その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

風呂桶之水源餅

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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第97話 結婚前夜の憂鬱事

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そんなこんなで、あれよあれよと言う間に色々と話が進み、俺と俺の嫁…もとい盗賊ちゃんとの結婚式が執り行われる事になった。

嫁…嫁かぁ…。

考えちゃいけないのはわかっているんだが…、13歳の中1くらいの女の子が嫁かぁ…。

嫁……。

『おかえり♪旦那様♪ご飯食べて、一緒にお風呂入って最後はオレと寝る?』

………。おっと…いかんいかん。

あの子は選択肢など与えない的な妄想をして悶々してしまった…。

ちなみに入籍的な儀式はあの場に居た全員が証人的な感じで、皇女殿下の名前入りで既に終わっている。
つまり書類上は既に俺の可愛い可愛い嫁で奥様で妻だ。実に堪らない。

尚、その証明書は我が城の研究員主導、俺監修のもと作っている異世界文化博物館に俺の制止を全力で振り切って展示されることになった。
なお、展示物の中には『大賢者が開けたトンネル』と言う俺が開通させた北の大地直通トンネルの写真パネルと言う爆笑レベルのものも展示された。

俺にとっちゃ爆笑レベルなのだが、冒険者達には「大賢者は魔王より魔王」みたいな話が広がりつつある。
魔王を配下にしてる以上笑えない冗談である。

しかしまぁ、ほんと気が付いたらなんだかんだで結婚前夜である。

明日には、この島国からとんでもレベルの来賓を何人も招き俺の城で結婚披露宴という事になった。

とんでもレベルの来賓のラインナップは色々と言うまでもないレベルである。

皇女殿下に始まり、魔王族、南の大陸からダークエルフの都の都長にエルフの里の族長まで…。

実感はないが、相当なレベルの一大イベントである。

さらには勇者や東の魔女や西の国のギルマスに中央皇国のギルマスもいるのである。

彼らもあまり実感はないが、この国ではとても名の知れた有名人である。
疾風迅雷の爆裂猫娘、剣聖、黒き魔女などの異名で知られる冒険者たちからしたら相当なレジェンドらしい。

ちなみに今俺たちは何してるかと言うと、明日の披露宴で着る衣装の衣装合わせをそれぞれ別々で行い、式の段取りの説明を受けていた。

ここまでの流れから聞いた話によれば、この世界には結婚指輪の交換的な文化はないらしい。
ただ、何も用意しないってのは嫌なのでペアアイテムと、嫁にまた新しいアクセを作って用意していた。

俺の中では最高傑作の逸品だ。
喜んでもらえると良いんだが…。

「どうだい大賢者様。結婚前夜の心境ってやつぁよ。
思い切ってみてスッキリしただろ?」
「いんや。それが俺はやっぱそう言う性格ではないらしい。色々と今後のことばかり考えて、また不安になったりしそうな状態だ。明日のことでも不安だらけだし。」

バットオジさんに背中をバシッと叩かれる。

「難儀な性格してんなぁオタクは…。じゃぁ人生の先輩のアドバイスだ。先の事考えて不安な時こそ、周りに打ち明けて落ち着け。
一人で背負い込むからこそ不安になんだよ。」
「聞き入れても良い相手のアドバイスかはさておき、まぁ心の隅くらいにはとどめておくよ。
とりあえず今取り急ぎ一点不安なのはだな。

この国の重鎮をここまで一点集中させて大丈夫なのかって言う事だ…。

俺の世界の怪獣映画で、国の重鎮が大量に乗ったヘリ…この世界で言う飛行船的なやつが怪獣が出したビームで撃ち落とされるやつがあるんだよ。

当時、視聴者からは『内閣総辞職ビーム』なんて言われていたな…。」
「んだそりゃ、超笑えるな!まぁそいつはさておき、お前の不安はごもっともだ。まだ敵を完全に落としたわけでもない。
国中の戦力と重鎮が一点集中してる場を襲わないなんて、それこそ俺があいつの立場だったらあり得ないな。
間違いなく、ド派手な一撃で落とそうと画策するぜ。」
「そう言うこった。まぁだからこそそう言うの全部にケリをつけたら…ってずっと考えてたんだが…。
おっさんが余計なこと言うからはやまっちゃったよ俺は。」
「おっさん言うな。オージーさーんーだっ!」

バットオジさんがげしげしっと肩を小突いてくる。

「まぁ、冗談はさておきだが魔王に魔女に勇者にお前も居るんだ。
簡単に落ちるとは思えないけどな?」
「仮に落ちなくても結婚披露宴と式当日に夢のマイホームぶっ壊されましたとかそれはないだろう…。」

確かにそれもそうではある。
こっちには俺の領海を寝床にし始めたリヴァイアさんに、最近は「イチャイチャしてるのをこれ以上側で見てられるか!」と言って空を自由に飛び回りながら、さり気に領空を保護してる龍ちゃんこと高龗神、領地内では魔王とケルベロス(人型)が闊歩している。
更には今まで中央皇国を活動拠点にして、皇国のギルドに部屋を借りていた勇者も気がついた頃には、西の国のギルドにあるもともと戦士ちゃんと妹ちゃんが使っていた部屋を借りて住んでいる。

ちなみに俺の結婚を機に戦士ちゃんと妹ちゃんは、城下町にある割と大きな家に引っ越した。
特段仲が悪くなった訳ではないのだが、これもやはり夫婦生活を送ることになった俺たちに対して気を使ってくれたと言う訳だ。

そんなわけで、城に居るのは俺と嫁にくわえてドラゴスケイルのオッサンズ。
あとは元々魔女さんの配下で異世界人の研究をしていた人達と医療チームの一部、あといつのまにか魔女さんまでもがさり気なく俺の城の一部屋を別荘扱いで住んでいる。
そこにマオちゃん、ケロちゃん、リヴァイアさん、イフリーちゃんも住んでいる。

最近では、大賢者様の城ではなく「あれは難航不落の魔王城だろ…。」と一部では言われているようだ。

と言うわけで、まぁ確かにこの国を省みると恐らくはこの島国で最も安全な土地であろうことは明白である。

「今、頭の中で俺の領地となった西の国について思い返してみたんだが…、確かに最強の国だな…。
領海と領空には龍族、城下町にはS級冒険者クラスの力を持つ戦士と魔法使いが居を構え、ギルド周辺では勇者と魔王とケルベロスが闊歩している…。
そして我が城には俺自身と何故か、夜になると割といる東の魔女が……。
うーーん…。確かにすでにこれでもかって言うレベルの最強の国だな…。
むしろ、皇女殿下が住んでないことの方が不思議に思えてくるレベルだ。」
「たしかにな…。この島国の重鎮である皇女殿下の領地よりも圧倒的にこの土地の方が最強かつ安全だな…。
まぁ、ともかくだ。そんな国であるこの土地にこの島国の重鎮が大集合した所で、そうそう落とせるわきゃないんだよ。
それに、今この土地にはアンタに一度挑戦したいと言う腕利きの冒険者達も集まって来ている。
そいつらだって、仕事がないときは街を闊歩してる。
あとは、ドラゴスケイルの連中だってみんなA級相当の実力があるんだ。
それに加えて今は、俺とインセクトカイザーの力を持つクロまで居る。
どう考えたってそんな国に挑んでくるような奴は、考えは悪くはないかもだがやるこたぁアホだ。
と言っても、挑んでくるのがスカルだからな…。」

そう、それが一番の問題なのだ。

「スカルがもし、大規模術式で俺以外の全員を敵にするような洗脳をかけたとしたら…どうなると思う?」
「どうもこうもねぇだろ…。お前は確実に戦いを放棄するだろうよ。そんでそのままこの島国は最強の戦力を失い敵の手に落ちる…。
スカルの洗脳能力がどれほどの強さがあるかはわからないけどな…。
何にせよ、明日は用心に重ねて更に用心しねぇとだな…。
仮にこの国を落としに来ないとしても、戦力がここに集中してるってのも確かにまずい。
ほかの手薄なところから落として…なんつー事も考えられるかも知れねぇな…。
と言っても、お前さんの領民となろうと大規模移民してきてたエルフ族の連中が、更に各地に散って行ってるみてぇだからまぁ案外安心っちゃー安心なのかもだが…。」
「んーむ…確かに、移民してきてたエルフの中に腕利きのスナイパー系エルフさんの多いこと多いこと…。
まぁ確かに中央や東に移動したエルフも結構な数いたし、大丈夫ではあるか…。」

とは言えど、スカルの動きが読めない以上は一切の油断ができない。
俺が力を蓄えていた期間中に、オーガノイドを大量に増やす実験を試みたり、ドール屋さんを洗脳してオーガノイドの自我を制御可能な核石用のフレームを作り出している。

城に居た兵士を一気にかつ大量にオーガノイド化したりなんて言うとんでも無いこともやらかしている。
更にはバットおじさんにもフレーム付きのオーガノイド用核石を渡しているって事は、もしかしたら他にも幹部候補用の核石を用意していた可能性もある。

まぁその辺に関してだけは、自分の国の人間を利用せず、敵国の人間を使う辺りは偏った優しさがあるのやもだが…。

「一先ず、西の国全体の警備体制の強化、各エリアの防衛を兼ねた魔王配下の配置を行う事にしよう。
街の民達にも魔王とその配下たちが街を警備している事を知らせつつ…。」
「この国の街の連中の中にも腕利きの冒険者や力自慢は多い。まぁ、割と安心して良いんじゃねぇのか?
この国の防衛力は中央よりも確実に高いぞ。
戦力的な意味合いではな。」

ひとまず試験的に作っておいた対オーガノイド対策用のウッドフレームをおじさんに渡しておくか。
このおじさんなら信頼できる。
石にはストロベリークォーツを利用してみたものだ。

バットおじさんの使うバットのオーガノイドの核石。

前回の闘いの後にこいつを頂いてうちの城の研究チーム達に色々と研究してもらい、俺流にアレンジしてみたのだ。

「オジさん。こいつを託しておくよ。
アイツが作ったやつよりもパワーも増してるし、格段に安心性もある。
スカルが作った核石とフレームは、平気で人の命をエネルギーとして消耗する作りになってた。
それを俺がアレンジしてバットの力はそのままにパワーアップさせてみたんだ。」
「ほぉ、いかしてんじゃねぇか。大賢者様。ありがたく頂戴致しますっと。
まぁこんなもん頂いた以上は俺も防衛にはしっかりと手を貸させてもらうさ。任しとけよ。」
「無論、いざとなれば俺も戦う。まぁできれば平和に終わりたいもんだけどね。」

まぁこれだけしておけば安心だろう。
結婚前夜に敵襲の話ってのがなんとも情緒もへったくれもないが…。

そもそも、俺は親への結婚報告とかもしていないと言うかやってる事はある意味では駆け落ちみたいなもんだ。

「ふと思ったんだがよ。この国で結婚式とかしたら新郎新婦それぞれにこいつを旦那にもしくは嫁にしたいなら、俺たちを倒していけー!みたいな奴の方が起こったりしてな!俺はお前にあの子を嫁にやる前に嫁の方にやられちまったけどなっ!」
「あー…まぁ、確かに結婚披露宴がそのまま拳闘会とかになるヴィジョンは想像に難くないな…。
まぁそれはそれでまた安心かもしれないな。
と言うか、むしろその方が良い…か?」
「お前さん方に無条件で闘いを挑めるチャンスなんて早々ないからな。
ギルマスに闘いを挑めないのと同じで。
表向きはお祭り、裏向きは敵へ対抗するための戦力集め…。
だが、さっきも言ったがこっちに戦力を集中させようものなら、手薄になった他の土地に敵が来る危険は残るぞ?」
「それなら、北の大地、東の国、中央皇国、西の国、南の大陸のダークエルフの都とエルフの里、この6つのエリアで同時に拳闘会を開くとか?」

むーん…。考えれば考えるほどドツボにハマってる気が…。

『マスター…なやみすぎ…なの…。各土地にいる…土地神に…防衛させれば…良いの…。』

とぷんっと俺の背後から水の塊が床にバシャっと落ちて来て人の形を形成していく。蛟ちゃんだ。

「ん…。そばにはいつも居たけど…ちゃんと会うのは久しぶり…?ひとまず…心配してる理由…わからない。
各土地には…土地神が居る…。土地神達は…みんな…あなたの味方…。」
「と言っても、俺なんだかんだで土地神って蛟ちゃんしか会った事ないような…。」
「それは…冗談…なの?」

こてんっと首を傾げられる。
冗談とはどう言う事だろうか?

「貴方が皆に与えた…神の力…みんな…この島国にいた…神。ウカノミタマノカミ、カグツチ、ホルスとラーという形になってるけど…あれはアマテラス…。それにイザナミ…。あとは…私と…貴方の中のタカオカミノカミ。
タカオカミノカミは…正確には…この世界にいたタカオカミノカミの分霊だけども…。
他の神々も…貴方達に…力だけ与えている…。」
「と言っても、俺はこの世界の神社になんて言った覚えは…。」
「各土地の城…。そこに神は居た…。貴方は神を引きつける力がある…。だから…みんな貴方に近づいて…力を貸していった。その時の貴方は…神気を感じ取れていなかった…それだけ…。ウカノミタマノカミだけ…持ち場から飛び去るようにして駆けつけて来た…。
堕天使と戦った時…。」

よもやそんなことになっていたとは…。
無意識って怖い…。

「だから…みんなに守ってって言えば…守ってくれる…。みんな貴方が好き…。貴方の味方…。貴方は…神に愛され…祝福されている子だから…。ただ…貴方のお嫁さんの…大罪の指輪の力は…気掛かり…。」

そういえば、ドラゴスケイルの前首領から貰っていたな7つの指輪。
大罪シリーズなんて言っていたが、それぞれどんな力の何が宿っているかと言う点は聞いていなかったな…。

「宿っている者達は…悪い者ではない…。でも、力を貸してくれるかは…あの子次第…。今は皆…彼女を見極めている…。だけど…その力を…引き出せれば…私たちみんなと…同じくらい…強い。
前の人は…憤怒の力しか…引き出せなかった…。」
「憤怒の力ってのは?」
「認識さえ…できていれば…なんでも燃やせる…怒りの炎。その炎は海をも燃やす。私の力も…存在ごと燃やせるレベル…。大罪の指輪は…かつて…この世界に現れた…私たちが本来居た世界の…悪魔達を…封じたもの…。
ただ…その悪魔たち…悪い悪魔じゃ…ない。
この世界では…大いなる邪神…倒す為…私たちと一緒に…戦った。
ずっと…眠ってる…。前の人が死んでから…憤怒も眠っていた…。」
「俺の嫁が7つの大罪と呼ばれる力を全て引き出してきたら…、俺たちでも太刀打ちするには一苦労の化け物になりかねないと…?」
「あの子は…悪魔に魅入られていた…。でも、ウカノミタマノカミは…彼女を…選んだ。だから…大丈夫だと…思う。でも…リングそのものは…わからない…。」

とは言えど、今のところはあのリングそのものに関しては大事にリングケースに仕舞い込んでいた筈だ。
大切な形見だから傷をつけたくないという事だろう…。
とは言え、彼女が何かの拍子に身に付けて力を行使する機会が来てしまったら…。

確かにいつのまにか両腕に悪魔の腕を宿したり、自分自身を影にする力を会得していると言う状態…すなわち闇に近付いてる以上は色々と危険かもしれないな…。

やんわりと釘を刺しておかないとな…。

「ひとまず…この国の守りは私たちに…任せろっ!むふーっ!」
「ん、わかった。んじゃ、頼むよ蛟ちゃん。
しかし、俺に宿っている高龗神とは別で存在してる高龗神がいたなんて…。」
「正確には闇龗神の方…。貴方の中に…入り込んで…高龗神と…融合している…。でも…分離…できる筈…。」

今度は俺の背中から光と闇がシュルッと伸びて交わりあい、そこから高龗神こと龍ちゃんが現れた。

「話は遠くから聞いてたよ~。うーん…確かに分離…できるのかな?やってみようとしたことがお互いにないし、同一視してたからなぁ…。」
「私たち神は…思い込み1つで…自由自在…。なれると思えば…なれる。」

そんな軽くて良いのか神よ。
と思っていたら、龍ちゃんからずるりと闇の塊が抜け落ちて形を成していく。

「おぉ。ホントじゃなぁ。案外意識すれば出来るものよのう…。」
「わぁぁあっ!?私の身体から何か出てきたぁぁっ!?
って嘘!?本当に出てこれたの闇龗神!?」
「んむ。この通りだ。まぁひとまず、これで皆が各々の土地を守る手筈も整うた。明日は存分に愛を確かめ、深めるが良い。」
「あぁ。ありがとう。恩にきるよ。ホント、まだ実感はあまり無いんだけどね…。あんな可愛い幼妻…。娶っちゃって良いのかなぁ…。」

などとまだくすぶっていたら、バットおじさんに軽く蹴りを入れられた。

「まだ言ってんのかよお前は。ったく…。心配しすぎだっての。少なくとも可愛い嫁さんの前ではそんなこと言うんじゃねぇぞ?
さぁて、夜には前夜祭みたいなのやるんだろう?
うまい飯食えるの楽しみにしてるぜ?
いやぁ~お前さんと知り合いになれてよかったぜ!出会い方はさておきだがな!がっはっはっ!」

明日はいよいよ結婚式…か。
ホント、この世界に来てから色んなことが怒涛の勢いだ。
今後も何が起こることやら…。
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