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17:不快な帰還
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※ジルクバル視点
===
知らせを受けて急ぎ屋敷へと馬で駆け帰り、
馬屋へと愛馬を運ぶ時すら惜しんで背から飛び降り、屋敷内へと駆け込めば案の定急な来客の知らせ。
しかも彼女が応接室にて相手をしていると聞いて着替えもせずに応接室前へとやってくれば。
『あんたなんて…あんたさえ現れなければっ閣下は私のものになったのに!!
消えて!消えなさいよ!!』
甲高く不快な怒鳴り声が上がり
内部で気配が動くのを察して伺いも立てずに扉を開け放ち……。
(不快だ)
実に不快な部屋の様子が目に飛び込んできて、
「私の屋敷で何を騒いでいる」
押し殺し切れないほどの怒気を纏った声が口をついて出ていた。
===
凛と佇む自身の番の前で彼女を庇うように立つ若手のメイドとメイド長
そのメイド長に躊躇いなく手を振り下ろしているジノリ侯爵令嬢
両者立ち位置は違えども怒りを宿した表情
つまり侯爵令嬢が手を振り下ろそうとした本来の相手は……
(本当に、不快極まる)
俺の突然の登場でピタリと動きを止めた両者の表情の変わりようは実に正反対だった。
「閣下!!ああ……っお会いしとうございましたわ!!」
振り下ろしかけていた手を下ろして素早く駆け寄りしなを作って媚びた上目遣いで俺を見上げる侯爵令嬢。
対して、“来るのが遅い!!”と非難轟々でこちらを睨み付けるメイド長・ララ。
そしてディーは…少しほっとしながらも不安げな表情。
(ああ、そんな不安な表情で……安心させてやらねば)
静養中では見られなかった彼女の美しいドレス姿に
一瞬見惚れながら彼女に駆け寄ろうとし…
「ねぇ閣下?今日は登城されてたと伺いましたのにどうしてお戻りに?
お時間がおありでしたら私と食事にでも!
私、閣下と一緒にお店を見てまわりとうございますわ!!」
自身に擦り寄ってきた害虫に物理的に阻まれて盛大に眉を寄せた。
どれほど自身に自信があるのか、やたらと胸部を押しつけて無遠慮にしなだれかかってくるのが不快値を爆上げしていることにも気付いていない。
しかも。
自身も嗅覚鋭敏な獣人であるはずなのにきつい香水を身に吹きつけているらしく、正直言って鼻が曲がりそうなほどに臭い。
自分が先ほどどれだけ巫山戯た真似をしようとしていたのかをまるで理解していない。
どころか全て忘れたように纏わり付くこの生物を害虫以外に表現しようがなく、
今まで侯爵家だからとか、部下の姉だからとかと気を遣って応対していたのが馬鹿馬鹿しくなった。
「ねぇ…聞いていらっしゃいますのかっ」
「ソリュー・ジノリ侯爵令嬢」
「はい?」
「早急に当屋敷よりお引き取り願おう」
「は?」
まとわりついているその害虫の手をベリっと我が身から引き離すと、
さっさと帰れと告げていつの間にやら背後に佇んでいた家令・ルフ爺を呼ぶ。
「爺」
「はい」
「早急にジノリ侯爵令嬢をご実家にお送りしてくれ」
「なっ!閣下、私はまだ閣下と…!!」
「……ああそれから。
後程正式に文も認めて送るが。
侯爵家屋敷に送る際口頭でも、この度我が屋敷へと無断で上がり込んだことや我が家の大切な客人に対して大声で暴言を飛ばして暴力を振るおうとしたこと、誠に遺憾であり強く抗議する旨を当主に直接伝えてくれ」
「かしこまりました。
……ジノリ家のお嬢様、こちらに」
「っや…!離しなさい無礼者!!
閣下!何を証拠にそのような!!」
「何を証拠に、だと?笑わせるな」
再び俺にしがみつこうとした手をルフ爺につかまれて喚く害虫の言を鼻で嗤う。
「貴様が我が屋敷の者達が止めるのも聞かずに屋敷へと上がり込んだことは既に家の者らから全て聞いている。
しかも怒鳴り散らしていた声も、何をしようとしていたのかも、
この目と耳で先ほど直に把握した。
それ以前に私…俺は客人である彼女を他人と面会させる許可も出してはいないし予定もなかった。
今貴様がこの場にいること自体が抗議に足る証拠だと何故理解できん?
ーー連れて行け」
「はっ」
激しく抵抗する害虫をさっさと連れ出してくれとルフ爺に頼み、
爺に引き摺られるようにして部屋を退室していく…かと思われた矢先。
「では私は侯爵家長子として国王様に直訴しますわ!!」
害虫は声を大にして宣ったのだー
「…ほう?貴様が、侯爵家を挙げて。何を直訴するというのだ」
よりにもよってー
「私、弟がお父様に報告したことを知っていますのよ?
そこの女が閣下に拾われたこと、拾われた際に罪人用の手足枷を嵌めてたこと。
我がビルスト国の将軍職にある公爵家の当主たる貴方様が!!
よりにもよって他国の罪人を匿っていたことをねぇ!!」
「「「!!?」」」
彼女が罪人であるとー
詳しい事情を一切知らぬ我が家の者達と、この俺の前で。
=========================================
終盤にも関わらず更新が長らく滞ってしまい、すんません!
5月下旬に復帰して以来、急ぎストックの整理や修正・更新作業を随時行なってます。
完結まであと僅か。
是非引き続きお楽しみを!!
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知らせを受けて急ぎ屋敷へと馬で駆け帰り、
馬屋へと愛馬を運ぶ時すら惜しんで背から飛び降り、屋敷内へと駆け込めば案の定急な来客の知らせ。
しかも彼女が応接室にて相手をしていると聞いて着替えもせずに応接室前へとやってくれば。
『あんたなんて…あんたさえ現れなければっ閣下は私のものになったのに!!
消えて!消えなさいよ!!』
甲高く不快な怒鳴り声が上がり
内部で気配が動くのを察して伺いも立てずに扉を開け放ち……。
(不快だ)
実に不快な部屋の様子が目に飛び込んできて、
「私の屋敷で何を騒いでいる」
押し殺し切れないほどの怒気を纏った声が口をついて出ていた。
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凛と佇む自身の番の前で彼女を庇うように立つ若手のメイドとメイド長
そのメイド長に躊躇いなく手を振り下ろしているジノリ侯爵令嬢
両者立ち位置は違えども怒りを宿した表情
つまり侯爵令嬢が手を振り下ろそうとした本来の相手は……
(本当に、不快極まる)
俺の突然の登場でピタリと動きを止めた両者の表情の変わりようは実に正反対だった。
「閣下!!ああ……っお会いしとうございましたわ!!」
振り下ろしかけていた手を下ろして素早く駆け寄りしなを作って媚びた上目遣いで俺を見上げる侯爵令嬢。
対して、“来るのが遅い!!”と非難轟々でこちらを睨み付けるメイド長・ララ。
そしてディーは…少しほっとしながらも不安げな表情。
(ああ、そんな不安な表情で……安心させてやらねば)
静養中では見られなかった彼女の美しいドレス姿に
一瞬見惚れながら彼女に駆け寄ろうとし…
「ねぇ閣下?今日は登城されてたと伺いましたのにどうしてお戻りに?
お時間がおありでしたら私と食事にでも!
私、閣下と一緒にお店を見てまわりとうございますわ!!」
自身に擦り寄ってきた害虫に物理的に阻まれて盛大に眉を寄せた。
どれほど自身に自信があるのか、やたらと胸部を押しつけて無遠慮にしなだれかかってくるのが不快値を爆上げしていることにも気付いていない。
しかも。
自身も嗅覚鋭敏な獣人であるはずなのにきつい香水を身に吹きつけているらしく、正直言って鼻が曲がりそうなほどに臭い。
自分が先ほどどれだけ巫山戯た真似をしようとしていたのかをまるで理解していない。
どころか全て忘れたように纏わり付くこの生物を害虫以外に表現しようがなく、
今まで侯爵家だからとか、部下の姉だからとかと気を遣って応対していたのが馬鹿馬鹿しくなった。
「ねぇ…聞いていらっしゃいますのかっ」
「ソリュー・ジノリ侯爵令嬢」
「はい?」
「早急に当屋敷よりお引き取り願おう」
「は?」
まとわりついているその害虫の手をベリっと我が身から引き離すと、
さっさと帰れと告げていつの間にやら背後に佇んでいた家令・ルフ爺を呼ぶ。
「爺」
「はい」
「早急にジノリ侯爵令嬢をご実家にお送りしてくれ」
「なっ!閣下、私はまだ閣下と…!!」
「……ああそれから。
後程正式に文も認めて送るが。
侯爵家屋敷に送る際口頭でも、この度我が屋敷へと無断で上がり込んだことや我が家の大切な客人に対して大声で暴言を飛ばして暴力を振るおうとしたこと、誠に遺憾であり強く抗議する旨を当主に直接伝えてくれ」
「かしこまりました。
……ジノリ家のお嬢様、こちらに」
「っや…!離しなさい無礼者!!
閣下!何を証拠にそのような!!」
「何を証拠に、だと?笑わせるな」
再び俺にしがみつこうとした手をルフ爺につかまれて喚く害虫の言を鼻で嗤う。
「貴様が我が屋敷の者達が止めるのも聞かずに屋敷へと上がり込んだことは既に家の者らから全て聞いている。
しかも怒鳴り散らしていた声も、何をしようとしていたのかも、
この目と耳で先ほど直に把握した。
それ以前に私…俺は客人である彼女を他人と面会させる許可も出してはいないし予定もなかった。
今貴様がこの場にいること自体が抗議に足る証拠だと何故理解できん?
ーー連れて行け」
「はっ」
激しく抵抗する害虫をさっさと連れ出してくれとルフ爺に頼み、
爺に引き摺られるようにして部屋を退室していく…かと思われた矢先。
「では私は侯爵家長子として国王様に直訴しますわ!!」
害虫は声を大にして宣ったのだー
「…ほう?貴様が、侯爵家を挙げて。何を直訴するというのだ」
よりにもよってー
「私、弟がお父様に報告したことを知っていますのよ?
そこの女が閣下に拾われたこと、拾われた際に罪人用の手足枷を嵌めてたこと。
我がビルスト国の将軍職にある公爵家の当主たる貴方様が!!
よりにもよって他国の罪人を匿っていたことをねぇ!!」
「「「!!?」」」
彼女が罪人であるとー
詳しい事情を一切知らぬ我が家の者達と、この俺の前で。
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終盤にも関わらず更新が長らく滞ってしまい、すんません!
5月下旬に復帰して以来、急ぎストックの整理や修正・更新作業を随時行なってます。
完結まであと僅か。
是非引き続きお楽しみを!!
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