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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第99話 花嫁衣装を着たパートナーこそこの世で最も美しい
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敵の襲来など含め色々と懸念していたが、重鎮メンバーは無事に何事もなく城に集結した。
まず、来賓の重鎮メンバーに関してはマオちゃんが転移ゲート魔法を使うことにより安全過ぎるほどに安全に移動。
移動中に狙い撃ちなどさせる暇など与えず終わった。
ちなみに敵の陽動を目的とした中には誰も居ない飛空挺や、鳥車を走らせたりしてみたがコレも襲われることなく終わった。
んで、各国に顕現させ配置しているかつて晴明が置いて行った神々たち。
みずちちゃんを通して色々と聞いたり見たりしているが、コレも同じく各国に敵が現れたと言う報告は一切なかった。
「なんというかここまでは順調と言うか、取り越し苦労と言うか…。拍子抜けするくらいに敵が現れないとは…。」
「流石にオレもここまで敵が来ないのは予想外だぞ…。割と覚悟はしてたんだがな…。」
「つってもよぉ…。まだ、式は始まってねぇんだ。
ここに集まった重鎮を一斉に殺しにくる線はまだ否定しきれねぇ。
後は…既に敵が内側に侵入してるパターンかだな。
ま、なんにせよ用心に越したこたぁねぇ。
ただ、何があろうが戦力がここまで集中してるならなんとかなんだろうよ。
まぁ、お前らは予定通り式を行っておけ。
俺達がきちんと警備しておくからよ。」
アルバにそう言われて、俺達はそれぞれ着替え部屋へと別々に入っていった。
俺の着替えを担当してくれるのはラルカだった。
「ご主人様、お待ちしてました。
ステキなお召し物を用意させてもらいました♪」
俺の服はラルカが短い期間の間に手縫いで作って仕上げてくれた。
ヴェルデこと俺の嫁のものは魔女さんが作ってくれたらしい。
「白を基調としたスーツに、王冠、そしてマントか…。
ん…?王冠にマント…?」
「えぇ。これは皇女殿下からご主人様に…と。
この国の王様になれと言う意味ではないとは思いますが、それは前国王様の着用されていたものです。」
「おいおいおい…。そんないろんな意味で重たい物を着用しろってどんな罰ゲームだよ…。」
などとラルカに話しながら服を脱ぎ白いスーツに着替えていく。
因みにだが、ラルカもラルカで俺の着替えを見てても特に戸惑いがない。
テキパキと俺にスーツを着せてくれた。
「うんうん、サイズもピッタリですね。」
「採寸された記憶がないんだが…。」
「ドールマスターのスキルです♪」
ドールマスターおそるべし。
そして、コンコンとドアが叩かれ皇女殿下が部屋に入ってきた。
「御機嫌ようワイズマン。本日はご結婚おめでとうございます。ふふっ、お父様の王冠がよくお似合いですよ♪」
「いやいや、ほんとこれはどんな冗談or罰ゲームだよ…。」
「そうですね…。まぁ、願わくば行く末は貴方に国を託すのも良いかなぁとか…。」
「言っとくが、俺は君と結婚する気もなければこの国を手に入れるつもりもないぞ?王制が破綻し、民主主義の国家になったとしてもだ。
俺はそう言う偉い立場になったりとかの面倒事は嫌いだからな…。」
「そちらは大丈夫ですよ。ただ、代々この国にとって王とは国の象徴なのです。
王が居なくなった今は、本来であれば私の旦那様になる人…それが一番望ましいのでしょうが…。
この通り失恋してしまいましたので。
貴方には国の象徴という点だけ無理やり押し付けさせてもらいました♪」
「それが本意かよ…。失恋の件については…まぁ…なんというか…。」
その先を言おうとして、指先をちょんっと唇に当てられ静止される。
「それ以上は、このおめでたい日に口に出してはいけませんよ?それに謝らないでくださいな。
私に謝ろうものなら、貴方は本当にたくさんの人に謝らなきゃいけなくなりますし、奥様ことヴェルデも悲しみますわよ?
