出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

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第二章  帝国編

プロローグ  〜皇帝の帰還〜

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side:???




お母さま

どうして お姉さまたちと 仲良くしてはいけないの?

なんで3番めのお兄さまは ぼくのことを いらない子というの?

どうして

だいすきな 1番めのお兄さまは 死んでしまったの?

どうして お母さまも 3番めのお兄さまも

1番めのお姉さまも 2番めのお姉さまも 3番めのお姉さまも 

お姉さまたちのお母さまたちも 叔父さまたちも

みんな いなくなってしまったの?


どうして なんで 

どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうシテドウシテ

ドウシテ










どうして2番目のお兄様だけ、生きてるの?


ー………

暖かな日差しの差し込む明るい部屋
今は青年へと成長を遂げた彼の室内は、酷く甘い香りで満たされていたー…



…………………………………………………………………………………


「まぁ………!!」


トリアドス王国を出立して2週間。
途中帝国領内の街で停泊を挟みながらたどり着いた帝都・カデルの街並みに、
シェイラは感嘆の声をあげた。

勿論ここに至るまでの耕作地帯を抱える領の風景も自然溢れる素晴らしいものだったが、帝都入りを果たすと風景は一変。

軒を連ねる出店に宿屋、中には鍛冶屋もあり、煙突からは常に煙が上がっている。
地面は滑らかに整備されているおかげで馬車が跳ねることもなく、
様々な国の文化が取り入れられ進んだ文化水準が見て取れる様は、石畳が敷かれ又貴族然とした優雅さで街並みを統一しているトリアドスとは一線を画している。

そしてシェイラ達皇帝一行が馬車を進めるこの帝都一広い大通りはそのまま皇帝や先帝、正皇妃らが住う場所にして政治の中心である皇宮へと一本道続き。
その為か通り沿いには貴族らの住う豪奢な建物や屋敷の他に、大手の商会などが幅を利かせて鎮座している。

煌びやかな中にも異なる文化の名残りが見て取れるその風景に圧倒され、
馬車の窓に身を寄せながらこれでもかと目を見開き輝かせるシェイラを
隣に座るルードが微笑ましげに眺めていることにシェイラ本人だけが気付いていない。
馬車の横を警護しながら愛馬を進めるガドは可笑しげ笑みを浮かべているし、
周辺を警戒する護衛騎士達も職務の真っ最中だというのに、
時折窓越しに見える麗しい女性の輝かしい笑顔に
思わずほっこりとして頬を緩めていた。


やがて街並みが消えて姿を現した巨大な建造物に、
シェイラは精一杯見開いていると思っていた目を更に開いて驚嘆した。


“圧巻”

その一言に尽きるその圧倒的なまでの存在感を誇るは、
シェイラを驚愕の境地へと誘ったのだ。

陶器の如くつるりとした宮の表面が太陽の光を弾き、眩く輝く。

通称、【白磁宮はくじきゅう


所々金細工を施され白一色で統一された白亜の宮殿が、
その圧倒的な景観をもって、シェイラと宮の主である皇帝の帰還を迎えたのであった。



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