出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

文字の大きさ
100 / 161
第二章  帝国編

幕間  二人の夜は……

しおりを挟む
※シリアス回が続いているので、小休止!
時は少々遡り、
帝国に来たシェイラとルードが初めて迎えた夜の会話です(*^ω^*)
本編とはあまり関係ないので、飛ばし可。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ー白磁宮内 ルードの居室ー




シェイラ『あ、あ、あの……ルード?』

ルード『ん?どうしたシェイラ?
   ……ああ風呂の場所か?それならモリーに案内させて』

シェイラ『それもそうなのですがそうではなく!
    そ、そのぉー…本当に、………るのですか』

ルード『?すまん、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ』

シェイラ『ですからっ……本当に、のですか』

ルード『当たり前だろう、
   昼間に言った通りこの部屋に泊まっ……。!!??』

シェイラ『やはり婚前の男女……それも婚約も未だ正式に果たしていない私達が
    ベッドを共にするというのは些か…その……』

ルード『~~~っっ!!
   い、いやそれは違うぞ(共にしたい気は満々だが)!?
   同じベッドで寝るのは流石に拙い(主に俺の理性が持たん)!!』

シェイラ『で、では、やはり別室をご用意していただけると?』

ルード『それは駄目だ!!
   今は非常時、ろくに護衛もつけられんし
   周りにお前の居場所がバレるのはまだ避けたい!!
   よってこの部屋以外は認めん』

シェイラ『ではやはり……ベッドを………(真っ赤)』

ルード『(くっ……可愛い!!)いや、だからな?
   この場合は俺がこちらの長椅子で寝るからお前が一人でベッドを』

シェイラ『そ、それは駄目です!!
    それなら私がそちらの長椅子に!!』

ルード『お、お前は女だろう(ここで折れてなるものか)!
   俺は男だしこの椅子で仮眠を取るのにも慣れている!!
   よって、俺が長椅子!シェイラがベッド!!これで決まりだ!!』

シェイラ『いえ、やはり駄目です私が!』

ルード『俺が!』


   『  静  粛  に  !!』


ハッ!!?×2



『『モリー!!?』』



モリー『全く、何度ノックをしてもお返事がなかったものですから
   どうなされたのかと思えば……。
   こんな時間に何を騒いでいるんです、お二人とも!』

ルード『お前は本当、自由な侍女だなモリーよ…。
   許可無く部屋に入ってくるのは趣味なのか?』

シェイラ『ご、ごめんなさいモリー』

モリー『ええ、ええ。シェイラ様は大変素直でよろしゅうございますわ。
   それに比べて陛下は……。
   いいですか、部屋に無断で入られたくなくば。
   焦らず!騒がず!!(ノックに)返事をする!!!
   常識ではありませんか』

ルード『………そうは言ってもな』

モリー『大体なんです、特に陛下!!
   お二人が同衾されるのは初めてではありませんでしょう!?
   でしたら陛下が、シェイラ様に羞恥への回帰をさせぬよう
   上手く言いくるめ……優しくベッドにお誘いしなくては』

シェイラ『!!?』

ルード『お前っ……初めてじゃないっていつのことを言っているんだ。
   しかも一瞬、言いくるめろって言おうとしただろう』

モリー『おや、いつのこととは異な事を。
   シェイラ様の故郷たる御領地での滞在の折に、
   シェイラ様が陛下とー…つまりは
   同衾を果たされたということでございましょう?』

シェイラ『~~~っ』

ルード『しとらんわ阿呆!!
   誤解を招くような言い方をするな!
   ………あの時はちゃんと、別の部屋で寝た』

モリー『ほほう、前回は別の部屋。
   しかし今回は同室。
   つまりはー…そういうことですよね陛下(チャンスです(小声)!)』

グッ!!


ルード『(その意味深な指の動きを止めろ!)とにかく、…一緒に寝るのは無しだ。
   シェイラはほら、あれだ。
   風呂にでも入ってさっぱりしてきたらどうだ?』

シェイラ『は、はい』


モリー『チッ(ヘタレめ…既成事実を作るチャンスを自ら潰すとは…(小声))。
   ゴホン!!ではシェイラ様、へご案内致しますね』
   
シェイラ『~~~!!?ぅはははい(激しく動揺)!!』

モリー『それでは陛下、失礼いたします
   (どうぞ寂しく一人で寝ていてください、ヘタレ陛下)』(ニッコリ)


ぎぃぃぃ…ー……パタン。(扉の開閉音)



ルード『モリーーーッッ(聞こえてんだよ!それと変な言い回しをするな)!!』



有能侍女頭・モリーの暴走発言に振り回される二人は、
結局どちらがベッドで寝るのかの決着がついていないことに気付かなかった。
帰還してもシェイラとルードが心から安眠出来る日は、まだ遠い。



しおりを挟む
感想 608

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。 自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。 彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。 そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。 大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

【完結】見返りは、当然求めますわ

楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。 この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー 「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」 微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。 正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))

【完結】あなたが私を『番』にでっち上げた理由

冬馬亮
恋愛
ランバルディア王国では、王族から約100年ごとに『裁定者』なる者が誕生する。 国王の補佐を務め、時には王族さえも裁く至高の権威を持ち、裏の最高権力者とも称される裁定者。その今代は、先国王の末弟ユスターシュ。 そんな雲の上の存在であるユスターシュから、何故か彼の番だと名指しされたヘレナだったが。 え? どうして? 獣人でもないのに番とか聞いたことないんですけど。 ヒーローが、想像力豊かなヒロインを自分の番にでっち上げて溺愛するお話です。 ※ 同時に掲載した小説がシリアスだった反動で、こちらは非常にはっちゃけたお話になってます。 時々シリアスが入る予定ですが、基本コメディです。

【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。 しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。 突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。 そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。 『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。 表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

処理中です...