まぁ、私の父のようにバレない浮気なら浮気にはならないかもですが…。なんなら、私と浮気してみます?」
「とても皇女様のセリフとは思えんぞ…。浮気する気はありません。諦めなさい。」
「ですよね…。貴方は本当に真面目な人ですわね。
普通、皇女に言い寄られたりこれだけ美しい女性に好意を向けられた上で囲まれてたりしたら、全員に手を出していても良いものでしょうけども…。」
「皇女様…。お言葉ですがめでたい席であまり言うものではありませんよ…。
私も夜に迫ってみたりはしましたが、見向きもされませんでした…。」
その通り。ラルカには結婚を発表した夜に普通に俺達の入浴に一緒に入ってきたり、普通に一緒に寝ようとしてきたりしてきた。
が、嫁は嫌がる素振りもなく一緒に風呂に入ることも寝ることも許していた。
正妻の余裕という訳ではないのだろうが、彼女が本気で俺を寝取る気はない事、彼女はただ甘えたいだけなのであろう事を察したのだろう。
なんの躊躇もなく招きいれ、色香を使おうが余裕の表情だった。
無論、俺自身は嫁に夢中なので殆ど見向きもしてなかったが。
「彼は一途な人だもの。色香くらいじゃ惑わせないわよ。うんうん、よく似合ってるじゃない賢者。
いや、ワイズマンって呼んだ方が良いんだっけ?」
「いんや、呼びやすい呼び方でも良いよ。
君は、戦士ちゃん改め、焔のアリファーン。
ただ、まぁ気分によってはあだ名のようにアリちゃんって呼ぶかもだし。」
「うーん…。そこはアリファーンって呼んでもらえた方が落ち着くわね…。ひとまずその時の気分で好きに呼ばせて貰うわね。それにしても本当、私もびっくりよ。」
懐かしい顔をしながらアリファーンは語りだす。
「一番最初は貴方の持ち物を狙って盗みに入って、奴隷契約を解除させようと貴方を襲おうとしたけど、その前に貴方がアクセサリーをプレゼントしてた事で貴方の事を好きになってしまっていた彼女。
そしてそのまま、貴方の部屋に住むようになって、愛を深めて、そして貴方に選ばれて結婚。
こんな流れになっちゃうなんてね。
最初に貴方に出会って、貴方が消えた時に貴方を異世界からこっちへ引き戻した私こそが正妻に選ばれるなんて思ってた時期があった事が…今や黒歴史よ…。」
そしてそれから今日まで約2ヶ月余り。
俺の世界ならいわゆるスピード婚だ。
「なんというか…その…。」
「謝っちゃダメだってば。もう、そういうのも賢者の悪い癖よ?悪いことはしてないんだから、謝っちゃダメよ。貴方は1人の女性に恋をさせて、そして貴方自身も恋をして、そして決断して選んだ。
それだけなんだから。言っとくけど、私達も別に選ばれなかったからって完全に諦めたわけじゃないわ。
だけど、案外スッキリするものね。
キチンと結論を見せ付けられたら吹っ切れたわよ私も。
賢者よりも良い男、見つけてみせるわよ。
まぁまだ少し…引きずっちゃいるけどね…。
逆に、まだ可能性を捨てきれてない人達の方が私にはすごいと思えてくるわ…。」
「まぁ、多分だけど…目の前に選択肢が用意されて居ないから尚更そうなるんだと思うよ。
逆に、目の前に複数の選択肢があったら一個ダメでも次って考えちゃう人って多いから…。
俺はそういうの苦手な人だけども…。」
「恋のたとえ話にしてはどうなのよソレ…。
まぁでもわからなくもない例えかもだけど。
でもそうなると、私は他の男に惚れてることになりかねないんだけど…。」
ラルカと顔を見合わせて俺たち2人はニンマリ微笑む。
恋は盲目、とはよく言ったもんだ。
「ノワール。さっきから黙ってないで何か言ってあげたらどうなんだ?」
「えぇっ!?このタイミングで僕に振るんですか!?
前にも言いましたが、僕はギャル系のイケイケお姉さんキャラが好きであって、こういうツンデレのテンプレみたいな雰囲気の女の子はそこまで興味が…!」
「本音は?」
「…っ。ま、まだ考える時間をください。
その…最近一緒に過ごしたり稽古したりしてるうちに全く意識してないかと言われれば…、そんなことは全くないです。ただ、僕はこの世界に転生してから長いこと都長に恋をして居たんですよ…。
所帯持ちなので諦めて居ましたけど…。いわゆる叶わぬ恋です…。
おねショタ物で何度妄想したことか…!
気がつけばこんなにイケメンに育ってしまいましたが。」
「おいお前喧嘩売ってるなら買うぞ。」
こいつほんと暇さえあれば時々イケメンアピールして来やがって。
ムカつく…。
「ちょっとまって賢者!その言い回しだとまるで私が彼に惚れてるみたいじゃない!」
「違うのか?完全に俺の上位互換みたいなもんだろこいつ。アクセは作れるし優しいし、その上俺と違って長身のイケメンで腕っ節も強い。
その上、転生者とはいえど異世界人だし。」
「は?はぁー!?な、何言ってんの!ばっかじゃないの!!そんなんでこの人に惚れたら完全に私負け組じゃん!」
「して、本音は?」
「すみません、正直結構タイプど直球でした。」
その一言にノワールがガタッとする。
「えぇっ!?えと…そうなんだ?」
「まぁ…うん…。まだ、信じたくはなかったけどさ。
それに、敵に操られて居たとはいえ元々は敵だったわけだし。ただ、今は私も貴方の見た目に対して惚れちゃってるのか、貴方の心に惚れてるのかが解らない。だからまだ見極めさせて。
と言うか…賢者も急かし過ぎ。まったくもう…。
これで結局お互いに本心から好きじゃありませんでしたってなったらどうすんのよ?」
「そん時はそん時だろう。それに…本当に意識して居ないなら、お互いにそんなに顔真っ赤にしないもんだよ。」
そう言うと2人がまたお互いの顔を見て顔を赤くしていく。可愛らしいもんである。
これが本当の10代の顔だろう。
「ラルカはどうなの?」
「それ以上言ったら怒りますよ♪」
と言いつつアルバに何か言われる前にアルバの口を鷲掴みしている。
方向性はアレだが意識はしている…のかな?
「まぁ、なんにせよ俺らを起爆剤にみんなも一歩踏み込もうってなるなら、俺は悪いことではないと思うな。」
「ったくよぉ…自分は可愛い嫁さん捕まえたからって偉そうにぃ~。このこのっ。さぁて、そろそろ嫁さんの着付けも終わった頃じゃぁねぇのか?見に行ってやれよ。」
アルバにげしげしと小突かれながら部屋を出ようとすると、魔女さんが嫁を部屋の外に待機させて入ってきた。
「やぁ、ワイズマン。この度はご結婚おめでとうございます。さて、君の可愛い可愛いお嫁さんを美しく着飾って来たよ。いやぁしかし、異世界人文化の研究で作ったりする研究はしていたが、着せるのがこんなにも難しいとは思わなかったよ。
キモノと言うものを着ていた君の世界の人たちは本当に大変だったんだろうね。さぁ、お入り。旦那様がお待ちかねだよ?」
カランっと下駄を鳴らしながら緑を基調にして桜吹雪をあしらった模様に身を包み、髪を可愛く結った俺の嫁が部屋に入ってきた。
「んむ、ご注文通りだな。」
「えへへ…。どうだダンナ?オレの花嫁姿は?」
「あぁ、最高に美しいよ…。着物もよく似合ってる。」
上目遣いで見てくる嫁を優しく抱きしめてやる。
「魔女さんもありがとう。作るのも着せるのも大変だったろう?着物は本来なら職人たちが長い時間をかけて作るものだしね。」
「まぁね。文献だけでは今まで再現の難しかった物だが、君がその賢者のブレスの力を用いて色々と技術や知識、情報を提供してくれたからいとも容易く完成にこじつけられた。
一番の効力者はむしろ彼女だがね?」
と言うと、ダークエルフちゃんも部屋に入ってくる。
「ハロ~♪賢者っち~♪いや、ワイズっち?まぁどっちでもいいや。せっかくの大規模なお祝いだからね。
全面協力させて頂いたよ。技術者の提供くらいだけどね。
ただ、君の世界の君の国の人間【ニッポン人】の職人はすっごいねぇ~!
とりま、なんとか近いものは再現できたと思うんだけど、完全再現は多分出来てないと思うんよね~。
織物の技術に関してはダークエルフよりも北の大地の鬼人族の方が圧倒的に上だったから、ウチの都に居た鬼人族出身の手先が器用な職人に依頼したんだけどさ。」
「鬼人族…。要はオーガみたいなもんか?」
「オーガはこの世界ではゴブリンの成れの果てみたいなモンだよ。この世界の鬼神族の前ではそれ言っちゃメーッだよ賢者っち?」
なるほどなるほど…。そしてオーガと別で鬼人族ってのが居るのね。
「鬼人族はねぇ~、簡単に言えばウチらエルフ族のどっちかと角が生えた魔人族との混血種族って感じぃ。
見た目はウチらエルフ族に近い見た目かなぁ?
逆に魔人族特有のマッチョ感は男の方がまだあるかもだねぇ~。ちなみにこの子が職人の鬼人族。」
と言うと、さっきから多分そうなんだろうなという感じでダークエルフちゃんのお隣に居た鬼人族のお姉さんがビシッとポーズを取る。
「ふふふん!お初にお目にかかりやす大賢者様!アタイは鬼人族の織物職人だ。いやぁ、なかなかに楽しい仕事だったよ。この着物を再現するために、まずは絹ってのに近い糸を手に入らなければならなかったから大変だったゼ!ジャイアントモスの糸が性質が近かったから、まずはジャイアントモスを探しに行って…、そいつらに糸を吐かせて回収してからトンズラこかなきゃいけなくってよぉ!いやぁ~!でも、あいつらが作り出す糸が織物にするとこんなにも綺麗なものになるとは驚きだぜぇ~!本来ならジャイアントモスの糸は糸そのものに毒があるからわざわざ手間かけて織物になんておもわねぇからな!」
おい、それは大丈夫なのか。
まぁこうやって着てるから大丈夫なのだろうが。
「心配せずとも糸の毒はキチンと抜いてあるよ。これが一番一苦労したんだがな!だがまぁ見ての通りだ。立派なキモノに見事仕上がったぜ!」
「ありがとう鬼ちゃん!いい仕事してくれたよ!最高だ!」
そして、俺は嫁の手を取る。
「さて、敵さんが出てくる前に始めちゃおうか。
結婚式の途中で敵さんがどかーんとかたまったモンじゃないしな。」
と言うわけでついに俺たちの結婚式が始まった。
まず、来賓の重鎮メンバーに関してはマオちゃんが転移ゲート魔法を使うことにより安全過ぎるほどに安全に移動。
移動中に狙い撃ちなどさせる暇など与えず終わった。
ちなみに敵の陽動を目的とした中には誰も居ない飛空挺や、鳥車を走らせたりしてみたがコレも襲われることなく終わった。
んで、各国に顕現させ配置しているかつて晴明が置いて行った神々たち。
みずちちゃんを通して色々と聞いたり見たりしているが、コレも同じく各国に敵が現れたと言う報告は一切なかった。
「なんというかここまでは順調と言うか、取り越し苦労と言うか…。拍子抜けするくらいに敵が現れないとは…。」
「流石にオレもここまで敵が来ないのは予想外だぞ…。割と覚悟はしてたんだがな…。」
「つってもよぉ…。まだ、式は始まってねぇんだ。
ここに集まった重鎮を一斉に殺しにくる線はまだ否定しきれねぇ。
後は…既に敵が内側に侵入してるパターンかだな。
ま、なんにせよ用心に越したこたぁねぇ。
ただ、何があろうが戦力がここまで集中してるならなんとかなんだろうよ。
まぁ、お前らは予定通り式を行っておけ。
俺達がきちんと警備しておくからよ。」
アルバにそう言われて、俺達はそれぞれ着替え部屋へと別々に入っていった。
俺の着替えを担当してくれるのはラルカだった。
「ご主人様、お待ちしてました。
ステキなお召し物を用意させてもらいました♪」
俺の服はラルカが短い期間の間に手縫いで作って仕上げてくれた。
ヴェルデこと俺の嫁のものは魔女さんが作ってくれたらしい。
「白を基調としたスーツに、王冠、そしてマントか…。
ん…?王冠にマント…?」
「えぇ。これは皇女殿下からご主人様に…と。
