俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶

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友との剣術の特訓。

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初めての剣術の授業があった後、
ラルフとエルは二人で鍛練場に残った。

俺の剣術の特訓をするためだ。

「エル、ほんとに俺のために特訓なんて、いいのか!?
お前の自由時間なのに・・・」
「そんなん気にしなくていいって。
オレの訓練にもなるしなっ!」

そうやってエルは笑ってくれた。
そしてエルは俺に指南を始めた。

「そうだな・・・
剣術で大事なのは、視ることだ。」
「視ること?」

てっきり素振りとか、そういうのがくると思っていた俺は
虚を突かれた声が出てしまった。

「相手がどんな手でこちらを攻撃してくるのか、
そしてそれをどう避けるのか、
その後どう反撃するのか、
それが大事だ。
まあ先手必勝っていう手も確かにあるけどな。
でも基本は相手の攻撃を受け流すことだ。」

なるほど。

「じゃあちょっとオレがラルフに仕掛けてみるから
避けてみろよ。」

そう言ってエルは俺と向き合った。

「ラルフはオレや他のヤツよりでかいからな、
その分、的が大きくなって攻撃しやすくなる。
だから的確に避けなきゃダメだぞ。」

そう言いながらエルは俺にしかけてくる。

視る。
避ける。

そういうことか。

「やっぱりラルフすごいじゃねぇか!
全部きれいに避けきられちまった。」

エルにそう言われて、素直にうれしい。


その次の日からも、毎日二人で特訓した。

「ラルフは身体がデカい分、力も乗せやすい。
そして何より、間合いが広くとれる。
これを活かしていこう。
とにかく重心を落として、
移動速度を上げろ。
小さいやつに間合いに入られたら終わりだ。
スピードがあげられるようにダッシュの練習もしたほうがいいかもな。」

エルはなんでこんなに的確に俺にアドバイスをしてくれるのだろうか。

「なあ、エルは剣術の先生なのか?
それともエルの先生がすごい人なのか?」
「はは、そんなことねぇよ。
ちょっと剣術をかじってればこれくらいだれでも言えるって。」

そうなのか・・・そういうもんか・・・
それにしても、エルとの特訓は楽しい。
自分がどんどん強くなっていくのが実感できて、とても楽しい。

ある日、
エルが言った。

「剣術だけの技はだいぶ上達したから、
魔法と組み合わせていくことを考えようぜ。」
「魔法・・・」

俺はちょっとしりごみしてしまった。
するとエルは俺の肩に手を置いて言った。

「そんなに気負うことはねぇよ。
ラルフは雷魔法が得意だろ?
剣にうまいこと雷魔法をエンチャントさせれば、
剣に触れただけで相手をしびれさせる、なんてこともできるんだぜ!?
コントロールは必要だけど、
大きな魔法じゃないからラルフでも無理なくできると思うんだけどな。」

エルはなんでこんなに的確に俺に合った戦術を提案してくれるんだろうか。

それから何日も、魔法と剣を組み合わせた戦術の練習をした。
エルは炎魔法が得意だから、
剣に炎魔法をエンチャントさせていた。
繊細なコントロールでうまくエンチャントさせていて、本当にすごい。

そしてとうとう、
魔法と剣を組み合わせた技が完成した。
そしてエルから一本とることができたのだ。

「ラルフ、とうとうやったな!」

エルが笑顔で叫んだ。

その笑顔を見て、俺の心臓がどくんっとなった。
なんだろう。
身体の不調だろうか。
俺は不思議に思った。

「あれ?ラルフ、変な顔して、どうした?
とうとう技が完成したのに嬉しくないのか?」

エルが俺を心配したのか、聞いてきた。

「いや、嬉しいよ。
俺が剣術の腕を上げられたのも、
この技が完成できたのも、
全部エルのおかげだ。ありがとう。
感謝してもしきれない。
それより、一瞬なんか胸がおかしい気がしたんだ。
気のせいならいいんだけど。」
「おいおい大丈夫か?
体調が悪いならしっかり休めよ。
てか、オレにお礼とかおおげさなんだよ。
明日からもまだまだ特訓するぞ!!」

そうだ。
明日からもこの二人きりの特訓は続くんだ。

それを思うと、心なしか身体が軽くなったような、
ふわふわするような気持ちがした。

気付けば特訓を始めて数ヶ月が経っていた。
この頃には剣術だけではもちろん、
総合的な戦闘力でも、
同学年の中ではラルフとエルにかなうものはいなくなっていた。

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