97 / 108
第6章 コンクール
第6話 第1次予選 6 ユウキ(受け)視点
しおりを挟む
※エロなし
グランドピアノが2台置かれた音楽院の練習室は、どの部屋も似たような造りのようだ
違うのは、そこから見える風景だけだろうか────
ヨーロッパの冬は寒い
日本とはまた違った寒さだ
幼少期過ごしたドイツよりは暖かいにせよ、イタリアもそこそこ寒くて
窓から見える寒々とした木々を眺めながら、いつまでこの地にいられるだろうか、と思った
ファイナルまで万が一残れたら…
このコンクールは、動画での予備予選が半年前に行われて
第1次予選、第2次予選、そして本選になっている
帰国便のフライトはオープンにしてある
1次予選敗退となったら、残念だけどドイツにいる両親に顔を見せてから帰国しようかとも考えていた
大学は、コンクール参加中は特別に出席扱いにしてくれている
ある程度勝ち進めば、大学の宣伝になるとも思っているのだろう
振り返り、譜面台に置かれた楽譜に目をやる
────正直、こんなに協力してくれるなんて、思ってもみなかった
アサヒくんの楽譜にはぎっしりとメモ書きされている
師匠から聞いたポイントと、アサヒくんなりの解釈が書き込まれた楽譜は
俺の演奏の大きな助けとなった
(1次予選、通過したいな…)
どんなに練習しても、1次予選に通過していなければ
このコンクールでは演奏できない
まぁ、次のコンクールで演奏するチャンスを作ればいいわけだけど…
ドアが古ぼけた音を立てて開かれ、甘い香りが立ち込める
「イタリアのくせに、ほんと甘い飲み物ばかりだな」
2次予選までの練習室利用は、1人5時間まで
1時間半練習した後、休憩しようとアサヒくんが音楽院のカフェに飲み物をテイクアウトしにいく
まるで習慣化されたかのような4日目の練習
「でも脳がカラッカラだから、甘い飲み物助かるけどね」
「まぁな…キャラメルマキアートだって…スタ〇かよ」
抽選会で腰回りに触れられた時は警戒したものの
それ以降のアサヒくんは、俺の体に触れることはほとんどなく
ただただピアノに集中できる環境を作ってくれている
「スクリャービン…難しくて迷うね…
いや、ベートーヴェンピアノももちろん難しいんだけど
なんか許されてる範囲がスクリャービンの方が広い気がして…」
「そうだな、先生からもスクリャービンをテコ入れしろって伝言されてる」
「…だよねぇ…」
「でも、ユウキの演奏は色彩感あるから先生の選曲は間違いないと僕は思うよ」
窓から見える、灰色一色の景色を眺めながら甘くて温かい飲み物を体内に入れていく
「…もっと色を加えられるとしたら…どこだろ…」
ひとりでは、こんな練習ができただろうか
「体温まったら、そのへんやってみよう」
元カレだということさえ忘れたら、アサヒくんは今、もっとも俺に必要な人材だ────
グランドピアノが2台置かれた音楽院の練習室は、どの部屋も似たような造りのようだ
違うのは、そこから見える風景だけだろうか────
ヨーロッパの冬は寒い
日本とはまた違った寒さだ
幼少期過ごしたドイツよりは暖かいにせよ、イタリアもそこそこ寒くて
窓から見える寒々とした木々を眺めながら、いつまでこの地にいられるだろうか、と思った
ファイナルまで万が一残れたら…
このコンクールは、動画での予備予選が半年前に行われて
第1次予選、第2次予選、そして本選になっている
帰国便のフライトはオープンにしてある
1次予選敗退となったら、残念だけどドイツにいる両親に顔を見せてから帰国しようかとも考えていた
大学は、コンクール参加中は特別に出席扱いにしてくれている
ある程度勝ち進めば、大学の宣伝になるとも思っているのだろう
振り返り、譜面台に置かれた楽譜に目をやる
────正直、こんなに協力してくれるなんて、思ってもみなかった
アサヒくんの楽譜にはぎっしりとメモ書きされている
師匠から聞いたポイントと、アサヒくんなりの解釈が書き込まれた楽譜は
俺の演奏の大きな助けとなった
(1次予選、通過したいな…)
どんなに練習しても、1次予選に通過していなければ
このコンクールでは演奏できない
まぁ、次のコンクールで演奏するチャンスを作ればいいわけだけど…
ドアが古ぼけた音を立てて開かれ、甘い香りが立ち込める
「イタリアのくせに、ほんと甘い飲み物ばかりだな」
2次予選までの練習室利用は、1人5時間まで
1時間半練習した後、休憩しようとアサヒくんが音楽院のカフェに飲み物をテイクアウトしにいく
まるで習慣化されたかのような4日目の練習
「でも脳がカラッカラだから、甘い飲み物助かるけどね」
「まぁな…キャラメルマキアートだって…スタ〇かよ」
抽選会で腰回りに触れられた時は警戒したものの
それ以降のアサヒくんは、俺の体に触れることはほとんどなく
ただただピアノに集中できる環境を作ってくれている
「スクリャービン…難しくて迷うね…
いや、ベートーヴェンピアノももちろん難しいんだけど
なんか許されてる範囲がスクリャービンの方が広い気がして…」
「そうだな、先生からもスクリャービンをテコ入れしろって伝言されてる」
「…だよねぇ…」
「でも、ユウキの演奏は色彩感あるから先生の選曲は間違いないと僕は思うよ」
窓から見える、灰色一色の景色を眺めながら甘くて温かい飲み物を体内に入れていく
「…もっと色を加えられるとしたら…どこだろ…」
ひとりでは、こんな練習ができただろうか
「体温まったら、そのへんやってみよう」
元カレだということさえ忘れたら、アサヒくんは今、もっとも俺に必要な人材だ────
20
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる