89 / 137
ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第60話 過去にあった未来 その終わり
しおりを挟む
戦士ちゃんと妹ちゃんの母親に、盗賊ちゃんの親代わりになってたドラゴスケイルの前ボス…。
確か、実力だけならS級に相当するレベル…。
条件となるS級スキルがないだけで、戦闘経験から産まれるそのセンスは相当なものだろう…。
今の俺みたいな力だけのゴリ押しスタイルでやれるのか…?
と言うか、研究者の人達だってなんの研究かと考えれば魔法がメインだろうし…。
それがこれだけの人数がとなれば…やりづらいな…。
とりあえず…、邪気だけをなるべく払うようにしよう。
殺すだけなら雷光波動拳をどーんっとぶちかませば纏めて殺せるだろうが…。
「おい、大賢者様よ。とりあえず、殺しちゃいけないのは理解した。だが、奴らはそもそも戦闘センスは相当だぞ?
油断していれば逆にこっちがやられる。
まぁ、勇者でもない冒険者の攻撃などワシらには届かんが。」
戦士父の攻撃をひょいひょいと軽く交わしつつ、剣を指二本で受け止めて簡単に投げ飛ばす。
「物理的な魔法攻撃って結構強烈なんですよね。
当たればのお話ですが。しかし、肉体がないから恐れもないのでしょうね。我々の魔王覇気を浴びてもなんの動きの低下もありませんし…。
厄介ですわね。」
リヴァイアさんは魔法使い母の攻撃を又同じくひょいひょいと交わし、足元を軽く凍らせ動きを止める。
「おい!この盗賊のおっさんの動き俊敏過ぎんぞ!なんで俺様の動きに軽くついてこれんだよ!人間かよこいつ!!あ、もう死んでるのか。いやそれにしても速いぞこいつ!!」
ケロちゃんも盗賊首領の動きをいなし、獣化して踏みつけて動きを止めた。
そして俺もおそらく魔女さんの配下の研究者と思われれる人たちを、地面に走らせた雷で一気に痺れさせて動きを止めた。
「よし、浄化は私に任せろ!!光輪剣!!」
勇者ちゃんがこの隙を逃すまいと天に剣を掲げ巨大化させると、普段の黒髪が白く美しく輝き出す。
「破邪剣聖…。桜華斬!!」
そして回転斬りを繰り出すと、剣から花弁状の衝撃波が放たれ皆の胸に突き刺さり次々と邪気を払っていった。
「うむ。どうやら、大賢者からもらった伊邪那美命の力は、私の魂にしっかり定着したようだな。
割と自在に発動できるぞ!」
そう言っていつもの黒髪に戻り剣を収める。
「ひとまずはひと段落…かな?
戦意喪失しているそこの4人を除けば…だが。
どうする大賢者?敵はなかなかに姑息な手を使うクソ野郎のようだぞ。」
「正直、こんなやり方をしてくる事は想定はしていた。
だがそれによりここまで戦意を奪われるのは予想外だったよ…。
俺も親に剣を向けろとか言えないしね…。」
そうこうしてるうちに戦士父が立ち上がる。
「ちくしょう…何が起こった…。あぁ?
なんでうちの娘2人に東の国の魔女までいやがるんだ…。一体、地上で何があった…?」
「地上では何もないよ。俺たちは別に死んだからここにいるわけじゃない。逆に、死んだあなた達が敵に利用されたんだ。」
「なんだと…?それはどう言う事だ?」
俺は事情を話そうと変身を解き戦士父に近付いていく。
「!!
待て、大賢者!その男から離れろ!」
俺は戦士父が懐に隠し持っていたナイフで深々と胸を刺された。
「ぐっ…!なんだ…!俺の体の自由が効かねぇ!」
戦士父が目を見開き自分の刺した俺を見る。
そして、戦士父に刺された俺を見て皆が絶叫する。
「うぐっ…ぁぁぁあぁあっ!!なんだこれ…。めちゃくちゃ痛い…!」
胸から酷い熱を感じる。
血が溢れるのが止まらない。
体温が急激に失われていくのを感じた。
俺のその姿を見て、妹ちゃんが俺と父親を交互に見る。
戦士ちゃんは父親を見て固まり、魔女さんと盗賊ちゃんは顔から血の気が引いていた。
「助けて…、早く、だれか…血を止めてくれ…。」
段々と意識が遠のいていく。
明らかにまずい。
このままでは俺は死ぬ…。
いや、そもそも俺のアクセサリーのもつ治癒能力がこの世界だとまともに効かないって事なのか…?
「はっ!そうだ…はやく…血を…血を止めないと…!」
魔女さんが俺に治癒魔法をかけようと駆け寄ってくる。
「させませんよ。」
だが、研究者の女性に突き飛ばされてしまった。
「この人が貴方を狂わせた異世界人ですね…?
ならば、殺しましょう。この人こそ私たちを死に追いやった根源…。生かしておく…道理はない!!」
「まて…!やめろ!!」
そして、その研究者は魔女さんの持っていた杖を取り上げ俺の胸の傷口に突き刺し抉ってきた。
「ぐぁあぁぁっ!あぐっ…!ああああぁあっ!!」
傷口を抉られ、吐き気を催すような痛みに襲われる。
そうか…そもそもここは死者の国だ。
これ以上は…死ねないのか…。
「くふふふふっ!皆さん、よくやってくれました。お利口さんですよ。えぇ、実にお利口さんです。」
前族長が俺たちの前に近付いてくる。
だが、さっきまでとまるで雰囲気が違う…。
「ようこそおいでくださいました。異世界人のお方。ずっとこの時を私も待ち焦がれておりました。あなた方が訪れるのを察知し、都合よく死んでくれていたこの前族長の魂を奪い取って貴方達を待っていたのです。」
そういうと前族長の身体がボコボコっと隆起し、背中が割れ、別の男がずるりと出てきた。
「ふぅ…。私が地上に落とされた時のような醜悪な見た目…。実に反吐が出ましたよ。
ですが、あなた方をここにおびき寄せるには実にちょうど良かった。
いやはや、改めてお久しぶりです魔女さん。
どうも。貴方が恨んで止まない堕天使様ですよ。
クフフフ…。クハハハハっ!
良いですね良いですね良いですねぇ!実に良い!
その絶望に満ちた顔!怒りに満ちた顔!悲しみに満ちた顔!実に堪らない!!
あぁ、大賢者様は殺す気は無いのでご心配なく。
むしろ、私はこいつが欲しかったんですから。
では、頂きますね?大賢者さん。」
そして、堕天使が俺の胸の傷口から俺の体内に入り込んでくる。
そして、傷口を修復し立ち上がると魔女さんの方を向いて一言、こう言った。
「はい、これで漸く私を愛する気になれましたか?
貴方の大好きな異世界人ですよ?今の私は…。」
何が…起こっている…?
俺の体…うごかせない…?
まさか、本当に俺はこいつに体を奪われたのか…!?
「その通りですよ大賢者様。私が貴方の身体を頂きました。まぁ、奪い取ったところで愛して貰えるなんて私も思っていませんよ。
ですから!この上ない絶望を与えてあげようと思っているのです!」
「この…外道がぁぁあっ!!」
「貴方の役割は終わりましたよそちらの少女方のお父さん。消えなさい。」
すると、堕天使は俺の体で両腕を雷帝モードに変身させ、戦士父の頭を雷で消しとばした。
「お父…様…?賢者…?なんで…。殺したの…?
ねぇ…なんで…?」
戦士ちゃんはさっきからずっと混乱している…。
おそらく、俺が身体を奪われた事も良く理解していない。
「賢者ぁぁあっ!!」
そして、戦士ちゃんは炎帝之手甲と巨大な剣を構えてこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「やれやれ。血の気の多いお仲間さんですね。」
そして堕天使は俺の体を雷帝モードに完全変身させるとプラズマブレードで戦士ちゃんの両腕を切り落とした。
「しばらくそうやって居なさい。私が聞きたいのは、貴方の絶望する声ではないのですから。」
マオちゃん達は攻撃ができないままでいる。
なるほど…魂は違えど身体は俺…。だからか…。
俺の声も…きっと届いてなさそうだ…。
これは…かなりまずい…。
「さぁ、どうしますか魔女さん?貴方の愛する大賢者さんを殺さないと、皆さんの命が…次々と消えますよ?このように。」
そして指先から指弾をチュンっと放ち、次々と研究者さん達の頭を風船でも割るように弾き飛ばしていく。
「やめ…やめろ…!!その人の身体で…、そんな真似を…するなぁあっ!!」
「待て、魔女さん。ここは私がやる!君は他のみんなを…。頼む。それと、可能なら戦士ちゃんの腕をくっつけてやってくれ。大賢者…今助けるぞ!!」
勇者ちゃんはアーマードフェニックスの鎧を纏い、白く光り輝き出しこちらに向かってくる。
「厄介ですねぇ…。
マオちゃん、リヴァイアさん、ケロちゃん、私を守って頂けますか?」
俺の体から放たれた命令に彼女達は逆らえない…。
「貴様…きさまぁぁぁぁっ!!よくも我が主の身体でそのような命令を…!」
「私たちが逆らえないのを逆手に取るなんて…不覚です…!!」
「ちくしょう…!勇者!遠慮はするな!マスターを助けられるなら、俺たちごとやれ!!」
勇者ちゃんは、巨大な光の剣を生成する。
「すまない…みんな…!はぁぁぁあぁ!!桜華斬!!」
そしてその斬撃をマオちゃん達ごと俺めがけて放ってくる。
が、斬撃は俺に届いてもなんのダメージにもなることはなかった。
それどころか、俺の身体を守ろうと盾になった三人は…目の前で灰になり散っていった。
「あははははは!!効くわけ無いではないですか!この身体に宿る力は貴方と同じなのですから!三人共まさに無駄死にですねぇ…!ククククククッ!魔王様ともあろうものが…実に滑稽な最後だ!素晴らしい…!私はこの世界で最強の体を手に入れた!」
「おのれ…堕天使めがぁぁぁあっ!!」
「はぁ、貴方もそろそろやかましいので黙って頂けます?」
そして、堕天使は勇者ちゃんの腹を深々と手刀で突き刺した。
「かはっ…!ぐっ…!うぅっ…!」
「どうです?イフリートにやられた時と同じように、今度は貴方の大好きな人に命を奪われる様は…?どうですか?苦しいですか?辛いですか?くやしいですか…?えぇ。えぇ。そうでしょう!そうでしょうとも!さぁ、お鳴きなさい。
断末魔のような叫びを魔女さんに聞かせてどうぞ、今度こそお亡くなりなさい。」
すると、堕天使はファイアクォーツを発動させ腕にガントレットを装備すると、勇者ちゃんを体の内側から、消えない青白い炎で火をつけ焼いていった。
「ぐぁあぁぁっ!あづい!!あぁぁぁあっ!!」
「あははははは!良いですよぉ…良いですねぇ…最高の断末魔だぁぁっ!よぉく聞かせて死んでいってくださいねぇ?
さて…次はどなたが参ります?
妹ちゃんですか?盗賊ちゃんですか?それとも両腕を落とされた戦士ちゃんですかぁぁあ?
あぁでも、そのまえに貴方達にも私を恨んでもらっておきましょうかねぇ?」
「王泥棒【キングオブヴァンディッド】!!」
盗賊首領のスキルが俺の体の中にいる堕天使をつかもうとする。
が、堕天使は上手いこと俺を身代わりに回避した。
そして、盗賊首領の頭をグーパンでスイカでも割るように弾き飛ばした。
「おっと…危ない。そのスキルで私をこの体から引きずり出すつもりでしたか…。ですが残念でしたね。貴方が掴んだのはこの体の元の持ち主さんです。ですが、奪われると力を使え無くなるかもしれませんので、あなたから先に死んでおいて頂きますね?」
「クソ…怖くて身体が動かない…ボスも…ご主人様も…大ピンチだってのに…全然身体が動かない…。ちくしょう…!」
堕天使は盗賊ちゃんに近付いていく。
「そうだよな…。怖いよな…。でも、大丈夫だ盗賊ちゃん。俺がもうすぐ…なんとかしてみせるから!」
こいつ…俺の口調を真似て…なにする気だ…!
「わかった。頼むぜご主人様っ…!?」
「良いですねぇ…油断しきった所をこのように殺すのも…。」
堕天使が盗賊ちゃんの胸に腕を突き刺し心臓を直接握る…。
「ご主人様…いや…お前…堕天使っ…!よくも…ご主人さま…の…ふりしやがった…な!!」
「えぇ、最後くらい夢を見せてあげようかと思いましてね。さようなら。盗賊ちゃん。」
「クソ…がぁぁぁぁあっ!!」
盗賊ちゃんが悲しみと怒りと憎しみが入り混じった顔で俺の方をにらみながら、心臓をねじ切られて絶命させられる。
「はい、これで魔女さんの大切なお仲間はそちらのお嬢さん方2人ですね。
面倒なのでサッと殺してしまいましょう。」
「……あっ…ぅあ…ああぁ……。」
恐怖で動けなくなっている2人。
魔女さんも完全に絶望して動けなくなっていた。
「おっと…その前に地上への道を開いておきますか。」
堕天使は先ほど切り落とした戦士ちゃんの腕を掴み、雷で肉を焼き無理やり腕をくっつける。
「ぅぁぁああっ!うぐっ…ひぐ…も…もう…やめて…。お願い…。」
「では、次元斬。あの技で地上への扉、開いておいてもらえますか?」
戦士ちゃんは言われるままに力なく剣を振り、次元の狭間を切り開く。
「上出来です。では、死んで結構ですよ。」
堕天使が戦士ちゃんの頭をガシッと掴み持ち上げる。
戦士ちゃんはすでに戦意はなく、死を覚悟しているかのように一切の抵抗はなかった。
だが、その腕に岩の弾丸が放たれる。
「ふむ…。死んでも母は強しといった所でしょうか?」
「娘を…離しなさい…!この外道め!」
またも無言で魔法使い母に炎の弾丸を撃ち込み瞬殺していく。
そして堕天使は、そのまま戦士ちゃんの頭を強力な雷で焼いた。
「これであとは魔女さんと魔法使いちゃんだけですね。」
2人は互いに互いを守るように抱き合っている。
堕天使はそこから妹ちゃんの首を掴んで持ち上げ魔女さんから引き剥がすと、そのまま炎で焼き尽くしまるでゴミでも棄てるようにその辺に投げ捨てた。
「どうしましたぁ?魔女さん…?
これが、私に愛されてしまい、その愛を受け入れなかった貴方が招いた結果と言う訳です。
その辺りは理解していただけましたか?
今更、私を愛してくださいとは言いません。
無論、貴方のその体を貪れるなら悪い気はしませんが…。
今はそれよりも何よりも…!貴方の苦しむ顔が見たい!
良いですよぉ?とても素敵です…。実に美しい…絶望に満ちた顔だ。
ですが、私を止めなければ今度は地上の方々が大変なことになりますよ?」
そう言うと、堕天使は魔女さんを抱えて次元の狭間から地上へと戻る。
「はぁはぁ…。君は…これ以上…何をするつもりなんだ…?」
「この地上にいる人類の抹殺ぅ…ですかねぇ?
こんな力、そうそう味わえませんからね。
楽しませてもらわないと…!貴方はそこで見ていなさい。愛する者の雷が…多くの命を奪うその時を…。」
そして堕天使は俺の身体でライトニングクォーツとファイアクォーツの力を最大限に発動させ、まずはこの大陸中を巨大な暗雲で覆い尽くした。
「見えますか?貴方の愛する人たちがたくさんいる西の国、中央皇国、そして東の国です。
そして、今からアレが…なくなります。」
暗雲から巨大な雷の柱…それこそジオストームとも呼ぶべき雷と炎の柱が国を一閃の雷の元に消滅させていく。
「ぁぁっ…あぁあ…うぁぁぁぁぁああっ!」
魔女さんが堕天使に利用された俺の体に虚しく爪を立てながら言葉にならない悲鳴をあげ、何もかもが消え去った地上に目を向ける。
「ほら、ご覧なさい?雷の規模は少し落としたので、ちょうど外にいた人たちは真っ黒な炭になりましたよ。
貴方と仲の良い西の国のギルマスや、皇女殿下も。よく燃えそうな炭ですよ。」
「はっ…!はっ…!もう…やめろ…なぜ、私を殺さない…?」
「殺したら貴方が苦しむ姿を見れないからじゃないですか?さっきも言ったでしょう?私は貴方を性欲を満たす道具にするよりも、絶望する顔を見たいのですよ。
あぁ、でもこの大陸の人類が滅びた今…。
再びこの地上に人を増やすための最初の人類になると言うのも…悪くないですねぇ…?」
そう言うと、魔女さんは服の懐に隠していた黒曜石のナイフで自分の腹を裂いた。
所謂、切腹だ。
そして、そのまま血を流し数分後生き絶えた。
「あーあ。終わってしまいましたか…。
貴方は最後の最後まで生かして楽しむつもりだったんですがねぇ…。しかし…死体もまた…美しいですねぇ…!くふふふふっ!」
だめだ…こいつは本物のサイコパスだ…。
このままこいつと一緒にこの身体にいたら完全に気が狂いそうだ…!
「貴方は死ねませんよ?私と一つになっているのですから…。このまま共に…この世界の終焉を見届けましょう!くはははははっ!」
そして俺は、大切な仲間たちとこの世界の全てを失ったのだった。
確か、実力だけならS級に相当するレベル…。
条件となるS級スキルがないだけで、戦闘経験から産まれるそのセンスは相当なものだろう…。
今の俺みたいな力だけのゴリ押しスタイルでやれるのか…?
と言うか、研究者の人達だってなんの研究かと考えれば魔法がメインだろうし…。
それがこれだけの人数がとなれば…やりづらいな…。
とりあえず…、邪気だけをなるべく払うようにしよう。
殺すだけなら雷光波動拳をどーんっとぶちかませば纏めて殺せるだろうが…。
「おい、大賢者様よ。とりあえず、殺しちゃいけないのは理解した。だが、奴らはそもそも戦闘センスは相当だぞ?
油断していれば逆にこっちがやられる。
まぁ、勇者でもない冒険者の攻撃などワシらには届かんが。」
戦士父の攻撃をひょいひょいと軽く交わしつつ、剣を指二本で受け止めて簡単に投げ飛ばす。
「物理的な魔法攻撃って結構強烈なんですよね。
当たればのお話ですが。しかし、肉体がないから恐れもないのでしょうね。我々の魔王覇気を浴びてもなんの動きの低下もありませんし…。
厄介ですわね。」
リヴァイアさんは魔法使い母の攻撃を又同じくひょいひょいと交わし、足元を軽く凍らせ動きを止める。
「おい!この盗賊のおっさんの動き俊敏過ぎんぞ!なんで俺様の動きに軽くついてこれんだよ!人間かよこいつ!!あ、もう死んでるのか。いやそれにしても速いぞこいつ!!」
ケロちゃんも盗賊首領の動きをいなし、獣化して踏みつけて動きを止めた。
そして俺もおそらく魔女さんの配下の研究者と思われれる人たちを、地面に走らせた雷で一気に痺れさせて動きを止めた。
「よし、浄化は私に任せろ!!光輪剣!!」
勇者ちゃんがこの隙を逃すまいと天に剣を掲げ巨大化させると、普段の黒髪が白く美しく輝き出す。
「破邪剣聖…。桜華斬!!」
そして回転斬りを繰り出すと、剣から花弁状の衝撃波が放たれ皆の胸に突き刺さり次々と邪気を払っていった。
「うむ。どうやら、大賢者からもらった伊邪那美命の力は、私の魂にしっかり定着したようだな。
割と自在に発動できるぞ!」
そう言っていつもの黒髪に戻り剣を収める。
「ひとまずはひと段落…かな?
戦意喪失しているそこの4人を除けば…だが。
どうする大賢者?敵はなかなかに姑息な手を使うクソ野郎のようだぞ。」
「正直、こんなやり方をしてくる事は想定はしていた。
だがそれによりここまで戦意を奪われるのは予想外だったよ…。
俺も親に剣を向けろとか言えないしね…。」
そうこうしてるうちに戦士父が立ち上がる。
「ちくしょう…何が起こった…。あぁ?
なんでうちの娘2人に東の国の魔女までいやがるんだ…。一体、地上で何があった…?」
「地上では何もないよ。俺たちは別に死んだからここにいるわけじゃない。逆に、死んだあなた達が敵に利用されたんだ。」
「なんだと…?それはどう言う事だ?」
俺は事情を話そうと変身を解き戦士父に近付いていく。
「!!
待て、大賢者!その男から離れろ!」
俺は戦士父が懐に隠し持っていたナイフで深々と胸を刺された。
「ぐっ…!なんだ…!俺の体の自由が効かねぇ!」
戦士父が目を見開き自分の刺した俺を見る。
そして、戦士父に刺された俺を見て皆が絶叫する。
「うぐっ…ぁぁぁあぁあっ!!なんだこれ…。めちゃくちゃ痛い…!」
胸から酷い熱を感じる。
血が溢れるのが止まらない。
体温が急激に失われていくのを感じた。
俺のその姿を見て、妹ちゃんが俺と父親を交互に見る。
戦士ちゃんは父親を見て固まり、魔女さんと盗賊ちゃんは顔から血の気が引いていた。
「助けて…、早く、だれか…血を止めてくれ…。」
段々と意識が遠のいていく。
明らかにまずい。
このままでは俺は死ぬ…。
いや、そもそも俺のアクセサリーのもつ治癒能力がこの世界だとまともに効かないって事なのか…?
「はっ!そうだ…はやく…血を…血を止めないと…!」
魔女さんが俺に治癒魔法をかけようと駆け寄ってくる。
「させませんよ。」
だが、研究者の女性に突き飛ばされてしまった。
「この人が貴方を狂わせた異世界人ですね…?
ならば、殺しましょう。この人こそ私たちを死に追いやった根源…。生かしておく…道理はない!!」
「まて…!やめろ!!」
そして、その研究者は魔女さんの持っていた杖を取り上げ俺の胸の傷口に突き刺し抉ってきた。
「ぐぁあぁぁっ!あぐっ…!ああああぁあっ!!」
傷口を抉られ、吐き気を催すような痛みに襲われる。
そうか…そもそもここは死者の国だ。
これ以上は…死ねないのか…。
「くふふふふっ!皆さん、よくやってくれました。お利口さんですよ。えぇ、実にお利口さんです。」
前族長が俺たちの前に近付いてくる。
だが、さっきまでとまるで雰囲気が違う…。
「ようこそおいでくださいました。異世界人のお方。ずっとこの時を私も待ち焦がれておりました。あなた方が訪れるのを察知し、都合よく死んでくれていたこの前族長の魂を奪い取って貴方達を待っていたのです。」
そういうと前族長の身体がボコボコっと隆起し、背中が割れ、別の男がずるりと出てきた。
「ふぅ…。私が地上に落とされた時のような醜悪な見た目…。実に反吐が出ましたよ。
ですが、あなた方をここにおびき寄せるには実にちょうど良かった。
いやはや、改めてお久しぶりです魔女さん。
どうも。貴方が恨んで止まない堕天使様ですよ。
クフフフ…。クハハハハっ!
良いですね良いですね良いですねぇ!実に良い!
その絶望に満ちた顔!怒りに満ちた顔!悲しみに満ちた顔!実に堪らない!!
あぁ、大賢者様は殺す気は無いのでご心配なく。
むしろ、私はこいつが欲しかったんですから。
では、頂きますね?大賢者さん。」
そして、堕天使が俺の胸の傷口から俺の体内に入り込んでくる。
そして、傷口を修復し立ち上がると魔女さんの方を向いて一言、こう言った。
「はい、これで漸く私を愛する気になれましたか?
貴方の大好きな異世界人ですよ?今の私は…。」
何が…起こっている…?
俺の体…うごかせない…?
まさか、本当に俺はこいつに体を奪われたのか…!?
「その通りですよ大賢者様。私が貴方の身体を頂きました。まぁ、奪い取ったところで愛して貰えるなんて私も思っていませんよ。
ですから!この上ない絶望を与えてあげようと思っているのです!」
「この…外道がぁぁあっ!!」
「貴方の役割は終わりましたよそちらの少女方のお父さん。消えなさい。」
すると、堕天使は俺の体で両腕を雷帝モードに変身させ、戦士父の頭を雷で消しとばした。
「お父…様…?賢者…?なんで…。殺したの…?
ねぇ…なんで…?」
戦士ちゃんはさっきからずっと混乱している…。
おそらく、俺が身体を奪われた事も良く理解していない。
「賢者ぁぁあっ!!」
そして、戦士ちゃんは炎帝之手甲と巨大な剣を構えてこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「やれやれ。血の気の多いお仲間さんですね。」
そして堕天使は俺の体を雷帝モードに完全変身させるとプラズマブレードで戦士ちゃんの両腕を切り落とした。
「しばらくそうやって居なさい。私が聞きたいのは、貴方の絶望する声ではないのですから。」
マオちゃん達は攻撃ができないままでいる。
なるほど…魂は違えど身体は俺…。だからか…。
俺の声も…きっと届いてなさそうだ…。
これは…かなりまずい…。
「さぁ、どうしますか魔女さん?貴方の愛する大賢者さんを殺さないと、皆さんの命が…次々と消えますよ?このように。」
そして指先から指弾をチュンっと放ち、次々と研究者さん達の頭を風船でも割るように弾き飛ばしていく。
「やめ…やめろ…!!その人の身体で…、そんな真似を…するなぁあっ!!」
「待て、魔女さん。ここは私がやる!君は他のみんなを…。頼む。それと、可能なら戦士ちゃんの腕をくっつけてやってくれ。大賢者…今助けるぞ!!」
勇者ちゃんはアーマードフェニックスの鎧を纏い、白く光り輝き出しこちらに向かってくる。
「厄介ですねぇ…。
マオちゃん、リヴァイアさん、ケロちゃん、私を守って頂けますか?」
俺の体から放たれた命令に彼女達は逆らえない…。
「貴様…きさまぁぁぁぁっ!!よくも我が主の身体でそのような命令を…!」
「私たちが逆らえないのを逆手に取るなんて…不覚です…!!」
「ちくしょう…!勇者!遠慮はするな!マスターを助けられるなら、俺たちごとやれ!!」
勇者ちゃんは、巨大な光の剣を生成する。
「すまない…みんな…!はぁぁぁあぁ!!桜華斬!!」
そしてその斬撃をマオちゃん達ごと俺めがけて放ってくる。
が、斬撃は俺に届いてもなんのダメージにもなることはなかった。
それどころか、俺の身体を守ろうと盾になった三人は…目の前で灰になり散っていった。
「あははははは!!効くわけ無いではないですか!この身体に宿る力は貴方と同じなのですから!三人共まさに無駄死にですねぇ…!ククククククッ!魔王様ともあろうものが…実に滑稽な最後だ!素晴らしい…!私はこの世界で最強の体を手に入れた!」
「おのれ…堕天使めがぁぁぁあっ!!」
「はぁ、貴方もそろそろやかましいので黙って頂けます?」
そして、堕天使は勇者ちゃんの腹を深々と手刀で突き刺した。
「かはっ…!ぐっ…!うぅっ…!」
「どうです?イフリートにやられた時と同じように、今度は貴方の大好きな人に命を奪われる様は…?どうですか?苦しいですか?辛いですか?くやしいですか…?えぇ。えぇ。そうでしょう!そうでしょうとも!さぁ、お鳴きなさい。
断末魔のような叫びを魔女さんに聞かせてどうぞ、今度こそお亡くなりなさい。」
すると、堕天使はファイアクォーツを発動させ腕にガントレットを装備すると、勇者ちゃんを体の内側から、消えない青白い炎で火をつけ焼いていった。
「ぐぁあぁぁっ!あづい!!あぁぁぁあっ!!」
「あははははは!良いですよぉ…良いですねぇ…最高の断末魔だぁぁっ!よぉく聞かせて死んでいってくださいねぇ?
さて…次はどなたが参ります?
妹ちゃんですか?盗賊ちゃんですか?それとも両腕を落とされた戦士ちゃんですかぁぁあ?
あぁでも、そのまえに貴方達にも私を恨んでもらっておきましょうかねぇ?」
「王泥棒【キングオブヴァンディッド】!!」
盗賊首領のスキルが俺の体の中にいる堕天使をつかもうとする。
が、堕天使は上手いこと俺を身代わりに回避した。
そして、盗賊首領の頭をグーパンでスイカでも割るように弾き飛ばした。
「おっと…危ない。そのスキルで私をこの体から引きずり出すつもりでしたか…。ですが残念でしたね。貴方が掴んだのはこの体の元の持ち主さんです。ですが、奪われると力を使え無くなるかもしれませんので、あなたから先に死んでおいて頂きますね?」
「クソ…怖くて身体が動かない…ボスも…ご主人様も…大ピンチだってのに…全然身体が動かない…。ちくしょう…!」
堕天使は盗賊ちゃんに近付いていく。
「そうだよな…。怖いよな…。でも、大丈夫だ盗賊ちゃん。俺がもうすぐ…なんとかしてみせるから!」
こいつ…俺の口調を真似て…なにする気だ…!
「わかった。頼むぜご主人様っ…!?」
「良いですねぇ…油断しきった所をこのように殺すのも…。」
堕天使が盗賊ちゃんの胸に腕を突き刺し心臓を直接握る…。
「ご主人様…いや…お前…堕天使っ…!よくも…ご主人さま…の…ふりしやがった…な!!」
「えぇ、最後くらい夢を見せてあげようかと思いましてね。さようなら。盗賊ちゃん。」
「クソ…がぁぁぁぁあっ!!」
盗賊ちゃんが悲しみと怒りと憎しみが入り混じった顔で俺の方をにらみながら、心臓をねじ切られて絶命させられる。
「はい、これで魔女さんの大切なお仲間はそちらのお嬢さん方2人ですね。
面倒なのでサッと殺してしまいましょう。」
「……あっ…ぅあ…ああぁ……。」
恐怖で動けなくなっている2人。
魔女さんも完全に絶望して動けなくなっていた。
「おっと…その前に地上への道を開いておきますか。」
堕天使は先ほど切り落とした戦士ちゃんの腕を掴み、雷で肉を焼き無理やり腕をくっつける。
「ぅぁぁああっ!うぐっ…ひぐ…も…もう…やめて…。お願い…。」
「では、次元斬。あの技で地上への扉、開いておいてもらえますか?」
戦士ちゃんは言われるままに力なく剣を振り、次元の狭間を切り開く。
「上出来です。では、死んで結構ですよ。」
堕天使が戦士ちゃんの頭をガシッと掴み持ち上げる。
戦士ちゃんはすでに戦意はなく、死を覚悟しているかのように一切の抵抗はなかった。
だが、その腕に岩の弾丸が放たれる。
「ふむ…。死んでも母は強しといった所でしょうか?」
「娘を…離しなさい…!この外道め!」
またも無言で魔法使い母に炎の弾丸を撃ち込み瞬殺していく。
そして堕天使は、そのまま戦士ちゃんの頭を強力な雷で焼いた。
「これであとは魔女さんと魔法使いちゃんだけですね。」
2人は互いに互いを守るように抱き合っている。
堕天使はそこから妹ちゃんの首を掴んで持ち上げ魔女さんから引き剥がすと、そのまま炎で焼き尽くしまるでゴミでも棄てるようにその辺に投げ捨てた。
「どうしましたぁ?魔女さん…?
これが、私に愛されてしまい、その愛を受け入れなかった貴方が招いた結果と言う訳です。
その辺りは理解していただけましたか?
今更、私を愛してくださいとは言いません。
無論、貴方のその体を貪れるなら悪い気はしませんが…。
今はそれよりも何よりも…!貴方の苦しむ顔が見たい!
良いですよぉ?とても素敵です…。実に美しい…絶望に満ちた顔だ。
ですが、私を止めなければ今度は地上の方々が大変なことになりますよ?」
そう言うと、堕天使は魔女さんを抱えて次元の狭間から地上へと戻る。
「はぁはぁ…。君は…これ以上…何をするつもりなんだ…?」
「この地上にいる人類の抹殺ぅ…ですかねぇ?
こんな力、そうそう味わえませんからね。
楽しませてもらわないと…!貴方はそこで見ていなさい。愛する者の雷が…多くの命を奪うその時を…。」
そして堕天使は俺の身体でライトニングクォーツとファイアクォーツの力を最大限に発動させ、まずはこの大陸中を巨大な暗雲で覆い尽くした。
「見えますか?貴方の愛する人たちがたくさんいる西の国、中央皇国、そして東の国です。
そして、今からアレが…なくなります。」
暗雲から巨大な雷の柱…それこそジオストームとも呼ぶべき雷と炎の柱が国を一閃の雷の元に消滅させていく。
「ぁぁっ…あぁあ…うぁぁぁぁぁああっ!」
魔女さんが堕天使に利用された俺の体に虚しく爪を立てながら言葉にならない悲鳴をあげ、何もかもが消え去った地上に目を向ける。
「ほら、ご覧なさい?雷の規模は少し落としたので、ちょうど外にいた人たちは真っ黒な炭になりましたよ。
貴方と仲の良い西の国のギルマスや、皇女殿下も。よく燃えそうな炭ですよ。」
「はっ…!はっ…!もう…やめろ…なぜ、私を殺さない…?」
「殺したら貴方が苦しむ姿を見れないからじゃないですか?さっきも言ったでしょう?私は貴方を性欲を満たす道具にするよりも、絶望する顔を見たいのですよ。
あぁ、でもこの大陸の人類が滅びた今…。
再びこの地上に人を増やすための最初の人類になると言うのも…悪くないですねぇ…?」
そう言うと、魔女さんは服の懐に隠していた黒曜石のナイフで自分の腹を裂いた。
所謂、切腹だ。
そして、そのまま血を流し数分後生き絶えた。
「あーあ。終わってしまいましたか…。
貴方は最後の最後まで生かして楽しむつもりだったんですがねぇ…。しかし…死体もまた…美しいですねぇ…!くふふふふっ!」
だめだ…こいつは本物のサイコパスだ…。
このままこいつと一緒にこの身体にいたら完全に気が狂いそうだ…!
「貴方は死ねませんよ?私と一つになっているのですから…。このまま共に…この世界の終焉を見届けましょう!くはははははっ!」
そして俺は、大切な仲間たちとこの世界の全てを失ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!
サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。
「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」
飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう――
※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
ルーシャオ
恋愛
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
モーリン子爵家令嬢イグレーヌは、双子の姉アヴリーヌにおねだりされて婚約者を譲り渡す羽目に。すっかり姉と婚約者、それに父親に呆れてイグレーヌは別荘で静養中の母のもとへ一人旅をすることにした。ところが途中、武器を受け取りに立ち寄った騎士領で騎士ブルックナーから騎士見習い二人を同行させて欲しいと頼まれる。
そのころ、イグレーヌの従姉妹であり友人のド・ベレト公女マリアンはイグレーヌの扱いに憤慨し、アヴリーヌと婚約者へとある謀略を仕掛ける。そして、宮廷舞踏会でしっかりと謀略の種は花開くことに——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる