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専属護衛騎士の任命式。
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気付けば金獅子騎士団に入団して2年近くが過ぎていた。
とうとう俺は、エーレンフリート王太子殿下の専属護衛騎士になる任命式の日を迎えた。
団長の任命式と、専属護衛騎士の任命式は
王宮の謁見の間で、王族の方々と騎士団の関係者が揃った状態で行われた。
エーレンフリート王太子殿下と対面するのも魔法騎士学院の卒業以来だった。
あの頃とは違う、王太子殿下としての余裕と威厳のある表情。
「私、ラルフ=ゲーゲンバウアーは、
誠心誠意、命を賭して、エーレンフリート王太子殿下の専属護衛騎士を
務めることをここに誓います。」
俺は殿下の前に跪き、殿下の差し出した剣に誓った。
任命式の後、
さっそく殿下のお側に控えることになった。
殿下が自室に戻るというので、もちろん殿下の斜め後ろに控えて、ついていく。
すると殿下は俺以外の他の従者や侍女を下がらせた。
「少しラルフと二人で話がしたい。お前たちは下がっていてくれ。」
そして殿下の自室に二人きりになった。
「ラルフ!ホントにお前は夢をかなえたんだな!
オレもこれからラルフと一緒にいられると思うとうれしいよ!」
殿下はあの頃のエルと変わらない笑顔で言った。
駄目だ。
この気持ちは駄目だ。
俺はこの方の専属護衛騎士なのだ。
「この度は、殿下の専属護衛騎士に任命され、大変うれしく思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。」
と頭を下げ、右手を胸に添えて、俺は敬礼の姿勢をとった。
すると殿下は困惑した表情をうかべた。
「なんで、ラルフ、そんなによそよそしいんだよ・・・
そりゃ他のやつがいるときはそれなりの態度でいなきゃいけないと思うけど、
今は二人きりだぞ!?
二人のときは今まで通りでいいじゃないか!」
「そういうわけにはまいりません。
私は殿下の専属護衛騎士ですから。」
「オレは・・・オレはラルフが専属護衛騎士になってくれるのをずっと待ってた。
待ってたけど・・・。
やっぱり魔法騎士学院のときにオレがずっとラルフを騙していたのを
まだ許してくれないのか!?
あの頃、オレのことを好きでいてくれた気持ちはもうないのか!?
オレは・・・オレはずっとラルフが好きだよ。
ずっとずっと好きだよ。
だから今日の日が来るのが待ち遠しくてしょうがなかったよ。
やっとラルフと一緒にいられると思ったのに・・・・。」
殿下が俺に必死で語り掛けた。
そして、
「ラルフの気持ちはもう変わってしまったのか。
それでもあのときオレと約束した義務感で専属護衛騎士になってくれたのか・・・。
ありがとな。」
殿下はうなだれながら、小さな声で言った。
俺はつい殿下の肩を握ってしまった。
「違う!義務感なんかじゃない!
俺だって・・・俺だってエルがずっと好きだ。
当たり前じゃないか!
エルが俺のことを騙していたって言うけど、
ただ王太子であることを黙っていただけじゃないか!
俺の夢を笑わないでいてくれたのも、
俺と一緒に強くなってくれたのも、
俺に自信をくれたのも、
全部、本物のエルだ。
今の俺は、エルがいなきゃ存在しなかったんだ。
そんなエルのことを好きじゃなくなるなんてありえないだろう!
でも・・・エルは王族だ。
世継ぎを設けなければならないだろう。
男である俺では、伴侶にはなれないじゃない。
だから俺は・・・エルへの想いはもう心に閉じ込めようと思って・・・。
でもせめて専属護衛騎士としてエルの側にいたいと思って・・・。」
俺の言葉を聞いて、エルはあっけにとられていた。
そして脱力したようにソファーに座り込んでしまった。
「あ、そういうことか。
なんだ、そうか、そういうことか、
ははは。」
エルは笑い出した。
今度は俺が困惑する番だった。
「エル・・・どうしたんだ?」
「ラルフ、お前、殿下呼びからエルに戻っているぞ。」
エルがにやっと笑う。
そうだ、エルはこういうヤツだった。
そして俺はエルのこういうところが心底好きだ。
「そっかー。
ラルフ、そんなことを考えてたのか。
簡潔に言うと、俺は世継ぎを設ける義務はない。
確かに俺は王位継承一位の時期皇帝だが、
皇帝の子供が次期皇帝という決まりはないからな。
今の法では皇帝は王族であればいい。
そして俺には妹がいる。
妹にはラブラブの婚約者がいてさ。
きっとあの二人なら子供、いっぱい生まれるんじゃないかな。
婚約者は今は黒竜騎士団の団長をやっていて、遠距離恋愛なんだよね。
団長を引退して王都に戻ってくれないと
さすがに王族との結婚はキビシイらしくて、
妹は早く後任の団長を育ててくれ!もう待てない!って嘆いているんだけどな。」
さらっとエルは言った。
「だからさ、
オレたちはそういうことは気にしなくていいの。
王族だって、好きなヤツと結ばれていいの。
この国はそういう国なんだよ。
だからさ、ね、ラルフ、もう観念して。」
エルは俺を見上げて、小悪魔のような笑顔で言った。
ゆるく編んだ紅い髪とキラりと光る紅い瞳がまぶしかった。
幼少期からの「王太子殿下の専属護衛騎士になる」夢がかない、
魔法騎士学院からのエルへの長年こじらせた想いもかなってしまった。
自分の中の熱い想いが溢れ出す。
今日はなんて日だ。
とうとう俺は、エーレンフリート王太子殿下の専属護衛騎士になる任命式の日を迎えた。
団長の任命式と、専属護衛騎士の任命式は
王宮の謁見の間で、王族の方々と騎士団の関係者が揃った状態で行われた。
エーレンフリート王太子殿下と対面するのも魔法騎士学院の卒業以来だった。
あの頃とは違う、王太子殿下としての余裕と威厳のある表情。
「私、ラルフ=ゲーゲンバウアーは、
誠心誠意、命を賭して、エーレンフリート王太子殿下の専属護衛騎士を
務めることをここに誓います。」
俺は殿下の前に跪き、殿下の差し出した剣に誓った。
任命式の後、
さっそく殿下のお側に控えることになった。
殿下が自室に戻るというので、もちろん殿下の斜め後ろに控えて、ついていく。
すると殿下は俺以外の他の従者や侍女を下がらせた。
「少しラルフと二人で話がしたい。お前たちは下がっていてくれ。」
そして殿下の自室に二人きりになった。
「ラルフ!ホントにお前は夢をかなえたんだな!
オレもこれからラルフと一緒にいられると思うとうれしいよ!」
殿下はあの頃のエルと変わらない笑顔で言った。
駄目だ。
この気持ちは駄目だ。
俺はこの方の専属護衛騎士なのだ。
「この度は、殿下の専属護衛騎士に任命され、大変うれしく思います。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。」
と頭を下げ、右手を胸に添えて、俺は敬礼の姿勢をとった。
すると殿下は困惑した表情をうかべた。
「なんで、ラルフ、そんなによそよそしいんだよ・・・
そりゃ他のやつがいるときはそれなりの態度でいなきゃいけないと思うけど、
今は二人きりだぞ!?
二人のときは今まで通りでいいじゃないか!」
「そういうわけにはまいりません。
私は殿下の専属護衛騎士ですから。」
「オレは・・・オレはラルフが専属護衛騎士になってくれるのをずっと待ってた。
待ってたけど・・・。
やっぱり魔法騎士学院のときにオレがずっとラルフを騙していたのを
まだ許してくれないのか!?
あの頃、オレのことを好きでいてくれた気持ちはもうないのか!?
オレは・・・オレはずっとラルフが好きだよ。
ずっとずっと好きだよ。
だから今日の日が来るのが待ち遠しくてしょうがなかったよ。
やっとラルフと一緒にいられると思ったのに・・・・。」
殿下が俺に必死で語り掛けた。
そして、
「ラルフの気持ちはもう変わってしまったのか。
それでもあのときオレと約束した義務感で専属護衛騎士になってくれたのか・・・。
ありがとな。」
殿下はうなだれながら、小さな声で言った。
俺はつい殿下の肩を握ってしまった。
「違う!義務感なんかじゃない!
俺だって・・・俺だってエルがずっと好きだ。
当たり前じゃないか!
エルが俺のことを騙していたって言うけど、
ただ王太子であることを黙っていただけじゃないか!
俺の夢を笑わないでいてくれたのも、
俺と一緒に強くなってくれたのも、
俺に自信をくれたのも、
全部、本物のエルだ。
今の俺は、エルがいなきゃ存在しなかったんだ。
そんなエルのことを好きじゃなくなるなんてありえないだろう!
でも・・・エルは王族だ。
世継ぎを設けなければならないだろう。
男である俺では、伴侶にはなれないじゃない。
だから俺は・・・エルへの想いはもう心に閉じ込めようと思って・・・。
でもせめて専属護衛騎士としてエルの側にいたいと思って・・・。」
俺の言葉を聞いて、エルはあっけにとられていた。
そして脱力したようにソファーに座り込んでしまった。
「あ、そういうことか。
なんだ、そうか、そういうことか、
ははは。」
エルは笑い出した。
今度は俺が困惑する番だった。
「エル・・・どうしたんだ?」
「ラルフ、お前、殿下呼びからエルに戻っているぞ。」
エルがにやっと笑う。
そうだ、エルはこういうヤツだった。
そして俺はエルのこういうところが心底好きだ。
「そっかー。
ラルフ、そんなことを考えてたのか。
簡潔に言うと、俺は世継ぎを設ける義務はない。
確かに俺は王位継承一位の時期皇帝だが、
皇帝の子供が次期皇帝という決まりはないからな。
今の法では皇帝は王族であればいい。
そして俺には妹がいる。
妹にはラブラブの婚約者がいてさ。
きっとあの二人なら子供、いっぱい生まれるんじゃないかな。
婚約者は今は黒竜騎士団の団長をやっていて、遠距離恋愛なんだよね。
団長を引退して王都に戻ってくれないと
さすがに王族との結婚はキビシイらしくて、
妹は早く後任の団長を育ててくれ!もう待てない!って嘆いているんだけどな。」
さらっとエルは言った。
「だからさ、
オレたちはそういうことは気にしなくていいの。
王族だって、好きなヤツと結ばれていいの。
この国はそういう国なんだよ。
だからさ、ね、ラルフ、もう観念して。」
エルは俺を見上げて、小悪魔のような笑顔で言った。
ゆるく編んだ紅い髪とキラりと光る紅い瞳がまぶしかった。
幼少期からの「王太子殿下の専属護衛騎士になる」夢がかない、
魔法騎士学院からのエルへの長年こじらせた想いもかなってしまった。
自分の中の熱い想いが溢れ出す。
今日はなんて日だ。
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