127 / 137
ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第98話 前夜祭と騎士団結成
しおりを挟む
結婚前夜のお祭り騒ぎ。
城のパーティルームに西の国の冒険者や住民やらを「参加自由!好きなだけご飯を食べて行け!ご飯を食べさせたい人も大歓迎!材料費は俺が持つ!好きなだけ作ってくれ!」という感じでお祭りどんちゃん騒ぎを開いた。
嬉しいことに国中から腕利きの料理人たちが集まってさまざまな料理を大量に用意してくれた。
食べきれないものはどうしよう…。ってくらいに。
正直なところ、会ったことがない人の方が圧倒的に多い。
もしかしたら、すれ違ったりしてる人は当然居るかもしれないが…。
なんというか…、正直なところ自分がこんなにも人気者なのだとは思わなかった。
冒険者は俺の事を冗談で次期魔王様とか言うし(しかも魔王本人の前で)、街の人たちはみんなしておめでとうとかありがとうとか言ってくる。
ありがとうと言うのは、この国に訪れた脅威を防いでくれたことに関して…だろう。
だが、これはそもそも完全に防がれたわけではない。
その為、西の国全体には各エリアに魔王達や戦士ちゃんや妹ちゃんに勇者ちゃん、バットおじさんやドラゴスケイルのオッサンズたちを配置し警備を行う事をこの場で通達する。
国中から集まる重鎮を狙ったテロへの警戒態勢はきちんと敷いている事をアピール。
そして、各国には1000年前の伝説の異世界人が残した神々が防衛している事を伝えた。
「と言うわけで、本音を言えば最初の頃の私にとってこの国の命運を背負うことはとても重たい事だと思っていました。
だけど今は違います。こうやって愛し愛される人に出会って、あなた達に出会って、この国を知って、私は皆の為に闘う決意を決めました。
私は今ここに、この国を守る私を含む騎士団【ロイヤルナイツ】の設立も合わせて宣言させて頂きます。
では、ロイヤルナイツの騎士達をご紹介致しましょう。」
戦士ちゃん、妹ちゃん、勇者ちゃん、バットおじさんとクロ、そして俺の嫁が立ち並ぶ。
魔王軍団は逆に恐怖を煽りかねないのでメンバーとしては紹介していない。
そもそもが、敵国からしてみれば街を歩く核兵器のような物だろうし。
「そして、私の世界の言葉で皆に与えた名を、今ここで皆に伝えましょう。
紅き【焔】の神をその身に宿す私の騎士。
【アリファーン】
次に東の魔女よりその技と知識を受け継ぐ【月】の魔法使い
【リュナ】
そして【星】に選ばれし現世に舞い降りた勇者
【エステレラ】
暗き闇に【夜明け】をもたらすバトラー
【アルバ】
夜の帳の【黒】の皇帝
【ノワール】
全てを癒す【緑】の風
【ヴェルデ】
最後に私、【賢者】
【ワイズマン】
我ら7騎士がこの国の守護騎士【ロイヤルナイツ】です。
以後、改めてお見知り置きを。」
周りから大歓声が巻き起こる。
この中二病全開な名前だが、俺のスマホの中に入れておいた異国語辞典が火を吹いた結果だ。
ちなみにバットおじさんはコウモリ男だとなんか可哀想だし、色々と相談に乗ってもらったお礼も兼ねてカッコいい名前をあげたくなったのだ。
ちなみにロイヤルナイツではないが、ドール屋さんのお姉さんには人形師を意味する【ラルカ】の名前を与えた。
発表を終えて、ロイヤルナイツ&魔王ズ、魔女さん、ギルマスちゃん、ドール屋さんことラルカ達と城の関係者席に着席し、食事会を始める。
「なぁなぁ、ごしゅ…だんな…いや違うな…。あなた?
なんで急にみんなにコードネームを?」
「そこは私が説明しようヴェルデ。
まず、ロイヤルナイツの設立について。
この国には世界でも最強クラスの戦力が存在している。
また、その一人一人が大賢者ワイズマンに認められ、【言葉そのものに意味を持つ】コードネームを与えられた。
それを知らしめす事での国民への安全に対する期待と、そして敵へのアピールってわけさ。
ちなみにこのコードネームは、私の異名たる黒き魔女や猫の疾風迅雷の爆裂猫娘、これとも全く意味合いが違う物だ。」
「俺の世界には、口から発せられる言葉そのものに力が宿るって言う言い伝えがあってね。言霊って言うんだけど、その力と加護をみんなに与えたってわけ。
まぁ、慣れるまでは歯痒いかもだがそこはゆっくりと慣れてくれ。響きがいいものをなるべく選んだつもりだよ。」
みんな、キョトンとした顔でぽかーんとしている。
その中でも、バットおじさんことアルバは特にぽかんとしている。
「待て待て待て。なんで俺だけ夜明けとか言う、こう…なんか生かした響きになってんだよ!?」
「え?なんかかっこいいじゃん。夜明け。
あ、本当のこと言う?俺の世界では恋人と過ごして迎える夜明けのことを、朝に鳥がちゅんちゅん鳴いてる事から朝チュンという。まぁそう言うことだ。」
「お前、喧嘩売ってんのかオイ。おじさんがお前の世界で言う朝チュンする相手が居ないからってこの野郎!!」
「ハハハハハ。すてきな恋人に出会って夜明けを迎えられますようにと言う願いを込めてだよハハハハハ。」
アルバにげしげしと小突かれる。
「ま、待ってくださいご主人様!ではなぜ、ロイヤルナイツではない私にまで「名前」を?」
「んー、まぁあれだ。メイド長的な意味合いのコードネームも兼ねてかな?」
無論、俺の人形とかそう言う意味は当然ない。
「つまり…私はご主人様の…愛玩人形ということですね!ありがとうございます!」
「嫁の前でそういう冗談はホントやめて。わかっててからかうのやめて。アルバのおっさんじゃないんだから。」
「おっさん言うな!オジさんと言え。
なんなら、おじ様でも良いぞ?」
「貴方は口を開かないでくださいませんか?菌が飛ぶじゃないですか…。ご主人様が腐ったらどう落とし前つけるつもりですか?」
「冗談でもそう言うの言われるとオジさん泣いちゃうぞっ!」
俺からしたら、この二人こそ相性ぴったりに見えるんだけどなぁ…。
とはいえ、元相思相愛だった人の娘だしな…。
そう簡単には行かないか…。
でも、心なしかお互い楽しそうなんだよな。
イジリイジラレのこの関係が…。
「あなた?真意はどうなんだ?人形を意味する言葉を与えたのはそう言う意味なのか?」
「んなわけあるかい。単純に人形屋さんだったからって理由からだよ。
あとは、家政婦さんとしての俺の手足…とかそう言う意味も俺的にはあるけども…。」
「つまり…、私はご主人様の体の一部なのですね!
でもせっかくですから肉体的にも結合を…。」
「ホントこの世界には痴女しか居ないのかな。どうなのアルバ?」
「えぇっ!?そこで俺に降るのかよ!?やめてくれねぇか!?反応に困るわ!」
「良いな!結合!!私もワイズマンと結合したいぞ!合体とかはやったけどな!」
「合体必殺技と言いなさい。誤解を生むだろう。」
わいのわいのと身内で盛り上がる俺たちの会話を聞いてる周りの冒険者や町の人たちも、それを聴きながらまた盛り上がっている。
案外、普通の人たちなのだと思って接しやすくなってほしいと言うのもこの食事会の狙いだ。
流石に魔王より魔王などと言われていたら、多少なりはイメージを変えたいと言うものである。
なんだよ魔王より魔王って。
魔王に失礼だぞ。
「しかし、愉快だのう。聖騎士団と魔王が同居とかどんな冗談じゃとならんか?」
「俺からすれば、俺が魔王より魔王とか言われてる事とか魔王が魔王城に帰るどころか完全に居着いてしまってる事の方がなんの冗談だって状態だよ…。」
「まぁ良いではないか。ワシはここが気に入っておるし、お前の配下になれていることも案外悪い気はしてないのだ。コイツらもだがの。」
「そういや、なんで魔王という気高きお方がこうも容易く俺の配下になってんだよ…。しかも3人も…。」
「それは、マスター。わたくしたちが異世界人大好きかつあなた様の力に惚れてしまっていることかつ、貴方から放たれる神気がとても心地よいからですわ。」
それだけで、貴族が庶民の配下になるようなこの事態は良いものなのか…。
まぁ本人は納得してるから良いんだろうけど…。
ん…?それと今さらっとなんかとんでもないことを言ってたような…。
「それよりも今、さらっと俺から神気出てるとか言った?」
「はい。出ておりますわよ?我々魔族が弱るどころか元気になり、更には神である龍族まで心地よく貴方の側に居られるという事は、また変わった神気なのでしょうけども…。」
そう言われると、俺の背後からとぷんっと水が溢れて地面に落ち、生成された水溜りから蛟ちゃんが現れる。
「そう…。この人の放つ気は異常…。特殊。ありとあらゆる…霊的存在を引きつけ…引き寄せる。
とても心地よい…。同意。賢者…えっと…いまはワイズマン?は凄い人間…なの。
霊的存在に…限定された…魅了能力…。
凄い。」
「俺はあまり認識してなかったんだけど、幼い頃から精霊や神様を引きつける能力があったんだとさ。
例えば、今日は暑いから涼しい風が吹かないかなあと思えば風が吹き、消えそうなロウソクに消えないでと願えば長く燃えて、植物に綺麗な花を早く見たいと願えば成長が早まり、雨よ降れと願えば雨が降り、晴れを願えば晴れる。
そんな感じかな。
これが、俺の身の回りにいつのまにか居た精霊や神様のおかげと知ったのは割と最近だけどもね。」
この神気というか魅了能力が、何故俺にあるのかは知らないけども。
魂そのものが持つ特殊スキルと言ったところなのだろう。
逆にこの力があったからこそ、俺は今この世界におけるさまざまな強大な力を手に入れられているのかも知れない。
「君にもし、そう言った魅了の力があるのだとしてもだ。
少なくとも今ここにいる私たちは、君から放たれるそんなものでなく君という存在だからこそ惚れてるんだよ。
まぁ、私も皆も最初は君が異世界人だという興味本位から始まってるかも知れないけどさ。
それでも、今こうやって君の側に居られる事が心地よいのは君がくれた沢山の優しさや想いの積み重ねだよ。」
「オレも、ダンナがオレのことを可愛いって言ってくれて女として扱ってくれて、沢山プレゼントをくれて…、一緒に寝たり、お風呂はいったり、ご飯食べたり話したり…そう言う毎日を過ごしたりしてくうちに、どんどん夢中で好きになっていったんだ。
なんて言えば良いかよくわかんないけど…、一言で言うなら…愛してる…って言えば良いのかな?こう言う感情って。」
「まぁ、そうだな。俺はまだワイズマンとの関係は浅ぇけどよ。たしかにコイツの人柄とか心意気とか居心地の良さとか、そう言うのはよくわかる。
なんつーか、一緒にいて楽しいんだよな。
しっかし、あんた方は良いねぇ。惚れる対象がちゃんと居て、しかもその対象はその気持ちを無下にはしないんだからよ。
とは言えど、その中で選ばれたのはヴェルデの嬢ちゃんだけだったわけだな。
ま、なんつーかよ。ほんと、おめでとうさんお嬢ちゃん。
末永く幸せにしてもらえよ。」
父親のような優しい微笑みで、俺の嫁を祝福するアルバ。
とても良い光景だなと少し感慨深い。
「アルバも早く良い人見つけて幸せにしてあげてね。
俺から見たら、アンタはバカだしクズだけど、まぁいいおっさんだよ。多分。」
「オマエっつーヤツは全く…。あと、オジさんと言いなさい。
ま、その気になったら…そのうちな。」
ちらりと、ラルカを見やるアルバ。
そしてその視線に気付くラルカ。
「私は…母じゃありませんよ?」
「あぁ、わかってんよ。そのくれぇはよ。
見た目以外は全然似てねぇ。でも、お前さんの顔を初めてみたときは、まるでタイムスリップでもした気分だったぜ。
ほんと、親子共々べっぴんさんだな。」
「貴方がだらしなく無い人で、そして勇敢な人のままだったのであれば母もどうなっていたかですし、私も貴方のことを父と呼んでいたのでしょうかね。」
「ばーか。俺がお前の親と結ばれてたら、お前は産まれて無いだろ?」
「ふふっ、確かにそうですね。まぁ、精々ご主人様から頂いたその名に見合った夜明けを素敵な女性に見せてあげてくださいね?アルバ。」
「あぁ、勿論だ。まずはそうされたいって思ってくれる相手探しからだけどな。
まぁ、それまではメイド長と執事長と言うお互いの立場を楽しみますかね。
て言うかワイズマン、完全に変身後の見た目で俺を執事長に据えやがったな~?」
いつものようにげしげしと脇腹を小突かれる。
「良いじゃん、カッコいいし。見た目だけはイケオジなんだしさ。
俺もあんたみたいなカッコいい歳の取り方したいな。
見た目だけは。」
「見た目だけはってお前…。そんなに歳変わんねぇだろ!俺は38でお前は28だっけか?」
全員が一斉に驚きの表情を浮かべる。
「えっ!?38歳なの!?」
「お前らそりゃどう言う意味での驚きだ!!」
元バットおじさんこと【夜明けのアルバ】
紳士的なイケオジな見た目だけど、実は怖がり屋さんでだらしないクズ。
ただ、誰よりも一途でそして優しい人で頼れる兄貴で…そして…。
見た目よりは歳が行っている。
そんな素敵なおっさんである。
城のパーティルームに西の国の冒険者や住民やらを「参加自由!好きなだけご飯を食べて行け!ご飯を食べさせたい人も大歓迎!材料費は俺が持つ!好きなだけ作ってくれ!」という感じでお祭りどんちゃん騒ぎを開いた。
嬉しいことに国中から腕利きの料理人たちが集まってさまざまな料理を大量に用意してくれた。
食べきれないものはどうしよう…。ってくらいに。
正直なところ、会ったことがない人の方が圧倒的に多い。
もしかしたら、すれ違ったりしてる人は当然居るかもしれないが…。
なんというか…、正直なところ自分がこんなにも人気者なのだとは思わなかった。
冒険者は俺の事を冗談で次期魔王様とか言うし(しかも魔王本人の前で)、街の人たちはみんなしておめでとうとかありがとうとか言ってくる。
ありがとうと言うのは、この国に訪れた脅威を防いでくれたことに関して…だろう。
だが、これはそもそも完全に防がれたわけではない。
その為、西の国全体には各エリアに魔王達や戦士ちゃんや妹ちゃんに勇者ちゃん、バットおじさんやドラゴスケイルのオッサンズたちを配置し警備を行う事をこの場で通達する。
国中から集まる重鎮を狙ったテロへの警戒態勢はきちんと敷いている事をアピール。
そして、各国には1000年前の伝説の異世界人が残した神々が防衛している事を伝えた。
「と言うわけで、本音を言えば最初の頃の私にとってこの国の命運を背負うことはとても重たい事だと思っていました。
だけど今は違います。こうやって愛し愛される人に出会って、あなた達に出会って、この国を知って、私は皆の為に闘う決意を決めました。
私は今ここに、この国を守る私を含む騎士団【ロイヤルナイツ】の設立も合わせて宣言させて頂きます。
では、ロイヤルナイツの騎士達をご紹介致しましょう。」
戦士ちゃん、妹ちゃん、勇者ちゃん、バットおじさんとクロ、そして俺の嫁が立ち並ぶ。
魔王軍団は逆に恐怖を煽りかねないのでメンバーとしては紹介していない。
そもそもが、敵国からしてみれば街を歩く核兵器のような物だろうし。
「そして、私の世界の言葉で皆に与えた名を、今ここで皆に伝えましょう。
紅き【焔】の神をその身に宿す私の騎士。
【アリファーン】
次に東の魔女よりその技と知識を受け継ぐ【月】の魔法使い
【リュナ】
そして【星】に選ばれし現世に舞い降りた勇者
【エステレラ】
暗き闇に【夜明け】をもたらすバトラー
【アルバ】
夜の帳の【黒】の皇帝
【ノワール】
全てを癒す【緑】の風
【ヴェルデ】
最後に私、【賢者】
【ワイズマン】
我ら7騎士がこの国の守護騎士【ロイヤルナイツ】です。
以後、改めてお見知り置きを。」
周りから大歓声が巻き起こる。
この中二病全開な名前だが、俺のスマホの中に入れておいた異国語辞典が火を吹いた結果だ。
ちなみにバットおじさんはコウモリ男だとなんか可哀想だし、色々と相談に乗ってもらったお礼も兼ねてカッコいい名前をあげたくなったのだ。
ちなみにロイヤルナイツではないが、ドール屋さんのお姉さんには人形師を意味する【ラルカ】の名前を与えた。
発表を終えて、ロイヤルナイツ&魔王ズ、魔女さん、ギルマスちゃん、ドール屋さんことラルカ達と城の関係者席に着席し、食事会を始める。
「なぁなぁ、ごしゅ…だんな…いや違うな…。あなた?
なんで急にみんなにコードネームを?」
「そこは私が説明しようヴェルデ。
まず、ロイヤルナイツの設立について。
この国には世界でも最強クラスの戦力が存在している。
また、その一人一人が大賢者ワイズマンに認められ、【言葉そのものに意味を持つ】コードネームを与えられた。
それを知らしめす事での国民への安全に対する期待と、そして敵へのアピールってわけさ。
ちなみにこのコードネームは、私の異名たる黒き魔女や猫の疾風迅雷の爆裂猫娘、これとも全く意味合いが違う物だ。」
「俺の世界には、口から発せられる言葉そのものに力が宿るって言う言い伝えがあってね。言霊って言うんだけど、その力と加護をみんなに与えたってわけ。
まぁ、慣れるまでは歯痒いかもだがそこはゆっくりと慣れてくれ。響きがいいものをなるべく選んだつもりだよ。」
みんな、キョトンとした顔でぽかーんとしている。
その中でも、バットおじさんことアルバは特にぽかんとしている。
「待て待て待て。なんで俺だけ夜明けとか言う、こう…なんか生かした響きになってんだよ!?」
「え?なんかかっこいいじゃん。夜明け。
あ、本当のこと言う?俺の世界では恋人と過ごして迎える夜明けのことを、朝に鳥がちゅんちゅん鳴いてる事から朝チュンという。まぁそう言うことだ。」
「お前、喧嘩売ってんのかオイ。おじさんがお前の世界で言う朝チュンする相手が居ないからってこの野郎!!」
「ハハハハハ。すてきな恋人に出会って夜明けを迎えられますようにと言う願いを込めてだよハハハハハ。」
アルバにげしげしと小突かれる。
「ま、待ってくださいご主人様!ではなぜ、ロイヤルナイツではない私にまで「名前」を?」
「んー、まぁあれだ。メイド長的な意味合いのコードネームも兼ねてかな?」
無論、俺の人形とかそう言う意味は当然ない。
「つまり…私はご主人様の…愛玩人形ということですね!ありがとうございます!」
「嫁の前でそういう冗談はホントやめて。わかっててからかうのやめて。アルバのおっさんじゃないんだから。」
「おっさん言うな!オジさんと言え。
なんなら、おじ様でも良いぞ?」
「貴方は口を開かないでくださいませんか?菌が飛ぶじゃないですか…。ご主人様が腐ったらどう落とし前つけるつもりですか?」
「冗談でもそう言うの言われるとオジさん泣いちゃうぞっ!」
俺からしたら、この二人こそ相性ぴったりに見えるんだけどなぁ…。
とはいえ、元相思相愛だった人の娘だしな…。
そう簡単には行かないか…。
でも、心なしかお互い楽しそうなんだよな。
イジリイジラレのこの関係が…。
「あなた?真意はどうなんだ?人形を意味する言葉を与えたのはそう言う意味なのか?」
「んなわけあるかい。単純に人形屋さんだったからって理由からだよ。
あとは、家政婦さんとしての俺の手足…とかそう言う意味も俺的にはあるけども…。」
「つまり…、私はご主人様の体の一部なのですね!
でもせっかくですから肉体的にも結合を…。」
「ホントこの世界には痴女しか居ないのかな。どうなのアルバ?」
「えぇっ!?そこで俺に降るのかよ!?やめてくれねぇか!?反応に困るわ!」
「良いな!結合!!私もワイズマンと結合したいぞ!合体とかはやったけどな!」
「合体必殺技と言いなさい。誤解を生むだろう。」
わいのわいのと身内で盛り上がる俺たちの会話を聞いてる周りの冒険者や町の人たちも、それを聴きながらまた盛り上がっている。
案外、普通の人たちなのだと思って接しやすくなってほしいと言うのもこの食事会の狙いだ。
流石に魔王より魔王などと言われていたら、多少なりはイメージを変えたいと言うものである。
なんだよ魔王より魔王って。
魔王に失礼だぞ。
「しかし、愉快だのう。聖騎士団と魔王が同居とかどんな冗談じゃとならんか?」
「俺からすれば、俺が魔王より魔王とか言われてる事とか魔王が魔王城に帰るどころか完全に居着いてしまってる事の方がなんの冗談だって状態だよ…。」
「まぁ良いではないか。ワシはここが気に入っておるし、お前の配下になれていることも案外悪い気はしてないのだ。コイツらもだがの。」
「そういや、なんで魔王という気高きお方がこうも容易く俺の配下になってんだよ…。しかも3人も…。」
「それは、マスター。わたくしたちが異世界人大好きかつあなた様の力に惚れてしまっていることかつ、貴方から放たれる神気がとても心地よいからですわ。」
それだけで、貴族が庶民の配下になるようなこの事態は良いものなのか…。
まぁ本人は納得してるから良いんだろうけど…。
ん…?それと今さらっとなんかとんでもないことを言ってたような…。
「それよりも今、さらっと俺から神気出てるとか言った?」
「はい。出ておりますわよ?我々魔族が弱るどころか元気になり、更には神である龍族まで心地よく貴方の側に居られるという事は、また変わった神気なのでしょうけども…。」
そう言われると、俺の背後からとぷんっと水が溢れて地面に落ち、生成された水溜りから蛟ちゃんが現れる。
「そう…。この人の放つ気は異常…。特殊。ありとあらゆる…霊的存在を引きつけ…引き寄せる。
とても心地よい…。同意。賢者…えっと…いまはワイズマン?は凄い人間…なの。
霊的存在に…限定された…魅了能力…。
凄い。」
「俺はあまり認識してなかったんだけど、幼い頃から精霊や神様を引きつける能力があったんだとさ。
例えば、今日は暑いから涼しい風が吹かないかなあと思えば風が吹き、消えそうなロウソクに消えないでと願えば長く燃えて、植物に綺麗な花を早く見たいと願えば成長が早まり、雨よ降れと願えば雨が降り、晴れを願えば晴れる。
そんな感じかな。
これが、俺の身の回りにいつのまにか居た精霊や神様のおかげと知ったのは割と最近だけどもね。」
この神気というか魅了能力が、何故俺にあるのかは知らないけども。
魂そのものが持つ特殊スキルと言ったところなのだろう。
逆にこの力があったからこそ、俺は今この世界におけるさまざまな強大な力を手に入れられているのかも知れない。
「君にもし、そう言った魅了の力があるのだとしてもだ。
少なくとも今ここにいる私たちは、君から放たれるそんなものでなく君という存在だからこそ惚れてるんだよ。
まぁ、私も皆も最初は君が異世界人だという興味本位から始まってるかも知れないけどさ。
それでも、今こうやって君の側に居られる事が心地よいのは君がくれた沢山の優しさや想いの積み重ねだよ。」
「オレも、ダンナがオレのことを可愛いって言ってくれて女として扱ってくれて、沢山プレゼントをくれて…、一緒に寝たり、お風呂はいったり、ご飯食べたり話したり…そう言う毎日を過ごしたりしてくうちに、どんどん夢中で好きになっていったんだ。
なんて言えば良いかよくわかんないけど…、一言で言うなら…愛してる…って言えば良いのかな?こう言う感情って。」
「まぁ、そうだな。俺はまだワイズマンとの関係は浅ぇけどよ。たしかにコイツの人柄とか心意気とか居心地の良さとか、そう言うのはよくわかる。
なんつーか、一緒にいて楽しいんだよな。
しっかし、あんた方は良いねぇ。惚れる対象がちゃんと居て、しかもその対象はその気持ちを無下にはしないんだからよ。
とは言えど、その中で選ばれたのはヴェルデの嬢ちゃんだけだったわけだな。
ま、なんつーかよ。ほんと、おめでとうさんお嬢ちゃん。
末永く幸せにしてもらえよ。」
父親のような優しい微笑みで、俺の嫁を祝福するアルバ。
とても良い光景だなと少し感慨深い。
「アルバも早く良い人見つけて幸せにしてあげてね。
俺から見たら、アンタはバカだしクズだけど、まぁいいおっさんだよ。多分。」
「オマエっつーヤツは全く…。あと、オジさんと言いなさい。
ま、その気になったら…そのうちな。」
ちらりと、ラルカを見やるアルバ。
そしてその視線に気付くラルカ。
「私は…母じゃありませんよ?」
「あぁ、わかってんよ。そのくれぇはよ。
見た目以外は全然似てねぇ。でも、お前さんの顔を初めてみたときは、まるでタイムスリップでもした気分だったぜ。
ほんと、親子共々べっぴんさんだな。」
「貴方がだらしなく無い人で、そして勇敢な人のままだったのであれば母もどうなっていたかですし、私も貴方のことを父と呼んでいたのでしょうかね。」
「ばーか。俺がお前の親と結ばれてたら、お前は産まれて無いだろ?」
「ふふっ、確かにそうですね。まぁ、精々ご主人様から頂いたその名に見合った夜明けを素敵な女性に見せてあげてくださいね?アルバ。」
「あぁ、勿論だ。まずはそうされたいって思ってくれる相手探しからだけどな。
まぁ、それまではメイド長と執事長と言うお互いの立場を楽しみますかね。
て言うかワイズマン、完全に変身後の見た目で俺を執事長に据えやがったな~?」
いつものようにげしげしと脇腹を小突かれる。
「良いじゃん、カッコいいし。見た目だけはイケオジなんだしさ。
俺もあんたみたいなカッコいい歳の取り方したいな。
見た目だけは。」
「見た目だけはってお前…。そんなに歳変わんねぇだろ!俺は38でお前は28だっけか?」
全員が一斉に驚きの表情を浮かべる。
「えっ!?38歳なの!?」
「お前らそりゃどう言う意味での驚きだ!!」
元バットおじさんこと【夜明けのアルバ】
紳士的なイケオジな見た目だけど、実は怖がり屋さんでだらしないクズ。
ただ、誰よりも一途でそして優しい人で頼れる兄貴で…そして…。
見た目よりは歳が行っている。
そんな素敵なおっさんである。
0
あなたにおすすめの小説
裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!
サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。
「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」
飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう――
※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
スキル買います
モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」
ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。
見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。
婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。
レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。
そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。
かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
ルーシャオ
恋愛
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
モーリン子爵家令嬢イグレーヌは、双子の姉アヴリーヌにおねだりされて婚約者を譲り渡す羽目に。すっかり姉と婚約者、それに父親に呆れてイグレーヌは別荘で静養中の母のもとへ一人旅をすることにした。ところが途中、武器を受け取りに立ち寄った騎士領で騎士ブルックナーから騎士見習い二人を同行させて欲しいと頼まれる。
そのころ、イグレーヌの従姉妹であり友人のド・ベレト公女マリアンはイグレーヌの扱いに憤慨し、アヴリーヌと婚約者へとある謀略を仕掛ける。そして、宮廷舞踏会でしっかりと謀略の種は花開くことに——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる