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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第43話 湖の貴婦人
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俺たちはせっかくなのでと、ケロちゃんにお願いし魔獣モードの背中に乗せてもらい、一気に湖まで走り抜けて貰うことになった。
生身の身体で走ると吹っ飛ぶので、防御魔法とか展開しつつだが…。
「このまま湖の上を走ることとかも出来るがどうする?俺様は空の上でも走れるからな!」
「そうか!なら頼むよ!そのままイフリートのところまで一気に行ってくれ!」
「任せな!」
そして、ケロちゃんはさらに加速し湖の上を通過していく。
「騒がしいですわね…。あぁ、ケルベロスか…。
珍しいですわね。背中に人なんか乗せて…。
ん…?人?ちょ、まっ、待ってぇえっ!!」
俺たちの後方から女性の呼び止める声と共に巨大なトゲトゲの鱗がついた、蛇のような魔物が現れる。
「待って!ちょ、はやっ!待ってくださいまし大賢者様ぁぁぁあっ!!ていうかケルベロス!!貴方、何大賢者様を背中に乗せてますの!?ずるいですわよ!私が異世界人大好きクラブ創設者と知っての狼藉ですの!?」
「うわぁぁぁあっ!?なんか追っかけてきてるうぅうっ!!ダッシュ!!ケロちゃんダッシュ!!」
「おい、ご主人様わかっててやってんだろ…。やめてあげろよ…。あの見た目でめっちゃ泣いてるじゃん…やめて差し上げろよ…。」
ひとまず、その辺のおっきい岩場に一度着地しケロちゃんは少女形態に再び戻った。
「ひどいですわひどいですわひどいですわぁあっ!わたくし、この時が来るのを何百年待ち望んだとおもってますの!
それなのに、わたくしが会う前にケルベロス如きに寝取られるわ、そのままわたくしをスルーしてイフリートの元へ行こうとするわ、あんまりですわ!これは身体中を這わせてもらって首筋をかぷかぷさせてもらわないと割りに合いませんわ!
てな訳でちょっとさせてくださいまし。でゅふふふっ。」
「寝取られてないから。あとそのダダ漏れの欲望をしまい込みなさい。」
貴婦人は貴婦人でも腐ってる方だったか…。
「で、リヴァイアさんはこっちの事情をベヒーさんから聞いて把握してるんだろう?
とりあえず俺たちはこのままイフリートの所へ一直線で向かうつもりなんだけど…。」
「ええ、ベヒーモス様から話は色々と聞き及んでいますわ。せっかくですので一戦交えて来いとも指示を受けています。」
「俺、急いでるんだけどなぁ…。
とりあえず君らは強い奴を見ると一回は戦っておきたい性分なのかな…?」
俺はライトニングクォーツを起動し、雷帝モードに変身する。
あっちも戦闘態勢は整ってたと言わんばかりにこっちに飛び込んでくる。
「はぁ…めんどくさい。白之雷斧。」
俺はインフィニティブレードを巨大な斧に変形させ、それに雷光を纏い一気に振り下ろす。
ただ、刃をつけてると傷つけちゃいそうだから峰打ちのような感じで思いっきり叩きつける。
「あぁぁぁあぁぁあぁんっ!これは効きすぎますわぁぁああっ!!」
こうかはばつぐんだ!
リヴァイアさんはかんじている!
「すみません。人の攻撃で喘ぎ声みたいな声だすのやめてもらえます?戦いづらいんですけども…。」
「はぁはぁ…。いえ、あまりに気持ちよくてつい…。
というか、大賢者様…。私を傷つけまいと刃を納めて峰打ちなんて…。紳士すぎますわっ!!
流石は私が待ち望んだ異世界のお方…。
私もベヒーモスの配下なんてやめてやりますわ!」
リヴァイアサンは海獣モードのまま、空へ飛び上がると全身に水流を纏い綺麗な美しい女性の姿へと変身していく。
透き通った水色のロングドレスを着用した水色の髪が綺麗な巨乳のお姉さんへと…。
そして、リヴァイアさんは水晶を取り出しベヒーさんに電話をかけ出した。
「もしもし。わたしリヴァイアさん。
貴方の配下をやめて大賢者様の配下に着くね。」
「あの、貴方まで軽々しくわたしの配下をやめるとか言いださないでください…。
と言うかもう負けたんですか?早すぎません?
海獣だけに懐柔されたとかくだらない冗談はよしてくださいね?」
「うふふ。強さは充分だと思いますよ?
ただ、大賢者様は理性ある相手には本気で戦わないようですね。
そこは人ゆえの甘さなのかもしれませんが…。
ですが、あの一太刀で十分に理解できます。
この方は今、本気で力を振るえば我らが大魔王様にも匹敵する力をまだ隠し抑えていると…。」
「まぁ、そこに関しては否定しませんよ。
大賢者さん。聞こえていますね?
イフリートの元へ勇者さんが先行して到着し、ただ今交戦中のようです。
至急、彼女の応戦へと向かってあげてください。
リヴァイアサンとケルベロスについては貴方の配下につくと言ってることですし、今後もそのままよろしくお願い致します。
しかし、ここまでちょろいとは…。わたしも予想外ですよ…。」
水晶の向こう側からため息を吐く声が盛大に聞こえてくる。
魔族側の事情は知らないが、2人も辞めたら色々と2人に関する人事やら管轄やらに後釜をすえないといけないだろうし、大変なんだろうことはなんとなく伺える。
「んじゃ、参るとするか…。ケロちゃん、お願いできる?」
「おう!任せとけ!」
ケロちゃんは再び巨大な獣形態に変身すると頭を下げて俺たちに乗るよう促してきた。
「と言うかリヴァイアサン。いつもの異世界人を語る時の、拙者!とかござる!とかはどうしたんだよ?」
「お!おまぁぁあっ!?何言ってるのです!
私そんな事一回も言ったことないでござるよ~?」
「今言ってる今言ってる…。」
「うぅ…。不覚ですわ…。」
そんなやりとりをしてる時、時を同じくして勇者ちゃんはイフリートの元へ到着していた。
「銀の翼に望みを乗せて!光の勇者!私、参上!
見つけたぞイフリート!皇女殿下を返してもらおうか!」
「あぁん?なんでお前が来てんだ…。
俺は大賢者を呼んだはずなんだかなぁ。まぁいい。
お前今、勇者っつったよなぁ?
お前、勇者が俺たち魔族にとってどう言う存在かわかって口にしてんのかあぁん?
勇者っつーのはなぁ。俺たちにとっちゃ最悪の人間なんだよ。
かつて、魔族を根絶やしにしようと剣を古い、俺たちの家族や友人を殺し周り、そして先先代の魔王様をも殺した。
その後、また新たな魔王様が勇者と邂逅した時は、勇者はその場では魔王様を殺さなかったが、その後呪いか何かで命を奪ったんだ。
俺はそんな秘境で残忍な勇者を許さねぇ。
無論、勇者を語るものは誰でもだ!」
勇者はまっすぐ、イフリートを見据えてこう言った。
「先代の勇者も人と友好を取り持とうとした王も亡くなったよ。
そして、今は皇女殿下が人と魔族との友好を結ぼうと動いている。
私も、決して伊達や酔狂で勇者を名乗り、そして勇者に至ったわけじゃないさ。
勇者は、世界が必要としてる時に世界に選ばれ現れると言われている。
勇者を勝手に名乗っていた私が勇者になったのなら、今は勇者が必要な時ということだ!
すまないが、私は君を倒して皇女殿下を取り替えさせてもらうよ!」
イフリートは激しく燃え盛る炎を纏い、巨大な炎の魔人へと変身する。
「君も変身するなら私も変身しないとだな!
私のかっこいい変身、見せてやるからよく見ておけ!変身!!」
そして、勇者は右腕のブレスレットを通してアーマードフェニックスを召喚し、体中に装着していった。
「行くぞ!イフリート!」
勇者は剣を構えてイフリートに立ち向かっていく。
「そんな小さな剣で、俺に傷をつけられるとでも思ってんのかよお前はよぉおっ!」
イフリートの剛腕が勇者の腹を殴り、岩壁へと叩きつけた。
「ぐっ!がはぁぁあっ!」
岩に打ち付けられ、鎧で防ぎきれなかったダメージが直接勇者の体を襲う。
そして態勢を崩してしまった勇者の隙をイフリートは見逃さない。
そのまま壁に叩きつけた勇者を、その剛腕で何発も殴り続ける。
「うぐっ!ああぁっ!がぁぁっ!!」
抵抗できずただ殴られ続け、自慢の鎧はどんどんひしゃげていく。
「なんだぁ?勇者ってのはこんなに弱いのか?がっかりだぜ!」
イフリートは勇者を岩壁から引き剥がすと、そのまま地面へと拳ごと叩きつけた。
「ぐぁぁあぁぁあっ!!」
鎧はまだかろうじて勇者の体を守っていた。
致命傷には至ってはいないが、骨は折れていてもおかしくはないような衝撃が彼女を幾度も襲っていた。
「くっ…。まだだ、まだ私は負けていない!
うぉぉぉおっ!!光輪剣!!」
勇者は全身を光に包み、剣を天高く掲げ巨大な剣へと変化させる。
「はあぁぁあ!真っ向!唐竹割!」
そして天高く飛び上がりまっすぐ振り下ろし斬りかかる。
だが、それをイフリートは簡単に受け止め、へし折った。
「ばかな…!私の剣が…折れただと…!?」
そして、イフリートは勇者を蹴り飛ばし再び岩へと叩きつけた。
「はぁぁ…。なんだぁお前?勇者を名乗るくせに弱すぎるな。
先代の勇者はまだ骨があったぞ。
あいつは俺を圧倒的な力でねじ伏せ、そのまま殺すことなく魔王様の元へと向かっていったがな。
お前はまるで届いちゃいない。
今のお前は、ただの勇者を語るなりそこないだ。
そんな奴が…、勇者を語るな!!」
イフリートは強力な蹴りで勇者を岩へとさらにめり込ませる。
ついに勇者の鎧は砕け散りその効力を失った。
「ふん!自慢の鎧は消えた。あとは死ぬだけだな。すぐに殺すのももったいねぇ。この爪で肉を裂きながらゆっくりと殺してやるよ!
人間をいたぶるなんて久しぶりだなぁ。ワクワクするぜ!」
イフリートは勇者の服に爪を立て、ビリリっと服を切り裂く。
白い肌が露わになった勇者はそれでもまだ完全に諦めきっていなかった。
「お前は、大賢者を待っていると言ったな…!
ならば安心しろ…!きっと彼は私のこの大ピンチに…一番カッコいいタイミングで来てくれるぞ…!
そして、かっこいい技でお前を倒すに決まっている…!私ができないことを彼は平然とやってのけるぞ!そこにシビれる!あこがれるっ……。」
「はぁ…。うるさいなぁ…黙ってろよ。」
イフリートの爪が深々と勇者の腹を貫く。
引き抜いた爪から血を滴らせるイフリート。
また岩に押し当てられた勇者からもおびただしい量の血が溢れ出し、そのまま地面へと力なく落ちた。
「…。来たか。」
光の熱線が岩を貫き瓦礫の中からケルベロスに乗った大賢者とその一行が姿を現した。
「イフリート。皇女殿下は無事か?」
「さぁなぁ…?お前らがあまりにも遅いからもう殺しちまってるかもしれないなぁ?
なんてな。無事だよ。皇女殿下の方はな。
つーか、ここにはいねぇよ。大魔王様の元へ転移させたからな。
そんかわり、勇者を名乗るバカなら、まさに今殺し終わったところだ。」
イフリートが指差す方を見ると、腹からおびただしい血を流し倒れる無残な1人の少女があった。
「大丈夫です。まだ死んでいません。間に合いますよ大賢者様!
治癒は私がやります!
その間の守りはお姉様と盗賊さん、お願いします!
あいつは、残りの人たちでやっちゃってください!」
「任せたよ。妹ちゃん。早く元気にしてあげて。
俺は、イフリートを思いっきり叱りつけてくるから。」
大賢者は静かな怒りを燃やしイフリートの前に立つ。
「ようこそ大賢者。まってたぜぇ?さぁ遊ぼうぜ。お前の力を見せ」
イフリートが何かを言い終わるか否か壁に叩きつけられる。
「ごめん。何か言ったか?よく聞こえなかったよ。」
大賢者は両腕に蒼白い炎の魔人の腕を纏い、イフリートを殴り飛ばしていた。
「炎の魔人たる俺相手に…炎だと…?なめやがって…。ぶっ殺してやるよ!大賢者ぁぁぁあっ!!」
「来いよ。」
イフリートが放つ剛腕を受け流し地面に叩きつけ、同じく魔人の腕で殴り飛ばす大賢者。
それならばと、イフリートは両手を重ね合わせ巨大な火柱を大賢者めがけて放ってくる。
大賢者はそれを片手で完全に受け止めて吸収し、そのまま拳に乗せてイフリートに叩きつけた。
「ばかな…!俺の炎がなんでお前にとどかねぇんだ!リヴァイアサンの水の魔法すら瞬時に蒸発させる獄炎を操る俺の炎が!!」
「お前がその獄炎とかいう悪しき炎に頼ってる限りは一生届かないよ。
俺の炎はお前の炎を喰らい、浄化し、そして力に変える。相手が悪かったと思え。
戦う前からお前の負けだ。」
そして、更に腕を巨大化して魔獣となっているイフリートを握るとイフリートの炎の力を取り込み、その蒼白い炎の魔人は真っ白に光り輝く魔人へと変貌していく。
「畜生…!俺の炎が…食われていく!!離せ…!はなしやがれぇぇっ!!人間が…ニンゲン…フゼイガァァアアッ!!」
するとイフリートは真っ黒な炎に包まれた。
「なんだ…?様子が変わった…?」
「グコガゴギガガ…ニンゲン…コロス…ニンゲン…ニンゲン…コロスコロスコロスコロス…!!」
イフリートの放つ熱により辺りの地面がマグマへと変わっていく。
「あの姿はいったいなんですの…?
イフリートの魂が…何かに喰われている…?これは…?」
「とりあえず、リヴァイアさんたちはみんなと一緒にここから離れて。
あんな化け物相手にするなら、俺ももっと化け物の力を使わざるを得ないし…。」
「かしこまりましたわ。我が主人。
どうか、ご武運を…。
ケルベロス!皆を連れてここから離れますわよ!」
勇者もなんとか傷が癒え目を覚ました。
「ぐっ…。まだ体が痛むな…。
大賢者…、やっぱりかっこいいタイミングで来てくれたか…。あとは…かっこよくそいつを倒してくれ…!たのんだ…ぞ!」
そういうと再び勇者は気を失った。
「あぁ、頼まれた。さて、使ってみるか…。
前々から考えていた新しい力…。」
俺は炎皇の力を一度解除し、ライトニングクォーツを起動させ鎧を纏う。
「オオォォォォオオッ!!ニンゲン…ダイケンジャ…コロスゥゥウッ!!」
「倒されるのはお前の方だ。炎皇…合神!!」
雷帝モードのその体に腕、肩、胸、両足、兜という順に炎皇之手甲が変形して鎧を形作っていく。
「火と炎が合体して、火雷神(ホノイカズチノカミ)モードとでも言ったところかな?
俺はお前を倒すものだ。」
全身から溢れんばかりの炎と雷を纏い、神へと至った大賢者がイフリートと向かい合った。
生身の身体で走ると吹っ飛ぶので、防御魔法とか展開しつつだが…。
「このまま湖の上を走ることとかも出来るがどうする?俺様は空の上でも走れるからな!」
「そうか!なら頼むよ!そのままイフリートのところまで一気に行ってくれ!」
「任せな!」
そして、ケロちゃんはさらに加速し湖の上を通過していく。
「騒がしいですわね…。あぁ、ケルベロスか…。
珍しいですわね。背中に人なんか乗せて…。
ん…?人?ちょ、まっ、待ってぇえっ!!」
俺たちの後方から女性の呼び止める声と共に巨大なトゲトゲの鱗がついた、蛇のような魔物が現れる。
「待って!ちょ、はやっ!待ってくださいまし大賢者様ぁぁぁあっ!!ていうかケルベロス!!貴方、何大賢者様を背中に乗せてますの!?ずるいですわよ!私が異世界人大好きクラブ創設者と知っての狼藉ですの!?」
「うわぁぁぁあっ!?なんか追っかけてきてるうぅうっ!!ダッシュ!!ケロちゃんダッシュ!!」
「おい、ご主人様わかっててやってんだろ…。やめてあげろよ…。あの見た目でめっちゃ泣いてるじゃん…やめて差し上げろよ…。」
ひとまず、その辺のおっきい岩場に一度着地しケロちゃんは少女形態に再び戻った。
「ひどいですわひどいですわひどいですわぁあっ!わたくし、この時が来るのを何百年待ち望んだとおもってますの!
それなのに、わたくしが会う前にケルベロス如きに寝取られるわ、そのままわたくしをスルーしてイフリートの元へ行こうとするわ、あんまりですわ!これは身体中を這わせてもらって首筋をかぷかぷさせてもらわないと割りに合いませんわ!
てな訳でちょっとさせてくださいまし。でゅふふふっ。」
「寝取られてないから。あとそのダダ漏れの欲望をしまい込みなさい。」
貴婦人は貴婦人でも腐ってる方だったか…。
「で、リヴァイアさんはこっちの事情をベヒーさんから聞いて把握してるんだろう?
とりあえず俺たちはこのままイフリートの所へ一直線で向かうつもりなんだけど…。」
「ええ、ベヒーモス様から話は色々と聞き及んでいますわ。せっかくですので一戦交えて来いとも指示を受けています。」
「俺、急いでるんだけどなぁ…。
とりあえず君らは強い奴を見ると一回は戦っておきたい性分なのかな…?」
俺はライトニングクォーツを起動し、雷帝モードに変身する。
あっちも戦闘態勢は整ってたと言わんばかりにこっちに飛び込んでくる。
「はぁ…めんどくさい。白之雷斧。」
俺はインフィニティブレードを巨大な斧に変形させ、それに雷光を纏い一気に振り下ろす。
ただ、刃をつけてると傷つけちゃいそうだから峰打ちのような感じで思いっきり叩きつける。
「あぁぁぁあぁぁあぁんっ!これは効きすぎますわぁぁああっ!!」
こうかはばつぐんだ!
リヴァイアさんはかんじている!
「すみません。人の攻撃で喘ぎ声みたいな声だすのやめてもらえます?戦いづらいんですけども…。」
「はぁはぁ…。いえ、あまりに気持ちよくてつい…。
というか、大賢者様…。私を傷つけまいと刃を納めて峰打ちなんて…。紳士すぎますわっ!!
流石は私が待ち望んだ異世界のお方…。
私もベヒーモスの配下なんてやめてやりますわ!」
リヴァイアサンは海獣モードのまま、空へ飛び上がると全身に水流を纏い綺麗な美しい女性の姿へと変身していく。
透き通った水色のロングドレスを着用した水色の髪が綺麗な巨乳のお姉さんへと…。
そして、リヴァイアさんは水晶を取り出しベヒーさんに電話をかけ出した。
「もしもし。わたしリヴァイアさん。
貴方の配下をやめて大賢者様の配下に着くね。」
「あの、貴方まで軽々しくわたしの配下をやめるとか言いださないでください…。
と言うかもう負けたんですか?早すぎません?
海獣だけに懐柔されたとかくだらない冗談はよしてくださいね?」
「うふふ。強さは充分だと思いますよ?
ただ、大賢者様は理性ある相手には本気で戦わないようですね。
そこは人ゆえの甘さなのかもしれませんが…。
ですが、あの一太刀で十分に理解できます。
この方は今、本気で力を振るえば我らが大魔王様にも匹敵する力をまだ隠し抑えていると…。」
「まぁ、そこに関しては否定しませんよ。
大賢者さん。聞こえていますね?
イフリートの元へ勇者さんが先行して到着し、ただ今交戦中のようです。
至急、彼女の応戦へと向かってあげてください。
リヴァイアサンとケルベロスについては貴方の配下につくと言ってることですし、今後もそのままよろしくお願い致します。
しかし、ここまでちょろいとは…。わたしも予想外ですよ…。」
水晶の向こう側からため息を吐く声が盛大に聞こえてくる。
魔族側の事情は知らないが、2人も辞めたら色々と2人に関する人事やら管轄やらに後釜をすえないといけないだろうし、大変なんだろうことはなんとなく伺える。
「んじゃ、参るとするか…。ケロちゃん、お願いできる?」
「おう!任せとけ!」
ケロちゃんは再び巨大な獣形態に変身すると頭を下げて俺たちに乗るよう促してきた。
「と言うかリヴァイアサン。いつもの異世界人を語る時の、拙者!とかござる!とかはどうしたんだよ?」
「お!おまぁぁあっ!?何言ってるのです!
私そんな事一回も言ったことないでござるよ~?」
「今言ってる今言ってる…。」
「うぅ…。不覚ですわ…。」
そんなやりとりをしてる時、時を同じくして勇者ちゃんはイフリートの元へ到着していた。
「銀の翼に望みを乗せて!光の勇者!私、参上!
見つけたぞイフリート!皇女殿下を返してもらおうか!」
「あぁん?なんでお前が来てんだ…。
俺は大賢者を呼んだはずなんだかなぁ。まぁいい。
お前今、勇者っつったよなぁ?
お前、勇者が俺たち魔族にとってどう言う存在かわかって口にしてんのかあぁん?
勇者っつーのはなぁ。俺たちにとっちゃ最悪の人間なんだよ。
かつて、魔族を根絶やしにしようと剣を古い、俺たちの家族や友人を殺し周り、そして先先代の魔王様をも殺した。
その後、また新たな魔王様が勇者と邂逅した時は、勇者はその場では魔王様を殺さなかったが、その後呪いか何かで命を奪ったんだ。
俺はそんな秘境で残忍な勇者を許さねぇ。
無論、勇者を語るものは誰でもだ!」
勇者はまっすぐ、イフリートを見据えてこう言った。
「先代の勇者も人と友好を取り持とうとした王も亡くなったよ。
そして、今は皇女殿下が人と魔族との友好を結ぼうと動いている。
私も、決して伊達や酔狂で勇者を名乗り、そして勇者に至ったわけじゃないさ。
勇者は、世界が必要としてる時に世界に選ばれ現れると言われている。
勇者を勝手に名乗っていた私が勇者になったのなら、今は勇者が必要な時ということだ!
すまないが、私は君を倒して皇女殿下を取り替えさせてもらうよ!」
イフリートは激しく燃え盛る炎を纏い、巨大な炎の魔人へと変身する。
「君も変身するなら私も変身しないとだな!
私のかっこいい変身、見せてやるからよく見ておけ!変身!!」
そして、勇者は右腕のブレスレットを通してアーマードフェニックスを召喚し、体中に装着していった。
「行くぞ!イフリート!」
勇者は剣を構えてイフリートに立ち向かっていく。
「そんな小さな剣で、俺に傷をつけられるとでも思ってんのかよお前はよぉおっ!」
イフリートの剛腕が勇者の腹を殴り、岩壁へと叩きつけた。
「ぐっ!がはぁぁあっ!」
岩に打ち付けられ、鎧で防ぎきれなかったダメージが直接勇者の体を襲う。
そして態勢を崩してしまった勇者の隙をイフリートは見逃さない。
そのまま壁に叩きつけた勇者を、その剛腕で何発も殴り続ける。
「うぐっ!ああぁっ!がぁぁっ!!」
抵抗できずただ殴られ続け、自慢の鎧はどんどんひしゃげていく。
「なんだぁ?勇者ってのはこんなに弱いのか?がっかりだぜ!」
イフリートは勇者を岩壁から引き剥がすと、そのまま地面へと拳ごと叩きつけた。
「ぐぁぁあぁぁあっ!!」
鎧はまだかろうじて勇者の体を守っていた。
致命傷には至ってはいないが、骨は折れていてもおかしくはないような衝撃が彼女を幾度も襲っていた。
「くっ…。まだだ、まだ私は負けていない!
うぉぉぉおっ!!光輪剣!!」
勇者は全身を光に包み、剣を天高く掲げ巨大な剣へと変化させる。
「はあぁぁあ!真っ向!唐竹割!」
そして天高く飛び上がりまっすぐ振り下ろし斬りかかる。
だが、それをイフリートは簡単に受け止め、へし折った。
「ばかな…!私の剣が…折れただと…!?」
そして、イフリートは勇者を蹴り飛ばし再び岩へと叩きつけた。
「はぁぁ…。なんだぁお前?勇者を名乗るくせに弱すぎるな。
先代の勇者はまだ骨があったぞ。
あいつは俺を圧倒的な力でねじ伏せ、そのまま殺すことなく魔王様の元へと向かっていったがな。
お前はまるで届いちゃいない。
今のお前は、ただの勇者を語るなりそこないだ。
そんな奴が…、勇者を語るな!!」
イフリートは強力な蹴りで勇者を岩へとさらにめり込ませる。
ついに勇者の鎧は砕け散りその効力を失った。
「ふん!自慢の鎧は消えた。あとは死ぬだけだな。すぐに殺すのももったいねぇ。この爪で肉を裂きながらゆっくりと殺してやるよ!
人間をいたぶるなんて久しぶりだなぁ。ワクワクするぜ!」
イフリートは勇者の服に爪を立て、ビリリっと服を切り裂く。
白い肌が露わになった勇者はそれでもまだ完全に諦めきっていなかった。
「お前は、大賢者を待っていると言ったな…!
ならば安心しろ…!きっと彼は私のこの大ピンチに…一番カッコいいタイミングで来てくれるぞ…!
そして、かっこいい技でお前を倒すに決まっている…!私ができないことを彼は平然とやってのけるぞ!そこにシビれる!あこがれるっ……。」
「はぁ…。うるさいなぁ…黙ってろよ。」
イフリートの爪が深々と勇者の腹を貫く。
引き抜いた爪から血を滴らせるイフリート。
また岩に押し当てられた勇者からもおびただしい量の血が溢れ出し、そのまま地面へと力なく落ちた。
「…。来たか。」
光の熱線が岩を貫き瓦礫の中からケルベロスに乗った大賢者とその一行が姿を現した。
「イフリート。皇女殿下は無事か?」
「さぁなぁ…?お前らがあまりにも遅いからもう殺しちまってるかもしれないなぁ?
なんてな。無事だよ。皇女殿下の方はな。
つーか、ここにはいねぇよ。大魔王様の元へ転移させたからな。
そんかわり、勇者を名乗るバカなら、まさに今殺し終わったところだ。」
イフリートが指差す方を見ると、腹からおびただしい血を流し倒れる無残な1人の少女があった。
「大丈夫です。まだ死んでいません。間に合いますよ大賢者様!
治癒は私がやります!
その間の守りはお姉様と盗賊さん、お願いします!
あいつは、残りの人たちでやっちゃってください!」
「任せたよ。妹ちゃん。早く元気にしてあげて。
俺は、イフリートを思いっきり叱りつけてくるから。」
大賢者は静かな怒りを燃やしイフリートの前に立つ。
「ようこそ大賢者。まってたぜぇ?さぁ遊ぼうぜ。お前の力を見せ」
イフリートが何かを言い終わるか否か壁に叩きつけられる。
「ごめん。何か言ったか?よく聞こえなかったよ。」
大賢者は両腕に蒼白い炎の魔人の腕を纏い、イフリートを殴り飛ばしていた。
「炎の魔人たる俺相手に…炎だと…?なめやがって…。ぶっ殺してやるよ!大賢者ぁぁぁあっ!!」
「来いよ。」
イフリートが放つ剛腕を受け流し地面に叩きつけ、同じく魔人の腕で殴り飛ばす大賢者。
それならばと、イフリートは両手を重ね合わせ巨大な火柱を大賢者めがけて放ってくる。
大賢者はそれを片手で完全に受け止めて吸収し、そのまま拳に乗せてイフリートに叩きつけた。
「ばかな…!俺の炎がなんでお前にとどかねぇんだ!リヴァイアサンの水の魔法すら瞬時に蒸発させる獄炎を操る俺の炎が!!」
「お前がその獄炎とかいう悪しき炎に頼ってる限りは一生届かないよ。
俺の炎はお前の炎を喰らい、浄化し、そして力に変える。相手が悪かったと思え。
戦う前からお前の負けだ。」
そして、更に腕を巨大化して魔獣となっているイフリートを握るとイフリートの炎の力を取り込み、その蒼白い炎の魔人は真っ白に光り輝く魔人へと変貌していく。
「畜生…!俺の炎が…食われていく!!離せ…!はなしやがれぇぇっ!!人間が…ニンゲン…フゼイガァァアアッ!!」
するとイフリートは真っ黒な炎に包まれた。
「なんだ…?様子が変わった…?」
「グコガゴギガガ…ニンゲン…コロス…ニンゲン…ニンゲン…コロスコロスコロスコロス…!!」
イフリートの放つ熱により辺りの地面がマグマへと変わっていく。
「あの姿はいったいなんですの…?
イフリートの魂が…何かに喰われている…?これは…?」
「とりあえず、リヴァイアさんたちはみんなと一緒にここから離れて。
あんな化け物相手にするなら、俺ももっと化け物の力を使わざるを得ないし…。」
「かしこまりましたわ。我が主人。
どうか、ご武運を…。
ケルベロス!皆を連れてここから離れますわよ!」
勇者もなんとか傷が癒え目を覚ました。
「ぐっ…。まだ体が痛むな…。
大賢者…、やっぱりかっこいいタイミングで来てくれたか…。あとは…かっこよくそいつを倒してくれ…!たのんだ…ぞ!」
そういうと再び勇者は気を失った。
「あぁ、頼まれた。さて、使ってみるか…。
前々から考えていた新しい力…。」
俺は炎皇の力を一度解除し、ライトニングクォーツを起動させ鎧を纏う。
「オオォォォォオオッ!!ニンゲン…ダイケンジャ…コロスゥゥウッ!!」
「倒されるのはお前の方だ。炎皇…合神!!」
雷帝モードのその体に腕、肩、胸、両足、兜という順に炎皇之手甲が変形して鎧を形作っていく。
「火と炎が合体して、火雷神(ホノイカズチノカミ)モードとでも言ったところかな?
俺はお前を倒すものだ。」
全身から溢れんばかりの炎と雷を纏い、神へと至った大賢者がイフリートと向かい合った。
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