ☆あんりみてぃっと??

桜小路桜

文字の大きさ
2 / 2

サユリがいればいい。

しおりを挟む
正門前は、登校してくる生徒達が増えて来るに従って大きな人垣となっていた。

こんな綺麗な人間見たこと無い!

テレビなんかでも見たこと無い!

同じ人間でどんだけ違うんだろ❓

彼氏がクソに思える。

女よりキレーな男なんて反則じゃん。



その場にいる一同、いろいろな想いでギリシャ神話の美少年を前して暫くして、つりぎみの切れ長の瞳がゆっくりと周りを見回し、やがて気難しいげにその魅惑的な唇が開いた。

「おい、誰かサユリを呼んで来い!」


やはり、すがたかたち同様美しい声である。

が…

やや低めに不快感を全面に出した言葉。


水を打ったような静寂の後…。
遠慮がちに、呟かれる「サユリって誰❓」


「杏里様、もう暫くお待ちくださいませ。小百合様は只今、生徒会活動中との事でございます。」
黒服の執事が杏里に囁いた。
そして、「ここは、公共の場であります故、大人しくお待ちくださいませ。」

その言葉で少年はみるみる顔色を変えた。

「誰に向かって言っている?大人しくしろと?
お前、なにさまだ?」

「わたくしは、結城家の執事でございます。杏里様。」
執事は、30代半ばぐらいの細見のインテリ風だった。
「もういい、お前帰れ!」

杏里は、執事に向かい投げやりの言葉を返した。
「お言葉ながら、わたくし、結城家当代当主比呂様より命じらております。 」

「私の命令が聴けぬと?」

「はい、わたくしの主人は比呂様でございますゆえ。」
何事もなく平然と執事は答えた。

「うるさい❗」

執事に尚も悪態をつくと、また学園の方を見て大声で言った。

「サユリ、いつまで私をこんなところで、待たせるのか?  早く来い!今すぐ来い!」

不快感あらわなギリシャ神に、今度は執事も知らん顔で控えている。
周りの生徒達は、どうしたら良いか解らない様子でただただ茫然としていた。

杏里もじっと学園を睨んで立ち尽くしていた。


それからほんの間もなくした頃、学園長代行の女教頭が誰かしらにこの騒ぎを聞いたのであろうか真っ青になり走ってきた。学年主任ふたりもその後を走ってきた。

「これはこれは、結城様。お早いお着きでお迎えも出来ず失礼しました。どうぞ、お許しくださいませ。」
何時は生徒達を上から目線でしか見ない教頭が、下から目線?いや低姿勢である。
そんな姿にもその場にいた生徒達は驚き、杏里が結城家の人間であるのにも、今更ながら気付いた様子だが、この非日常を完全に理解出来ていなかった。

「今日は学園長不在ですので、わたくし教頭の花岡がこれよりご案内致します。」

あくまで低姿勢で花岡教頭は、杏里に頭を下げる。

「良い下がれ!サユリを呼んで来い!」
あくまでも、不機嫌極まりない様子で言い放つ。

一瞬、教頭の顔色が変わったのが、その場にいた生徒全員に判った。

小百合様におかれては、早朝より生徒会室で執務中でございます。わたくしが小百合様の元にご案内申し上げます。」
冷や汗をかきながら、しどろもどろの言葉だった。
その必死の言葉も言い終わらないうちに、杏里は追い打ちを花岡にかけた。

「よい、サユリを呼べ!」

凍りつく程の冷たい言葉に、周囲の温度も下がった気がする。


「サユリって、生徒会長の名前じゃない?」
誰が呟いてる。
結城 小百合、私立白百合学園生徒会長で白百合学園の創始者一族であり、世界的大企業結城インターナショナルのCEO結城比呂の姪である。

その場のギャラリーが、先程より倍になろうかとする頃だった。
学園の方から、生徒会役員を引き連れた結城 小百合がやって来た。

「ごきげんよう。皆様、ごきげんよう、教師先生、先生がた」
生徒会長はいつものに優しく優美に皆にあいさつをした。

「お、お早うございます、結城様」
教師はしどろもどろで、小百合に頭を下げた。

「お早うございます。生徒会長!」
「お早う、生徒会長!」
生徒達も小百合に挨拶をした。

「遅いぞ、サユリ!」

ギリシャ神は、やっと会うことの出来たサユリに言い放ったが、先程までの冷気消えていた。

「教頭先生並びに先生がた、そして朝の正門でこんな騒ぎを起こしてしまったて、生徒の皆様本当にごめんなさい。」
小百合は、杏里を無視して続けた。
「今日よりこの学園、高等部2年に編入する結城 杏里です。ご覧の通り、世間知らずですが、よろしくお願いいたしますね」

小百合は皆に杏里の紹介と詫びを言うと、元来た校舎に杏里の手を引いて戻っていった。
その後を、生徒会役員達が追いかけていく。

「おい、サユリ! 痛いぞ!」

「大人しくする約束だったわよね!編入早々、あなたという人は!」

「私をはなにもしてないぞ!周りが勝手によって来ただけだ!」
自分をあくまで正当化している。
小百合は、こめかみに手をやりながら頭を横に降る。

「まあ、いいわ、これからがあなたの高校生活だものね。これから成長すればいいわ!」
 
呆れたように、いや、慈悲深いマリアの様に、杏里にだけ聞こえるように囁いた。

「私もまあ、いい!  退屈な日本の学校なんか来たくは無かった! まあいい!サユリがいればいい!」

小百合に連行されながら、杏里は周り全部に聞こえるように言い放つ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...