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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第69話 龍皇様のお戯れ
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「うーん…。すごく不思議な感じ…。
肉体がないときは彼の体の中か、肩の上あたりにふわふわ浮いていたから、なんかこう…重力で引っ張られるって不思議ね…。
と言うか…十二単おっっも!!誰よ!こんなの着せようって言った奴!」
すっ…。
「そうよね!貴方よね!ちきしょう!!こんな重たいの脱いでやるぅ!」
そして、龍皇ちゃんはその十二単の鎧をキャストオフした。
普通の十二単が15kgだしな…。
この世界の龍の鱗は鋼の強度でありながら鳥の羽のごとく軽い不思議な素材と聞いていたが、それでも全身に纏えば15kgとは行かなくても重かろうそうだろう。
十二単を脱ぐと、普通にいつもの黒い袴の巫女服になった。
尚、キャストオフした十二単はこれまたカシャンカシャンと重なり合い、でっかい鉄扇に変形した。
「…………。」
「……。着るよりは…軽いかなぁ……。」
「なんか…ゴメン…。」
魔女さんよりもさらに黒く艶やかでしなやかな黒髪。
日に透けるとほんのりと青く輝く色【黝】色の鱗がついた首筋…。
紅い紅の引かれた口元や、ほんのり桜色のフサフサまつげの瞼、そして同じく桜色の綺麗な瞳が実に美しい。
「しかし…、物凄く妖艶な美しさだねぇ…。
これが神様…か…。こんな美しい人がずっと君の側に居たと思うと色々と圧倒されるね…。」
「うひゃぁ…。神様綺麗…。オレじゃ到底届かない美しさだよ…。」
魔女さんと盗賊ちゃんの2人もその美しさに見ほれていた。
「ふふっ、有難う。2人にはこの世界に来てから私の旦那様がお世話になったわね。」
おっと…?君、今なんと…?
「ん…?」
「旦那…様…?」
これには盗賊ちゃんと魔女さんも聞き捨てならない雰囲気を醸し出す。
「待て!ご主人様の嫁はオレだ!いや、正確にはまだだけど…。もうすぐ結婚するもん!今プロポーズ待ちだもん!オレが正妻だって言ってもらえてるし!」
「ハハハ…正妻戦争に神が参戦とかもはや負け戦じゃじゃないか…あはっはははは…。」
色々と焦り出してしまった2人…。
「くふふっ…!あはははは!冗談、冗談だよっ!
ほんと、大好きなんだね貴女は。私の大切なこの人のこと…。すっごく嬉しいな。
その気持ち、ずっと忘れないでね?」
「う~っ!冗談でも言っていいことダメなことはあるんだぞっ!ましてや神様なんだから…!あせったじゃないかぁ!」
優しく頭を撫でる龍皇ちゃんと、ポカポカする盗賊ちゃんが実に可愛い。
が、その一方でさっきから背後の気配がおかしい。
「これが…神!ワクワクするな!ワシ、戦いたいぞ!!」
「魔族の血が騒ぎますね!どんな力をお持ちなんでしょうか!」
「さっきまで着てたあの鎧も…、きっとマスターの雷帝モードみたいにめちゃくちゃ強い鎧になるに違いないぞ!俺様も戦ってみたい!!」
魔族の皆様はもはや某戦闘民族のごとくワクワクしている。
「この人達は、本能だけなら獣と変わりないのね…。でも、確かに私もこの世界で戦える身体を得た今…、どれ程の力があるかは試してみたい。」
そう言うと、鉄扇を広げてブワッと風を起こすと、再び十二単状の漆黒の鎧を羽織る。
「ふんふん、なるほどなるほど。こうやって神気を纏えば軽くなるんだ。」
そしてさっきまでと違い、重力などまるでないかのように軽やかにふわりと宙に浮かぶ。
「よし、じゃぁまずは俺様から行くぜ!」
ケロちゃんは早速首が3つのビーストモードに変身し、超スピードで一気に龍皇ちゃんの方へ突進していく。
「おお!今まで体の中から見てたけど、目の当たりにすると物凄く速いね!」
と言いつつも軽く突進からのクロー攻撃をかわしていく。
「そもそも、私ってどうやって戦えばいいんだろ…。
とりあえず、この十二単を変形させればいいのかな?」
カシャンっ!と音を立てて十二単を変形させると、その袖口が鋭利な刃物へと形を変えて行く。
「では…、一曲舞わせて頂きましょう。」
そして妖艶な舞を披露する龍皇。
舞えば袖の鋭利な刃が生み出す神気を帯びた衝撃波が辺りを切り裂く。
絶妙かつ巧妙にケロちゃんを斬らないように細心の注意で舞を踊る。
「ふんふん。なるほどな。
神気が触れずとも、魔族なら当てられるだけでそうなるわけか。」
確かにその刃は一切触れていなかったが、ケロちゃんは完全に疲れ切っており息も荒くなっていた。
死の恐怖を高速で大量に浴びたらまぁ誰でもそうなるだろうものだが…。
「参りました…。死ぬかと思ったよ俺様…。
て言うかあれ当てられてたら確実に俺様の体は微塵切りになってたぞ…。」
「ふふっ♪なかなかに面白かったよ。私の舞は美しかったろう?」
ちなみにリヴァイアさんは目を見開いて固まっていた。
マオちゃんは流石の余裕の表情だが。
「美しいのは確かでしたが…、あんな攻撃をまともに食らっていれば…魔族じゃなくとも簡単に肉片になっているところでしたわ…。」
「さぁて…次はワシだな。お前らはここの入り口まで下がっておれ。
本気で戦ったらどうなるか…ワシは試したい。」
俺達は皆でこの広い場所に出る手前のところまで下がる。
するとマオちゃんは指をパチンッとならし、強力な結界を生成した。
「本気で戦ったらどうなるかってことは…さっきみたいに当たらないような戦い方はするなってこと?」
「もちろんだとも。神の力…ワシもお前のその溢れる神の力そのものに抗ってみたい!
魔族は神の力でなければ傷を付けることは敵わない。
だが、同時に神を傷つける事も敵わない。
純粋な魔族であれば…の話だが。
ワシはこの身体に龍族の…すなわち、神の血を受け継いでおる。
リヴァイアもだが神の力をその身に宿す魔族は、神を傷つける事もできるのだ。
その力を本気で試せる機会など滅多とないからな。
まぁ…マスター相手には死ぬ気しかなかったから試す気も起こらなかったが…。」
「私なら…倒せると…?吐かせおるな小童が!」
「む?雰囲気が変わった?」
「我は闇龗神…。その名の通り高龗神の裏側…要するに邪神の様なものよ。
なれば、貴様の力…我に存分に振るってみるがよい…。我は高龗神ほど…甘くはないぞ?」
フッ…と黒い影が搔き消える様にして龍皇はその姿を消し、視認される事なくマオちゃんの首根っこを掴む。
「なんだ?もう終わりか?あっけないのう…。」
ブンッと壁めがけてマオちゃんを投げ捨てるが、当然マオちゃんはケロっとしている。
「はっ!貴様こそ吐かせ!ワシを誰と心得る!
魔王ぞ?我、魔王ぞ?」
黒い球体を生成し、高速で打ち出すマオちゃん。
龍皇ちゃんはそれを十二単の一部を剥いで変形させた鉄扇で簡単に打ち返す。
打ち返された球体はマオちゃんに容易にかわされ壁に当たると、ごっそりと壁をえぐっていた。
そしてマオちゃんは影のように、視認できない速さで音もなく龍皇ちゃんへと迫る。
が、あっさりと鉄扇で殴り飛ばされた上に、鉄扇から放たれる無数の黒い神気の刃にその体を無数に貫かれていく。
だが、貫かれたと思った体は煙のように立ち消え龍皇ちゃんの背後にマオちゃんが現れ、その爪で喉元を掻き切った。
血が吹き出るかと思ったら、マオちゃんの方が痛がっている。
「いっだぁあああ!かったぁあああ!ワシの爪おれたぁああ!いーたーいー!」
「カカカっ!脆いなぁ魔王の爪とやらは!
我の鱗に傷もつけれぬか。」
「喉笛かっ切ろうとしたら鱗出すとか反則だろ!」
「我のこの体の特性を使って何が悪いものか。
その程度では魔王の名が泣くぞ?」
マオちゃんは治癒魔法で爪を修復すると、地面をダンっと踏みしめ大剣を召喚する。
「よろしい…。ならば、剣鬼とも言われた我が剣技を見せてやろうではないか…!」
剣をブンっと降ると、空気が歪むほどの巨大な衝撃波が放たれる。
龍皇ちゃんは衝撃波を鉄扇で受け止めるが、受け止めきれず鉄扇は弾け飛んでしまった。
「ほう…。これはなかなか…。」
「受け止めれば死ぬぞ?無論、受け止めさせる気は無いがな。」
猛烈な速度で剣を振り乱し、逃げ場がないほどの網目状の衝撃波が超高速で放たれていく。
「これはなかなか…。だが、当たる前にかきけせば良い事だ。」
龍皇ちゃんがその手を衝撃波に向けると、それだけで強力な衝撃波が消えてしまった。
「神気だけで我が剣の波動を消しただと!?
どんな化け物じみた神気だ!」
「なるほどのう。神気を纏わねば、この鎧もただの鉄くずとかわらんか…。」
今度は十二単を完全にパージして、巨大な鉄扇に変形させる龍皇ちゃん。
マオちゃんはならば!と直接龍皇ちゃんに剣戟を浴びせようと接近する。
2人の武器が激しい金属音を鳴らしながら何度もぶつかり合う。
「ふんふん…。この程度の神気だとただぶつかり合うだけか…。ではもう少し込めると…。」
バギィィィインッと盛大な音を立てて剣が鉄扇に叩き折られてしまった。
「いやあぁぁぁあっ!!ワシの大切な大剣んんんんっ!!」
折れた破片をペトッとくっつけて魔力を注入して修復して行っているマオちゃん。
「この子生きてるんだぞ一応!生き物は大切にしなさいって教わらなかったのかお前は!」
「知らぬわ…。そもそも我は生と死を司る黒き龍よ。その様な畜生の1つ2つの死など知らぬ。」
パシンっと大剣を再び鉄扇で叩き折る。
「お前、容赦ないなっ!?人の心はないのか!?」
「そんなものもない。我は神ぞ?人の心など持たぬわ。」
鉄扇をシャリンっ!と広げて一払いすると黒い雷を纏った台風の様な激しい風が巻き起こり、マオちゃんを包み込んで行く。
「はぁ…。魔王とはこの程度か…。あっけない。」
風が鎮まるとその中から、魔神化した真の姿のマオちゃんが現れる。
「クハハハハッ!なれば魔王様第二形態で相手をしてくれるわ!!」
「心が折れぬ所は凄いな貴様は…。
はぁ…。我も疲れてきたぞ…。仕方ない。
圧倒的な力で叩きのめすとするか…。」
そして龍皇ちゃんも黒い風を纏うと、その姿を巨大な漆黒のアーマードドラゴンに姿を変えていく。
ただ、その形は俺たちの知るアーマードドラゴンとは違い和龍の姿であった。
そして尻尾を一振りするとマオちゃん第二形態の腕を軽く叩き落とし…いや、叩きちぎった…。
なかなかにえげつない。
「ふふん!腕の1つ2つ奪われたところでポコポコ生えなおせるから無意味だぞ!」
「わー、すごーいのー。」
腕や爪はとても小さい和龍故に、派手な攻撃は出来なさそうだが…と思っていたら、雷雲を発生さ黒い雷を纏ったゲリラ豪雨の如き雨をドザーッと振らせてマオちゃんを一気に大量の雷光で貫いた。
「あぎゃあぁぁぁあっ!!これはだめなやつぅぅぅぅうっ!!死ぬっ!ワシ、死んじゃうぅぅうっ!!」
「魔王はこの程度なのか?どうした?
もっと足掻け!我に抗ってみせろ!」
とは言えどまぁ確かに案外しぶとい。
俺が堕天使に操られた時は雷光波動拳で軽くズドンッとやったら消し飛んでた気がするが…。本当に本気なら耐え切れるという事なのか…。
「あっぶなっ!!なに今の魔法!えげつなさすぎるだろ!!」
「案外しぶといものよのう…。魔王とやらは…。
それならば…ジオストームでも起こしてみるか…。」
そう言うと、シュルシュルっとマオちゃんの周りを回転する様に動き回り、黒い雷の暴風雨と共に嵐を巻き起こす。
先ほど以上にえげつない上に逃げ場が無いような規模だ…。
さっきは貫かれても軽いやけど程度だったマオちゃんの体がズタズタに斬り裂かれ、雷で焼かれ、その傷口に雨水が…と言うなかなかにえげつない事になっている…。あれは…痛々しい…。
「おぅぁぁぁぁぁぁっ!!いっだぁぁぁぁっ!!
傷口に塩を塗るとはまさにこれだぞっ!!
この技のえげつなさハンパないなっどぅあぁぁっ!いっだぁぁぁぁっ!!」
チーン…。と言う効果音と共に、それはもう某戦闘民族の持ち込んだ自爆要員にやられて死んだ時のとある地球人の武闘家みたいなポーズで地面に突っぷすマオちゃん…。
いやしかし、これは…、なかなかにえぐかった…。
「ふむ…。まぁこの通りか…。どうだ?我が主よ。
我は強かろう?役に立とう?今後ともよろしく頼むぞ。
戦いの時は我が引き受けるとしよう。ではの。
高龗神にもよろしくのう。」
と言うと、フッと意識が消える様に目を閉じ、再び目を開くと高龗神に戻っていた。
「いやぁ~。凄い戦いだった!魔王さん、大丈夫?」
「だいじょばない…。マオちゃん死んじゃうかと思った…。神様怖い…。マスターよ…ワシをベッドの上で愛でて癒せ…。」
「どさくさに紛れてお前は何言ってんだ…。」
とりあえず、俺と盗賊ちゃんの力でマオちゃんを治癒してみんなで城に戻る事になった。
まずは城にあった神社の事について確認をしようと言う訳だ。
しかし…、高龗神と闇龗神…。
その力はまだまだ序の口だろうな…。
簡単にいなしていた所からも全く本気ではなかったと思われる。
ひょっとしなくても、俺はまた最強すぎる仲間を手に入れたのかもしれない…。
肉体がないときは彼の体の中か、肩の上あたりにふわふわ浮いていたから、なんかこう…重力で引っ張られるって不思議ね…。
と言うか…十二単おっっも!!誰よ!こんなの着せようって言った奴!」
すっ…。
「そうよね!貴方よね!ちきしょう!!こんな重たいの脱いでやるぅ!」
そして、龍皇ちゃんはその十二単の鎧をキャストオフした。
普通の十二単が15kgだしな…。
この世界の龍の鱗は鋼の強度でありながら鳥の羽のごとく軽い不思議な素材と聞いていたが、それでも全身に纏えば15kgとは行かなくても重かろうそうだろう。
十二単を脱ぐと、普通にいつもの黒い袴の巫女服になった。
尚、キャストオフした十二単はこれまたカシャンカシャンと重なり合い、でっかい鉄扇に変形した。
「…………。」
「……。着るよりは…軽いかなぁ……。」
「なんか…ゴメン…。」
魔女さんよりもさらに黒く艶やかでしなやかな黒髪。
日に透けるとほんのりと青く輝く色【黝】色の鱗がついた首筋…。
紅い紅の引かれた口元や、ほんのり桜色のフサフサまつげの瞼、そして同じく桜色の綺麗な瞳が実に美しい。
「しかし…、物凄く妖艶な美しさだねぇ…。
これが神様…か…。こんな美しい人がずっと君の側に居たと思うと色々と圧倒されるね…。」
「うひゃぁ…。神様綺麗…。オレじゃ到底届かない美しさだよ…。」
魔女さんと盗賊ちゃんの2人もその美しさに見ほれていた。
「ふふっ、有難う。2人にはこの世界に来てから私の旦那様がお世話になったわね。」
おっと…?君、今なんと…?
「ん…?」
「旦那…様…?」
これには盗賊ちゃんと魔女さんも聞き捨てならない雰囲気を醸し出す。
「待て!ご主人様の嫁はオレだ!いや、正確にはまだだけど…。もうすぐ結婚するもん!今プロポーズ待ちだもん!オレが正妻だって言ってもらえてるし!」
「ハハハ…正妻戦争に神が参戦とかもはや負け戦じゃじゃないか…あはっはははは…。」
色々と焦り出してしまった2人…。
「くふふっ…!あはははは!冗談、冗談だよっ!
ほんと、大好きなんだね貴女は。私の大切なこの人のこと…。すっごく嬉しいな。
その気持ち、ずっと忘れないでね?」
「う~っ!冗談でも言っていいことダメなことはあるんだぞっ!ましてや神様なんだから…!あせったじゃないかぁ!」
優しく頭を撫でる龍皇ちゃんと、ポカポカする盗賊ちゃんが実に可愛い。
が、その一方でさっきから背後の気配がおかしい。
「これが…神!ワクワクするな!ワシ、戦いたいぞ!!」
「魔族の血が騒ぎますね!どんな力をお持ちなんでしょうか!」
「さっきまで着てたあの鎧も…、きっとマスターの雷帝モードみたいにめちゃくちゃ強い鎧になるに違いないぞ!俺様も戦ってみたい!!」
魔族の皆様はもはや某戦闘民族のごとくワクワクしている。
「この人達は、本能だけなら獣と変わりないのね…。でも、確かに私もこの世界で戦える身体を得た今…、どれ程の力があるかは試してみたい。」
そう言うと、鉄扇を広げてブワッと風を起こすと、再び十二単状の漆黒の鎧を羽織る。
「ふんふん、なるほどなるほど。こうやって神気を纏えば軽くなるんだ。」
そしてさっきまでと違い、重力などまるでないかのように軽やかにふわりと宙に浮かぶ。
「よし、じゃぁまずは俺様から行くぜ!」
ケロちゃんは早速首が3つのビーストモードに変身し、超スピードで一気に龍皇ちゃんの方へ突進していく。
「おお!今まで体の中から見てたけど、目の当たりにすると物凄く速いね!」
と言いつつも軽く突進からのクロー攻撃をかわしていく。
「そもそも、私ってどうやって戦えばいいんだろ…。
とりあえず、この十二単を変形させればいいのかな?」
カシャンっ!と音を立てて十二単を変形させると、その袖口が鋭利な刃物へと形を変えて行く。
「では…、一曲舞わせて頂きましょう。」
そして妖艶な舞を披露する龍皇。
舞えば袖の鋭利な刃が生み出す神気を帯びた衝撃波が辺りを切り裂く。
絶妙かつ巧妙にケロちゃんを斬らないように細心の注意で舞を踊る。
「ふんふん。なるほどな。
神気が触れずとも、魔族なら当てられるだけでそうなるわけか。」
確かにその刃は一切触れていなかったが、ケロちゃんは完全に疲れ切っており息も荒くなっていた。
死の恐怖を高速で大量に浴びたらまぁ誰でもそうなるだろうものだが…。
「参りました…。死ぬかと思ったよ俺様…。
て言うかあれ当てられてたら確実に俺様の体は微塵切りになってたぞ…。」
「ふふっ♪なかなかに面白かったよ。私の舞は美しかったろう?」
ちなみにリヴァイアさんは目を見開いて固まっていた。
マオちゃんは流石の余裕の表情だが。
「美しいのは確かでしたが…、あんな攻撃をまともに食らっていれば…魔族じゃなくとも簡単に肉片になっているところでしたわ…。」
「さぁて…次はワシだな。お前らはここの入り口まで下がっておれ。
本気で戦ったらどうなるか…ワシは試したい。」
俺達は皆でこの広い場所に出る手前のところまで下がる。
するとマオちゃんは指をパチンッとならし、強力な結界を生成した。
「本気で戦ったらどうなるかってことは…さっきみたいに当たらないような戦い方はするなってこと?」
「もちろんだとも。神の力…ワシもお前のその溢れる神の力そのものに抗ってみたい!
魔族は神の力でなければ傷を付けることは敵わない。
だが、同時に神を傷つける事も敵わない。
純粋な魔族であれば…の話だが。
ワシはこの身体に龍族の…すなわち、神の血を受け継いでおる。
リヴァイアもだが神の力をその身に宿す魔族は、神を傷つける事もできるのだ。
その力を本気で試せる機会など滅多とないからな。
まぁ…マスター相手には死ぬ気しかなかったから試す気も起こらなかったが…。」
「私なら…倒せると…?吐かせおるな小童が!」
「む?雰囲気が変わった?」
「我は闇龗神…。その名の通り高龗神の裏側…要するに邪神の様なものよ。
なれば、貴様の力…我に存分に振るってみるがよい…。我は高龗神ほど…甘くはないぞ?」
フッ…と黒い影が搔き消える様にして龍皇はその姿を消し、視認される事なくマオちゃんの首根っこを掴む。
「なんだ?もう終わりか?あっけないのう…。」
ブンッと壁めがけてマオちゃんを投げ捨てるが、当然マオちゃんはケロっとしている。
「はっ!貴様こそ吐かせ!ワシを誰と心得る!
魔王ぞ?我、魔王ぞ?」
黒い球体を生成し、高速で打ち出すマオちゃん。
龍皇ちゃんはそれを十二単の一部を剥いで変形させた鉄扇で簡単に打ち返す。
打ち返された球体はマオちゃんに容易にかわされ壁に当たると、ごっそりと壁をえぐっていた。
そしてマオちゃんは影のように、視認できない速さで音もなく龍皇ちゃんへと迫る。
が、あっさりと鉄扇で殴り飛ばされた上に、鉄扇から放たれる無数の黒い神気の刃にその体を無数に貫かれていく。
だが、貫かれたと思った体は煙のように立ち消え龍皇ちゃんの背後にマオちゃんが現れ、その爪で喉元を掻き切った。
血が吹き出るかと思ったら、マオちゃんの方が痛がっている。
「いっだぁあああ!かったぁあああ!ワシの爪おれたぁああ!いーたーいー!」
「カカカっ!脆いなぁ魔王の爪とやらは!
我の鱗に傷もつけれぬか。」
「喉笛かっ切ろうとしたら鱗出すとか反則だろ!」
「我のこの体の特性を使って何が悪いものか。
その程度では魔王の名が泣くぞ?」
マオちゃんは治癒魔法で爪を修復すると、地面をダンっと踏みしめ大剣を召喚する。
「よろしい…。ならば、剣鬼とも言われた我が剣技を見せてやろうではないか…!」
剣をブンっと降ると、空気が歪むほどの巨大な衝撃波が放たれる。
龍皇ちゃんは衝撃波を鉄扇で受け止めるが、受け止めきれず鉄扇は弾け飛んでしまった。
「ほう…。これはなかなか…。」
「受け止めれば死ぬぞ?無論、受け止めさせる気は無いがな。」
猛烈な速度で剣を振り乱し、逃げ場がないほどの網目状の衝撃波が超高速で放たれていく。
「これはなかなか…。だが、当たる前にかきけせば良い事だ。」
龍皇ちゃんがその手を衝撃波に向けると、それだけで強力な衝撃波が消えてしまった。
「神気だけで我が剣の波動を消しただと!?
どんな化け物じみた神気だ!」
「なるほどのう。神気を纏わねば、この鎧もただの鉄くずとかわらんか…。」
今度は十二単を完全にパージして、巨大な鉄扇に変形させる龍皇ちゃん。
マオちゃんはならば!と直接龍皇ちゃんに剣戟を浴びせようと接近する。
2人の武器が激しい金属音を鳴らしながら何度もぶつかり合う。
「ふんふん…。この程度の神気だとただぶつかり合うだけか…。ではもう少し込めると…。」
バギィィィインッと盛大な音を立てて剣が鉄扇に叩き折られてしまった。
「いやあぁぁぁあっ!!ワシの大切な大剣んんんんっ!!」
折れた破片をペトッとくっつけて魔力を注入して修復して行っているマオちゃん。
「この子生きてるんだぞ一応!生き物は大切にしなさいって教わらなかったのかお前は!」
「知らぬわ…。そもそも我は生と死を司る黒き龍よ。その様な畜生の1つ2つの死など知らぬ。」
パシンっと大剣を再び鉄扇で叩き折る。
「お前、容赦ないなっ!?人の心はないのか!?」
「そんなものもない。我は神ぞ?人の心など持たぬわ。」
鉄扇をシャリンっ!と広げて一払いすると黒い雷を纏った台風の様な激しい風が巻き起こり、マオちゃんを包み込んで行く。
「はぁ…。魔王とはこの程度か…。あっけない。」
風が鎮まるとその中から、魔神化した真の姿のマオちゃんが現れる。
「クハハハハッ!なれば魔王様第二形態で相手をしてくれるわ!!」
「心が折れぬ所は凄いな貴様は…。
はぁ…。我も疲れてきたぞ…。仕方ない。
圧倒的な力で叩きのめすとするか…。」
そして龍皇ちゃんも黒い風を纏うと、その姿を巨大な漆黒のアーマードドラゴンに姿を変えていく。
ただ、その形は俺たちの知るアーマードドラゴンとは違い和龍の姿であった。
そして尻尾を一振りするとマオちゃん第二形態の腕を軽く叩き落とし…いや、叩きちぎった…。
なかなかにえげつない。
「ふふん!腕の1つ2つ奪われたところでポコポコ生えなおせるから無意味だぞ!」
「わー、すごーいのー。」
腕や爪はとても小さい和龍故に、派手な攻撃は出来なさそうだが…と思っていたら、雷雲を発生さ黒い雷を纏ったゲリラ豪雨の如き雨をドザーッと振らせてマオちゃんを一気に大量の雷光で貫いた。
「あぎゃあぁぁぁあっ!!これはだめなやつぅぅぅぅうっ!!死ぬっ!ワシ、死んじゃうぅぅうっ!!」
「魔王はこの程度なのか?どうした?
もっと足掻け!我に抗ってみせろ!」
とは言えどまぁ確かに案外しぶとい。
俺が堕天使に操られた時は雷光波動拳で軽くズドンッとやったら消し飛んでた気がするが…。本当に本気なら耐え切れるという事なのか…。
「あっぶなっ!!なに今の魔法!えげつなさすぎるだろ!!」
「案外しぶといものよのう…。魔王とやらは…。
それならば…ジオストームでも起こしてみるか…。」
そう言うと、シュルシュルっとマオちゃんの周りを回転する様に動き回り、黒い雷の暴風雨と共に嵐を巻き起こす。
先ほど以上にえげつない上に逃げ場が無いような規模だ…。
さっきは貫かれても軽いやけど程度だったマオちゃんの体がズタズタに斬り裂かれ、雷で焼かれ、その傷口に雨水が…と言うなかなかにえげつない事になっている…。あれは…痛々しい…。
「おぅぁぁぁぁぁぁっ!!いっだぁぁぁぁっ!!
傷口に塩を塗るとはまさにこれだぞっ!!
この技のえげつなさハンパないなっどぅあぁぁっ!いっだぁぁぁぁっ!!」
チーン…。と言う効果音と共に、それはもう某戦闘民族の持ち込んだ自爆要員にやられて死んだ時のとある地球人の武闘家みたいなポーズで地面に突っぷすマオちゃん…。
いやしかし、これは…、なかなかにえぐかった…。
「ふむ…。まぁこの通りか…。どうだ?我が主よ。
我は強かろう?役に立とう?今後ともよろしく頼むぞ。
戦いの時は我が引き受けるとしよう。ではの。
高龗神にもよろしくのう。」
と言うと、フッと意識が消える様に目を閉じ、再び目を開くと高龗神に戻っていた。
「いやぁ~。凄い戦いだった!魔王さん、大丈夫?」
「だいじょばない…。マオちゃん死んじゃうかと思った…。神様怖い…。マスターよ…ワシをベッドの上で愛でて癒せ…。」
「どさくさに紛れてお前は何言ってんだ…。」
とりあえず、俺と盗賊ちゃんの力でマオちゃんを治癒してみんなで城に戻る事になった。
まずは城にあった神社の事について確認をしようと言う訳だ。
しかし…、高龗神と闇龗神…。
その力はまだまだ序の口だろうな…。
簡単にいなしていた所からも全く本気ではなかったと思われる。
ひょっとしなくても、俺はまた最強すぎる仲間を手に入れたのかもしれない…。
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絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
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