この国の王様になれと言う意味ではないとは思いますが、それは前国王様の着用されていたものです。」
「おいおいおい…。そんないろんな意味で重たい物を着用しろってどんな罰ゲームだよ…。」
などとラルカに話しながら服を脱ぎ白いスーツに着替えていく。
因みにだが、ラルカもラルカで俺の着替えを見てても特に戸惑いがない。
テキパキと俺にスーツを着せてくれた。
「うんうん、サイズもピッタリですね。」
「採寸された記憶がないんだが…。」
「ドールマスターのスキルです♪」
ドールマスターおそるべし。
そして、コンコンとドアが叩かれ皇女殿下が部屋に入ってきた。
「御機嫌ようワイズマン。本日はご結婚おめでとうございます。ふふっ、お父様の王冠がよくお似合いですよ♪」
「いやいや、ほんとこれはどんな冗談or罰ゲームだよ…。」
「そうですね…。まぁ、願わくば行く末は貴方に国を託すのも良いかなぁとか…。」
「言っとくが、俺は君と結婚する気もなければこの国を手に入れるつもりもないぞ?王制が破綻し、民主主義の国家になったとしてもだ。
俺はそう言う偉い立場になったりとかの面倒事は嫌いだからな…。」
「そちらは大丈夫ですよ。ただ、代々この国にとって王とは国の象徴なのです。
王が居なくなった今は、本来であれば私の旦那様になる人…それが一番望ましいのでしょうが…。
この通り失恋してしまいましたので。
貴方には国の象徴という点だけ無理やり押し付けさせてもらいました♪」
「それが本意かよ…。失恋の件については…まぁ…なんというか…。」
その先を言おうとして、指先をちょんっと唇に当てられ静止される。
「それ以上は、このおめでたい日に口に出してはいけませんよ?それに謝らないでくださいな。
私に謝ろうものなら、貴方は本当にたくさんの人に謝らなきゃいけなくなりますし、奥様ことヴェルデも悲しみますわよ?
まぁ、私の父のようにバレない浮気なら浮気にはならないかもですが…。なんなら、私と浮気してみます?」
「とても皇女様のセリフとは思えんぞ…。浮気する気はありません。諦めなさい。」
「ですよね…。貴方は本当に真面目な人ですわね。
普通、皇女に言い寄られたりこれだけ美しい女性に好意を向けられた上で囲まれてたりしたら、全員に手を出していても良いものでしょうけども…。」
「皇女様…。お言葉ですがめでたい席であまり言うものではありませんよ…。
私も夜に迫ってみたりはしましたが、見向きもされませんでした…。」
その通り。ラルカには結婚を発表した夜に普通に俺達の入浴に一緒に入ってきたり、普通に一緒に寝ようとしてきたりしてきた。
が、嫁は嫌がる素振りもなく一緒に風呂に入ることも寝ることも許していた。
正妻の余裕という訳ではないのだろうが、彼女が本気で俺を寝取る気はない事、彼女はただ甘えたいだけなのであろう事を察したのだろう。
なんの躊躇もなく招きいれ、色香を使おうが余裕の表情だった。
無論、俺自身は嫁に夢中なので殆ど見向きもしてなかったが。
「彼は一途な人だもの。色香くらいじゃ惑わせないわよ。うんうん、よく似合ってるじゃない賢者。
いや、ワイズマンって呼んだ方が良いんだっけ?」
「いんや、呼びやすい呼び方でも良いよ。
君は、戦士ちゃん改め、焔のアリファーン。
ただ、まぁ気分によってはあだ名のようにアリちゃんって呼ぶかもだし。」
「うーん…。そこはアリファーンって呼んでもらえた方が落ち着くわね…。ひとまずその時の気分で好きに呼ばせて貰うわね。それにしても本当、私もびっくりよ。」
懐かしい顔をしながらアリファーンは語りだす。
「一番最初は貴方の持ち物を狙って盗みに入って、奴隷契約を解除させようと貴方を襲おうとしたけど、その前に貴方がアクセサリーをプレゼントしてた事で貴方の事を好きになってしまっていた彼女。
そしてそのまま、貴方の部屋に住むようになって、愛を深めて、そして貴方に選ばれて結婚。
こんな流れになっちゃうなんてね。
最初に貴方に出会って、貴方が消えた時に貴方を異世界からこっちへ引き戻した私こそが正妻に選ばれるなんて思ってた時期があった事が…今や黒歴史よ…。」
そしてそれから今日まで約2ヶ月余り。
俺の世界ならいわゆるスピード婚だ。
「なんというか…その…。」
「謝っちゃダメだってば。もう、そういうのも賢者の悪い癖よ?悪いことはしてないんだから、謝っちゃダメよ。貴方は1人の女性に恋をさせて、そして貴方自身も恋をして、そして決断して選んだ。
それだけなんだから。言っとくけど、私達も別に選ばれなかったからって完全に諦めたわけじゃないわ。
だけど、案外スッキリするものね。
キチンと結論を見せ付けられたら吹っ切れたわよ私も。
賢者よりも良い男、見つけてみせるわよ。
まぁまだ少し…引きずっちゃいるけどね…。
逆に、まだ可能性を捨てきれてない人達の方が私にはすごいと思えてくるわ…。」
「まぁ、多分だけど…目の前に選択肢が用意されて居ないから尚更そうなるんだと思うよ。
逆に、目の前に複数の選択肢があったら一個ダメでも次って考えちゃう人って多いから…。
俺はそういうの苦手な人だけども…。」
「恋のたとえ話にしてはどうなのよソレ…。
まぁでもわからなくもない例えかもだけど。
でもそうなると、私は他の男に惚れてることになりかねないんだけど…。」
ラルカと顔を見合わせて俺たち2人はニンマリ微笑む。
恋は盲目、とはよく言ったもんだ。
「ノワール。さっきから黙ってないで何か言ってあげたらどうなんだ?」
「えぇっ!?このタイミングで僕に振るんですか!?
前にも言いましたが、僕はギャル系のイケイケお姉さんキャラが好きであって、こういうツンデレのテンプレみたいな雰囲気の女の子はそこまで興味が…!」
「本音は?」
「…っ。ま、まだ考える時間をください。
その…最近一緒に過ごしたり稽古したりしてるうちに全く意識してないかと言われれば…、そんなことは全くないです。ただ、僕はこの世界に転生してから長いこと都長に恋をして居たんですよ…。
所帯持ちなので諦めて居ましたけど…。いわゆる叶わぬ恋です…。
おねショタ物で何度妄想したことか…!
気がつけばこんなにイケメンに育ってしまいましたが。」
「おいお前喧嘩売ってるなら買うぞ。」
こいつほんと暇さえあれば時々イケメンアピールして来やがって。
ムカつく…。
「ちょっとまって賢者!その言い回しだとまるで私が彼に惚れてるみたいじゃない!」
「違うのか?完全に俺の上位互換みたいなもんだろこいつ。アクセは作れるし優しいし、その上俺と違って長身のイケメンで腕っ節も強い。
その上、転生者とはいえど異世界人だし。」
「は?はぁー!?な、何言ってんの!ばっかじゃないの!!そんなんでこの人に惚れたら完全に私負け組じゃん!」
「して、本音は?」
「すみません、正直結構タイプど直球でした。」
その一言にノワールがガタッとする。
「えぇっ!?えと…そうなんだ?」
「まぁ…うん…。まだ、信じたくはなかったけどさ。
それに、敵に操られて居たとはいえ元々は敵だったわけだし。ただ、今は私も貴方の見た目に対して惚れちゃってるのか、貴方の心に惚れてるのかが解らない。だからまだ見極めさせて。
と言うか…賢者も急かし過ぎ。まったくもう…。
これで結局お互いに本心から好きじゃありませんでしたってなったらどうすんのよ?」
「そん時はそん時だろう。それに…本当に意識して居ないなら、お互いにそんなに顔真っ赤にしないもんだよ。」
そう言うと2人がまたお互いの顔を見て顔を赤くしていく。可愛らしいもんである。
これが本当の10代の顔だろう。
「ラルカはどうなの?」
「それ以上言ったら怒りますよ♪」
と言いつつアルバに何か言われる前にアルバの口を鷲掴みしている。
方向性はアレだが意識はしている…のかな?
「まぁ、なんにせよ俺らを起爆剤にみんなも一歩踏み込もうってなるなら、俺は悪いことではないと思うな。」
「ったくよぉ…自分は可愛い嫁さん捕まえたからって偉そうにぃ~。このこのっ。さぁて、そろそろ嫁さんの着付けも終わった頃じゃぁねぇのか?見に行ってやれよ。」
アルバにげしげしと小突かれながら部屋を出ようとすると、魔女さんが嫁を部屋の外に待機させて入ってきた。
「やぁ、ワイズマン。この度はご結婚おめでとうございます。さて、君の可愛い可愛いお嫁さんを美しく着飾って来たよ。いやぁしかし、異世界人文化の研究で作ったりする研究はしていたが、着せるのがこんなにも難しいとは思わなかったよ。
キモノと言うものを着ていた君の世界の人たちは本当に大変だったんだろうね。さぁ、お入り。旦那様がお待ちかねだよ?」
カランっと下駄を鳴らしながら緑を基調にして桜吹雪をあしらった模様に身を包み、髪を可愛く結った俺の嫁が部屋に入ってきた。
「んむ、ご注文通りだな。」
「えへへ…。どうだダンナ?オレの花嫁姿は?」
「あぁ、最高に美しいよ…。着物もよく似合ってる。」
上目遣いで見てくる嫁を優しく抱きしめてやる。
「魔女さんもありがとう。作るのも着せるのも大変だったろう?着物は本来なら職人たちが長い時間をかけて作るものだしね。」
「まぁね。文献だけでは今まで再現の難しかった物だが、君がその賢者のブレスの力を用いて色々と技術や知識、情報を提供してくれたからいとも容易く完成にこじつけられた。
一番の効力者はむしろ彼女だがね?」
と言うと、ダークエルフちゃんも部屋に入ってくる。
「ハロ~♪賢者っち~♪いや、ワイズっち?まぁどっちでもいいや。せっかくの大規模なお祝いだからね。
全面協力させて頂いたよ。技術者の提供くらいだけどね。
ただ、君の世界の君の国の人間【ニッポン人】の職人はすっごいねぇ~!
とりま、なんとか近いものは再現できたと思うんだけど、完全再現は多分出来てないと思うんよね~。
織物の技術に関してはダークエルフよりも北の大地の鬼人族の方が圧倒的に上だったから、ウチの都に居た鬼人族出身の手先が器用な職人に依頼したんだけどさ。」
「鬼人族…。要はオーガみたいなもんか?」
「オーガはこの世界ではゴブリンの成れの果てみたいなモンだよ。この世界の鬼神族の前ではそれ言っちゃメーッだよ賢者っち?」
なるほどなるほど…。そしてオーガと別で鬼人族ってのが居るのね。
「鬼人族はねぇ~、簡単に言えばウチらエルフ族のどっちかと角が生えた魔人族との混血種族って感じぃ。
見た目はウチらエルフ族に近い見た目かなぁ?
逆に魔人族特有のマッチョ感は男の方がまだあるかもだねぇ~。ちなみにこの子が職人の鬼人族。」
と言うと、さっきから多分そうなんだろうなという感じでダークエルフちゃんのお隣に居た鬼人族のお姉さんがビシッとポーズを取る。
「ふふふん!お初にお目にかかりやす大賢者様!アタイは鬼人族の織物職人だ。いやぁ、なかなかに楽しい仕事だったよ。この着物を再現するために、まずは絹ってのに近い糸を手に入らなければならなかったから大変だったゼ!ジャイアントモスの糸が性質が近かったから、まずはジャイアントモスを探しに行って…、そいつらに糸を吐かせて回収してからトンズラこかなきゃいけなくってよぉ!いやぁ~!でも、あいつらが作り出す糸が織物にするとこんなにも綺麗なものになるとは驚きだぜぇ~!本来ならジャイアントモスの糸は糸そのものに毒があるからわざわざ手間かけて織物になんておもわねぇからな!」
おい、それは大丈夫なのか。
まぁこうやって着てるから大丈夫なのだろうが。
「心配せずとも糸の毒はキチンと抜いてあるよ。これが一番一苦労したんだがな!だがまぁ見ての通りだ。立派なキモノに見事仕上がったぜ!」
「ありがとう鬼ちゃん!いい仕事してくれたよ!最高だ!」
そして、俺は嫁の手を取る。
「さて、敵さんが出てくる前に始めちゃおうか。
結婚式の途中で敵さんがどかーんとかたまったモンじゃないしな。」
と言うわけでついに俺たちの結婚式が始まった。
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