その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

風呂桶之水源餅

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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第79話 黒ギャルのダークエルフ

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『報告ご苦労様。それにしても…君と同じような力を使う敵…か。
その上、今回の敵は雷虎の力を行使したと…。
あれは君自身は何度か味わってるように非常に強力な力だ。使い方が悪ければ暴走もする。』
「何度か味わってるってことは…もしかしてギルマスちゃんのあれ?」
『そう、アレ。性格も変わるほどに強力な力だよ。猫も完全に使いこなせるまでに長い時間を要した。それ以上に、雷虎をその身に宿すまでが長かったね。
アレは南の大陸の西側諸島に居る霊的な魔物…我々は霊獣と呼ぶ者なんだけど、昔から気に入った人に寄生してその肉体を奪おうとする特性があるんだ。
ただ、お互いに同調するとああやってその身に降ろして力を行使する事が出来る。
また、雷虎にも龍族に宿った神霊と同じく、上位の者になると龍族に匹敵する神気を宿した者も存在するんだ。猫が契約してその身に宿しているのは神霊に至ってる雷虎だよ。
今回の敵のレベルはどこまでかはわからないけど、君たちとやりあえるなら神霊レベルの可能性も捨てきれないね…。
もしそうだとしたら厄介だよ。
そんなレベルの霊獣をホイホイ冒険者たちに植え付けられて、暴走させられようものなら国が滅ぶ。
君が危惧してるように、我々が回避したはずの未来が別の要因で引き起こされる…。
なんとしてでもその最悪の結果だけは…回避しなければならない。
今、我々が居る未来は4万年にも渡る繰り返しの果てにようやく掴んだ世界なのだからね。』
「逆に言えば、回避方法がまだ確率してない未来でもある。
いや、俺の持つ石の力や龍ちゃんの力を借りれば無数に存在する未来を見て解決策を探すことは出来るかもだけど…。」
『下手にそう言ったレベルの手の内は明かさない方が良い。君に関する研究資料でも、伊邪那美命モードやドラゴンアゲートのブレスウォッチに関する記録は残さないようにしてある。
これは今回の事件のように君の力を模倣するものが現れた際に対処するためだ。
だが、君の作り出したアクセには君のユニークスキルによる能力で石の持つ意味や力、さらには君が想像しモチーフしたものの力が発現出来る仕組みなんだ。
今回のように魔物の力を付与して引き出すようなものは作れても、君が使うような高レベルの力は引き出せないだろう…。』

魔女さんと電話で話しながら色々と考察をしてみる。
敵の正体については今はなんの手がかりもないからとりあえずスルーしておくとして…。
問題は、敵はどのレベルまで俺の力を再現できるかという点だ。
やつらが俺の力を再現して本当に立ち向かってこようものなら、勝ち目はあるとしても街に被害なく…と言うわけには行かないかもしれない。

「なぁ、魔女さん。ひとつだけ、考え付いてる最悪の事態がある。これについての見解を聞きたい。」
『どんな事だい?』
「勇者ちゃんや堕天使と言う、俺の世界からの転生者はこの世界にまだ存在しているかもしれない。
異世界人として肉体を持って来訪したものは居なくても、記憶を失ってるだけで転生したものはいるかもしれないという事だ。
もし、その転生者に俺みたいにハンドメイドに秀でた奴がいて、そいつが過去世の記憶を取り戻して、敵に利用されたとしたら…。
俺と同じスキルを保有し、それを利用して俺に対抗できる可能性はあると思わないか?」
『……。なるほど…。考えたくはないが…否定する事は全くもって出来ないね。
勇者ちゃんのように血縁に黒髪が居ないのに、突然黒髪の子が産まれ、とてつもない魔力、霊力、神気に目覚める事例も過去を遡れば0ではないんだよ…。
君の世界の人間が転生した者がそれだったとしたら合点は行く…。
故に、この島国では黒髪の者は異世界人に関わりがある者ではないか?と考えて厳重に管理している。
私たちや王家、その他冒険者達にもそう言う類の人は何人かいる。
だが、非常に数は少ないが勇者ちゃんのような突然産まれてくる子が最も強大な力を持っていた…。
そして、もう1人いるんだよ。
南の大陸の西側諸島に黒髪のダークエルフの少年がね…。
今年で15歳くらいだったかな?
ダークエルフとしてはとても若い。
正確にはダーククォーターエルフだけど。』

クォーターって事はエルフの血は1/4位ってことか…。

『そして、とてつもなく美男子なんだよ。
エルフの血も入ってるからね。
幼い頃からそれはもう尋常じゃない美少年で女の子にはモッテモテで…。
いや、その辺の話はどうでも良いか。
あと、ダークエルフ族は元々冒険者向けの魔力を持つ装飾品作りが得意な種族でもあるのだが…、彼の作る作品は幼い割には完成度が高い上に国宝級レベルのユニークスキルを持つアイテムだったと聞いている。
………。はぁ…、ここまで話して私も今納得してしまったよ…。』
「あぁ、その少年を保護した方が良い。
敵の狙いが俺たちの読み通りなら、間違いなくその少年は利用される。
急がないと手遅れになりかねない。」
『そうだね。西側諸島の地理は猫が詳しい。
と言うか彼女の出身地だしね。
パーティを組み、猫を連れて西側諸島に向かってくれるかい?
私から猫には話しておくから。
私はこっちでまだ色々と調べておきたい事柄があるから動けない。今回は同行は出来そうにないからその辺はよろしく。』
「了解。んじゃ、俺はギルドに向かうよ。」

ひとまず、次の目的も決まったという事で俺はみんなに声をかけた。
魔王ズ。勇者ちゃん、戦士ちゃん、妹ちゃん、盗賊ちゃん、それに新たに龍皇ちゃんと蛟ちゃん。
まぁ、あいかわらずの「すみません。お引き取り願えますか…?」な最強パーティだ。

「相変わらず大所帯のパーティよなぁ…。
まぁ、マスターに頼られるのは堪らなく誉れであるがの!次は西側諸島…、即ちダークエルフの都か。
行くのはワシも久々だのう。
ダークエルフはエルフと違って自分を着飾る者が多い。
きっと、行ったらまたびっくりするぞ~?」
「あいあい。まぁガングロギャルのダークエルフが出てこようがいちいち驚かんよ。
て言うかなんとなく、そう言うの居る予感してたし…。装飾品作りが好きって聞いてたから。」
「しかし、西側諸島の黒髪のダークエルフ…か。
ワシの知るガキと多分同一人物だろうが…、言われて見るととても変わっては居たのう…。
作る魔装具も尋常ならざる力を持っていたが、奴そのものも数多くの神獣や霊獣に懐かれていた。
そう、それこそまるでワシらに好かれるマスターのごとく。
ただ、そう言ったものと契約まではかわしてはいなかった筈だがのう。
まぁ言うても五年近くは前の話だし今は分からぬがのう。」

ひとまず、転移門を使いまずは南の大陸の東側…先日のエルフの里へ。
そこから、今回もケロちゃんにお願いして西側諸島に渡ろうかと言う話になった。

「おう!任せておけマスター!全速力で運んでやるからな!!」
「と、その前にギルマスちゃん迎えに行かないとだな。忘れかけてたわ。」

と思って転移門を使いギルドに向かおうとしたら、あっちから出向いてきてくれた。

「おい、こにゃあ!にゃーを忘れて行くとはどう言うことにゃ!?一番肝心なガイド要因なのに!」
「ごめんごめん、ここ最近ギルマスちゃんだけパーティにいなかったからつい…。」
「シャーーーッ!!魔女だけいつもずるいにゃ!!クッソ…あの年増野郎め…。頼れるお姉さんポジションをしっかりと固めやがって…にゃ。」
「まぁ、ギルマスちゃんは頼れるお姉さんってよりかわいいマスコットキャラ的なアレだしな。」
「本気で怒るにゃよ?」
「もう、怒ってんじゃん…。いってぇ…。」

軽くグーで頭を小突かれた。
猫パンチとは言えないレベルの破壊力である。

「あと、水手紙で現地の最高責任者に極秘連絡を入れてあるにゃ。
現地に着いたらすぐに案内してもらえるはずにゃよ。そいじゃあ、レッツラゴーにゃ!!」

てな訳でまずは、南の大陸のエルフの里前へ一気に転移する。
尚、ギルマスちゃんだけはマオちゃんの【行ったことない奴でも無理やり転移できるチート過ぎる転移門】で一緒に移動していただいた。

「というかマオちゃん、それあればもしかして俺ら全員一気に西側諸島に渡れたんじゃ…。」
「人数が多過ぎる。一気に渡るのは無理だし、1人ずつでも相当な魔力が必要だ。
ワシが疲れ死ぬわ!!」

ということで、やはりエルフの里からダークエルフの都まではケロちゃんに運んでもらう事になった。
今回も途中からは海を渡って向かうことになるらしい。

俺の城がある西の国の地平線の向こう側にあるのが西側諸島と言う事なのだが、ダークエルフの都に行くのは地理的にこのルートが結局一番早いらしい。

西側諸島周辺の海は特殊な海流や、大気の不安定さから魔の海域などと言われてるとかでこの流れが安全らしいのだ。

そんなこんなで今回はあっさりとスムーズに目的地に到着した。

「おう…。これはまた…俺の世界の都会のような発展ぶりだな…。エルフの里が田舎の集落的な雰囲気だったからこの都会感は予想外だぜ…。」

着いて見ると、そこは中央皇国の城下町のようにショーウィンドウのガラス張りの店々がずらりと並び、まず露天と言うものが一切見当たらなかった。
店の窓越しに見えるのはアクセサリー類や防具、他にも普通のきらびやかないわゆるギャル系のファッションアイテムの店などだ。
これは流石の俺もびっくり。

「この都は冒険者向けに商売してる商人が、商品の仕入れをするのに立ち寄る都でもあるのにゃ。
ここに渡れる鉄道が開通すれば、もっと気軽に冒険者が立ち寄って発展できるようになるんにゃけど…。
ただ、今でもこのように冒険者が最強アイテムを求めて通いに来るから、とんでもなく発展してるのにゃよ。
エルフの里は…祭りの時以外はほぼ観光地同然なのににゃ…。」
「うっはぁ…すげぇなぁ。町の発展具合もだが、売り物の値段も…。
ここの都のアイテムを持ってるかどうかが最強冒険者の一種のステータスみたいな感じなのかな?」
「その通りにゃ。稼いでる冒険者、強い冒険者ならダークエルフ印のアクセサリーは1つは持ってて当たり前って感じにゃね。
ただ、最近は大賢者のアクセサリーの発売を待ってる冒険者もいるからそのうち二分されるかもだにゃ~。」
「俺のせいでこの都の人たちの生活が悪くならないようにしないとだな。
ここはまた素敵な街だし。みんなの暮らしを悪くするような事はしたくない。」

まぁその辺はまたおいおい考えていこう。
というか戦いばかりでその辺が全然進められておらぬ…。ぐぬぬ…。

「さて、ここが都を動かす人たちが集う場所にゃ。
うちで言えばギルドや城みたいなものだけど、ここでは都庁と呼んでるにゃ。」
「都庁ってお前…。世界観とかどこ行ったよ…。
いやまぁこっちの話だけど。
さてさて、どんな偉い人が出てくるやら…。」

早速俺たちは大所帯でぞろぞろと都庁に入り、ギルマスちゃんからお偉いさんとの面会の話をしてもらうことになった。

「西方諸国代表。爆裂之猫と大賢者とその一行が参ったと代表者に伝えてほしい。面会の話は通してある。」
「申しうけております。どうぞ、皆様。此方にございます。」

スーツをピシッときた見た目だけはギャルにしか見えないダークエルフの受付嬢さんが俺たちを広い会議室へと案内してくれた。
しかしアレだな…。ギルマスちゃんの真面目モードはほんと普段とキャラが違い過ぎる。
余所行きキャラだなほんと…。

「都長様。大賢者様と西方諸国の猫様をお連れ致しました。」

扉が自動でギィィィッと開かれた。

「では、どうぞ中へお入りください。都長がお待ちです。」

受付嬢に促され皆で会議室へ入る。

すると金髪の髪を可愛く結って、ハイビスカスのような花飾りを頭に乗せたピシッとスーツを着こなした、綺麗目ガングロギャルのような巨乳ダークエルフが現れた。

「ようこそ。大賢者様。猫様。お待ちしておりました。」
「おっばちゃーん!久ぶりにゃ!」
「おばちゃん言うな!!いやまぁ血縁上はおばちゃんだけど、ダークエルフとしてはまだそこそこ若いっつーの!!」

おおっふぅ…。まさかのギルマスちゃんの叔母さんでおられましたか…。

「まぁいいや~。ウチも堅い話し方するのダリィし~。あ。あんたらも気楽に話しかけてもらって良いよ~。とりあえず適当に座り~。」

全員がポカーンとしながら椅子に座っていく。

「んじゃ、改めてみんなに挨拶すんわ。
ウチがこのダークエルフの都の長。んでもってこいつの叔母さん。
あ、でもウチのことおばちゃんとか言ったらボコだかんね?
んとまぁ、賢者っちの話は粗方猫たんから聞いてんよ~?
ウチの都に居る黒髪のダークエルフの少年が、なんつーか危ない奴らに狙われてるかも知んないんだって?
とりあえず、バレないような範囲で護衛は付けておいたけど。」
「急ぎの対応に感謝します。
えぇ、ギルマスを通してお話させて頂いてる通り、もし万が一その少年が私と同等の力を持つ異世界の転生者の場合、その力を狙われる恐れがあります。」
「あー、だから堅苦しい敬語は良いってば。
賢者っちもウチのこと気軽に黒エルフちゃんとか呼んでいーよー?」
「………。えっと…。んじゃ気を取りなおして、フランクに…。
とりあえず黒エルフちゃん、その少年だけど身の回りで変わった動きとかはなさそうかい?」

んー…っと思案するダークエルフ都長。

「特別彼に対して目立った動きは見てないかなぁ~?敵がウチらの国の住人でもなけりゃ、すぐには彼の存在には気付かないっしょ。
逆に…まだ気付かれてないってことから考えるなら…。敵はウチらの国の外側の奴らかもだね。」
「な…、まさか、一時休戦中の隣国の奴らかも知れないって事にゃ!?」
「焦るなよ猫っち。可能性の話じゃん?
ウチがその敵連中ならこんな存在早々ほっとかないっつー話。
色仕掛けでもなんでも使って速攻落として利用してやるっつーのって事。
あの子はこの島国とこの都ではそこそこ有名なの。
なのに、その動きがまだないってことは敵はそんな事も知らない別の国の連中。
そして今まさに情報を仕入れて此方に向かってきてるんじゃね?って考えるのが妥当じゃん?」

なるほどな…。この子、見た目はアレだが頭はキレる方みたいだ。

「とりま、あんた達がウチの都に来たって言う情報が敵に漏れたりしても危険な気はすんよ?
お互いに気を張って動くとしよっか。
あんた達には良いホテル用意してあるからしばらくはそこに泊まり~。」
「ありがとう黒エルフちゃん。
あ、そだ。魔女さんから預かってる通信機と転移門の装置渡しておくね。」
「お、サンキュー♪これ魔女っちから聞いてて早く欲しかったんだよねぇ~。
ひとまず、何かあったらお互いに連絡を取ることにしておこうか。
今日はひとまずこの辺で解散!
ウチの都、せっかくだし楽しんでいきなよ。
ただ、あんたらみんな顔割れてるから先にウチの都のブティックで着替えとメイクと変装してからシクヨロ~。」

結構フランクな黒エルフちゃんだった。
ひとまず俺たちは黒エルフちゃんの用意したブティックに向かうことになった。


そこで、ギャル男&ギャルファッションに改造されるなど露知らず……。

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