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5 ※嘔吐する場面があります。
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有名な時計塔側から、複数の悲鳴が上がった。
なかにはアルファっぽい、野太い叫び声もあった。
「何すんだ!やめろ!」
声が近づいてきてる。
騒ぎの原因が近づいてきてる証拠だ。
逃げないと。
どちらに逃げようかと、檸凰を見上げたら、口元を押さえて真っ青な顔をしていた。
「檸凰!大丈夫?」
無言で首を振った。
吐きそうだってことだ。
これは近くにオメガが居るときに起こる、アレルギー症状だ。
「近くにドラッグストアあったよね?そこのお手洗い借りよ、ね」
あわてて檸凰の手をひいて、ドラッグストアに向かおうとした時、濃い百合の香りが鼻をついた。
「うぇっ、お、ゴホッ、ゴホッ、おぇ」
手が離れてしまい、振り向くと。
見知らぬ人を足にくっつけたまま、その人に向かって嘔吐している檸凰が居た。
一瞬、何が起こったか解らなかった。
通行人のキャアという悲鳴に、目を覚まされて状況が把握できた。
檸凰にゲロぶっかけられてる、この人が原因のオメガだ。
「檸凰!!すみません!この人オメガアレルギーで!誰か!救急車呼んでください!」
「わ、私救急車呼びます!」
「お願いします!」
「オイ、コラ、退けよ!こんなトコでヒートテロ起こしやがって、クソオメガ!あ、すまない、君の事じゃないんだ。早く旦那さん連れて離れな。こんなことになるなんて、運命ってのも大変だな」
「あ、りがとうございます。檸凰、歩ける?」
救急車を呼んでくれた女性と檸凰からオメガを剥がしてくれた通行人の男性に、お礼を言って移動する。
何やらいろいろ勘違いされたけど、訂正している暇はない。
吐き気をこらえる檸凰を支えながら、あのオメガが居ない方へ移動する。
ビルの合間を吹き抜ける1月の寒風が、今日だけはありがたい。
「檸凰、辛かったら、出していいよ」
僕の鞄から引っぱり出したビニール袋を渡す。
檸凰は引ったくるように受け取って、胃の中身を吐き出している。
こんな時、うずくまって丸まった広い背中をさするぐらいしか出来ないのがつらい。
「檸凰、れお、ごめん。僕が紅茶飲みたいって言ったから。まっすぐ檸凰の家行けば良かったのに。ごめん、れお」
自分のふがいなさに泣きたくなってきたが、檸凰がこんなに辛い思いしてるのに、自分だけ泣くわけにはいかない。
広い背中をさすりながら、檸凰が倒れちゃったらどうしよう、僕は何が出来るだろう。
とりとめもなく考えていると、救急車のけたたましいサイレンが聞こえてきた。
やっと来た!
音がする方を見ると、「こっちです!」と、さきほどの男性と救急車を呼んでくださった女性が救急隊を誘導してくれていた。
「檸凰、救急車来たよ!もう大丈夫だからね!」
檸凰に言ったのか、僕自身に言い聞かせたのかは解らない。
でも、光明が差したのは確かだった。
なかにはアルファっぽい、野太い叫び声もあった。
「何すんだ!やめろ!」
声が近づいてきてる。
騒ぎの原因が近づいてきてる証拠だ。
逃げないと。
どちらに逃げようかと、檸凰を見上げたら、口元を押さえて真っ青な顔をしていた。
「檸凰!大丈夫?」
無言で首を振った。
吐きそうだってことだ。
これは近くにオメガが居るときに起こる、アレルギー症状だ。
「近くにドラッグストアあったよね?そこのお手洗い借りよ、ね」
あわてて檸凰の手をひいて、ドラッグストアに向かおうとした時、濃い百合の香りが鼻をついた。
「うぇっ、お、ゴホッ、ゴホッ、おぇ」
手が離れてしまい、振り向くと。
見知らぬ人を足にくっつけたまま、その人に向かって嘔吐している檸凰が居た。
一瞬、何が起こったか解らなかった。
通行人のキャアという悲鳴に、目を覚まされて状況が把握できた。
檸凰にゲロぶっかけられてる、この人が原因のオメガだ。
「檸凰!!すみません!この人オメガアレルギーで!誰か!救急車呼んでください!」
「わ、私救急車呼びます!」
「お願いします!」
「オイ、コラ、退けよ!こんなトコでヒートテロ起こしやがって、クソオメガ!あ、すまない、君の事じゃないんだ。早く旦那さん連れて離れな。こんなことになるなんて、運命ってのも大変だな」
「あ、りがとうございます。檸凰、歩ける?」
救急車を呼んでくれた女性と檸凰からオメガを剥がしてくれた通行人の男性に、お礼を言って移動する。
何やらいろいろ勘違いされたけど、訂正している暇はない。
吐き気をこらえる檸凰を支えながら、あのオメガが居ない方へ移動する。
ビルの合間を吹き抜ける1月の寒風が、今日だけはありがたい。
「檸凰、辛かったら、出していいよ」
僕の鞄から引っぱり出したビニール袋を渡す。
檸凰は引ったくるように受け取って、胃の中身を吐き出している。
こんな時、うずくまって丸まった広い背中をさするぐらいしか出来ないのがつらい。
「檸凰、れお、ごめん。僕が紅茶飲みたいって言ったから。まっすぐ檸凰の家行けば良かったのに。ごめん、れお」
自分のふがいなさに泣きたくなってきたが、檸凰がこんなに辛い思いしてるのに、自分だけ泣くわけにはいかない。
広い背中をさすりながら、檸凰が倒れちゃったらどうしよう、僕は何が出来るだろう。
とりとめもなく考えていると、救急車のけたたましいサイレンが聞こえてきた。
やっと来た!
音がする方を見ると、「こっちです!」と、さきほどの男性と救急車を呼んでくださった女性が救急隊を誘導してくれていた。
「檸凰、救急車来たよ!もう大丈夫だからね!」
檸凰に言ったのか、僕自身に言い聞かせたのかは解らない。
でも、光明が差したのは確かだった。
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